表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
678/769

二十二章の人物について

今回は、二十二章で登場した人物や、活動してても、アキが認識しないせいで登場シーンがなかった人の紹介ページです。二十二章に絞った記述にしています。二十二章は七日間しか経過してないので記載情報なしの人が多いです。

◆主人公


【アキ(マコト)】

アキにとって、妖精達が他文化圏育成計画に人員を同行させてくれること、それにより常時連絡が可能となることは大変喜ばしいことで、更に次元門構築を国策として推進していくと宣言もしてくれて、初手で国民総動員での心話、魔力共鳴の大規模検証をしてくれるというのは望外の出来事だった。

多くの勢力から専門家を派遣して貰えているとは言っても、出口の見えない基礎研究といったところだった次元門研究は、妖精達が国策として本腰を入れて推進していくと宣言した事で、他勢力もまた関わり方の見直しを迫られることになるに違いない。これもまたアキにとっては最高の変化だ。


そして、東遷事業に唯一参加することになった伏竜もかなり当たりな性格であり、アキは周りが落ち着くよう宥めるくらい、前のめりに仲良くしようとするほどだった。


なぜ、それほど伏竜に好意を持つのか、他の竜との違いは何かなんてところは二十三章で見えてくることだろう。


何にせよ、この冬のうちに、伏竜に地の種族への理解を深めさせることができれば、春先に三大勢力の代表達が集った時に、次元門構築に向けた研究の躍進を告げたりできるかも、なんて皮算用をするアキだった。



◆アキのサポートメンバー



【ケイティ(家政婦長ハウスキーパー)】

ケイティにとって、アキが野鳥観察で見せた屈託のない姿や、伏竜と遊んでいたという依代の君に嫉妬する様子、それに伏竜に心話を断られてショックを受けて姉弟子エリーに頼る様子を見て、随分、無理をしてきたのだと痛感することになった。

アキが予定が空いていると、何かをそこに放り込もうと無意識のうちに振る舞っているのも、何もしない時間に、考えないようにしてきているミアの不在という現実に意識が向くのを恐れての事なのだろう。

それだけに、アキがハヤトやアヤとの心話に興味を示し、妖精達が国策として次元門構築に本腰を入れることになったのを喜んでいた。少しでも実現への可能性を手繰り寄せることこそが、アキへの救いとなるのだから。


【ジョージ(護衛頭)】

空を舞う妖精が拡大術式で遠方を観測、それを中継して遠隔地にある指揮役が直接見て判断するという体験は、彼のセキュリティへの意識を激変させることになった。部下達も同意見であり、だからこそ、妖精族や子守人形を運用できる待エルフの強みを活かして、今のうちに備えておくべきだ、と。

ただし、備えている光景自体を秘密にしておかなくてはならない。その様子を見せること自体が犯罪者達にヒントを与えることになりかねないのだから。


【ウォルコット(相談役&御者&整備係)】

二階建て馬車という改造も苦労をみせずに、洗練された仕草で御して見せていたが、実はアキが出ている時間帯に人を乗せた試運転を繰り返して、問題点を事前に全て洗い出していたからこその余裕の振る舞いであった。

二階に人が座っている時は徐行運転以外厳禁としたのも、立つのも禁止としたのもそれを守らないとどうなるのか、危険な挙動を身を持って体験していたから得られた決まりであった。


【翁(子守妖精)】

アキから、こちらの世界の専門家として、地の種族に疎いけれど、竜よりは近いという立ち位置を活かして、伏竜への教育に手を貸して欲しいと言われて、翁は感動に身を震わせていた。それこそ自分にしかできない、自分がやるべき仕事だと。

アキが起きてる間は子守妖精の仕事をするから、ダブルワークということにはなるし、働き過ぎ、運動不足過ぎ、寝不足気味とこの一年、周りに迷惑をかけてきたので、無理のない範囲で頑張っていくつもりだった。

伏竜とは長い付き合いになるのは目に見えていたから、後からフォローすれば良いところは敢えて少し薄めにしてでも、伝えるべきところを太くしていこう、などと考えるのだった。


【トラ吉さん(見守り)】

伏竜はだいぶまともな性格をしてるとわかり、依代の君が同席していることもあって、トラ吉さんは、アキの足元に寄り添うだけ、というシーンが増えてきた。それと、目に見える変化としては、野鳥観察以降、トラ吉さんがアキを外に誘うシーンが増えた。野鳥観察時のアキの楽しげな振る舞いに何か思うところがあったのだろう。


【マサト(財閥の家令、財閥双璧の一人)】

財閥として運用に支障が出ない範囲で、他文化圏育成計画に参加する魔導人形を選別する作業も第一弾は終わろうとしていた。それ以上は不確定要素が増えすぎたのと、長老衆がどんな計画をどんなスパンで打ち出してくるか分からないので、それ持ちといったところだ。ただ、ロゼッタとも話し合ったのだが、今見えている計画に迅速に対応していくだけでは、後手後手であり、手詰まりになってしまうだろうと悟ってもいた。今の仕事を回していくだけではなく、更に手を広げるための種蒔き作業、それを財閥に属するすべての者達に行っていくべきではないか、と。

ただ、それなら何をすればいいか、すぐには名案も思い浮かばず、暫く暗中模索が続きそうだ。



◆魔導人形枠



【アイリーン(女中三姉妹の一人、ケイティの部下で料理長)】

伏竜向けの米粉パンの高評価を得て、次は伏竜向けの蜂蜜たっぷりのパンケーキの試作を取り掛かることになりそうだ。ただし、最初から完成品を出すつもりはない。敢えていくつかのバージョンを用意して、それを食べる過程で、地の種族の料理への理解を深めて貰い、単に食べて美味しい、で終わらない食育を行おうと考えていた。

推測するのにも限界があるのだから、食べる当事者に意見を語ってもらおう、語れるだけの知識と舌を育てていこう、というのだ。


【ベリル(女中三姉妹の一人、ケイティの部下でマコト文書主任)】

アキの話し合いの場にベリルあり、というくらい、ベリルが板書して、資料を用意して、纏めた文書を配るのが当たり前になってきていた。同時にベリルがそれを可能としているのは、マコト文書の非公開版まで頭に入っているからであり、それなくしてアキの発言を的確に記すことなどできない、と部下達も痛感することになった。その為、部下達からの願いもあり、マコト文書非公開版の読書会も不定期に開催されるようになってきた。

ベリルも相変わらず指導や部下を使うリーダーシップは苦手だが、聞かれたことを分かりやすく説明するのは得意であり、部下達も研鑽を積んできたおかげで、それで十分、理解を深めることができた。

伏竜への教育でもベリル達スタッフの働きはアキの活動を力強く支えてくれるだろう。


【シャンタール(女中三姉妹の一人、ケイティの部下で次席)】

アキが野鳥観察の時の服装であれば、連樹の社の急階段も苦にせず登れると聞いて、少しひらひらカワイイ系にし過ぎていたか、と反省することになった。アキの女性らしい振る舞いもだいぶ板についてきたので、少し服装の幅を広げていく事になるだろう。


【ダニエル(ウォルコットの助手)】

依代の君への対応、抑え要員としてヴィオと共に行動することが増え、助手としての働きが減ってしまっていたが、主のウォルコットはダニエルにしかできないことなのだから、それをやらせる事こそ主の務めだろうと笑って許可してくれた。その代わり報告書という名の読み物は、神官としての経験を活かして、臨場感溢れる文体にすることができた。かなり先だが、それを編纂したダニエル日記が世に出ることになる。ダニエルはウォルコットに言われるままに、書き方を洗練させていったのだが、それが第三者に読み物として世に出すための布石だったと気付くのはずっと先の未来だった。


【護衛人形達(アキの護衛、ジョージの部下)】

野鳥観察の場において、拡大術式と中継術式、それと空からの視点を組み合わせることの凄さは、彼らのセキュリティに関する考えを根底から見直させることになった。当面は妖精族のスポット対応で乗り切ることになるが、これだけ妖精族が空を気ままに飛んでいれば、不審者達が空の利用に活路を見出すのは時間の問題と思えたのだ。

いざという時に慌てず済むように、今から備えなくてはならない、と意識を新たにするのだった。


【農民人形達(別邸所属、ウォルコットの部下)】

→特筆すべき内容はなし。


【ロゼッタ(ミアの秘書、財閥双璧の一人)】

一年前には共和国において、これほどまでの人材不足に陥るとは夢想すらしていなかった。そもそもこれほど激変する未来など、一年前、こちらにやってきたばかりのアキに、貴女はこれからの一年にこれだけの事をするんですよ、などと告げても信じて貰えなかっただろう。なので仕方ないのだ。

なんて話をして現実逃避しているのは、アキから伏竜に対するかなりガチな、地の種族の文化や感性についての教育をする、と聞かされたからだった。報告に上がってきた伏竜の意識の持ち方、興味の示し方はこれまでのどの天空竜とも違い、かなり前向きで好ましい反応ではある。ただ、思いの外上手く行き過ぎるかもしれない、などと背筋が寒くなったのだ。もし伏竜が最高の呼び水となって他の将来有望な若竜達が大勢感化されたなら?

そう考えると、今、見えてる計画だけに対処するのはあまりに愚策、後手に回り過ぎるのではないか、と思ってしまったのだった。

そして、ロゼッタの優秀な部下達も誰一人、それが杞憂だと笑い飛ばしてはくれなかった。


【タロー(小鬼人形の隊長の一人)】

→特筆すべき内容はなし。


仮想敵部隊アグレッサーの小鬼人形達】

→特筆すべき内容はなし。


仮想敵部隊アグレッサーの鬼人形、改めブセイ】

→特筆すべき内容はなし。


【大使館や別館の女中人形達】

→特筆すべき内容はなし。


【館(本国)のマコト文書の司書達】

→特筆すべき内容はなし。


【研究組専属の魔導人形達】

→特筆すべき内容はなし。


【リア麾下の魔導人形達】

→特筆すべき内容はなし。



◆家族枠



【ハヤト(アキの父、共和国議員)】

次元門構築や他文化圏育成計画については、長老衆やアヤ、リアがいるからなんとかなるだろう、任せた、とすっぱり意識を切り替えていた。娘達の意識の切り替えの良さは父親似ではないか、などと知る人はツッコミを入れるところだろう。

ただ、ハヤトからすれば、お義父さんが頼りなんです、とアキから「伏竜に対する、地の種族の文化や技術、感性に関する教育を春先までに一通りやっておきたい」と振られたことの方が遥かに重要だった。

父親として、頼れる一人の大人として、ここは良いところを見せておきたい、なんて思ってしまったのだから、逃げ道など自分から塞いだようなモノだった。

これは、リアが完全無色透明な魔力属性に苦しんでいる時も上手く対応できず、ミアやロゼッタ任せになってしまった事への反省でもあった。もうあんな思いをするのは御免だった。


【アヤ(アキの母、共和国議員)】

議員として、アキの示したエウローペ文化圏、十倍の勢力となる海洋国家シーパワーとの対抗するための布石を打っていく、その意識と覚悟はあった。

その為にもマコト文書の知識も総動員して、長老衆の理解と共感も得るつもりであった。

しかし、妖精達が()()()()()()()、次元門構築、これが最重要、国として最優先で取り組んでいくから、などとぶち込んできたのだから、僅か数日の間に何があったの!?と困惑するのも仕方ないことだったろう。

悪戯大成功と喜んでる妖精達の姿を見て、冷静に評価してるつもりで、この外見に随分騙されていた、と猛反省したのだった。

妖精族の全力支援が入る事にアキが大喜びしてるとも聞き、それが長女ミアを救うことにも繋がることは母としては勿論嬉しい。

ただ、こうも思うのだ。自分はそこらにいる単なる母親なんです、とも。


【リア(アキの姉、研究組所属、リア研究所代表)】

他文化圏育成計画について長老衆に延々と説明し、裏付け作業に追われることになるだろうと覚悟しての帰国だった。

しかし、そこに妖精族ががっつり参入してきて、それだけでなく他のどの国よりも早く、次元門構築を国のまつりごとのリストに正式に載せて、更にどの勢力にも真似のできない、高位魔導師相当を万単位に投入した基礎研究実施等という初手全軍、首都突撃みたいな話がぶち込まれて、自分の覚悟の甘さを痛感することになった。

皆が大いに驚くに違いないとソフィアも太鼓判を押してくれたわ、などとシャーリスが口を滑らせたので、いずれ、ソフィアにも仕返しをしでかすだろう。勿論、個人的に。


【ミア(アキ、リアの姉、財閥当主、マコト文書研究第一人者)】

ミアも次元門構築の研究が必要であり、様々な種族から優れた人材を集めて研究する事までは予想していたものの、まさか万単位の高位魔導師相当の市民達を動員しての心話、魔力共鳴の大規模検証を行うなどという事は、全くの予想外だった事だろう。

それがどんな結果を齎すことになるのか。きっと日本あちらでの貴重な生活を満喫しているであろうミアは知る由もなし。

でも、これこらも事ある毎に、これもまたミアの仕業か、などと黒幕扱いされていくに違いないのだ。



◆妖精枠



【シャーリス(妖精女王)】

これまでは、異世界の住人であり、召喚術式で立ち寄っているだけの仮初の旅人といった位置付けであり、弧状列島の各勢力とも一定の距離を置いて静観するといった立ち位置にあった。しかし、妖精界、こちら、地球(あちら)の三界を繋ぐことで得られた叡智は、あまりに素晴らしく、これを一時の幸運として終わりとしてしまうには、余りに惜しいと感じていた。たった一年の交流で、妖精界ではまず不可能だった世の(ことわり)、物質に関する理解が劇的に進んだことで、妖精族の用いる魔術の精度、効率が飛躍的に向上した。


これはアキに翁が召喚される前と後で別の時代と定義しようという議論が出るほどの劇的な変化であった。


その為、シャーリスは議論に議論を重ねた結果、周辺諸国の把握や交流よりも、次元門構築こそが優先すべし、と優先順位を大きく変える判断を下した。普通なら民も納得しなかったことだろう。今は理論すら構築できない異世界と妖精界を繋ぐ人工の道、次元門を構築し、その運用をしていこうと言い出したのだから。女王陛下は気が触れたに違いないとか言い出してもおかしくない話だ。


ただ、ロングヒルに召喚されて異世界を満喫した妖精達もとても多く、彼らを通じて、魔力が希薄な隣の世界、弧状列島の人々が住まう世界が実在すること、そして召喚を可能とした竜神の巫女アキ、リアがいて、その先には、魔力のない地球(あちら)の世界があることも、多くの民が理解するに至った。その叡智の結晶たる巨大な飛行船の姿も着々と建造が進んでいて、人々の話題に上らない日はないほどだ。

だからこそ、シャーリスは妖精の国が弧状列島に大きく関わる勢力であることを強く示すことにしたのだった。この方針の変更は、三大勢力だけでなく共和国、竜族を含めて激震となって列島を駆け巡ることになる。


【賢者】

彼はこの一年で、世界のことわりへの理解を深めたことで、自身は元より、妖精族全体の実力、可能性が大きく広がってきた事を実感していた。この勢いは止めてはいけない。牧歌的で閉鎖的で変化の乏しかった過去に戻る事だけは絶対に避けねばならなかった。こんな面白い時代が来るとは!

彼は自身が老齢にあるとはいえ、長命種であることに感謝していた。これ程楽しい時代をまだまだ満喫できるのだから!


【宰相】

彼は、他文化圏育成計画への三名の参加、東遷事業への参加、そして、全国民を動員する心話、魔力共鳴の大規模検証によって、妖精達の持つ世界観や感性、他種族への認識などが大きく変わるであろうことを確信していた。周囲にいる人族の国家に悟られることなく、自国の大変革を終えられるであろうことも寿ぐ出来事と言えるだろう、と。

その為にも、今はまだ軽い見通ししか立ってない将来への計画を、現実的な施策へと変えていかなくてはならない。そのやりがい溢れる仕事に、彼は心が打ち震えるのを感じていた。


【彫刻家】

着々と建造が進む飛行船の勇姿を見ていると、自分達がこれほど複雑化した道具の集大成を建造、運用する事になるとは、一年前には夢にも思わず、その成果に自他共満足していた。

ただ、一人、アキだけは、わー、凄いと褒めるものの、いまいち、その凄さ、何段階もステップを飛ばした進化を軽く見ている感があり、それだけが少し不満だった。

やはりどうせなら建造への呼び水となったアキには正しく理解し、そして心から称賛して欲しかった。

ある程度はシャーリスや宰相からの説明もあってアキにも伝わっているのだが、やはりもっと直接的かつ具体的に飛行船を観せて、そしてアキの反応を見たかったのだ。その為、わざわざ世界間の動画転送に挑む事になるのだが、その成果が出るのは暫く先だろう。


【近衛】

→特筆すべき内容はなし。


【賢者の弟子達】

→特筆すべき内容はなし。


【一割召喚された一般妖精達】

→特筆すべき内容はなし。



◆鬼族枠



【セイケン(調整組所属、鬼族大使館代表)】

自信は直接ではないが、トウセイから伏竜の性格や共同作業に対する姿勢を聞き、これならば共に仕事ができると安堵していた。何せ相手は生ける天災であり、良識があったとしても、意識のズレ、感覚のズレはかなり多く、理解を得るのにもかなり苦労してもおかしくないと感じていたからだった。

その場合はアキに頼るつもりだったが、心話を拒まれたとアキが凹んであると聞き、これにもまた驚くことになった。アキのことを甘く幼竜程度に見ていない竜、それが何を意味するのか、見極めねばならないと感じていた。何か突破口でも掴めればよいのだが、などと真剣にアキ目線で考えてる時点で、セイケンもすっかり保護者枠と言う感じではある。


【レイハ(セイケンの付き人)】

→特筆すべき内容はなし。


【トウセイ(研究組所属、変化の術開発者)】

魔力泉からの魔力取り込みにはかなり苦労していたので、その労と難度を正しく評価してくれる竜族には、とても好感を持っていた。やはり研究畑な人にとって、見る目がある、正しく理解し評価してくれる、というのは大切なことなのだろう。その為、伏竜に対しても、他の竜よりもかなり親身に接する事ができた。好意には好意で返す。当たり前の事ではある。ただ、天空竜相手にそれができるというのは、それだけでも稀有な資質だった。そして、トウセイの周りはそんな連中ばかりなので、自分もそちらのレア枠だと気付くのは当分先の話だろう。


【レイゼン(鬼王)】

同盟締結が行われたこともあり、公開情報として天空竜達のロングヒル訪問状況や、共和国の長老であるヤスケが帰国したこと、代わりに議員でありアキの父であるハヤトがやってきたこと、ロングヒルから共和国へと妖精女王シャーリス達が出国したことなどは適宜、情報が届けられていた。この中で特に気になるのは、東遷事業に唯一参加する天空竜である伏竜がやってきたにも関わらず、長老ヤスケがロングヒルの地を離れた事だった。勿論、ロングヒルと共和国は海を挟んでいるとはいえ見える距離にあるほどの近場であり行き来するのは容易ではあるのだが。ただ、竜神の巫女アキの抑え役と自他共に認める人物でもある為、敢えて帰国したというのが気になるところではあった。伏竜の性格についてはトウセイ経由で情報が届いており、理性的な性格であり、地の種族の文化への興味も十分に示しているとの評価も届いている。ただ、レイゼンの勘は、きっとアキがまた何かやらかしたのだろう、と告げていた。


【ライキ(武闘派の代表)】

→特筆すべき内容はなし。


【シセン(穏健派の代表)】

→特筆すべき内容はなし。


【鬼族の女衆(王妃達)】

ロングヒル産の野菜を使うなど、人族や小鬼族向けに手直しした、鬼族の芋煮はアキやケイティにも好評であり、これならば一般向けに提供しても良さそうだ。

鬼族からするとかなり歯応えがなく病人食のように、弱った胃腸を休める為の料理にしか思えなかったが、チャレンジャーな人族が鬼族向けを食べたところ、翌日から顎が痛くなって、それから暫く顎に優しい病人食しか食せなくなったという、尊い犠牲もあったので、食べる相手を考えて合わせる事は必要と納得することにもなった。


【セイケンの妻、娘】

→特筆すべき内容はなし。


【鬼族のロングヒル大使館メンバー】

→特筆すべき内容はなし。


【鬼族の職人達】

→特筆すべき内容はなし。


【鬼族の竜神子達】

→特筆すべき内容はなし。


【ブセイの兄弟子達】

→特筆すべき内容はなし。



◆ドワーフ族枠



【ヨーゲル(調整組所属、ロングヒルのドワーフ技術団代表】

魔力泉を構成する術式、その土台となる魔法陣については、強度と効率を兼ねた魔法陣自体の設計は妖精と街エルフが為したものの、それを現実に稼働させる魔法陣の制作はといえば、ドワーフ達が当然のように担うことになった。馬鹿みたいな大出力を安定稼働させる一品物の魔法陣、そんなのをほいほい要求精度、強度で作れるのはドワーフくらいなモノだからだ。ヨーゲルも実際に製造して終わりではなく、トウセイが何度も試す中で出してきた意見を参考に、改良を何度となく加えることとなり、その結果、安定稼働するに至った点は感慨深いものがあった。また、そうした魔力泉を黒姫、白岩、伏竜の三柱が実際に観て、高い評価を伝えてきた点も、技術者冥利に尽きるというものであった。


【常駐するドワーフ技術者達(アキの使う馬車の開発者達)】

アキが普段利用している馬車の改良が主な仕事の彼らだが、野鳥観察の為の二階席を設けて欲しい、との依頼が届いた時には、わざわざ馬車の改造までするのか? と疑問を抱くことにもなった。ただ、よくよく要件を聞いてみれば、アキがふらふらとそこらをうろつくよりは、馬車の二階席に座っていてくれたほうがセキュリティを確保しやすく、見晴らしも確保でき、観察対象との距離も自然と取れる、と言われてなるほど、と納得することになった。

ただ、触れればよほど強化してある付与術式でなければ、一発で破壊してしまうアキの特性を考えると、そうした馬車の表面に触れさせることなく、二階席への乗り降りをしなければならず、更に重量はただでさえ過剰なので、できるだけ軽量で済ませたいし、見晴らしは確保しつつ、視界を遮らない形で守りの障壁も十分な強度で確保したい、ときた。お前は何を言ってるんだ、と真顔で問い詰めたいところだろう。


幸いにして、予算については必要があれば認める、と事実上の青天井宣言が出たこともあり、彼らは要望を満たしつつ、着脱式で長く使って貰えるよう、二階席の増設機構を開発したのだった。


二階席からの展望に大喜びするアキの様子を見て、彼らも自分達の労が報われた、と安堵していた。運用コストが馬鹿みたいに高く、宝珠に貯めた膨大な魔力でゴリ押しするような仕組みではあったが、取り敢えず最初の一回目は合格といったところだろう。ケイティからは、運用コスト削減のための改良指示が出されたから、暫くはまたその難問と戦うことになりそうだ。


【各分野の専門家達】

→特筆すべき内容はなし。


【ドワーフの職人さん達】

→特筆すべき内容はなし。



◆森エルフ族枠



【イズレンディア(調整組所属、ロングヒルの森エルフ護衛団代表)】

→特筆すべき内容はなし。


【森エルフの文官、職人さん達】

→特筆すべき内容はなし。


【ロングヒルに常駐している森エルフ狙撃部隊の皆さん】

伏竜に対して、地の種族の投擲技を見せるということで、スリングスタッフで遠投を行うけれど、もし演習場の外に出てしまいそうなら危ないから撃ち落としちゃってください、とアキからさらっとお願いされて、彼らは任せよ、と快諾した。というのも、アキは森エルフの弓技は神技の域に達していて、放物線を描いて飛んでいく礫くらい確実に撃ち落としてくれる、と確信した眼差しを向けていたからだ。子供の夢を壊してはいけない。長命種あるあるのちょっと大人のいいとこ見せてみたい精神である。彼らは本編において、依代の君が遠慮なくスリングスタッフでぶん投げた大きな礫を、素早く放った何本もの矢を空中で当てることで勢いを相殺し、演習場の外に行く前に落とす凄腕を見せることになった。なお、礫に当てて減速した後の軌道が読めないので、複数人の射手がタイミングを合わせて同時に矢を当てるという、統制射撃の絶技といった真似をすることになった。通常の鏃ではなく、対象を押す事を重視して笠鏃かさやじりという先端が丸く広がって刺さらない練習用の鏃を選んで用いたのも功を奏したのだろう。



◆天空竜枠



【雲取様(森エルフ、ドワーフを庇護する縄張り持ちの若竜)】

癖の強い伏竜とアキの交流は、上手く行くか少し心配していたのが、順調な滑りだしとなったことに安堵していた。竜族目線で行くと伏竜の振舞い、言動はどうかと思うところもあるだけに、まだ交流も始まったばかり。今後、多少の波乱はあるだろうと考えているところだ。それほど大きな問題にはならないで済みそうだが、アキから、幼竜ではなく若竜的な扱いを受けるようになって、ちょっと戸惑ってると報告を受けた時には、その手があったか、と伏竜の手腕に関心することにもなった。

始めに幼竜のように扱った事もあって、アキと雲取様の関係は親と幼子といった関係に近く、アキも甘い判断をしてくれると思って、遠慮なくぐいぐい突っ込んでくるところがある。かと言って今更、扱いを変える気も無いのだが、もう少し大人な扱いをしていた方が気が楽だったかもしれない、などと思う事もしばしばなのだ。特に七柱の雌竜に言い寄られながら決断を下さずのらりくらりと逃げてる事に対しては、理解は示してくれているものの、時折、遠慮なくぐさぐさと言葉で刺してくることがあって、何とも悩ましく感じているとこなのだ。勿論、アキが雲取様ならこれくらい言っても大丈夫、と全幅の信頼を置いているからこその一種の甘えであり、それは雲取様とて理解はしてるのだ。ただ、ちょっと切れ味が鋭くて痛い。もうちょっと手心を加えてくれてもいいのではないか、などと思う事もあるのだ。


【雲取様に想いを寄せる雌竜達】

→特筆すべき内容はなし。


【福慈様(他より頭一つ抜けた実力を持つ老竜)】

伏竜の東遷事業参加は、これまでの竜族の在り方とは大きく異なるものであり、各地の竜神子達との交流も含めて、竜族の社会を少しずつ変えて行こうという試みの一環でもある。今のところ、上手くいっており、竜達が望むことがあれば、地の種族がそれに応えるといった程度の緩い関係が暫く続きそうだ。地の種族と協力する話は、東遷事業以外だと、次元門構築に絡んだ研究への参加と、「死の大地」の浄化に関わる計画くらいだが、いずれも先が長くそう急ぐ事も起きてない、と考えていた。


【白岩様(雲取様の近所に縄張りを持つ成竜)】

魔力泉や魔力を含んだ米粉パンを食することで、伸び悩んでいた伏竜の成長を促すだろうことは、ある程度確信できた。成長とそれに見合った力の制御についても、若竜と違い、既に空間跳躍テレポートまで習得している伏竜であれば問題もないだろうと。

また、自分の桜竜だけだった訓練に伏竜が加わることは新たな刺激となり、三者の成長を促すだろうことも期待していた。桜竜には競争相手が必要であり、方向性は真逆ではあるが、互いに良い刺激を齎すだろう、と。


【黒姫様(雲取様の姉)】

伏竜の東遷事業参加を受けて、健康面の支援をする事になったが、魔力泉の術式や、魔力を含ませた山盛りの米粉パンには、確かに魔力豊かな巣を持てない伏竜への福音になりそうだと感じていた。トウセイの為した魔力取り込みを賞賛したように、竜族にとっても魔力泉からの魔力取り込みは簡単なことではないが、伏竜はそれを為せるだろうとも確信していた。それと伏竜とアキの関係は、これまでのどの竜とも違ったモノになりそうという漠然とした予感も抱く事になった。


【アキと心話をしている竜達】

→特筆すべき内容はなし。


【炎竜、氷竜、鋼竜(他種族登山に名乗りを上げた雄竜達)】

→特筆すべき内容はなし。


【牟古様他(登山先の主達)】

→特筆すべき内容はなし。


【福慈様の部族の竜達】

→特筆すべき内容はなし。


【桜竜(白岩様に果敢にアタックをかける乙女竜)】

彼女にとって、伏竜はいつも地味で目立たぬように振る舞う、力の弱い変な竜という程度の認識だった。過剰な魔力を抱えて常に暴走気味で力を持て余してる自分に対して、常に力が足りず、技の精度は見事な域ではあったがとにかく地力が足りなくて工夫ではどうにもならない、そんな縄張りも持てない竜だと。

なので、白岩様から共同研究に加わる話を聞いても、あまり足しにはならないだろうとさえ考えていた。


そして、共同研究の場に現れた伏竜を見て驚くことになった。力こそ僅かに増えた程度だが、その在り方が激変していたのだ。それまでになかった芯の強さを得たというところか。目に力強さを感じ、何より今の自分を認めながらも、若竜のような将来への希望と、成竜のような縄張りを持ち、しっかりと生きていけるだけの自信、その両者を同時に内包しているような強さが備わっていたからだ。

訓練の後の雑談にも積極的に参加してきて、語った話の多くが竜神の巫女アキの事だったので、ある程度察する事にはなったのだが。

そして、これはもうアキにがっつり話を聞きに行かなくては!、などと思うことにもなった。乙女は他人の恋バナが大好きなのだ。


【伏竜(帝国領での東遷事業に参加する最初の成竜)】

彼は多くの竜達から話を聞いて、アキの事をある程度は理解していたつもりだったが、誇張が含まれているものと考えていた。興味を持つよう間違いではないものの、少し話を膨らませているのではないか、と。それでも、地の種族に対しては異例とも言える高い評価、単なる庇護される存在ではなく、部族単位で認識するのではなく、個人として認識すべき相手ではあろう、と。


そして、実際に対面してみて、それらの評価が誰も誇張などしておらず、それどころか会った時の楽しみを減らさないようにと、色々と控え目に語られていたのだと理解させられる事になった。


恐れも無く、見劣りする姿に落胆する事も無く、真っ直ぐに心を見据えてきて、今の伏竜だから良い、仕事に対する意識が素晴らしい、我欲の為でも良いのだ、と言うのだ。


言葉を交わすことが心地良く、ストレス無く頭を全力で働かせ、知らぬ事に触れていくのが楽しく、だからこそ、楽しさにかまけて迷子になった時の事を何故か思い出し、このまま流されるのはまずい、と強烈に確信を抱いたのだった。


後で、依代の君と夕方まで遊んでた事に、アキがズルいと嫉妬してたと聞いて、苦笑する事にもなった。まるで、遊んで、と突っ込んでくる幼竜そのものだ、と。



◆人類連合枠



【ニコラス(人類連合の大統領)】

同盟締結が行われたこともあり、公開情報として天空竜達のロングヒル訪問状況や、共和国の長老であるヤスケが帰国したこと、代わりに議員でありアキの父であるハヤトがやってきたこと、ロングヒルから共和国へと妖精女王シャーリス達が出国したことなどは適宜、情報が届けられていた。この中で特に気になるのは、東遷事業に唯一参加する天空竜である伏竜がやってきたにも関わらず、長老ヤスケがロングヒルの地を離れた事だった。勿論、ロングヒルと共和国は海を挟んでいるとはいえ見える距離にあるほどの近場であり行き来するのは容易ではあるのだが。ただ、竜神の巫女アキの抑え役と自他共に認める人物でもある為、敢えて帰国したというのが気になるところではあった。連合に属するロングヒル王国からはこうして適宜、情報も入る訳だが、ヤスケが帰国した理由まで報告される訳ではないし、ロングヒル王家もその理由を知る訳ではない。きっとアキ絡みで何かあったんだろうとは思うが、わざわざ問い合わせるというのもどうか、といったところである。取り敢えず、東遷事業の竜族側の唯一の参加が確定している伏竜について、実際に会ってみてどうだったかアキへの手紙で確認することにしたニコラスだった。


【トレバー(南西端の国ディアーランドのエージェント)】

→特筆すべき内容はなし。


【二大国の一つラージヒルのエージェント)】

→特筆すべき内容はなし。


【ナタリー(二大国の一つテイルペーストのエージェント)】

→特筆すべき内容はなし。


【エリー(ロングヒルの王女)】

アキが、姉弟子として相談に乗って欲しいと言うから、何の話かと聞いてみれば、伏竜に心話を断られてしまった、でも印象は悪くないし下手を打った訳でもないと思う、どうしてだろう、なんて話だった。相手が生ける天災たる天空竜だからと身構えて細部まで聞いてみたものの、本当にもう何とも乙女な話に目一杯からかって愛でたい気持ちを抑えるのが大変だった。

囲った相手を手放せない所がある雲取様への扱いは要注意、下手に嫉妬を拗らせたら大変なことになるから、同じ報告でも不必要に煽らないように、雲取様と伏竜を比べるような言動は厳禁だとか、あれこれ指導することにはなった。

それにしても、アキが天空竜相手に気を付けてることには内心呆れていた。それは犬猫や幼子相手の振る舞いじゃないか、と。見上げる小山のような大きさの伏竜の事も、目がカワイイとか言ってるし、本当に天空竜の姿に見えてるのか疑問に思う程だった。


【ヘンリー(ロングヒルの王様)】

彼の日課の一つは、ロングヒルを訪れ、去っていくVIP達の動向を纏めて、三大勢力の代表達に報告するということがあった。三大勢力と共和国が同盟を結んだ事もあり、ロングヒルを訪れるVIP達、つまり竜族や妖精族、それと共和国の長老のような人々の動向は、同盟全体で共有すべき情報という位置付けになったのだ。大体において、それらの存在の出入りは大きな話に繋がっているのだから、各勢力の代表達が知りたがるのも当然だった。

そんな彼も、妖精女王シャーリスやその重鎮達が降臨するのはいつもの事と思っていたが、わざわざ正式に出国手続きをして、共和国入りするという報告を受けて大いに驚くことになった。つまり、それは他の勢力にも自分達の振る舞いを見せつける形で内緒話をする、という事なのだ。

先日の東遷事業への参加を正式表明しているので、こちらでの国としての振る舞いが増えるのは予想していたが、初手でこれとは先が思いやられる。天を仰ぎたい気分ではあったが、そんな事より王女のエリーが別邸にお呼ばれしていた事を思い出し、それならまずは娘に話を聞けばいいか、と考え直すのだった。どうせ、また、アキ絡みの話だろうとアタリをつけていたからだ。

そこで彼が娘から聞かされたのは、アキは伏竜に甚くご執心で、まるで恋する乙女みたいだった、なんて話だったので、大いに悩むことにもなったのだが。


【セシリア(ロングヒルの御妃様)】

→特筆すべき内容はなし。


【エドワード、アンディ(ロングヒルの王子様達)】

→特筆すべき内容はなし。


【ザッカリー(研究組所属、元ロングヒル国宰相)】

→特筆すべき内容はなし。



◆小鬼帝国枠



【ユリウス(小鬼帝国皇帝)】

同盟締結が行われたこともあり、公開情報として天空竜達のロングヒル訪問状況や、共和国の長老であるヤスケが帰国したこと、代わりに議員でありアキの父であるハヤトがやってきたこと、ロングヒルから共和国へと妖精女王シャーリス達が出国したことなどは適宜、情報が届けられていた。この中で特に気になるのは、東遷事業に唯一参加する天空竜である伏竜がやってきたにも関わらず、長老ヤスケがロングヒルの地を離れた事だった。勿論、ロングヒルと共和国は海を挟んでいるとはいえ見える距離にあるほどの近場であり行き来するのは容易ではあるのだが。ただ、竜神の巫女アキの抑え役と自他共に認める人物でもある為、敢えて帰国したというのが気になるところではあった。とはいえ、ロングヒルから遠く離れた地にいてはそれ以上の詳細情報はまだ掴みようがないのも事実。ロングヒルとの直通通信網構築の重要性を痛感するユリウスだった。


【ルキウス(護衛隊長)】

→特筆すべき内容はなし。


【速記係の人達=ユリウス帝の幕僚達】

→特筆すべき内容はなし。


【ガイウス(研究組所属、小鬼チーム代表)】

心話、魔力共鳴についての研究について、高位魔導師級の実力を持つ妖精達を万単位で投じた一大検証事業を行う件は、現時点ではまだガイウスに話は伝わっていない。ただ、街エルフ達が他文化圏育成計画への着手を決定したことから、アキを推進派に転向させた妖精達の検証事業の実施も確定したと言っていいだろう。強力な使い手達が膨大に集って行う検証作業はただ、規模を拡大するだけでなく、そこから得られた情報を元に、心話、魔力共鳴に対する理論を発展させ、それによって世界間に作用できる数少ない技法である心話、召喚の持つ特性や可能性についての理解を大幅に進展させようという意欲策である。そこで力になるのは、理論面に特化した鬼族研究チームだ。ある意味、研究組の中でも一番、期待されていると言っていい状況であり、二十三章以降では、ガイウス達のチームを中心として、妖精の国と研究組の合同検証事業が力強く推進されていくことになるだろう。


【ユスタ(小鬼研究チームの紅一点)】

→特筆すべき内容はなし。


【小鬼の研究者達(小鬼研究チーム所属)】

→特筆すべき内容はなし。



◆街エルフ枠



【ジョウ(ロングヒル常駐大使)】

ロングヒルに降り立った妖精女王シャーリス達が正式に共和国の地を訪れるとあって、帆船の手配と、訪問理由の確認、それと共和国側の受け入れ体制の調整などに全権大使として対応に追われることになった。

移動するだけなら地形を無視して真っ直ぐ共和国へと渡海できてしまう妖精族だが、ロングヒルの地に降り立った以上、共和国に行くのならロングヒルの出国手続きと共和国の入国手続きをしなくてはならない。

シャーリス達も正式な出入国の手続きは始めてとあって、興味津々、一通りの手続きを可能な範囲で体験することになった。勿論、ロングヒルの国籍など持ってないので、確認しようがないステップも多かったのだが。

その中でジョウも、妖精族が正式に他文化圏育成計画に参加すること、なので同計画の実施を強く求めること、それと同じかそれ以上の熱意を持って、次元門構築に向けて国策として取り組む事を聞かされることになった。

万単位の高位魔導師相当となる妖精市民達を動員して、心話と魔力共鳴について空前絶後の大規模検証の行うという。アキはこれで研究も進むと大喜びだと聞いて、そりゃそうだ、と苦笑しつつも、今回の件は、直接、長老衆に話が持ち込まれる事もわかったので安堵していた。いくらなんでもたかが全権大使程度で判断できる範疇を軽く飛び越えていたのだから当然だった。対応してくれる上司がいる事の幸せを噛み締めるジョウだった。


【ヤスケ(ロングヒル駐在の長老)】

ヤスケは自分だけが聞き、抱えていた他文化圏育成計画とそれに関わる話を長老衆と共有できて、肩の荷が下りた気分だった。皆で考え、決めれば良いことにある種の安心感すら覚えていた。そんな自分の意識に気付いて、随分と久しぶりに視野が広がった思いを抱いた。自分は長老衆にあって、他の誰よりも決断を行い、皆を纏める任に適していると自他共認めていた。だが、こうして自分もまた長老衆の一人であり、皆で決め、皆で責を負う者に過ぎないのだと再認識できて、それが何というか新鮮な気持ちであった。

……だが、ストレス過多から解放されてリラックスできたところに、妖精女王シャーリス達が乗り込んてきて、彼らの方針、立場表明をしたことで冷水を被ったような意識に叩き落されることになった。

他文化圏育成計画に妖精を同行させよう、召喚を通じていつでも連絡も取れるようになるだろう。そんなことより、次元門構築による三界の繋ぎこそが重要であり、妖精の国はそれを第一の目標として掲げる、などとぶち込んできたからだ。次元門構築の研究はあくまでも未知への研究、知的探究と言った位置付けだった。それを妖精達はまつりごとのリスト、その筆頭に位置付けてきたのだ。これは他のどの勢力からも抜きん出た立ち位置と言える。しかも、万単位の高位魔導師相当となる妖精の市民達を投入して、心話や魔力共鳴に関する大規模検証を行うという。初手から全力全開、それも共和国の全力にも並ぶ強烈な一手であった。

この小さく可憐そうに見える異世界の隣人は、自分達に並ぶ強国であり、高位存在なのだと再認識させられることになった。

救いといえば、衝撃を受けて唖然としていたのが自分だけではなかったという事だろうか。おかげで皆より半歩だけ前に出て、新たな世界観を受け入れて、現実的な歩みへと落としていくのか、話をリードすることもできた。

そして、思ったのだ。この激動の時代は皆でなければ乗り越えられられないだろう、と。


【街エルフの長老達(本土にいる面々)】

ヤスケ達が帰還して持ち込んできた他文化圏育成計画や、それに付随しての街エルフが占有している宇宙技術や知識に関する「あの」竜族への情報公開などという話に衝撃を受けて、その中には世界樹の探索や、他文化圏、特にエウローペ文化圏に対する傍受による諜報活動(シギント)をどうしていくか、といった話題にも苦慮することなっていた。


……が、それらも、シャーリス女王が、ぜひ、他文化圏育成計画の推進をお願いしたい、と言って、実施する際には各文化圏に派遣する使節団に妖精を一名ずつ同行させること、召喚体である妖精を介して、使節団と本国の間の常時連絡が可能になる利を説いてきて、話が大きく荒れることになった。


申し出自体は大変ありがたいのだが、アキが同計画推進派に鞍替えしたことも伝えられ、次元門構築に関わる基礎研究として、妖精の国の総力をあげて心話や魔力共鳴についての大規模検証を行う、といった事も説明があったからだ。いずれ、巨大な海洋国家シーパワー同士での対立が生じることが懸念され、だからこそ、他文化圏育成計画によって、対抗する文化圏を育てて、エウローペ文化圏の増強を全体で防ぐという遠大な計画だった訳だが、それよりも三界を繋ぐ次元門構築の方が優先度は高い、重要だと言い出してきたからだ。


アキが大喜びしそうな妖精族の方針の大転換であり、だからこそ、長老達もその意味するところに衝撃を受けることになった。万単位の高位魔導師達による大規模基礎検証作業など、確かにこちらでは弧状列島を統一した国家を樹立したとて、とうてい実現不可能な話である。だから主張は理解できる。


それでも、話が何ステップも一気に飛躍し過ぎだ、と長老達は困惑することにもなった。それでも判断するのが長老衆の役目である。彼らは何とか気力を振り絞って、初の全勢力合同で行う東遷事業や、未知の文化圏への接触という他文化圏育成計画が小粒に見えてくるような強烈な視点の変化に血反吐を吐くような思いではあったが、何とか話の全体像を理解し、資源リソースをどう割り振っていくべきなのか、行動計画タイムスケジュールについて大まかな道筋を立てるのだった。


【ファウスト(船団の提督、探索者支援機構の代表)】

本編でハヤトが話していたように、他文化圏育成計画は確かに今後、これを超えるような探査計画は出てこないと思われるものの、かなりリスクがあり、更に自分達は異文化圏に上陸せず帰らなくてはならない、という意味で、旨み、楽しみが少ないといったところもネックと感じているようだ。勿論、最初の上陸では、現地までの航路の確認や状況把握に努め、風土病の問題さえ確認し対処ができれば、次は実際に上陸を行うことにもなり、その航海には、最初の魔導人形達のみによる使節団を運んだ提督が選ばれることにもなるだろう。そういう意味では、先を見越した息の長い活動と捉えることもでき、競合するような他国勢力も当面は現れないと思われることから、独占的に交易を行える楽しみもある。それにこちらとの接点がないまま育まれた異文化圏、というのはそれ自体が魅力の宝庫でもある。

……という訳で、彼の苦悩はなかなか解決しないのだった。取り敢えず使節団を担える魔導人形達のチームを結成するだけでも何年かかかるだろうから、それまでの間に結論を出せばいいか、と考えているようだ。


【船団の皆さん】

長老達が他文化圏育成計画をまつりごとの実行リストに載せた事から、船団の限られた関係者達にも、情報が明かされることになった。といっても、情報は極僅か。それは「これまでにない未知の海域に対して、探査船団を派遣する」というもの。そして、その派遣期間は恐らく往復一年程度を見越しておく、といったものだ。それとその船団の派遣は恐らく数年後になるだろう、ということも。

これには各地の船団の面々も、かなり頭を悩ませることになった。既知の海域ではない、という時点で交易を考慮しない、探査目的の船団ということになるだろう。また派遣期間の長さからすると、かなりの長期航海になるのは確定で、単純に長距離なのか、或いは探査地域が広大なのか、という話になる。

ただ、それにしては提督達の反応はかなり慎重で、それに喜び浮かれている感じでもないのが気になるところであった。まぁ、そうは言っても帰国するまでは何かできる訳でもないので、話のネタにするくらいしかやることがないのだが。


【ミアの親友達(ミエ、マリ、ユカリ)】

三人はアキが語った文化圏同士の争いや、いずれ起こるであろうエウローペ文化圏との海洋国家シーパワー同士の対決といった部分までは理解していたものの、そこにシャーリス女王達が長老達の話し合いの場に乗り込んできたことで、一気に話がややこしくなってきて理解が厳しくなってきた。

「三界を繋ぐ次元門の必要性」を説いて、他文化圏育成計画に妖精を同行させるのでぜひ実施して欲しいと提案してきた事や、次元門構築を後押しするものとして、妖精の国の総力をあげて心話や魔力共鳴について大規模な検証を行うとした話、それらを踏まえて、アキが他文化圏育成計画について実施はどちらでもよいとする中立的立場から推進派に変わったことなどが伝えられた。その内容自体は聞けばまぁ想像はできるし、理解もできる。マコト文書を活用してきた街エルフとして、異世界の知を活かす圧倒的な利について共感もできる。

ただ、三人は圧倒的な場違い感を覚えたのだ。なぜ、国家レベルの超重要機密の話に自分達が当事者の一角として巻き込まれているのだろうか、と。三人の携わる仕事、分野からすると、かなり縁遠い話になってきていたからだ。ここが多様な企業群である財閥を率いるマサトやロゼッタと、大企業とはいえ専門分野に閉じた会社を率いる三人の差だろう。ソフィアのような一事が万事、自分の研究に役立つなら、落ちてる石でも使おうという貪欲さを三人に求めるのはまだちょっと早いようだ。



◆その他



【ソフィア(アキの師匠、研究組所属)】

研究組の一人として、この一年の研究の進展は目覚ましいものがあると認めつつも、次元門そのものの研究という意味では、自分達の理解のどこが不十分で、研究する余地がある分野はどこか、突破口となるべき術式は異界まで届く二つの術式である心話、召喚であり、膨大な魔力供給を可能としている魔力共鳴もまた今後、深い理解を必要とすると考えていた。

また、賢者が示した、世の(ことわり)を深く理解することにより、術式の効率を大きく引き上げた結果についても、これもまたかなり興味深く感じていた。自分達は魔術を高効率に使える気でいたが、使用頻度の低い高魔力域の術式や、相性問題で使い手の少ない心話や魔力共鳴についても、まだまだ知らぬこと、理解が不十分なことが多いという確信さえ抱いていた。

そこに、妖精族が万単位の実質、高位魔導師並みの実力を備える国民達を投じて、前代未聞で、恐らくはこちらの世界では空前絶後となる未曾有の心話、魔力共鳴に関する大規模検証作業を実施するときた。これによって、こちらの世界の心話、魔力共鳴の研究は千年単位で一気に進展するのと同じ結果を得るだろう。泣き虫な弟子の為にも、そうして得られるだろう新たな知見を武器に、次元門研究に大きな進展を見せてやろうじゃないか、と闘志を燃やすソフィアだった。


【街エルフの人形遣い達(大使館領勤務)】

→特筆すべき内容はなし。


【連樹の神様】

ヴィオと依代の君が木陰でリバーシを遊んでいたり、妖精達が湖で鳥を追いかけ回している様を眺めたりと、過去にはない事が続き、連樹の神様はただ、ただ風に身を揺らしながら、そんな光景を眺めていた。時折、鬼が社に登ってきたり、小鬼達がやってきたり、それに天空竜が広場に降り立ったりと、一年前には想像すらしなかった光景が日常化していて、樹木の精霊(ドライアド)の暮らしからすれば刺激過多といったところだろう。


【ヴィオ(連樹の巫女)】

毎日のように遊びに来る依代の君の相手をしながら、夏から秋、そして冬へと移り変わる暮らしぶりについて、彼に紹介するのも、年の離れた弟ができたようで結構楽しんでいたりする。それに、いざと言う時の止め役を期待され、依代の君が参加する場に、神官ダニエルと共に同席することも増えてきた。それと、依代の君の子供っぽい振舞いと、それに引き摺られるように、焼餅を焼いたり、文句を言ったりと軽い衝突が多いアキの態度の変化についても、良い変化だと感じていた。以前からアキは、ピンと張り詰め過ぎていて余裕が乏しいように思っていたからだ。少しでも隙間時間があると仕事を詰め込まないと不安になる、不安な事に気付いてしまう、そんな危うさ。それを依代の君との遠慮のないやり取りは、少しだけど癒しているように思えるからだった。……まぁ、二人の衝突は見てる方はハラハラしてしまい、悩ましい事ではあるのだが。


【連樹の神官達】

連樹の社を訪れる異種族も随分と増えてきて、宿泊施設がロングヒルの城塞都市や、周囲の拡張された各勢力の大使館付随施設くらいしかないのは不便だ、とする話がちらほら上がってきており、連樹の森の裾野に宿場町を造成する事をについても検討し始めることとなった。宿泊施設のノウハウなど持っていないので、財閥の支援を受けることになったのだが、そこで彼らは決断を迫られることになった。運営も含めて全部、財閥の方にお任せで、自分達は連樹の里の暮らしをこれまで通り続けることにするか、宿場町の運営に連樹の民も積極的に参加していくのか、ということだ。周囲を取り巻く環境がどんどん変化していく中、連樹と共にある民としての暮らしをそのまま続けて行くのは難しい。だが、どこを変え、どこは変えずにおくのか、それを考えなくてはならない、そう彼らは悩むことになった。


【連樹の民の若者達】

若者達は日々、変わり続けるロングヒルの輝きにすっかり魅了され、そして少しだけ疲れてしまい、弧状列島中の民が集った平和の祭典であった交流祭りにも参加し、連樹の民、連樹の森が今後、弧状列島においてどういった立場であるべきか、なんてことを彼らなりに考えるようになってきた。連綿と繰り返される連樹の民としての暮らしと落ち着き、そして激流のように変わり続ける弧状列島。両者は同じ地にある以上、その在り方についていずれ折り合いを付けなくてはならない。彼らもなんだかんだと連樹が好きなので悩ましいのだ。


【世界樹の精霊】

→特筆すべき内容はなし。


樹木の精霊(ドライアド)達】

→特筆すべき内容はなし。


【マコトくん(マコト文書信仰により生まれた神)】

→特筆すべき内容はなし。


【依代の君(世界樹の枝から作りし依代人形に降りたマコトくん)】

新たにロングヒルにやってくるようになった伏竜だが、これまでにやってきた竜に比べると、トウセイに倣って、魔力泉から魔力を吸収する取り組みであるとか、魔力を含ませた米粉パンを食するといったように、ロングヒルでやることが多いこともあって、依代の君も共になにかしよう、と興味を示すことになったようだ。地の種族の社会、文化に外からやってきて学ぼうという姿勢に共感を覚えたのだろう。アキの当初の予想と違い、伏竜の学ぶ場に同席すること自体も、義務や仕事として、というより自身の学びや伏竜と共に学ぶこと自体を楽しみにしている感じだ。


【樹木の精霊ドライアド探索チームの探索者達】

→特筆すべき内容はなし。


【多種族による「死の大地」観察登山の参加者達】

→特筆すべき内容はなし。


【邪神、祟り神(「死の大地」の呪いに対する呼称)】

→特筆すべき内容はなし。


【マコト文書の神官】

→特筆すべき内容はなし。


【心話研究者達】

魔術の界隈において、心話はかなりマイナーな領域であった。相性が良く無ければ心を通わせることができず、他者と直接心を触れ合わせることに対して、それを嫌う者も多かったからだ。また幼い頃はできても、歳を重ねるごとに徐々に不得手になっていくといった者も多かった。それと高位存在と心を触れ合わせるというのは、一切の守りなしに魔獣と対峙するようなモノであり、余りにも危険とされていたのもある。実際、あの天空竜ですら、心話ではその強さを全く活かせない状況に陥るくらいだった。


そんな中、彼らは、世界を超えて通じる数少ない技として心話が脚光を浴びることになり、さりとて研究者が急に増える訳でもなく、アキのように誰とでも心話ができる完全無色透明な魔力属性を持つ訳でもないので、やはり研究はちまちまとしか進んでいなかった。


そこに、いきなり、高位魔導師級を万単位で投入して、心話、魔力共鳴の大規模検証をするなんて話を妖精族がぶち込んでくることになった。団扇を仰いで涼んでいたら、強大な台風に街ごと薙ぎ払われたかのような環境の激変だった。


幸いなのか不幸なのか、彼らはまだ妖精族がそのような大決断を行い、その働きをもってアキを中立派から、他文化圏育成計画推進派に鞍替えさせることに成功し、だからこそ、約束通り、心話の大規模検証が行われることになったことを「まだ」知らない。ただ、そんな平穏は嵐の前の静けさという奴だ。そしてもう嵐は目の前にまで迫っていた。

<今後の投稿予定>

二十三章スタート          八月四日(日)二十一時十分

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』を読んでいただきありがとうございます。
評価・ブックマーク・レビュー・感想・いいねなどいただけたら、執筆意欲Upにもなり幸いです。

他の人も読んで欲しいと思えたらクリック投票(MAX 1日1回)お願いします。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ