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第二十一章の施設、道具、魔術

今回は、二十一章でいろいろと施設や道具、魔術が登場したので整理してみました。

◆施設、機材、道具


【世界儀(衛星探査情報反映版)】

各国に配布した外向きに制限された世界儀ではなく、未探査領域や南極大陸まで含めて全ての大陸、海岸線が描かれた世界儀である。共和国の本島にすら存在しない、アキのいる別邸にだけある一品物であり、同じ大使館領内ですら持ち出し厳禁という極秘アイテムである。未探査領域の大陸や島については色合いを変えて、そこが未探査であることがわかるよう配慮されている。こんな便利なアイテムがあれば、地球(あちら)での大航海時代も随分様変わりしたことだろう。

なお、定番ではあるが共和国産の世界儀は必ず、共和国の島が示せる縮尺で作られている。自分達の住む国が載ってない地図なんて意味ないだろ、という訳だ。


【双眼鏡】

ケイティとアキが野鳥観察をするときに使われる、といった体で紹介された普通の双眼鏡。ただ、実のところ、翁とトラ吉さんが同行する時点で使われないことが確定した品でもある。妖精族サイズの双眼鏡ではレンズが小さ過ぎて光量が確保できず暗くなってしまうし、トラ吉さんはそもそも双眼鏡を持つ手がないのだから、まぁ当然だ。なので、全種族参加の登山時と同様、拡大術式が活躍することになるだろう。皆で同じ景色を眺められれば話も弾むというものだ。


【妖精用ホットプレート、というか状態維持機能付き料理台】

見た目は妖精さんサイズのおままごと用のホットプレートと言ったところだが、実は結構な高さのある台の方が本体であり、その実体は開放型保管庫だったりする。事実上、時間遅延を実現している保管庫の機能を上面を開放した状態で実現しているという逸品であり、これにより妖精サイズの薄い、細切れ状態の料理の水気、温度をその状態のまま維持し、最高の食べ頃を維持するのだ。

人サイズのホットプレートの場合、温度は維持されても、下部から加熱され続けることで水気が飛び、ぱさぱさになったり、熱が入り過ぎたりと、失われるものは多い。同様の機構を妖精サイズで行ってもあっという間にからからに水気が飛んで残念食感の料理の成れの果てに至るだけなのだ。

高さ制限はあるものの、実のところ、台の上数センチといった高さまでの空間内の時間を極めて遅く維持するという魔導具なので、台の上に置いた妖精さん用カップに注がれた飲み物も適温で維持してくれる。加熱用ではなく状態維持用という代物なのだ。勿論、まだ試作品であって、同サイズの金塊より高額で、アキやリアの手が届くところには絶対置かれない。あと、妖精さん用に作られた品なので、翁が触っても壊れない強度を達成しているという点も、価格を押し上げている要因だったりする。





◆魔術、技術


【銀竜の鱗】

アキが創造術式で作り出した、未探査領域に持っていって、相手に見せることで、竜族や魔獣といった、地の種族を遥かに超えた強大な種族がこの世界にいることを示そうとしたネタアイテム。創造術式で生成された品だが、アキが以前、創造した水は未だに消える気配すらないので、いつ消えるのかはきっと、神ですらわからない。

SS⑨の中で説明されていたように、魔力制御が効かないアキは常に最高位階、最高出力で魔術を発動してしまう。その為、一つはオリジナル、残り九枚はコピーだったが、そんじょそこらの魔導具に接触させるだけで、付与術式を破壊する要取扱注意の劇物と化している。量産型の魔剣程度だと打ち付けたら刃が欠けてしまうだろう。酷い話である。

二十二章では、伏竜がコレの後始末を任されることになる。何気に伏線にもなるキーアイテムだったりする。


【神力指弾】

依代の君がアキに直接触れたくはないが、ツッコミを入れたくて編み出した技。指差した方向に小さな神力弾を飛ばす。効果としては魔力撃と同系統だが、何せ神の一撃、神力なので、アキは指ではじかれた程度にちょい痛いで済んでいたものの、一般的な地の種族や魔導人形達であれば、多重障壁を展開して、とにかく直撃は避けないとヤバい神罰だったりする。射程距離はせいぜい数メートル。依代の君も必中の状況でなければ使わないので、まぁ、実際に被害者が出ることはないだろう。


超音速巡航スーパークルーズ

桜竜が小型召喚体のみ、座席ハーネスなしで、F15戦闘機が出した記録を0.1上回るマッハ2.6でぶっ飛んだ最速飛行記録を出した件が紹介された。自前の速度計測ではなく、外部観測による速度計測、余計な装備一切なし、という本当の意味での限界速度であった。


推力の限界まで加速しても、空気抵抗とのバランスで、それ以上速度が出せず、推力が少しでも下がれば速度低下するという限界域である。なお、低高度でこんな速度を出すのは空気抵抗が大き過ぎて無理で、空気が薄い高空域でないとこんな飛び方はできない。

ちなみに竜族が実体でこんな速度を出すことはほぼ無理。出しても瞬間記録がせいぜいで魔力を使い果たしてしまうだろう。召喚術式によって無尽蔵に魔力を供給されるからこそできるチート技といったところだ。

いくら竜族でも生身でこんな速度域の大気抵抗を食らう訳にはいかないので、空気抵抗を考慮した障壁を全身に展開していた。障壁を展開して、出力限界を続けて、ほんの僅かズレるだけでも大気抵抗爆増という中、真っ直ぐ飛ぶだけ。まぁ、桜竜が面白くない飛び方と言ったのも当然だろう。


【大気圏外飛行】

ステルス戦闘機のF22が片足突っ込んでいる超高空域では、空気が希薄な為に翼による制御が効かなるので、エンジンの出力方向を直接変更することで機体制御を行うという推力偏向が必要になってくる。アキがちらりと提案した浅宇宙域を用いた高速飛行プランは、更に高空、もう航空エンジンが動作するほどの空気すらない浅宇宙域を、天空竜の主推進力である重力偏向だけを用いてぶっ飛んでいこうと提案である。リアが音速の二十倍くらいまでは加速できると言ってたが、それは惑星の引力圏を脱出できる第一宇宙速度に達する前くらいまでは速度だせるよ、という意味だった。

ちなみに竜族にとって、重力偏向のみで飛行するのは、空中静止飛行ホバリング時くらいなものであって、高速飛行なのに翼による姿勢制御が効かないなどという状況は、まだ誰も経験したことがない。

まぁ、アキがちらほら語ってるように、実のところ、竜族の飛び方は風を上手く掴んでグライダーのように飛ぶのがメインで、重力偏向はやはり彼らにとっても使うのを控えたい能力なのだ。魔力消費がキツくて実体で垂直上昇をして言っても、低軌道衛星が周回しているであろう高度二百キロといった域にまで辿り着くのは厳しい、というのが実状だろう。その辺りは技術課題検討の話が出てくれば、そこで語られることになる。自分の速度も把握が困難、下手に大気圏突入すれば超高温&高圧で全身がバラバラになること確定な極超音速飛行なんて、まぁ、うん、正気じゃない。


【短距離の空間跳躍テレポート

桜竜からの発言ではあるが、何も目印らしい場所もない高空域であっても望む高度への空間跳躍テレポートによる移動が可能であることが判明した。その時の話題では、高度はいくらでも選択可能だが、あまり高くなると日差しが強くなって好きではない、とも発言しており、そのことから、高度五十キロの成層圏までは転移したことが示唆された。アキはそれなら、月面まで空間跳躍テレポートしてみて、などと竜達にお願いしてみるつもりだが、まぁ、彼らから色よい返事は戻ってこないだろう。その時の返事から空間跳躍テレポートによる短距離移動の限界や制限が見えてくる事になる。


空間跳躍テレポートの目標地点認識】

自力移動できない世界樹が空間跳躍テレポートで雲取様の縄張りに引っ越してきたことから、何らかの方法で間接的に目的地を認識して、空間跳躍テレポートで移動できることが示唆された。上手く使えば、未探査領域の中南米に対しても、天空竜を空間跳躍テレポートで送り込めるかもしれない。うん、技術的には凄い話だと思う。だけど、地の種族からすれば悪夢以外の何者でもない。実現できてしまえば、この惑星ほしに逃げ場は無くなることを意味するのだから。

しかも、召喚術式の遅延発動と組み合わせれば、本人が召喚体で現地をがっつり納得がいくまで調べて把握した上で、実体で空間跳躍テレポートしてくる、という複合技もできるだろう、とリアから検証可能な案まで示された。

実際に遭うこともない強大な個である種族のことを語って説明するより、本物を見せた方が早いよね、というアキの意見は説得力があるが、それは長老達からすれば、パンドラの箱を開けるような狂気の提案と思えたことだろう。二十二章の裏での会議が紛糾すること請け合いの案件だ。


空間跳躍テレポートと荷物運搬】

世界樹が雲取様の縄張りに転移してきた時に、根を張っている土ごと移動してきたのなら、手荷物を持っての空間跳躍テレポートも可能そうという事が示唆された。天空竜に空間跳躍テレポートで色々と物資を転移で運んで貰えるなら、選べる戦略は無限と言ってもいい広がりを見せることだろう。ICBMの再突入体だけ宇宙空間に任意のタイミングで好きなようにばら撒ける、と言えば、そのヤバさが通じるだろうか。核弾頭を装備せずとも再突入に耐え得る金属塊と方向制御機構さえあれば、最大速度マッハ十五の運動エネルギー兵器「神の杖」が簡単に実現できてしまう事すら意味する……かもしれないのだ。世界全域、いつでもどこでも数十分以内に運動エネルギー弾ぶち込めます、というアメリカが計画した例のアレである。これも要取扱注意案件である。


空間跳躍テレポートと距離】

検証してみないとわからない話だが、もしかしたら空間跳躍テレポートに必要な魔力量と転移する距離には関係がないかもしれないという話である。世界の外との往復に魔力を費やすだけで、外に出て、戻る時の位置が多少ズレようと、それは誤差じゃないのか、といった推論である。

裏付ける話もある。街エルフが実現している転移門は離れた空間同士を繋げて、移動できる門を形成する超技術だが、これ、門同士の距離と消費魔力には何の関係もないのだ。開く門の大きさと開いている時間だけが必要な魔力量を決めるのである。だからこそ、静止衛星軌道、地球(あちら)だと三万六千キロという、星の裏側より遥かに遠い地点にも物資をばんばん運び込めるのである。

ならば、原理は違うが、空間跳躍テレポートも同じかもしれない、という訳だ。

まぁ、こちらは検証は簡単だし、多分、検証せずとも、竜族の誰かに話を聞けば、答えはすぐ出るだろう。


経路(パス)を使った魔力供給】

ミアが手紙の中で示唆したお話。実は経路(パス)を通じて誰もが僅かだが魔力のやり取りをしていて、それが所謂、虫の報せ、という現象を起こすのではないか、という説がある。ただ、説は出たものの、計測する方法がない為、真面目に扱われることのなかった話であった。本人の魔力回復量の計測誤差に紛れるほどの微量だろう、と目されていたからである。

ただ、実はこの説だが、アキとリアが魔力共鳴によってその保有魔力量が激増した結果、立証できる目処が立ちそう、なんて話があったりする。この話題を振られたなら、ソフィアや賢者ならば、その検証方法すら含めて、すぐ思いつくことだろう。


【演技と無意識な反射行動】

アキがお姉様方の襲来に驚いて、布団を抱きしめて後ずさった際の行動について、本編でもあれこれ説明されていたように、演技とは本人にはない振舞いをするモノなのでどうしても、素の反応に比べると、余計な事をする分遅くなり、その振舞いもオーバーなモノとなってしまうことが多い。

もし演技でこれを実現しようとするなら、ミアが長い時間を掛けて実現したように、無意識下の行動ですら、望んだ動きをするように反復して自身に覚え込ませるしかない。ただ、恐らくそんなミアであっても、周辺視野を活かした視界拡大という高難度技能を、敢えて使わずに視線を動かすよう体に上書きするのは困難な事だろう。努力しても、見えているのに敢えて視線を移動させる、という演技故の動作遅延の克服には想像を絶する時間を必要とするに違いない。


消臭デオドラントの術式】

翁はさらりと部屋全体を消臭していたが、魔導師達は強い魔力を纏っているが故に、彼らの近くの空気に対してまで消臭効果を出す事は基本的にはできない。だからこそ、消臭術式と送風機能を併用した空気清浄器のような魔導具が売れるわけである。外から消せずとも消臭した空気を循環して送り込めば消せる、という発想だ。

翁の場合は、実力差もあって、部屋の中にある空気全てに対して一気に臭いを消し去った。超技である。

ただ、実は探索者はあまり使いたがらない術式でもある。匂いという情報が無くなるのは、探索者にとって有利とは限らないからだ。無臭というのは現実世界ではあり得ない状況なので違和感も酷いのだ。


消臭デオドラントの集団術式】

ケイティが行ったのは消臭だけでなく、大気の流れを制御して匂いが各人の周囲から拡散しないよう複数人数に対して同時制御するという意味での高難度術式であった。空気振動を停める程ではないので声は聞こえるという便利さだが、そんじょそこらの魔術師では実現できない超技である。なお、ケイティのソレは、船旅の最中、食堂にいる一部の連中が食する具材の臭いに苛ついて、でも船内に被害を出したくないという状況があって編み出した技だったりする。その頃には、ミアから支給されている魔導杖は持っていなかったので、せいぜい一、二人の臭いを隔離するのが限界だった。


【魔導具の相互干渉】

本編では、護符について語られていた。護符は身に付けた者に対して一定の効果を自動で発揮する為、複数の護符を持つと相互干渉してしまい機能不全を起こしてしまう問題がある。なので、同じ装備は複数身に付けられないのである。複数効果の同時発動をさせたいなら、最初からそれをすることを前提とした高度な魔導具を用意すればいい。上手く干渉しないよう調整された護符なら二つ、三つと機能を併せ持つこともあるのだ。

ただ、そうした品は貴重で高額な上に一つずつの性能は落ちる、という問題もある。

そもそも、複数機能載せ護符にするか悩む、などと言えるお金持ちは街エルフ達くらいなモノなのだが。


【精神防壁の護符】

同じ系統で精神強化の護符もある。精神強化は文字通り心を強くする、折れないようにする、といったものなのに対して、精神防壁の方は着用者を覆うように展開して、精神に影響を及ぼす外圧を軽減、中和するといった作用を持つ防壁を作動させるというモノだ。届いても問題なくするか、届かないようにするか、という差である。

そして、アヤが「依代の君に対しては精神防壁の護符はあっても殆ど意味なし」と言ったのは、展開した防壁が、彼の放つ高い神力に対してはチリ紙のように頼りなく素通りさせてしまう為だったりする。

普通の魔獣相手なら十分通用する逸品なのだが、まぁ、相手が悪かった。





◆その他


【魔力属性と瞳や髪の色】

目は口程に物を言うとか、髪は邪気を払うといった事が言われるが、こちらでは瞳や髪の色は魔力属性の影響を強く受ける。その為、瞳や髪の色を見れば魔力属性の推測もしやすい。感知できる魔力属性と瞳や髪の色が違うと違和感が凄いので、そういったチグハグな組み合わせはしないのが基本。

なので、こちらでは変装というのは何気に大変なのだ。髪色を変更して印象を大きく変える、という地球(あちら)では普通に行われる話が、こちらでは違和感ありありで逆目立ちしてしまう訳だから。

なので、こちらでは髪を染めるとか、カラーコンタクトを入れて色を変えるといった事は盛り上がらない。そんなことをしなくとも、多彩な魔力属性に合わせて髪や瞳の色は多彩なのだから。

天空竜の竜鱗も魔力属性の影響を強く受ける。アキが竜になった場合をイメージした銀竜の姿は、そうした基本を踏まえたモノだった。

ミエのように一部に色を変えたメッシュを入れる、みたいなお洒落は普通に行われている。まぁ、ちょっとスレた印象を与えるモノではあるのだが。


【分割統治と奴隷貿易】

分割統治の手口は本編で説明されている通りだが、これが小規模勢力乱立の地域で奴隷貿易と併用されると酷いことになるので、その点について紹介しておこう。


対立している部族同士が戦い、勝利した側が奴隷を手に入れるという文化がアフリカでは一般的だった。アフリカ文化圏では奴隷を手に入れる為に必要以上の殺害をしないといったように、ある程度のバランスをもって運用されていた文化と言える。これがアフリカ文化圏だけならある意味、運用は正常に機能していたのだが、分割統治、奴隷貿易とセットにされると酷いことになった。


部族同士が争い、劣勢な側に手を貸した列強は助力の権利として奴隷を手に入れて本国に連れ帰る。勝利した部族は、敵対勢力の反抗主軸となるような人物達を排除できて治安も安定、奴隷売却の益も得て豊かになる……とその部族だけで見たら賢い立ち回りではあったものの、それはアフリカ文化圏全体としては悪手だった。


アフリカ大陸から連れ出された黒人奴隷は1500~2000万人とも言われ、その中には反攻の芽を摘むということで捉えた敵対勢力の上層部のような人々も含まれていた。つまり、勢力間の争いがおきるたびにアフリカから、支配階級の人々が消えていったのだ。おかげで文化も歴史も技術もどんどん失われていくことになった。

ある意味、王侯貴族や富裕層、知識階級を狙い撃ちで殺し尽くして、下級市民層しか残らなくなったと言える。敵対勢力を潰している間は我が世の春と思ってただろうが、そんな部族も最終的には列強に潰されて、皆、仲良く植民地で二級市民扱いされる羽目に陥ったのだ。現在にまで悪影響を残しているアフリカの悲劇となった。


【地竜】

長らく、四足歩行で地を歩く竜だけど弧状列島にはいないよ、程度の説明しかされていなかった地竜もがっつり紹介することができた。天空竜よりも大きく頑丈で、常に群れを為して練り歩く、そんな種族だ。地球(あちら)の恐竜、竜脚類的だが、体表が鱗に覆われていたり、角が生えているところが違う。


実のところ、動きが遅いので、噛みついたり、踏みつけたり、尻尾で薙ぎ払ったりといった物理攻撃に訴えることは稀だ。そんな真似をせずとも瞬間発動できる魔術を効果的に使って、対象を倒す。

彼らも天空竜と同様、身体が大きくなっていくほど食事を必要としなくなる。そうでないと大食漢な彼らに世界は食い尽くされてしまうことだろう。そうでなくて幸いだった。


後書きにも書いていた内容だが、彼らは大地を練り歩くからか、岩石の創造術式を使って遠距離に対して、叩きつけるような使い方が得意だ。当たって数秒くらいで消えてしまうエコな岩石砲弾である。攻城兵器級の威力と射程を誇り、必中だ。また、天空竜と違って、彼らの使う竜の吐息(ドラゴンブレス)は火炎属性付きで、薙ぎ払って焼き尽くすような使い方をする。恐らく、草原とか隠れるところが多くてうざい範囲を薙ぎ払うような使い方が基本なのだろう。そしてそれ以外、すばしこい相手や空の相手などには熱線術式の連射で倒す。弾速が早く、必中な上に威力も致命の一撃(クリティカルヒット)でおまけに連射も可能という便利さだ。


ただ、そうした遠距離術式に頼るのは、彼らの動きが鈍いからで、彼らは常に隊列を組んで手分けをして周辺警戒をしつつ、隊列の中に守るべき個体を入れて保護する、といったことをしている。そうして注意を払うくらいには、彼らの警戒態勢も万全ではないということだろう。


彼らの視界に入った場合、地の種族はよほど距離を離しておかないと、熱線術式で狙われる可能性が高いので、キロ単位で距離を離しておくのが賢明だ。


また、彼らは攻城兵器から飛ばした岩塊が直撃してもびくともしないくらいには頑丈だ。天空竜達とはまた違った強さを持つといったところだろう。天空竜は地球(あちら)での戦闘ヘリ相当、地竜は主力戦車相当である。近未来の主力戦車といったところか。現在の主力戦車はまだ飛行するドローンを迎撃できるようなFCS連動型機銃なんてのは搭載してないのだから。

それと、彼らも竜族なので、当然だが半端な術式や魔術付与武器では傷付けることができない。高位階の術式やそれを付与した武器が必須だ。それと攻撃自体の火力も相当ないとそもそも防御が抜けない。戦闘ヘリの12.7㎜弾まで耐えられるチタン合金装甲と、主力戦車の120㎜APFSDS弾の直撃にも耐える複合装甲を一緒にすんなよ、といったところだ。


そういった訳で、大陸では地の種族と地竜の間では明確な棲み分けができている状況だ。棲み分けできなかった勢力は全て潰されてきた、とも言える。地竜の怒りを利用して他国を倒そうとか考えた馬鹿もいただろうが、地の種族のいざこざに巻き込まれることを彼らが許す筈もなし。後腐れがないようにすっぱり問題を消してきたのは確実だ。大陸では地竜こそが恐怖の象徴、生ける天災扱いされている地域が多いだろう。


地球(あちら)とこちらの地理の違い】

大雑把なレベルで言うとかなり似通っているが、細部で見ていくとちまちま違っているので、完全に同じといった話ではない。……が、こちらの人々は、マコト文書を通じて、マコトが覚えて心話を通じて描いたお絵描き地図みたいな情報しか届いておらず、こちらの世界地図と地球(あちら)の世界地図を見比べて比較をすることができない。これは弧状列島と日本列島の比較においても同様だ。皆さん、何も見ないで日本列島どれくらい正確に描けるだろうか? 半島とか島とか湖とか欠けてたり、サイズが違ったりしないだろうか?(笑)

そういった訳で、本編でも、アキは、帝国の皇帝領が関東平野とだいたい地理的条件は同じと語ってはいるものの、河川の流れも本数も蛇行具合も違っているし、海岸線がそもそも違うといった具合である。

<今後の投稿予定>

二十一章の人物について       三月十三日(水)二十一時五分

二十二章スタート          三月十七日(日)二十一時五分

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