21-28.種を蒔き森を育てよう(中編)
前回のあらすじ:未踏破地域にある大国に、魔導人形さん達の使節団を送り込むことで伝染病を互いに回避し、交流を活発に行えるという提案を行いました。リア姉もあれこれ意見してくれた感じだと、だいたいイメージした通り、小さな投資で済みそうですね。(アキ視点)
さて、それでは、共和国の探査船団が現地に残って交流を行う魔導人形さん達の使節団を組織して、現地でその活動が認められたことを前提に、その効能を話していこう。
「それでは、魔導人形さん達だけで結成された使節団が現地活動をすることを許可された場合の効能についてお話していきますね。それは弧国使節団と他国が最初に送ってくるであろう冒険者達との差別化が図れることにあります。僕達は衛星探査によってそこにそれなりの規模の港町があり、それが大国の一部を構成するであろうことを初めから想定できるので、国同士の礼節に合うよう、適切な人選と外交に相応しい身綺麗な服装と振舞い、相手国への友好を伝える贈り物などを携えて上陸できます。また、探査船団も優美で綺麗な姿はきっと相手国に鮮烈な印象を与えることでしょう」
これにはリア姉が補足してくれる。
「それに対して、事前情報がないエウローペ文化圏は、先ず一か八かの大勝負に打って出るような冒険者達と、恐らく帰国できることすら保証されないとあっては、強引に集めたであろうガラの悪い船員達に構成された船団は手探りできっと効率の悪い航海を続けた挙句、南北アメリカ大陸に到着する訳だ。勿論、上手く行ったらの話だね。勿論、船団の代表や一部はそれなりに礼儀を弁えているだろうけれど、衣食住に大きく制限がかかった危険な航海から解放された船員達まで礼節に倣った振舞いができるかどうか。言葉も通じない中、とにかく水や食料だけでも手に入れたいだろうし、上陸して休みたいところでもあるだろう。私達と会った時と第一印象との落差は凄いだろうね」
うん、うん。
リア姉、ちょっと意地悪な顔してるよ。
ミエさんが続く。
「そして、私達がエウローペ文化圏より一年以上先んじることができれば、二、三年先んじることができたなら、伝染病の危険性について理解が深まり、上手く行けば、無防備に相手を受け入れるのではなく、限られた者だけが上陸できる小さく隔離された町を用意しておいて、そこにエウローペの冒険者達を招き入れる、といった対応を取れるだろうね。もしかしたら何千年と交流がなかったであろう異文化との接触を予め想定して準備までしていた国となれば、きっとエウローペ文化圏の冒険者達が受ける衝撃は計り知れないモノになる」
うん、うん。
ジョウさんも続く。
「きっと意思疎通して、満足のいく交流ができるだけでも何か月と掛かるだろうから、いっそのこと、想定されるであろうエウローペ文化圏の探査船を引き入れて修繕できる乾ドックを用意しておくのも面白そうだ。別に南北アメリカ大陸の国家がそのドックを必要とする造船技術がなくたっていい。密閉できる開閉扉と注排水の仕組み、それと船台や固定できる仕組みは必要だがその程度で十分だ。長旅で汚れた船底を掃除して塗料を塗りなおしてやるだけでも船員達は大喜びだろう」
うわぁ、ジョウさん、悪巧みマシマシな笑みだ。
船員は帰りの航海の安心が増すのだから嬉しいだろうね。でも、船団を率いる冒険者達の胸中はきっと複雑だ。よく使われている乾ドックがあって、船を引き入れる手際も良ければ、同規模の船舶の運用ができる国だ、と理解するしかない。例え、港に同規模の船がいなくても、たまたまいないだけか、敢えて見えない地域に移動させている、と思うだろう。入れる船もないのに外洋帆船を入れてメンテできる乾ドックを用意して待ち構えていた、なんて真相に辿り着け、というのが無茶だ。
マリさんもこれに続く。
「エウローペ文化圏の造船技術の情報はまだないけれど、採掘して港まで運搬が必要な石炭や石油といった燃料を動力源とした船団になるとは考えにくい。行った先々での補給は期待できないのだから。そうなると帆走か魔導推進でしょう。魔導推進だけで航行してきたなら素直に褒めて船体の汚れ落としだけでもすればいいし、帆走してきたなら、帆も傷むでしょうから修繕してあげてもいいわね。自分達で修繕すると言うなら、必要な材料を聞いて用意してあげてもいい。修繕の様子を物珍しいと見物させて貰っても面白いんじゃないかしら?」
いざという時に備えた予備の帆くらいは持参してるだろうけど、だからといった傷んだ帆をそのままにしておくなんてのは船乗りの心理からしてありえない。いくら粗悪な人選であろうと、ある程度の損傷を修理できるメンバーは乗せているだろう。でも材料は限られている。相手国から提供して貰えるなら、船員達もその提供を感謝するだろう。
そして、受け入れ側もまたエウローペ船団の技術や船員達に触れることで色々と推測できるようになる。……というか街エルフが得意とする僅かな証拠から多くの情報を割り出す技術、その考え方や姿勢については伝える気満々ってとこだ。
ユカリさんも楽しそうに続く。
「きっと船員達も長旅で疲れていて癒しに飢えているわね。彼らが語る母国のこと、エウローペ文化圏のことを、土産話を喜ぶ子供のように楽しく聞いてあげれば、彼らの口は軽くなるでしょうね。酒や料理を振る舞ってあげて、綺麗な風呂で身綺麗にさせてあげれば、彼らはきっと帰国したら良い宣伝をしてくれるでしょう。海を渡った先にあったのは、異文化への深い理解を持つ国であって、野蛮人ではない、と」
勿論、僕達の探査船団があれこれ伝えるまでもなく高度な文明と、異文化への理解を持っているなら、お節介な真似をせずとも、エウローペ文化圏に関する情報を伝えるだけでいいんだけどね。可能性としてはゼロじゃないけど、他文化圏との交流に乏しい南北アメリカ大陸でそこまで自力だけで到達するというのは無理があると思う。それこそミア姉みたいに地球との密な交流を続けて、その文化や技術を貪欲に導入していくというチート行為でもあれば話は別だけど。
そのミア姉ですら、完全無色透明という唯一無二とされた魔力属性の相手との心話、という他の誰もができなかった技に辿り着き、そんなミア姉が世界を超えた混信みたいな形で僕と繋がらなければ、地球の世界の存在に気付くことはなかったのだから、そんな偶然が他にもあったと期待するのは無理がある。
「地球では、冒険家のコロンブスは西回りにインドに辿り着いて香辛料取引をするつもりでいたので、自分達と同等で遠地にあるインド文化圏に赴いて交易を行う気でいたのは確かです。ですから、その後に続いた宣教師達のように劣った、遅れた地域に神の恩寵を与える、みたいな使命感を持って最初の冒険家が南北アメリカ大陸に辿り着く可能性は低いでしょう。何隻もの外洋帆船を揃えて危険な航海に赴くのは、かなりリスクが高い行為であって、費用も莫大です。地球と同様、こちらでもエウローペ文化圏から派遣される冒険船団の第一目的は、既知の文化圏、インド文化圏と中東文化圏を介さず直接交易を行うことでしょう」
中東文化圏の商人達は赤道を超えてマダガスカル島まで足を運んで交易していたくらいだから、船乗り達にとって、赤道を超えて航海することはちゃんと情報が伝わってさえいれば、大した話じゃなかった筈なんだよね。でも地球でのヨーロッパ人達はキリスト教世界観ガチガチだったから、南に進んでいくと赤道付近で灼熱の炎に焼かれてしまうとか、世界の果てに落ちてしまうとか考えてる船乗りも多かった。少なくとも下級船員だとそうした事を考え、怖れていた。
こちらのエウローペ文化圏はどうだろう?
リア姉が手をあげた。
「だけど、確か地球の歴史だと最初にインドに辿り着いたポルトガルは、香辛料取引が富を齎した結果を受けて、武力制圧して交易を独占しようとしたんだったよね。安定した航海ができるなら、わざわざ戦わずとも交易すればいいだろうになぜ、武力制圧した上での独占交易を選んだんだっけ?」
あぁ。
「それは、ある種の対抗意識と独占欲、それとインドの状況がソレを許したってとこかな。当時はインドとの交易は中東文化圏の商人達に独占されてたから、それをポルトガルが独占できれば巨万の富を得られることになる。その為にはこれまでの取引の慣習を打ち捨てて、ポルトガルの船団に対して優先的に、できれば独占した交易をする状況に持って行きたい。そして、当時のインドは大国が支配する状況じゃなく多くの小さな王国や領主が存在してる状況だった。そしてポルトガルの船団は小国相手なら軽く制圧できるだけの武力があった、ってこと」
歴史の皮肉だよね。もし、当時、インドを統一する大国が存在してれば、大航海時代の流れも随分変わったことだろう。所詮、遠征してくる船団なんてトータル千名にも満たず補給も続かない戦力に過ぎないんだから。
ただ、当時、無謀と言える航海をしていたような冒険家達の動物的嗅覚は鋭かったのも確か。交易を行う温和な商人と武力制圧をしてくる征服者の二面性を持っていて、心の中では常に損得勘定が冷徹に働いていたんだ。
ジョウさんが真顔に戻って後に続く。
「つまり、初手である程度、穏便な関係を促せたとしても、それからの交流を続ける中で、争うより対等な交易相手として取引をする方が割に合う、と思わせ続けなくてはいけない訳だ」
その通り。
「はい。冒険家達はそもそも一攫千金を狙う山師ですからね。インカ帝国を征服したピサロのように、相手国を制圧して王として君臨しよう、なんて事を可能なら実行しちゃうような連中です。彼らは冒険者、交易を行う商人、征服者の顔を状況に応じて使い分けてきます。しかも出資者の完全なる手下ではなく、理由もなく大人しく従うようなタマじゃありません。こちらだとそうではないかもしれないけれど、少なくとも地球の冒険者達はそういう連中でした」
一応、参考までにということで、中国の鄭和、七度も大船団を率いて遠征をした英雄の例を紹介してみた。彼の場合、永楽帝の命を受けた国の使節として外交を担っていて、多くの国を回って時には現地の権力争いに巻き込まれたり、襲われたのを返り討ちにしたりしつつ、多くの国との国交を結んで貿易ルートを確立し、中国の影響力を広げたんだ。船団も数千人の船員と数百の船といったように規模が段違いだったんだよね。
それに比べると、ヨーロッパの冒険者達は出資者に王家もいたけれど、大商人ということも多く、その目的は主に経済的なモノで交易ルートを確立するのが目的だった。
鄭和は国に仕える外交官であり武将であり船団を率いる大提督だった。ヨーロッパの冒険者達は危険を顧みず一山当てようと出資者を募って突き進む山師達だった。この差は大きい。
「その鄭和の例では、航海ルートは既知であって、あくまでも相手国との国交を樹立することが主目的で、未知への探査という趣旨は薄かったとみて良いだろうか?」
「そうですね。彼らの大船団が航海したルートを見ると、一番遠くまで進んだ時でも中東地域まででしたから、航海先に関する情報を彼らはインド文化圏経由である程度仕入れていた筈です」
「そうなると、今、話題にしている未踏破地域、南北アメリカ大陸を対象とした場合、やってくるのは鄭和のような国の正式な外交船団である可能性は低いな」
「はい。最初の冒険者達がやってきて、未知の航路が既知となった後であれば、そうした外交を担う人々が乗船してくる可能性もあるとは思いますけど。ただ、そこで問題になってくるのが交易品です。こちらだと世界樹経由で作物が遠地から既に伝播してるので、作物の場合だと気候的に自国生産できないモノを交易する感じになるでしょう」
「我が国が交易を行っているのが正にそれだ」
「それ以外だと、地球の歴史では、作物以外だと、鉱山から採掘された銀以外だと砂糖や綿花ってところでしょうか。ただ、サトウキビはヨーロッパ人が持ち込んで現地の人々に栽培させてたんですよね。高緯度帯のヨーロッパだとサトウキビは栽培に向きませんから」
「鉱物資源よりは砂糖や綿の方が交易品には向いてるだろう」
ふむ。
「では、ちょうど、交易品の話になりましたし、次は南北アメリカ大陸に何を持ち込むのかお話していきましょう。と言っても、深い部分は僕にはわからないので、そこは軽く。もし、南北アメリカ大陸にいない場合は、という前提ですけど、家畜として牛、豚、羊、馬の四種の持ち込みと、もし彼らに製鉄技術がなければ、その技術提供といったところですね。馬の場合、蹄鉄がないと利点も半減しちゃいますから」
そう踏み込むと、ケイティさんが手をあげた。
「アキ様、家畜の件ですが、現在、共和国が保有している探査船団には家畜を運ぶ設備はありません」
ふむ。
「では、必要があれば家畜運搬を可能とする外洋帆船の建造も視野に入れておくってとこで。案外、こちらでは普通に大型家畜がいるかもしれませんからね。そこは現地で魔導人形の皆さんが交流をしていく中で明らかになっていくでしょう。金属器も同様ですね。こちらは技術提供ということになるので、誰にどこまで提供するのか皆で意見を揃えてからになるので、やはり現地の技術状況が明らかになってからで十分でしょう」
リア姉が手をあげた。
「それは、武力面、社会の組織化、動力の運用辺りを睨んで?」
「その辺り。金属製の槍先があれば、投槍器で槍を投げるだけでも金属鎧を打ち抜けるから、大勢で槍の雨を降らせるだけでも、現代歩兵に痛打を浴びせられる。これが石器だと衝撃で砕けて貫通できないから、ハンマーみたいな鈍器で殴りつけるしかなくなっちゃうでしょ。同じ鈍器でも先端が尖ってる棘が付いてた方が効果があるから」
木や骨、石だけの文明だと、黒曜石の剣も斬れ味はまぁ鋭いけど衝撃に脆いから、金属鎧相手だと刃が砕けちゃうんだよね。それにハンマーもヘッドが石なのと鉄なのでは効果は段違いだ。
「あと、家畜の強い力を農業に利用しようとすると、鉄器の頑丈さがないと簡単に折れたり壊れたりしちゃいますからね。風車や水車にしても軸受け部分が金属製かそうでないかで段違いになってくる。あと、そうして社会で金属を広く利用するようになるということは、必然的に社会の分業と組織化を推し進めることになるから、エウローペ文化圏と対抗しようとするなら、そうした大国化を促す呼び水としては必須かな、って」
規模の大きな外洋船を建造するのにも金属器が欠かせないし、道具にしても鉄製の道具のある、なしで農業の生産性も大きく変わってくる、といったように社会を変えていく原動力になるよ、と。
「そんな感じに種を蒔いて、森を育てていきましょう、って話ですね。僕達が行うのは、彼らが自立して着実に先に進めるだけの気付き、知識、場合によっては最初だけは道具を提供するとかです。でも、社会を変えて進むのは彼らです。あくまでも僕達は育つ意欲があるなら、手を貸しましょう、と。そこまでであって、無理強いしても意味はありません」
実のところ、現代知識無双、みたいな話も、膨大な試行と挫折の積み重ねの結果、その叡智を持ち込めるなら、話した原理を理解できる頭があれば、再現性がある科学の導入は劇的に進めることができる。小さな理屈と気付きの積み重ねであって、例え相手が金属器を持たない木・骨・石ベースの社会だろうと、組織化され、科学的視点を理解しうる支配者層、専門家集団がいるなら、金属器の生産、普及は十分可能だ。
耳が痛くなるような沈黙が暫く続いた後、ジョウさんが口を開いた。
「……我々は最小限の情報、技術の提供によって彼らの社会を変えるのか」
「そうです。気付かなければ突破できない、気付いてしまえば何故気付かなかったのかと不思議になるような技術的な問題、困難によって社会が停滞することは結構あります。何も一から十まで全部教えて導け、という訳じゃありません。相手と意思疎通が行えるようになれば、最初の一年で色々と見えてくるでしょう? あぁ、ここにアレがあれば劇的に変わるな、とか、為す為に足りないモノが何か、といったところが。そこだけ乗り越えさせればいい。そうすれば後は自分達で上手く発展させていきますよ。どの社会にも賢く発想豊かな人はいるものです」
千の失敗を積み重ねることで見つけた一の正解、それを繰り返して三進むとしたら、本当なら三千の失敗が必要になり、その意味を分析し理解し成功の範囲を絞り込んでという迷いの時間を経なくてはならない。
でも、もし、誰かが三の答えを教えてあげたなら?
それは、三千歩の距離を三歩に短縮できることを意味する。科学とはそういう技なのだ。
当たり前のようにある現代知識、多くの知の積み重ねは無数の試行錯誤の末に厳選された叡智そのもの。
理解してしまえば、それは驚くほどシンプルな原理に支えられていて、しかも再現性がある。
「アキはどこまで変えるべきだと思うんだ?」
ふむ。
「最初に言ったように、エウローペ文化圏の人々が、武力制圧するのは割に合わない、と考える程度までですね。必要なのは現地の人々が一つに纏まっていること、中枢を刈り取られないこと、拮抗はできずとも出血を強いる事ができるだけの力を持つこと。それと初見殺しの策について知っていて対策が取れること。それが揃ってれば十分対抗できます。結局のところ、長距離航海をしてこれるのは後詰めもいない少数の戦力です。どれだけ強くても手口がバレてしまえば倒しようはいくらでもある。そうでしょう?」
初見殺しの定番は銃、砲だ。轟音を聞くだけで家畜は暴れ出してしまい混乱は必至。そして撃たれた銃弾はどんな勇敢な戦士でも死に至らしめてしまい、砲弾は城門すら撃ち砕く。
何も知らずにいきなり弓矢や剣で戦うとなったら、混乱に乗じて指揮中枢を刈り取られて終わってしまう。
でも。
それが未知でなければ? 予め、情報が伝わっていて強みだけでなく弱みも露呈してたなら?
直射しかできない銃撃に対しては、曲射を持って投槍や矢の雨を浴びせればいい。薬莢が発明されていなければ、一発撃てば、次弾装填までの時間は長く付け入る隙は十分ある。
それは科学と同じだ。触媒を用意すれば本来よりずっと低い温度で金属を溶かすことができるように、ほんの少しアプローチを変えるだけで、現代技術で武装した戦力であっても痛打を与えられるのだ。
夜の闇や雨を利用してもいい。初見殺しは相手が知らないから効果が絶大なのだ。種がバレてしまえば、多くの戦力を用意できる現地勢とて戦い方はいくらでもある。
はて?
皆さん、なんか静かだね。
「そして、時間さえあれば、僕達は、少数の探査船団でもそれを為すことは可能でしょう。運ぶのは情報、気付き、技術です。必要なのはエウローペ文化圏に先んじること。それも早ければ早いほど、現地の人々が歩む時間を確保できます。勿論、このような策を共和国だけで実行する訳にはいきません。なので、三大勢力ともよく相談の上、今後、いつ、どこに向けて何を行うのか考えて行きましょう。得られる結果を考えれば効果は絶大、必要な投資は探査船団一つと、外交使節百人程度。コレが僕の提案です。叩き台の素案としてはこれくらいでしょう。皆さんに手札は渡りましたので、上手く活用してみてください」
ふぅ。
良いプレゼンができました、とやり切った気分だったけど、お姉様方やジョウさんからはある種の恐れや忌避感を含んだ眼差しを、母さんやリア姉、ヤスケさんからは「説明足りてねーよ」といった残念そうな視線を向けられることになった。うーん、何かミスった?
いいね、ありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。
地理学視点を踏まえて、アキの策「②木を隠すなら森の中、だから森を育てていこう」の説明その2です。
相手の文化圏が進んでるなら助力は不要だけど、遅れてる場合には適切な助力をすることで、社会変革速度を劇的に引き上げて、エウローペ文化圏が侵攻を割に合わないと判断するくらいの実力を持って貰いましょう、というのがアキの提案でした。
ネタが割れた手品なんていくらでも対処はできる、どうせ少数部隊で増援なし、補給なしなのだから、事前に情報があって対抗策を準備できさえすれば何とでもなる、といった感じに説明した訳ですが、だいぶ引かれる感じになってしまいました。
まぁ、チート全開で、他文明圏に最小限かつ最効率の関与を行うことで、その技術進化を百倍、千倍速に引き上げちゃおう、地球の歴史を参考に、奴らの手口を予め教えておくことで十全の準備をさせちゃおう、って話で、街エルフは戦略、戦術も勿論学んでいるだけに、そこまですれば、技術レベル差が大きかろうと何とでもなることも理解できたのは間違いありません。
次パートでは、そうは言うものの、なんか引かれてしまった感じになったので、フォローしていくことになります。
次回の投稿は、二月二十一日(水)二十一時五分です。