21-14.地球(あちら)の歴史と比較したこちらの現状説明(後編)
前回のあらすじ:採掘技術が進み、冶金技術が進むと掘るだけで船舶を建造できるようになるから、樹木の生長を待つという枷がなくなって、外洋帆船の建造合戦になるよ、特に障害がなければ蒸気機関も生まれるし、蒸気船は帆船に比べて圧倒的に強いよ、木造船に比べて全金属船は強いよ、なんて話をしました。世界の多くはまだ状況が良く分からず、街エルフ達の立ち位置は見える範囲では先頭だけど、世界全体からするとあまりリードしてないかもしれないし、そうでなくとも後追いの方が楽だから追い付かれるのは時間の問題、と現状を認識して貰いました。(アキ視点)
アイリーンさんが皆さんに焼き菓子を振る舞ってくれて、糖分を欲しがっていた頭に染み渡る感じは、お姉様方にも好評だった。
ちょっと雑談がてら聞いてみよう。
「済みません、マリさん。地球で言うところの地中海相当の海域がこちらにもありますけど、ここって決まった名前はあるんでしょうか」
大洋を狭い海峡で隔てられてて内海っぽくなってるから、地形的にはほぼほぼ地中海って感じ。
「我らが海、だったと思うわ。古い時代、その周囲全てを統一した海洋国家が存在していて、内海と化した海域を誇りを持ってそう呼称していたのだとか」
おぉ。
「それはまた、物凄い版図ですね。で、昔って事はもう、今は分裂しちゃったとか?」
「いくつもの国に分かれているのは確かね。それと統一国家があった頃と違って、今はその海域にも海竜が周回するようになって、海運も随分寂れてしまったそうよ」
あら。
「昔は海竜が寄り付かなかったんですかね? それはそれで興味深い話です。ただ、海竜が周回してるだけで、海運が廃れたとなると、海竜と周辺地域の国々の関係はあまり良く無さそう。波が穏やかな海域なら本来は海運がかなり発達するんですけどね。なるほど」
となると、ガレー船とか内海の穏やかな海向けで喫水線の低い船だと、行き来とかも命懸けだ。喫水線が低いから海竜に軽く底を擦られただけでも、波を被って転覆しちゃいそうだし、狭い海峡を通って外洋へと繰り出していくのも大変だろう。これは悪くない話かな。
ん?
なんか、皆さん、僕の方を見て、なんか引いた感じの顔をしてる。
「どうしました?」
この問いには、ケイティさんが代表して答えてくれた。
「アキ様が今、凄く悪巧みしてるような表情をされていたので、何を思いつかれたのやら、と気になったのです」
なるほど。
「衛星からの探査画像だと、地球でのヨーロッパ相当の地域が、予想以上に森林が残ってるようなので気になってたんですけど、案外、大型帆船の大量建造みたいな話が成立してなくて、結果として森林資源が残ってるのかもしれない、と思ったんですよ。こちらって竜族がいるからか、地球に比べるとまだまだ随分、森林が残ってて素敵ですよね。羨ましい話です」
まぁ、とはいえ、北アフリカから中東あたりにかけては、見事に砂漠になってて、一部河川流域付近とか限られたところにしか緑は残ってないようだけどね。惑星規模の気候変動圧のせいだろう。
おや、今度はリア姉か。
「その気付きだけじゃ、あんな悪そうな顔はしないよね」
えー。
「そんな人相悪いような顔してました? うーん」
ケイティさんがさっと手鏡をかざしてくれたので、覗き込んでみるけど、指摘された後のせいか、引かれるような顔には見えない。
「それでアキは、そこ、エウローペ半島に対して何がやれそうだと思ったの?」
「あぁ、そういう名前なんだ? まぁ、大した話じゃないんだけどね。思ったより海竜達を避けて、海運を発達させてる国は多く無さそうだから、ちょっと……あ、これは明日にしましょう。前提を一通り話し終えてからの提案絡みになるから」
「忘れないようにね」
あー。
メモ、メモ。ケイティさんが差し出してくれたメモ帳に思い付いたことを書き残しておく。閃きは揮発性だからね。後から思い出そうとしても、アレ、なんだっけ、と思い出せないことも多いんだ。ミア姉にも言われてて、ペンとメモ帳は常に持ち歩いていたものだった。
◇
さて、おやつ休憩はお終い。地理、時間と来れば次は人だ。
「それでは、時間の流れを進めていきましょう。世界の海は、今はまだ閑散としてて海竜達が我が世の春を謳歌してる訳ですが、共和国が大型外洋帆船で安定した交易を安全に行えている姿を見せてアピールしている以上、他の国々も挙って、外洋帆船を建造して競争相手が少ない場所へと進出していくでしょう。そして、他と衝突せず交易する時代はそう長くは続かず、他勢力との利害衝突が増えて、世界の海は、競合過多で苛酷な場所へと変貌し、非合法な海賊行為による足の引っ張り合いや、外交を通じての他国への妨害、自国への利益誘導といった綱引きが進み、それらでも状況が動かなくなれば、不利な立場の側が、現状を変えようと相手勢力の外洋帆船に対して戦争を仕掛けてくる、という流れになります」
世界の地理はその配置によって、交通の要衝が生じ、経済的に移動できるルートが狭まり、広い海と言いつつ、実際にはあちこちで衝突が起き、そこを相手に占有されると、排斥された側は圧倒的不利に置かれてしまう事になるんですよね、まぁ、この辺りは地政学の範囲です、と補足する。
すると、お姉様方は地政学についてご存じない、義務教育範囲に入ってない、と言い出したので、地政学について軽く説明することに。
半島という形状は、陸路を求める国家の進出ルートとされやすいとか、先ほども話をした海運の要衝となる海域、通行必須な海上の要衝を押さえ、交易ルートを支配することの重要性とか、内陸国家と、海洋国家の力のせめぎ合いが必ず生じることとか、特定のエリアを監視し影響力を行使する為に拠点を置き合い、邪魔し合うこととかをざっと説明してみた。
まぁ、皆さんも弧状列島国内における戦略や戦術といった部分は習ってるので、ソレを世界儀に応用していくだけ、動かす最小単位が数百人程度の部隊から、大型外洋帆船に変わるだけ、足跡追跡を目で行うか、人工衛星のセンサーで行うのか、の違いだけですから、と話すと、なんか疲れた感じを漂わせながらも、一応、頷いてくれた。
ふぅ。
うーん、地政学、義務教育に入れてないのか。今度、ヤスケさんに見直しを提案してみよう。市民が政の全てを理解する必要はないけれど、為政者が話すことの概要くらいは把握できてくれないことには、弧状列島全体が強固に団結して、少数派の不利を覆すどころじゃないもの。
「海外に船団を派遣して交易路を安定的に確保できる国々を列強と定義すると、列強による世界の色塗り合戦の時代はそう長く続きません。列強に対抗できるだけの国力がない国に許されるのは、どこの列強の側に着くのかであって、どこにも着かず中立を保つ、或いは全ての列強と手を組む、列強の間を揺れ動く、というのはだいたい上手く行かず、双方から怒りを買って潰されるだけです。こうして、様々な理由によって、世界の色塗りは終わります。その前に多少の小競り合いはあるかもしれませんが、列強にとっても列強同士で戦うより、まだ手付かずの国を自陣営に組み入れる方がリスクが少ないので、無色の国が残ってる間はそこを取りに行くでしょう。あまりに僻地だとその手間を惜しむ可能性はありますけど」
そうして、仲良し同士が組んだ状態、ブロック経済へと世界は移行していきます、と説明するとマリさんから疑問の声が上がった。
「その話だと、交易を求めて、貪欲にその範囲を広げていくようだけど、会社の規模を超えて拡大路線に進むと、量に対して質が伴わず、結果として会社が潰れてしまうという事例は多いわ。交易するということは互いに欲しがるモノがあって、それを運び合うということ。そこまで活動規模が拡大していくものかしら?」
ん。
「そこは長距離輸送のコストとの兼ね合いになりますね。確かに消費しきれないほど輸入をしても売れ残るだけになりますから、経済的に見合うレベルでバランスは取れるでしょう。でも、弧状列島内の企業群はもうその域にありますけど、大量生産技術が発達すると、売り場に困るようになりますよね? 少ない労力で多くの製品が作れるようになる。でも国内消費量は限られるから仕方なく生産調整をする。でも、そこに自国規模の十倍、百倍という手付かずの市場が転がってたら? それこそ、製品を売り込むチャンス、それも大チャンス到来でしょう? 自分達の製品が売れて儲かる、相手も良質の製品を手にできて嬉しい、誰もが幸せになれる、と」
機械化と大量生産、これの効果は劇的だ。良質な鉄製農機具を配るだけでも農業生産性は飛躍的に増大するくらいで、狭い国内で生産性を高めても増える恵みは僅かだけど、田畑の規模が百倍、千倍違う地域でちょっとした改良が普及するだけでも、その恵みは莫大なモノになる。そうした梃入れの恩恵は農水産の一次産業だけでなく、工業系の二次産業、サービス系の三次産業にまで及ぶ。
そして利に聡い商人達が濡れ手に粟の状態に食いつかない筈がない。
お姉様方を見ながら、身振り手振りを加えて説明する。
「列強からすれば、列強以外の国々の在り方は、ちょっとした工夫で大きく生産性を伸ばせる余地があるように見えることでしょう。美味しい商売がありますよ、と実例を見せて相手国の商人達を巻き込んでいけば、為政者達が気付く頃には、もう両国の関係は切っても切れない密なモノになる。商人達は自分達の発展には熱心ですけど、国全体のバランスだとか、将来に向けて利益が期待できない投資をするような話には無頓着だから、ここで商人達と為政者達の間に不協和音が生じる」
濡れ手に粟と前のめりになった商人達を巻き込めば、相手国は割れたようなモノ。後は、民が豊かになることを何故、王は邪魔するのか、自分達が豊かでありさえすればいいのか、などと煽れば、火が燃え広がるのも簡単な話ですね、と話すとなんか、引かれてしまった。
むぅ。
「地球だと、こちらは茶葉を買って銀が流出するばかり、相手の側は自給自足できる大国なせいで、こちらからの商品が思ったほど売れない、それなら別の国で麻薬を大量生産して、それを持ち込んで大国で蔓延させてしまうことで、需要と供給を強制的に創り出してしまえ、なんて真似をした列強国家もいたくらいです。しかも麻薬売買をやめろ、と言われたら難癖をつけて戦争を吹っ掛けて叩き潰して、麻薬売買の合法化を飲ませるような真似すらしました。どうせ、遥か海の彼方の国の話なんて、情報だってまともに届きはしないから、国民の大多数は政府がそんな阿漕な真似をしてるなんて知らない。麻薬を生産しているのも自国ではないどこか遠い国ですからね」
僕はあちらで起こった事例を紹介してるだけですから、僕に対してあれこれ思うのは無しにしましょうね、と予防線も張っておく。どーも、お姉様方は僕が悪逆外道な策をあれこれ思いつく悪ガキに見えてきてるようだから。
お、リア姉が入ってきた。
「アキ、その事例紹介だけど、三枚舌だっけ? あちらでも飛び切りの外道、国家間紛争の火種をばら撒いたイギリスを持ち出してくる辺りは、恣意的な選択と思うけど?」
「まぁ、うん、今でも争いの多くは列強の植民地政策のせいだからね。紹介するのに外せないかなぁ、って思ったんだ。あと、イギリスの植民地統治の基本である分割統治を紹介したかったから」
「植民地が団結しないように敢えて、根深い対立構造を生じさせる奴だっけ?」
「そう、それ」
お姉様方は知らない話のようなので、イギリスの典型的な植民地経営の手口である分割統治についてもホワイトボードに書いてざっと紹介してみる。
シンプルに言えば、植民地内で劣勢な側を敢えて優遇することで、優勢なのに冷遇される側との根強い対立関係を生じさせ、彼らの不満がイギリスに向かわず、国内派閥同士に向き合うよう仕向けるというモノだった。
近年だとイラクのサダム・フセイン大統領が少数派であるスンニ派を優遇して、多数派のシーア派を冷遇するといった統治をしてた。彼の政権がアメリカによって潰された後も、両派の対立構造は根深く残っていてイラク情勢が常に不安定で、今だに米軍が駐留してないと政権が維持できないくらいだったりする。
そうした分割統治手法も最終的にはインドで破綻するし、統治レベルで関与するより民間会社を通じて間接的に取引する方が利益になるし、直接、面倒も見ずに済むから、と形式的に独立を認める流れになるんだけどね。
まぁ、そこは先の話だから、今は触れないでおこう。
ミエさんが手をあげた。
「列強の色塗り合戦という視点から、その手口である分割統治に踏み込んだのは、弧状列島においてもソレが通用するから?」
鋭い。
「そうです。皆さんもお話されていたように、今でこそ統一国家樹立に向けた気運が高まり、協力して未曽有の東遷事業を行うことにもなってきましたが、三大勢力は身体の大きさの違いや、これまでの根深い対立の歴史もあって、分かれてそれぞれが国内を統治するという、緩やかな連邦制の形式を取っていくでしょう。でも、対立してくる列強からすれば、これこそ付け入る大チャンスです。緩く結合している国家なら、その要、皆を結ぶ急所を取り除けばいい。そうすれば国内は分裂して元の争う状態に戻って、列強から脱落してくれる。わざわざ戦争を起こして削り合うような真似をしなくてもいい。そう考えてくるでしょうね」
当面は、竜神の巫女がいないと諸勢力は纏まらない、と代表の皆さんも認めてましたから、と話すと、お姉様方は、少し訝しんだ表情を浮かべた。
ユカリさんが手をあげた。
「それは、直接的な話ならアキを暗殺するという話に聞こえるけれど?」
「そうですね。古来、一人の英雄によって統治されるような国、例えば連邦ならレイゼン様がいなくなれば、皆を纏める柱を失って国は大きく乱れるでしょう。歴史的に見ても、そうした突出した英雄は、突出してるが故に、支持する層と、対立する層がどうしても生じて、対立層から疎まれ、あいつさえいなければ、と暗殺されるパターンが多いです。英雄が上手くそれらをあしらえれば初代皇帝となって盤石の世となるんですけど、そうなる前に排斥される事例も多いんですよね。あ、別に僕がそうされることを望んでる訳でも、許容してる訳でも無いですよ。僕としては研究に本来なら専念したいとこですけど、出資者の御意向には従うしかないなぁ、って話ですから。他の方が巫女をやります、と出てきてくれるなら、大歓迎だし、代表の皆さんも竜神の巫女が一人しかいない、のは長期的に見ると問題だとも話してました」
どうぜ権威としての神輿、象徴なのだから、何人かいて持ち回りでもしてるくらいが丁度いい、というか面倒臭い、と話すと、これにはお姉様方もちょっと驚いた顔をした。
「皆が和を持って繋がることを言祝ぎ、積極的に多くの種族を引き摺り出してきた竜神の巫女様の本音がソレだと知ったら幻滅する層も出てきそうね」
ユカリさんに揶揄われてしまった。
「必要があってそうしたまでですから。それに外から見ていたのと、付き合ってみたら勝手に抱いてたイメージと違って幻滅した、とか言うのはどうかと思うんですよ。それ、ちゃんと相手のこと見てたの?って話ですから」
そういう一方的で歪んだ認識の方々は勘弁して欲しい、と話すと苦笑されたけど同意もしてくれた。
「殿方にもそうした人が多くて困るのよね。芸事として触れ合い、見せる姿は仕事だからであって、私事とは別だ、と割り切って遊ぶのが大人というモノでしょう?」
あーうん、やっぱりそういう痴情の縺れみたいな話はあるんだろうね。妓女へのお触りは厳禁ですよ、と。
まぁ、でも良い感じに肩の力が抜けたので、人の話はここらで纏めておこう。
「地球の例ですけど、皇帝一人に権威、権力が集中していたインカという巨大な帝国があったんですけど、海を越えてやってきた冒険家の皮を被った征服者達と謁見した際に、身柄を拘束されてしまい、征服者達など大した人数では無かったにも関わらず、インカ帝国は毅然とした対応が取れず、最終的には皇帝は殺され、国は団結できないまま征服されていき、最後は滅んでしまいました。海外からやってきた相手に王が直接謁見するというのはまぁ定番ですけど、そこで皇帝の身一つ守れず拉致されてしまった、というのはインカ帝国側のミスでした。そのように一人で纏めている、或いは少人数で纏めている国家というのはソコが失われると脆い。そして弧状列島で今後成立するであろう統一国家では、暫くの間は竜神の巫女という要が失われては不味い。現状ではまだ統一もされておらず、各勢力間の繋がりも脆く、対立の歴史の傷跡は根深い。それは外洋帆船を投げつけ合う列強の色塗り合戦の時代においては、かなりの弱点となりうるってところで、前提条件のお話はお終いとしましょう」
明日は、今日話した話を前提として、ではどうするか、お姉様方は何ができるか、どこを目指したらよいか、といった部分についてのちょっとした提案をしていきますのでお楽しみに、と締めた。
……すると、わぁ楽しみ、と前のめりになったやる気に満ち溢れた反応は、まぁやっぱり返ってこなくて。あぁ、これが前提なのね、というなんか諦観のような雰囲気さえ漂わせながらも、一応、楽しみにしてる、といったお決まりの言葉を貰うこととなった。
なお、そろそろ寝る前の支度をしないと、とケイティさんが懐中時計を示しながら、歓談の時間が終わった事を示すと、お姉様方は、リア姉とも久しぶりに会ったから積もる話もあるのよね、などと言いつつ、リア姉の自室へと向かって行く。
リア姉はかなり嫌そうだったけど、いいから来なさい、という笑顔の圧力には耐えきれず、しぶしぶ後に着いていくのだった。ご愁傷様。
ブックマーク、いいね、ありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。
今回は人の面から、と言いつつ、植民地主義からのブロック経済化と、その後の対立構造激化、そうした中で、弧状列島は内部分裂の因子が根強く残っていて危ういね、というお話でした。
アキの世界認識は2017年までで、当時の話だと2021年にはイラクでの米軍駐留は終わって全員撤退してる予定だったんですけどね。2023年末時点、今だに米軍は駐留しているし、何なら直接の交戦もしてたりで、撤退時期は更に伸びそうな気配です。中東情勢は複雑怪奇ですね。イスラエルの件もイギリスの三枚舌外交の慣れの果てですし、ほんと近代史においてイギリスの残した影響は多いです。
ユーゴスラビアのチトー閣下もそうですけど、不世出の英傑によって纏まった国家は、だいたい世代交代に失敗して瓦解しちゃうんですよね。その人だから、強烈なカリスマ性があったから纏まってただけで、その英傑による治世下では、同様のカリスマ性を高めるようなイベントもそうそう起きないので、だいたい次代の育成は上手くいかない、と。
インカ帝国の件は、以前紹介したように、実のところ帝国崩壊の最大の要因は天然痘でした。天然痘に晒されて生き残った征服者達は、当然、耐性があるから自然と接触する。そしてインカ帝国の民には免疫はないから爆発的に感染していき、結果として当時の9割の民が亡くなったと言われてます。そんな状況ではもう帝国としての維持をするどころの話じゃなかったでしょう。征服者達の暴れっぷりがなかったとしても、天然痘流行だけでも壊滅的被害を受けていたのだから。ただ、そこに皇帝が拉致されて政治がストップした、という事が拍車をかけたのも確かですね。
それと、アキは地球で言うところのヨーロッパ地域、地中海、こちらで言うところのエウローペ半島地域と、我らが海について、海竜達の影響を知ることになりました。街エルフ達の探査船団が、エウローペ半島地域からやってきている船団と接触していない事実は知ってるので、エウローペ半島地域にはまだ遠洋航海できるだけの外洋帆船は存在してなさそう、と当たりは付けてたんですけどね。何を閃いたかは次パートから話していきます。
お姉様方が雪崩れ込んで行ったリアの私室は、アキの私室と同様、ちゃんと防音機能は備えているので、中で話をしていても、外に漏れることはありません。おかげで、アキは静かになったねー、などといつものようにお風呂に入って身支度して寝る準備しながらのんびり過ごすことになりました。彼女達が何を密談してたのかは、SSで語る事にしましょう。
さて、今年もお付き合いありがとうございました。年内の更新は本日で終了です。大晦日ですからね。
来年も宜しくお願いします。それでは皆さん、良いお年を。
次回の投稿は、一月三日(月)二十一時五分です。