20-1.素人集団の竜族と軍制度(前編)
前章のあらすじ:半年ぶりに三大勢力の代表の皆さんもロングヒルに集い、より良い未来に向かえるよう、様々な問題について意見交換の場を設けることにしました。定期的に実施する取り組みということで首脳会談って扱いに。ロングヒルでは弧状列島交流祭りも後半戦に突入、大勢の市民が祭りに参加しているという賑わいだけど、秋といえば帝国が成人の儀を兼ねた定期限定戦争を吹っ掛けてくる恐れがある、ということで緊張感が高まっている状況でもあったりします。
まぁ、僕としては竜が直接、人形を操る人形操作の技法のお披露目があり、そこから人族の文化を大々的に導入する道筋が見えてきたことや、召喚術式の効率改善や異種族召喚に繋がる知見が得られたことが特記事項でしたね。そうそう、「死の大地」の浄化作戦を立案、指揮していくことが期待される参謀本部の皆さんも集って活動を開始した、というのもありました。研究組や調整組の皆さんとの懇親会も楽しく終えられたと聞いているし、今後の活躍に期待できそうです。(アキ視点)
という訳で、第二十章スタートです。今後も週二回ペースの更新していきますので、のんびりお付き合いください。
連邦大使館に到着すると、庭先には参謀の皆さんが既に着席していてくれた。街エルフの探査船団を率いていたマサトミさん、人族で沿岸防衛船団を率いていたホレーショさん、鬼族で対帝国戦線の指揮を担っていたシゲンさん、小鬼族で対連邦戦線の指揮をしていたファビウスさん、妖精族で女王陛下の護衛を担っていた近衛さんの五人だ。
今回は場合によってはフォローをして貰うということで、ケイティさん、ジョージさんも後ろに控えてくれている。お爺ちゃんはいつものように横に浮遊してて、トラ吉さんは足元で丸くなっていた。
テーブルの上には、「死の大地」を中止に周辺地域を描いた広域地図も広げられているね。
ふむふむ。
「お待たせしました。昨晩は関係する方々と交流できて得るモノはありました?」
そう話を振ると、シゲンさんが大有りだ、と笑みを浮かべた。
「誰もが立派な方々だったが、俺らの中では、エリザベス王女、ドワーフ族のヨーゲル殿、小鬼族の研究チーム代表ガイウス殿の三人が特に頼りになりそうに思えたぜ」
ほぉ。
「そうきましたか。まぁエリーは研究組との調整だけでなく、種族間の交流促進や調整もしてくれるから頼れる相手でしょうね。全ての研究者を横断的に下支えしてくれる理論魔法学のガイウスさんを選んだのもなかなか渋い選択かと。ドワーフのヨーゲルさんは製造全般何でも絡んでくる方ですから、浄化作戦では少数生産の装備も増えるでしょうし懇意にしておくのが良いと思います」
ん、ファビウスさんが手を上げた。
「その三人と親睦を深めていくとして、何に注意して行けばよいか助言が貰えるとありがたい」
おや。なかなか慎重な方だね。
んー。
「エリーは単なる調整役としてだけでなく、多種族での交流を勧めて親睦を深めるような役処の方が好みと理解して貰えると良いでしょうね。軍務の方はさほど専門としてないので、軍事的観点だけの話は持って行っても微妙でしょうか。ガイウスさんは理論魔法学の専門家達を束ねる代表であり、各種族の尖った魔術の技を束ねる土台ともなりうる点で頼りになりますよね。あー、ただあんまり頼ると他の人が拗ねるからバランスには気を付けましょう。あとはヨーゲルさんでしたね。市販品でなく、用途限定の少数生産品とかを作りたいなら、話を振るのに良い方でしょう。ただ、抱えているお仕事が多いから、ある程度の検討は終えて、三大勢力それぞれならどう取り組むか考えてから、ドワーフ、妖精、街エルフの技も混ぜる、くらいに考えるのが吉かと」
「ドワーフの技だけではないと?」
「妖精の立体製造技術は凄いモノがあるけれど、地の種族が使うサイズとなるとドワーフの技の方が向いてる場合も多いですから。微細加工や組み立てでは難しい立体構造物とかになると妖精一強です。あと、街エルフを別枠にしたのは高品質だけど高額になると聞いているので。安く量産できるなら、軍務の場合その方がいいでしょう?」
そう説明すると、ファビウスさんも納得してくれた。マサトミさんは街エルフの品が過剰品質で馬鹿高いと陰口を叩かれていることを思い出したからか、少し渋い顔をしてる。
ん、ホレーショさんが手を上げた。
「アキなら、先ほどあげた三人以外に誰と懇意にすべきと思う?」
む。
「皆さんのお仕事で、ですよねぇ、うーん。地の種族は先ほどの三人がいれば十分でしょうし、妖精族となると近衛さんがいらっしゃるので、窓口としてはやはりそれで足りてますよね。他に抑えておくとなると、昨日の懇親会では不在だった竜族の方々でしょう。竜族側窓口としての雲取様、研究組に属されている白竜様、それに参謀本部に参加してくるであろう竜、多分、登山に関わった若雄竜の炎竜、氷竜、鋼竜の御三方といった五柱は外せないと思います」
これには近衛さんが疑問を持ったようだ。
「竜だけ五柱もか?」
「他の種族に比べてバランスが悪いですよね。でも仕方ない事なんです。だって竜族は群れとして活動する事が稀ですから。部族間に関わるような大きな話なら雲取様に、研究組が絡むような尖った分野なら白竜様に、そして皆さんが本業とされる浄化作戦、その参謀役とするなら、まだ確定してる訳でもないし、話を聞いてる訳でもないですけど、多分、先ほど挙げた三柱に話をするのが妥当なんですよ」
「三柱のうちの誰か、ではないのか?」
「あー、えっとですね、多分、参謀のお仕事に回されるであろう三柱ですけど、群れとしての活動自体、経験が殆どゼロで、これまでの人生で一番、複雑な工程の取り組みが、各種族を集った登山だった、そんな方々です。なので、皆さんと比較すると三柱合わせてもまだ半人前くらい。そう認識された方が良いでしょう。新たな分野への挑戦ですから、仲間がいて相談できる体制の方がお勧めですね」
エリーみたいな多芸な人材なんてのは、竜族に求めては駄目だよー、と伝えると、皆さん、揃って困った表情を浮かべた。
◇
給仕をしてる鬼族の女中さんが、話も長くなるだろうから、と大きなコップと、たっぷりな麦茶の入ったボトルを置いてってくれた。用があれば声を掛けて、と言いつつ壁際のほうに戻って行って、私は背景です、って顔を浮かべてるけど、女中、その役も板に付いてるお妃様のウタさんも参謀達の話に興味津々って感じだ。
気持ちもわからないでもないけどね。ただ、地図とにらめっこをして話をしてるだけだから、絵面的には地味なんで、どこまで興味を持ち続けていられるやら、って気もする。
さて。
「皆さんがお困りなのは、「死の大地」の浄化作戦で主力となるのが竜族なのに、彼らは組織的な行動となると素人同然、複雑な仕事もやったことがない、しかも軍人ではなくボランティアと看做すべき、長命種故の退き癖があるのも難点でしょうか?」
指折り数えながら、参謀さん達が嫌がりそうな特徴を話していくと、色々思うところはありそうだけど、一応頷いてくれた。
ん、ファビウスさんが代表して皆の認識を話してくれるようだ。
「集った参加者は皆、素人で該当する仕事の経験者は皆無。しかも集団での仕事を束ねた経験者もいない。これが自分達の街の防衛戦なら、我々が指揮官として各自に命令を伝えれば集団戦もできるだろうが、今回の任務地は、遥か海の彼方にある「死の大地」だ。当然、我々は同行できない」
こうして列挙されると、うん、頭を抱えたくなる気持ちもわかる。僕が共感したのを確認して言葉を続けていく。
「更に求められる行動は、ただ命令に従って単純な戦闘行為をすればいい下級兵士のような内容ではなく、少数で敵地に侵入し、それぞれが得意とする卓越した技を持って任務を遂行する特殊部隊のような内容だ」
これにシゲンさんが更に、と呆れた顔で問題点を明らかにした。
「おまけに、可能なら「死の大地」の広い範囲に同時侵攻を行い、それぞれが他部隊と歩調を合わせて連携しながら、作戦目標を遂行すべき、ときた。それなのに前提としてボランティアだから怪我程度で済ませろ、だ。あと退き癖もあるんだったか。……アキも俺らが頭を抱えたくなる気持ちもわかるだろ?」
ファビウスさんが頷きながら、退き癖の問題点を補足してくれる。
「空戦にそのまま当て嵌めるのは妥当ではないかもしれないが、広大な戦線を横陣と看做すと、連動する隣の陣が戦線を維持するからこそ、各自は前方の戦いに専念できる訳だ。これがどこかが崩れて退くことになると、そこから混乱が連鎖して戦線全体が崩壊しかねない。アキの言う退き癖がどの程度なのか知らないが、それが逃げ癖と同じ意味合いなら、事は深刻だ」
そりゃそうだよね。
「戦う力を失って戦線が崩壊、兵が我先にと逃げ惑うような有様、それを引き起こしかねない練度の低い兵達を指して逃げ癖、と称するのであれば、竜族の退き癖は戦う力を十分に持ちながらも、被害を抑える為に戦いを回避するという判断をしやすいだけですから、逃げ癖とは別とは思います。あ、すみません、竜族の方に退き癖がある、といった話を振った事はないので、どんな反応をするか予想できません。言い回しにはご注意ください。彼らの文化やとても長い寿命からすれば、問題を先送りにする、争いを避ける、相手が老いるのを待つのも立派な戦略であって、批難されるのを不快と思うかもしれないですから」
そもそも誰かの為に戦う、みたいな思想はなく、強いて上げるなら子育て中に子を護るのが該当する程度、とも伝えて、この話題は慎重に、と重ねると、皆さんも真顔で同意してくれた。
◇
ただ、とシゲンさんが困り顔をしながら、何が問題か、どれもこれも問題なのだが、その中でも特筆すべき問題が何か話してくれた。
「俺らが至難と感じているのは、浄化作戦に参加する全ての竜達が、部隊を率いるリーダーの視点、能力を備えている必要があるという点だ。そもそも少数で敵地に侵入して任務を遂行できるような兵となると、志願した腕に覚えのある兵から選抜しても一割も残らないのが実状だぜ? 竜族の方々は竜神と称されるくらいだから基礎能力は高いんだろうが、求められる基準が地の種族目線なら、って話だ。これを普通の竜族を一般兵と看做して選抜したなら、特殊任務を遂行しうる竜は三千柱集めても三百柱に満たない事になる。それに空戦では各自が周囲を判断して連携できる能力が欠かせないんだろう?」
そう話を振られると、近衛さんが深く頷いた。
「空戦では、地上と違って敵が来るのを心配する必要がない地面と上空、という安心できる方向は存在しない。空に浮かぶ以上、どの方向からでも襲われる危険性は排除できないのだ。だからこそ、仲間同士で監視する方向を分担し、全体における自分の位置を把握しておく技能は欠かせなくなる。指揮官は伝文で大まかな指示は行うが、その趣旨を理解して、それをどう実現するのかは、各自の判断と必要に応じて仲間と共同で事に当たる柔軟性が必要なのだ」
ふむ。
「確かに目の前だけに集中してたら、いつの間にか敵中に取り残されていた、なんて事になってても不思議じゃないですからね。それに空戦は展開も早いから、数秒の判断の遅れが致命傷に成り兼ねない。空戦だと素人がいくらいても、熟練者達の狩場になるだけですからね」
陸上戦なら、皆で円陣を組んで守りに徹する、みたいな真似もできるし、そうしてガチガチに固められると、いくら手練れでも、その守りを抉じ開けて蹂躙するのは大変だ。攻める側も守りを崩すだけの頭数を揃えて衝撃力を叩きつける必要が出てくる。
でも、空戦ではそもそも互いに高速で飛び回ってるから、刻々と状況は変化していき、判断が遅い初心者は飛び方が単調になったり、視野が狭くて仲間から逸れたりもしやすい。そして全体視野が広い手練れからすれば、そんな気の抜けた飛び方をしてる奴など簡単に見つけられるし、拙い連携程度なら崩して各個撃破も簡単だ。それに下手に動けば運動エネルギーを失って取れる選択肢がどんどん減っていく。場合によっては帰還不能なほど燃料を使ってしまったりもする。少し被弾してまともに飛べなくなった奴がいたら放置してもいい。どうせ基地に戻れず墜落するのだから、銃撃する弾すら勿体ないくらいだ。
これにファビウスさんも続いた。
「素人に何かやらせるなら任務はシンプルなほどいい。個人技でなんとかなる範囲なら、兵士でなくとも腕っぷしが強い奴ならそれなりに戦えもする。だが、敵地侵入となると話は別だ。そもそも素人では、敵警戒網を掻い潜って目的地まで進む事すら困難だ。集めた兵は素人、しかし任務は特殊部隊級。この矛盾はかなりの難題だ」
なるほど。
陸戦の二人は意見が揃ってるね。ん、それに比べると海戦の二人は少し意見が異なるようだ。
「マサトミさん、ホレーショさんはどうです? 竜族は一柱でも軍勢に匹敵する戦力。つまり海戦に例えると、竜族とはそれぞれが艦艇級とも看做せる、そんな見解をお持ちではないですか? 艦艇級ならば数十、数百人の部下が全体として一つの生物の如く動いて船全体を一つの意志の元に動かす集団性が必要になってきます。そして指揮を行う船長ともなれば、最低でも尉官級、大型艦ともなれば佐官級が担う事になるでしょう?」
僕の指摘に二人もその通りと頷いた。マサトミさんが補足してくれる。
「海の戦いにおいては、船は全体で一戦力であって、その中で担う役割を分ける事はできない。船自体を大きな獣として、五感を担う者達、手足を担う者達、牙を担う者達、それらを束ねる頭を担う者といったように、それぞれが役割に徹して、全体が統制されねばならない。そしてその頭を担う者は当然だが指揮官としての能力は欠かせないのだ」
ん、良い回答だ。というか次に繋げやすく話をしてくれたね。
「日本でも、空を自在に駆ける戦力の航空機となれば、そのパイロットは新米であろうと必ず尉官級だったりします。なので、浄化作戦に参加する竜達三千柱は、単なる歩兵を三千人集めた軍ではなく、海戦に例えるなら、三千隻からなる大艦隊、それもそれぞれの船自体が数百人からの海兵が乗り込んでいる大型船なのだ、と看做すべきなのでしょう。最小単位が大型船、数百人からの部下を束ねた船長なのだから最低でも尉官級、つまり指揮官としての能力を備えねばならないって事です」
これには、ホレーショさんが追加で説明してくる。
「幸い、その大艦隊に参加する大型船は、単艦運用ができるだけの慣熟訓練は終えている。船の運用の最低ラインはクリアしている訳だ。我々の海軍基準で言えば、そこに辿り着くだけでも半年、一年と必要となるのだから、かなり恵まれていると言ってもいいだろう。となると必要となるのは船長への教育だ。単艦での運用ではなく、僚艦がいることを踏まえて連携する思考と判断が必要になってくる」
多くの船が司令の指示の元、一斉に回頭して進路を変えれば、その様子を見ただけで艦隊全体の練度を推し測れる、とも教えてくれた。
足並みが揃わないと目立つもんね。
ん、これにはファビウスさんも別の例で同意してくれた。
「儀仗兵を集めた行進を想像すると、各兵に必要な練度が何を指すかわかるな。動きを揃えてこそ見栄えもするというものだ」
近衛さんも空を例に続いた。
「空をキャンバスとして、皆で絵を描くような飛び方をすると、練度の揃わぬところがやたらと目立つ。全体として揃ってなければ一つの絵とならず、それぞれの部位を構成する絵が崩れると、そこだけでなく全体の印象も悪くなる」
光の粒を用いて、大空をキャンバスに光の花を描いてくれたことがあったけど、妖精さん達の中では定番の芸ってことか。そうなると見る目も肥えてるから、下手な描き方をしたらブーイングも凄そうだ。
そして、話の流れを受けて、シゲンさんが溜息をついた。
「つまり、だ。俺らは既に単艦運用までの訓練を終えて、戦力化された軍艦を数だけは揃えられる。そこで艦隊連携が下手だからと、任務適正なし、と振るい落とすような真似などできないって事だろ。幸いにして船長達は艦隊運用の素人なだけで、能力的には十分な伸びしろがある。だから、上手く育てて空前の大艦隊を仕上げてみせろっ話だ」
ん、まぁ及第点の答えかな。
「でもその答えだと浄化作戦の側面の一つを示してるだけなんですよね。探査船団を率いているマサトミさん、一言どうぞ」
そう話を振ると、実のところ、多分、仲間内で既に一回話し合ってるだろう結論を語ってくれた。
「戦働きをするだけ、艦隊決戦をする事だけが仕事の軍艦ならばそれで良いのだが、相手は未知の存在である祟り神、呪いの集合体でもある。つまり作戦遂行と同時に探査と分析も行わねばならない。困難な任務だ。敵軍勢の撃破を目的とした大艦隊ではなく、探査、交易、戦闘を行いながらも必ず帰還する、合計三千隻からなる探査船団と看做すのが妥当なのだろう」
そう語るマサトミさんは、言葉にすると簡単だが、難事この上なしだぞ、と吐露した。共和国の代表として国交を結ぶ判断も許される探査船団の提督ほどに多芸さは求められないにせよ、必要とされる能力は、単に個人で戦えればいい歩兵とは雲泥の差だ。ただ命令を遂行すればいい尉官級や佐官級とは求められる結果の質がまるで違う。違い過ぎる。そんな将官級の人材を三千人育成しよう、ざっくり言えばそんな話である。
参謀さん達が難題過ぎる、と苦悩するのも無理は無かった。
ブックマーク、いいね、ありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。
誤字・脱字の指摘ありがとうございました。やはり自分ではなかなか気付かないので助かります。
ロングヒルに半年ぶりに代表達が集った首脳会談ですが、三日間が経過し、代表達は今後を見据えて鉄火場の忙しさで連邦大使館に籠って、ひたすら議論と検討を重ねていたりします。大変ですね。
そんな中、始まった二十章は、参謀達との交流を深めるとこからスタートとなりました。
尉官、佐官、将官という軍組織の階級に馴染みのない人も多いと思うので大企業の会社組織で例えると、尉官級=課長さん、佐官級=部長さん、将官=社長さんくらいで考えれば良さげな感じです。本文でも書いているように、航空自衛隊においてはパイロットは必ず尉官級以上になります。まぁ扱ってる飛行機の能力や価格、運用に必要となる手間などが、海軍で言えば艦艇規模相当な訳ですから、自分一人で操ると言っても、それくらいの役職が妥当という話なのでした。
・艦艇相当
F15Jは1機120億円、ゆうばり型護衛艦が1隻166億円とかなのでざっくり似たような価格帯。
新型のあさひ型護衛艦(6,800トン、全長151m、230名)は506億円とかですけどね。
1名で120億円を飛ばす訳ですし、育成に10億円とかかかる訳ですから尉官級以上に
なるのも当然かなぁ、と。空軍はほんと金食い虫ですよね。海軍もそうですけど。
そして竜族は一騎当千、戦闘ヘリや戦闘機相当な訳ですから、階級で言えば尉官級の振舞いが求められることになる、とまぁそんな話なのでした。しかし、戦闘機パイロットなら指示された空域で作戦を遂行すればいいんですが、海外に親善訪問をする艦隊となれば将官級が指揮するのが定番(というか艦隊運用の時点で佐官級ならせめて大佐、まぁ普通は少将とか)ですからね。
親善訪問なら最高レベルの外交対応がなされることになる訳ですが、こちらの世界における共和国の探査船団となると、単なる親善訪問ではなく、外交交渉や条約の締結、独自判断による交戦権すら許可される全権大使、国の代表としての地位も兼ねてます。
そんな訳で、求められる任務の多様さからすると将官級、保持する戦力からすれば最低でも尉官級という何とも面倒臭い話なのでした。
探査船団は二隻以上で必ず運用されるので、船団を束ねる提督と、船の運用を行う船長は別なことも多いんですが、もし僚艦を沈められて単艦運用状態となり、提督不在となれば、船長は船団全体の指揮をすることになるので、船長も実は将官級の教育、訓練はがっつり受けてたりします。まぁ、そんな事態がなくとも、経験を積めば将来の将官となる候補でもある訳ですからね。みっちり実務経験をやらされるのです。
次回の投稿は、七月二日(日)二十一時五分です。