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18-18.雲取様と連携訓練(後編)

前回のあらすじ:雲取様が紅竜&白竜ペアと一対二の変則マッチを試したけれど、連携側の強みが発揮できてないという問題があることが判明しました。聞いた感じだと心話だけで状況整理をしていくのは難しいので、第二演習場に来て貰って、もう少し話を詰めてみることにします。(アキ視点)

第二演習場に向かう馬車の中で、空戦において運動エネルギー、つまり速度を維持しつつ戦うことが如何に重要なのかを説明したところ、ジョージさんは魔力を体力と言い換えれば、戦士同士の戦いにも当て嵌る話と理解してくれた。


両者の力量が近い場合、一撃で勝負を決めるというのは現実的ではない。そうなると互いに技を出しつつ、無駄な体力の消耗を抑えて、攻撃を叩き込むタイミングを見極める流れとなる。


ただし、戦士同士の場合、間合いを離すか詰めるの二択になって回り込むような話は出てこない。相手の側に向きを変えるのは容易だからだ。だから必ず正面からの打ち合いになる。それに対して互いに弧を描く竜の飛び方では、相手の背後を取ろうとする動きが入ってくる。


ジョージさんも、今後必要となる、つまり、竜の戦い方の流儀を地の種族も理解する必要がある、という意味を理解してくれて、渋々だけど、雲取様とのお話に立ち会ってくれることになった。


「得意分野に絡むお話なのだから、もっとワクワクしてきませんか?」


そう話を振ってみたものの、そんな訳ない、と一刀両断されてしまった。


「雲取様がどれだけ温厚な方だと知っていても、普通は竜と対面するなら覚悟が必要だと忘れないでくれ」


大喜びですり寄っていくのなんてアキくらいだ、などと呆れられてしまった。


うーん。全国、三十人の竜神子達もいるんだし、その認識はもう少ししたら時代遅れになりますよ、なーんて言ってみたくなったけど、ちょっと自重することにした。ジョージさんもこの場では気が乗らないとか言ってるけど、実際、その場に立てば、きっちり役目をこなしてくれる人だからね。弱音を吐いてくれるのは、親愛の証と理解しておこう。





雲取様が降りてくる間に、リバーシの盤面を用意して貰い、長杖を構えてちゃっちゃと白赤の駒を複製コピーで創った。位置関係表示用で、個の側の駒を基準として表現すればいいから、創った白赤駒は二つだけだ。っと、成竜側の駒も色を変えた方がいいね。なので白黄駒も創った。


ホワイトボードには、成竜側の三パターンと、若竜側四パターン、事前検討には入って無かった、二柱とも成竜より低い高度にいる場合を追加した表を書いて貰う。


 んー。


よくよく考えてみると、こんなにパターンはいらないね。というか、初手でこんなに考えるのはやり過ぎだ。


降りてきた雲取様に、黄駒は成竜を、それ以外の色は若竜を示すこと、そして色は高度を意味し、白は高い、黒は同じ、赤は低い状況を示す、といった説明をした。


「それから、組み合わせパターンなんですけど、大別した場合、成竜の方が体が大きい分、力は強い。けれど、若竜の方が身軽で小回りも利くものなので、平均的な成竜と、平均的な若竜二柱の変則バトルとしましょう。これなら、二柱がそれぞれ高中低の3形態を持ち、そのペアですから、確認すべきパターンは六種類だけです。それと若竜が低い位置にいる不利状態からのスタートは除外しましょう。身軽な若竜なら有利な位置取りからスタートできる筈です」


そう話して、ベリルさんにこの場で確認する残パターンが三種類、若竜二柱とも高高度にいる、一柱だけ高高度、二柱とも同高度の三パターンだけになることを示して貰った。


<うむ。この場合について考えが定まれば、それを基準として、他の場合についても考えを広げられよう>


ん、雲取様も納得してくれた。


では、長杖を構えて、さっそく駒を置いていこう。といっても、三角形の頂点に成竜の黄駒、若竜の白駒二つを置くだけではあるけれど。


「さて、凄くシンプルですけど、戦いの基本はこの形、三角形になります。あ、えっと、成竜ですけど、二竜に対して同時に有効打を放ったりできますか?」


<術式に誘導を組み込むのは難度が高く、出も遅い上に狙いも甘くなる。そんな真似をしても若竜からそれぞれ撃たれて撃ち負けるだろう。だから同時攻撃は無くはないが除外していい>


 ん、良し、良し。


雲取様も、先ずはシンプルなパターンを明らかにする趣旨を理解してくれて、サクサクと余計なパターンを削ってくれた。


「では、互いに十分な速度で飛行しており、若竜二柱が高高度を確保した状態で試合開始です。加速が鈍い成竜は互いに相手を認識できている状況では、若竜を出し抜いて高高度の確保はできませんよね?」


<その認識でいいだろう。例え遠い距離で同じ高度から始めても、共に上昇し始めれば若竜の方が先に高高度に辿り着くのは確実だ>


 良し、良し。


「この状況で、互いに有効となる位階の術式を叩き込めるとしたら、同時に撃ったら成竜の方は一方には撃ち勝ったとしても、もう一方からの攻撃がクリーンヒットして負けますよね? あと、互いに撃って押し通したら威力が落ちるから、撃ち合って負けた若竜が受けるダメージは軽微と思うのですがどうでしょう?」


状況を極めてシンプルにして、互いの機動に関する概念をばっさり捨てて、それらを経た末に撃ち合うタイミングになったとしたら、という話。まぁ、ここまでシンプルにすれば答えは出しやすい。


<アキの示した通り、その状況なら若竜ペアの勝ちだ>


 ん、良し、良し。


「では次、となる訳ですが、術式の撃ち合いになった時点で、互いの持つ運動エネルギーがどうだろうと、竜の魔術は瞬間発動で、その弾速から言って相殺されなければそうそう外れないと思うんですがどうでしょう?」


<選ぶ術式にもよるが、確かに互いにしっかり狙って撃つなら外さない前提で良いな>


「となると、残り二パターンでも、同時撃ち合いの状況に持ち込んだ時点で若竜の勝ちで確定です」


<うむ。撃つ瞬間だけで言えばその通りだろう。礫を生成するような術式の場合、撃ち降ろす側は落下の勢いを足すことで威力が強化され、逆に撃ち上げる側は勢いが殺されて威力が弱くなり、高度の高い方が一方的に撃ち勝つことにもなる>


 ほぉ。


「撃てば弾速も早いし、熱線術式一択かと思ったんですけど、案外そうでもないんですか?」


<熱線術式は、天候が荒れている時には威力が減じてしまうのだ。だからそれだけで良いとはならん>


「なるほど。となるとやはり高高度にいることは有利と。こうして考えてみると、数の多い側は撃ち合いに持ち込めた時点で勝利確定ですが、動きで劣る成竜側はどうすれば勝ち目が出てくるでしょう?」


<成竜の方が体が大きく力が強い。同じ術式ならより遠くまで強い力で放てるとみていい。だから、同時に撃つのではなく、成竜が射程の長さを活かして先制して、若竜の一方を叩いて牽制し、足並みの乱れたところを近い方から撃ち勝って墜としていくだろう。そもそも力に劣る若竜側が先制されることを理解した上で距離を詰められるか、というとその時点でかなりの葛藤があるに違いない>


 ふむ。


「それは、先日話した契約の件と同じで、仲間を信頼して、仲間が必ず連携行動をしてくれると信じて、不利であろうと囮になるくらいの気持ちで、勝負に出る胆力が必要と思ってください。若竜側にはその胆力はあるものとします。その場合なら、先制されようと撃たれた若竜の側は相殺して被害は軽微、そして攻撃されてない側の若竜は自由を得た訳ですから、その間に距離を詰めて有効打を叩き込めば勝利ですね」


僕の指摘に雲取様は、盤面を暫し眺めてから考えを話してくれた。


<なるほど。合点がいった。突き詰めていけばソコに辿り着くのだ。同時であれば若竜達が勝てる。一方が襲われてもそれによって意識が外れた側の若竜が詰めれば勝てる。勝てずとも有利な状況に持ち込める。力の差に怖気付いたり、一呼吸後に成竜が向きを変えて攻撃してくることを思い躊躇することなく、己が役目を果たせたならば、という条件を満たさねばならんが>


「そこで例え成竜側が頑張って同時撃ちにまで持ち込んだとしても、二柱に対して同時に有利になる位置取りまで行うのは厳しいでしょう。とにかく撃ち合いにさえ持ち込めれば、そこには大きな隙が生まれます。攻撃と防御は同時には行えませんからね。もし頑張って両方やったとしてもそこに機動まで入れるのは無理でしょう」


その指摘に雲取様は可笑しそうに体を震わせた。


<アキが良く言う話だな。竜の技は自他共に認める強さがある。だが、時を止める、竜爪で消す、竜の吐息(ドラゴンブレス)を放つ、空間跳躍テレポートを行う、いずれも更に同時に何かは行えん。同様に攻撃、防御、機動も一度にはできんよ>


「そして、数が多い側は、それぞれが分担することでソレを同時に行えます。だから、その状況に持ち込めさえすれば、若竜側の勝利です」


<それだ。……そうか。アキが状況に応じた対応を予め定めておく、というのはそういうことか。予め決めておけば、それを躊躇なく行えるよう訓練をしておけば、場合によっては合図なしでも、それぞれが互いの役割を理解して、合図なしでも完全な連携行動を行えるだろう。その域を求められるのか!>


雲取様の思念波から伝わってきた感覚は、そのままじゃないけどジャンケンみたいだった。竜族は瞬間発動できるから必ず相手と同じ手を出せる。そこでアイコになる訳だけど、もう一人はその状況を見てから、勝てる手を僅かな時間差で被せて出すってとこだ。子供同士の遊びならズルい話だけど、これがいくさなら、負けた相手は、文句を言う口は残ってないから、何の問題もない。死人は文句を言えない。


「はい。今、思いついたんですけど、三柱がこの盤面みたいに三角形の頂点に位置して、直撃しても効果のない低位階の術式を撃ち合う訓練をしてみるところからスタートするのはどうでしょう? 成竜役が必ず先手を取って撃つ。そして撃たれた若竜役はそれを相殺し、撃たれなかった若竜は、自分に対して撃たれなかったことを確認してから、カウンターの術式を成竜役に放つんです。足を止めた状態でソレができるようになったら、今度は飛びながら同じこと実施、それができたなら、距離を離して位置関係の変更を加えて、といった具合にちょっとずつ難度を上げていきましょう」


我ながらいい案だ、とポンと手を叩いてみたけど、雲取様は目をピクっと引き攣らせた。


<いや、アキ、相殺と簡単に言うが、そう簡単な話ではないぞ!?>


思念波からすると、互いに足を止めたボクサー同士が至近距離で乱打戦をやるような極限状況っぽい。


 ふむ。


「でも、成竜の方が魔力が多く術式の扱いにも慣れている分、発動は速そうですよね? 若竜側はできれば発動した術式が形を為す前に基点を撃ち抜くくらいの早撃ちができて欲しいとこなんですよね。基点を潰すなら、術式発動後の押し合いに入らなくて済むから、より有利に戦いを進められます。呼吸するように迷いなく攻撃を叩き込める、それが反射的にできるまでは最低限、訓練しましょう。地球(あちら)で軍人が銃撃を訓練する際と同じです。目標ターゲットが何であろうと撃てと命じられれば、銃口を向けて引き金を絞って、対象に銃弾を叩き込めるようにする。それを身体に覚え込ませるんです。躊躇なく撃てる、それは相手より先に有効打を叩き込むことですから、勝てる可能性がかなり上がりますよ」


勿論、意味もなく攻撃しないよう、地球(あちら)でもちゃんと目標ターゲットが撃つべき相手か、撃ってはいけない守るべき市民か判断するような訓練もしてますよ、とフォローはしたんだけど。


雲取様の目が少しあちこちを泳いで、暫くして該当する記憶を思い出した。


<どこかで視た感覚だと思ったが、やっと思い出した。アキの言う行動を身に付けた者達、それはロングヒル兵達と同じだ。彼らの心の在り方は、アキが今話した軍人達に通じるモノがある。普通は意味も無く誰かを傷つけるような真似はしないモノだが、徹底した訓練によって、必要だと意識を切り替えたならば、同族相手でも躊躇なく害する行為を行えるようになる。そうだろう?>


「ですね」


雲取様は凄く渋い顔をした。


<我は、彼女達がそのような心を持つことは良いとは思えない。そのように己を変えてしまったら、元には戻らないのだろう?>


 う。


それは確かに。市民を軍人に仕立て上げる訓練法はあっても、軍人を市民に戻す方法は存在しない。それができるなら、戦場帰りの兵士達が社会に馴染めず精神を病んでしまうような社会問題は起きずに済んだのだから。


んー。ここは条件付けで逃げよう。


「雲取様。躊躇なく撃てるのは、それが害を与えない低位階の術式だから。それなら竜族同士なら問題とはならないでしょう? 勿論、地の種族相手には撃たない意識は忘れないで欲しいですけど」


<……害することを躊躇しないのではなく、あくまでも遊びの範疇、という事か>


実害がないのなら、思念波を浴びせるのと大差ない、と。それでも躊躇なく低位階術式を撃てる時点で一歩踏み出してはいるけどね。でも、それは市民がサバゲ―に参加する程度の話だ。



 少なくとも竜族同士なら。



「大陸に住む竜達と争う時代となったら、高位階術式を撃てる必要も出てくるでしょうけど、それはかなり先の話です。当面の敵は「死の大地」の祟り神くらいなものですから、連携行動を促すのが主目的であって、その為の遊びの一環、竜同士の力比べとは別の催しという方向性で打ち出していきましょう。競技規定レギュレーションも考えて、誰も傷付くことなく連携行動を学ぶ。それならどうです?」


<遊び、か。確かに少し視野が狭まっていたようだ>


そこまで話したところで、ふと何かに気付いて雲取様は話を切ると、僕の後ろへと視線を向けた。


<ジョージ、話を聞こう>


 おや。


後ろを見ると、名指しをされたジョージさんは少し迷ったものの、気持ちを定めて思いを話した。


「今の話ですが、若竜同士が信頼し合って連携行動を行えれば、今、必要としている目標は達成できるように思います。また、機械的に攻撃を放つ行為は、「死の大地」の呪いに対して浄化術式を行使する際の心遣いにそぐわないのではないでしょうか? 浄化とは死者を悼む思いです。心を何も籠めずに枯草を刈るように浄化術式を放つというのは、呪いへの向き合い方はまるで違います。我々はまだ呪いのことを殆ど何も知らないのです」


ジョージさんが語ってくれた思いは、ハンマーで頭を叩かれたように衝撃的だった。「死の大地」への鎮魂の思いを忘れてはいけない、とヤスケさんからも言われていたのに、意識せずに低位階術式を放てるよう僕は勧めてしまっていた。浄化術式までそうして放てばいいとは思ってなかったけれど、だけど、意識してなかったのは確かだった。


そして、雲取様は頷きながらも更に続きを求めた。


<まだ、話してない事があるようだ。ぜひ聞かせて欲しい>


聞かせよ、と命じるのではなく、聞きたいと願う。雲取様はその竜眼で何を視たのか。


ジョージさんは、大きく深呼吸をすると、意を決して残った気持ちを話してくれた。


「アキが勧めたこと、徹底した訓練によって市民から戦士へと心の在り方を変えること。それは同族殺しを忌避する本能、自らに課した枷を外す行いに他なりません。一度外した枷はもう二度と戻らない。竜族の方々は十分に強い。我々のように群れて武器を手に持ってやっと外敵に抗えるような弱い存在ではない。私は皆さんは今のままでいて良いと思う。いや、そのままでいて欲しい」


<我らは「死の大地」の祟り神に対しては、これまでの個では抗えず、互いを信じてそれぞれが役割を担う連携行動、共闘をせざるを得ないだろう。これと今のジョージの思いは矛盾するだろうか?>


優しい思念波だね。矛盾しないと確信しているけど、ジョージさんの言葉が聞きたいんだ。


「仲間の為に手を取り合うこと、信頼して背を任せることと、今のように相手を思いやり、必要以上に傷つけることを良しとしない文化は共存できるでしょう。それで目的を達成できるなら、無理に同族殺しの枷を外す必要はない、いや、外してはいけない。今のようにアキや私達と当たり前のように輪になって静かに語り合う生き方こそ続いて欲しい。今の在り方こそが求めるべき未来です」


雲取様は自分の中の迷いをズバリ言い当てた言葉に、感じ入るように深く頷いた。


「確かに、昨年、アキの元に降り立つ前までは、このように皆と輪になって話すような未来など夢にも思ったことはなかった。争うことなく、恐れ……は多少あるが、それでも互いによくあろうと努める姿は尊い。先ずは互いを信頼し、役割をそれぞれがこなせるところから始めるとしよう。ジョージが指摘したように、それができた時点で、不敗とまでは行かずとも、それなりに勝ちは拾えそうだ。そして、連携行動が有意義と示すことは、勝ちに手が届けば十分だろう。ジョージ、良い言葉を聞けた。礼を言う」


「私個人の願望でしたが、そう思って頂けたことを嬉しく思います」


少し困った顔をしながらも、嬉しそうな笑みを示してくれた。皆が協力して困難を乗り越える児童文学を執筆したいと思っているジョージさんからすれば、竜と人が傷つけようと睨み合う代わりに、同じ料理を食べながら楽しくやってる姿の方が望ましい関係なのだろうね。


ここで、ふわりとお爺ちゃんが前に出た。


「丁度良い機会じゃ。雲取殿に、儂らが決めた事を伝えておこう。儂ら妖精族は、召喚されたこの地においては、この身は召喚体であって、この身体が崩れ去ったとしても本体には何ら影響はない。少なくとも体を害するようなことは起きない。じゃが、召喚された者は決して、他の妖精を害するような術式を用いぬ方針を定めた。儂らは位階を操作して術式を発動するような真似は殆どせんからのぉ。下手な癖がつくのは避けるべきと考えたんじゃよ」


 ほぉ。


まぁ、確かに、妖精さん達はこちらでお話をしてる程度か、賢者さんが実験で術式を使ってる程度だもんね。護衛を担ってくれて、地の種族や竜族に向けて攻撃する事も想定はしていたけど、妖精達で実害はないからと同士討ちをして遊ぶような真似は確かにこれまで見た事が無かった。


<それは賢明な判断だ。参考にさせて貰おう>


竜の力比べの話題に触れたせいで物騒な発想に安易に流れてしまった、と雲取様は苦笑し、この場はこれで終わりと告げた。


いつも通り、雲取様は土煙一つ起こすことなく優しく空へと舞い上がって飛び去っていったけれど、なんだろう、気まずいのとは違うかな。最後に交わされた思いに余計な物を混ぜたくない、そんな思いが湧いてきて、暫くの間は誰も何も話すこともなく、雲取様が去っていた空を眺めていたのだった。

評価、いいね、ありがとうございます。執筆意欲が大幅にチャージされました。

誤字・脱字の指摘ありがとうございます。自分ではなかなか気付けないので大変助かります。


連携行動の訓練は、ジョージの提案もあり、互いに信頼して予め決めた行動をしっかりこなせるようになるところを目指すことになりました。アキの提案も銃撃戦なら間違いじゃないんですが、引き金を引けばどんな気持ちで撃とうが威力も効果も変わらない銃器と違い、術式は思いこそが全て、放つ時の意識一つで効果も変わってくるだけに、この差は実は大きかったりします。

何も意識せず放つ浄化術式なんてのは、録音したお経を流すだけみたいな話で、雰囲気作りくらいにしか役立たないでしょう。何にせよ、ジョージはナイスフォローでした。


次回の投稿は、一月二十二日(日)二十一時五分です。


<活動報告>

以下の内容で投稿しました。


雑記:東京の電車賃は安い=嘘、という記事があったんですが……

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