15-6.女主人達の交流団体創設?
前回のあらすじ:王妃セシリア様との対談で、連合の抱える構造的な問題点とそれへの対案をいくつか思いついたら、洗い浚い話す羽目に陥りました。ケイティさんも逃げ道を塞いでくるし、なんか、だんだん、扱いが手慣れてきてる気がするんですけど気のせいでしょうか?(アキ視点)
翌日、別邸の庭には、ロングヒル王家の皆さんと共和国関係者だけが集まり、内密の打ち合わせが行われる事になった。
技術的な話ではないので、研究組には声は掛からず、帝国や連邦と調整する話でもないので、鬼族や小鬼族の皆さんもいない。勿論、竜族もいないし、妖精族も、子守妖精としてのお爺ちゃんだけだ。
なので、以前の共和国関係者だけの内緒話よりは多いけど、諸勢力全体の集まりに比べれば人数は三割程度ってところだ。
昨日、ベリルさんにあれこれ話した際に、説明用の資料も何を準備するか決めていて、時間が無い中、翌日に仕上げてくれたのは頭の下がる思いだ。それと同じくらい、そこまで急ぐ話でもないだろうに、なんて思いもあったりする。
ただ、せっかくやる気を見せてくれてるのに、水を差すのも悪いから、特には何も言わなかったけどね。
ロングヒル王家のテーブルで、少し居心地が悪そうなのがセシリア様だ。今回の集まりの切っ掛けとなったからか、周りからも自然と視線が集まっていた。
とは言え、結果的には、セシリア様の私案と僕の気付きを比べると、後者が大半を占めるので、僕が司会役をやるのも仕方ないところだ。
さて。
では、ちゃっちゃと始めよう。
「皆さん、連日のように足を運んでいただき、ありがとうございます。それほど急ぎの話ではありませんが、スケジュール調整ができた事から、意識合わせの場を設ける事となりました。今回の気付きの切っ掛けとなったのはセシリア様の私案ですが、今回の僕の気付きは、謂わば、状況の「見える化」であり、帝都訪問のように僕から強く働き掛けるモノではありません。何をされるか、或いはしないのか。それは共和国、連合の為政者の考え次第でしょう」
そう予防線を張ると、エリーが苦笑しながらも、フォローに回ってくれた。
「アキの気付きが未来への不安を喚起するモノであったとしても、アキの事を、不吉の前触れなんて思ったりはしないわ。大火になる前、小さな種火のうちにそっと踏み消し、民は為政者がそうして平和を守っていると知る事もなし。政はそれでいい。だから気にしないでちょうだい」
嬉しい事を言ってくれるね。それに地球のネタを混ぜてくるのも嬉しい心遣いだ。
「灰色のローブは着てないけど、魔法使い見習いではあるからね。種火のうちに知らせるようにするよ。……さて、それでは始めにセシリア様から私案をお話ください」
何のネタか分からない人達には、マコト文書抜粋版に出てくる放浪の魔法使いの話ですよ、とだけヒントをあげて、議事を進める事にした。
「私案と呼べるほど明確なイメージはできていませんが、私の考えた事をお話します――」
セシリア様は、今後は戦が減る事で、連合内の交流が増していき、軍事に割り振っていた国力を他に回す事になるとの見通しを語った。そして、連合に所属する国々の繋がりはこれまでは軍事協力が主であった。また、為政者の妻や娘達は内を統率する役目は担っていたものの、その活動はそれぞれの国の中で留まっていた。なので、これからは男性の戦目線の繋がりだけで無く、女性の家目線の繋がりも育てていくべきだと話してくれた。
それと、そこまでは考えたものの、次の一手はまだ思い付いていないこと、これまでの表の繋がり、国主との役割分担をどのようにしていくかも、まだ明確なビジョンが無いと告げた。
「セシリア様、ありがとうございました。現在の連合は、対帝国の軍事的な相互支援的な役割が主であり、三大勢力間の緊張緩和の流れが進めば、その意義が薄れる事となります。所属各国の多くが自己完結している点を考慮すると、連合はその役割を終えて瓦解しかねません。ですが、戦以外で国同士の新たな繋がりが生まれれば、連合はこれからも欠かせない枠組みともなり得るでしょう。そう言った意味で大変有意義なお考えと思います」
僕の発言を受けて、ジョウ大使が手を挙げた。
「セシリア様のご意見は、戦が減る事で浮いた余力を持って連合内の交流を促進して行きたい、外に対して国を纏める国主だけでなく、内を纏める女衆の繋がりも新たに構築していきたい、とあり、これはボトムアップ型の意見と言えるでしょう。それに対してアキの視点は、連合の枠組みを維持するには、戦に変わる繋がりが必要だ、とあり、これはトップダウン型の意見だ。両者の間の繋がりが弱いと思うが、そこを埋める気付きを提示すると言う事でいいだろうか?」
綺麗に纏めてくれたね。やっぱり、国の代表としてロングヒルに赴任してるだけの事はある。
「ご指摘の通りです。このまま何もしなくても、五年、十年と経過すれば、三大勢力の取組みの成果が目に見えてくるので、その時には誰が見ても明らかな状況になるとは思うんですけど、そこから動き出すのは結構なハンデになると思うので、気付いた件をお伝えする事にしました」
そこで一旦話を切って、三大勢力の関係だけを示した模式図を出して貰った。
「これは僕の予想なので、あくまでも叩き台の視点と思って下さい。連合と帝国の間では毎年の成人の儀もあるのと、現在の国境線は帝国側が若干押している事から、このまま固定される事は帝国の利となります。連合はそれを面白く思う訳がないので、両者の国境を挟んだ睨み合いは当面続くでしょう。攻勢防御が主な戦術となる帝国は、軍事的な圧力をある程度は維持する筈です。つまり、連合の存在意義は弱くはなるが無くならない、これが僕の認識です」
連邦は強いが外に出る勢いはないので、現状維持とも補足した。
「そして、竜族が統一国家に興味を示し、交流する意思を示している以上、下手に争って竜族の関心を引く愚は犯したくない、そうユリウス帝は考えている、と言ったところか」
ヘンリー王が上手く話を繋いでくれた。
「そう思います。それと三大勢力の均衡状態なんですが、人族、鬼族、小鬼族の体の大きさが違い過ぎて、同じ種族のように混ざり合って暮らす流れは起きにくいと思ってます。ロングヒルのように特別な国家でのみ、三者が集い交流する形で、それ以外の大半の地域では、それぞれがこれまで通り生活を営んでいくでしょう」
今度はエリーが手を挙げた。
「その流れで何も手を打たないなら、連合はその枠組みを維持しつつ、戦が減る事で得た余力を所属各国がそれぞれ国内の発展に向けて投じる事になりそうね。で、アキはそれだと不味いと思ったと」
その通り。さて、ここまでで、皆さんの反応はどうかな? アンディ、エド両王子はちょい想像が追いついてないかな。街エルフの面々は、ヤスケさんは言いたい事が解ってる感じ、うちの家族はそれくらいのハンデなら許容範囲って感じか。
「先程の話で補足すると、銃弾の雨で鬼族、小鬼族は大きな被害を受けて、鬼族はまだ回復には遠く、小鬼族は盛り返したものの、二度と同じ事態に陥らぬよう言い伝えていると思います。つまり、どちらの勢力も連邦、帝国全体として団結していく意識が国民全体に根付いている訳です。そして帝国は前回の訪問で、連邦は今回の訪問で、色んな意味で意識改革が起こると思います。これがスタートラインです。ここから、互いにロングヒルなどの小さな窓を通じて、相手の様子を伺いつつ、政を行って行く事になります。ここまでは確定でしょう」
ん、アンディ王子が手を挙げた。
「つまり、互いに相手の様子がよく見えない中、連邦、帝国は全体が団結しているところに、何も手を打たなければ、連合は、所属国家がバラバラに政を行うと。これまでより軍事以外に回せる予算が増える分、暮らし振りは良くなって行くだろうが、その歩みが連邦、帝国のそれに比べて早いか、遅いか判断できない、か。アキは差がつくと言いたいのだろうが、そこまで差が付くものだろうか?」
ん、これはアンディ王子も理解した上で、敢えて話せと催促してるね。流石、未来の次期国王さん。
「街エルフは個人と言っても全員が事業主でもあるし、ロングヒル王家の皆さんはそれこそ本業ですから、釈迦に説法、あっと、釈迦は地球の一大宗教の祖です。で、えーと、三大勢力規模で資金を集めて、やっと手が届くような大規模事業に連邦、帝国は手が出せるけど、連合は皆がバラバラで動くから手が出ないよって話です。それに資金だけでなく人材も国中からひっかき集めてやっと実現できるような難度の研究、開発も連合では芽が出ません。一年、二年なら差は分からない程度でしょうけど、五年、十年と積み重なれば、小さな窓からでも、多分、ハッキリと差を認識できる事態になってるだろうと考えました」
米百俵とか言いたかったけど、これも伝わりにくそうだから、言い方を変えてみた。
「セシリア様からも伺いましたが、連合の今の仕組みでは、所属国の権力が強く、国と独立した軍事力や資金、組織力も乏しいとの事でした。国で言えば、国庫が空っぽ、統治機構の規模も小さく、民の調整役をやってる程度って事ですよね。冬から春にかけて、大統領の政治力は強化されはしましたが、ニコラスさんが直接動かせる手駒が無いから、提案して賛同を集めて方針を決めて、と何をするにも手間と時間がかかります。これは結構手痛いハンデでしょう。相手はユリウス様とレイゼン様なんですから」
多分、条件が同じなら、ニコラスさんとてそう見劣りはしないと思う。ただ、ユリウス様は優秀な幕僚、直轄領と皇帝直属の軍を擁している。レイゼン様は鬼王と慕う者達も多くて、付いて来いと言えば、先が地獄でもお供をする感じだからね。やっぱりニコラスさんの基盤が弱いと言うか、比較にならないや。
ん、ヤスケさんが手を挙げた。
「話がクドい。要は、連合に所属する国々が、バラバラに動いていては話にならないと自覚し、団結させる「何か」があれば、その流れの一環としてセシリア殿の活動も育っていくと言いたいのだろう? で、その「何か」について案はあるのか?」
そこなんだよね。
「ここまでは状況の「見える化」で、これから語るのはちょっとした提案です。帝都訪問の時と違って、僕は直接的には関与しないので、あれこれ働き掛けをするとしても数日手間でしょう」
そう予防線を張ると、判ったから早く話せ、と急かされた。では、説明しよう。
「一応、いくつか案は思い付きました。ユリウス様が行う、防疫・医療体制を刷新した新都市の建設と運用の話がありますよね。それに派遣する人材を敢えて、連合に所属する各国から集った混成チームとするんです。そうして協力しつつ、急速に変貌していく新都市や、団結して事に当たる小鬼族の担当者達と交流していけば、自分達が力を束ねてない事にも気付くかな、と思います。即効性が無いのが難点ですけど」
続けるよう促されたので、第二案を。
「次は帝国内にある呪いに関する研究チームの派遣ですね。こちらも混成チームとする事で、帝国のチームプレイを目のあたりにする事でしょう。それと竜や妖精、鬼といった多様な種族から優れた知見を持つ専門家達もやってくるので、そこから、自分達の纏まりの無さに気付くかも」
次を、と促されたので、第三案。
「後は、「死の大地」に面した高山からの直接の視察でしょうか。海という天然の防壁があるので危機感は薄そうですが、物量を活かして、膨大な量の呪いが海を超えてきて、西端の地や、本島側に橋頭堡が築かれてしまえば、最早、連合だ、帝国だと拘ってる事態では無くなります。これは「死の大地」に隣接してない連邦、鬼族には、特に体験して貰いたいところです。前二つの案は、連合内の結束を高めるのに、少しずつ地味に効いてくる感じですけど、この案はかなりの即効性があるでしょう。山々への立ち入りは竜族の協力があれば、魔獣達との争いも回避できると思います」
すぐに思いついたのはこの三つですね、と話すと、父さんが手を挙げた。
「それで、アキは三つ目の案はいつ頃やるべきと思う?」
ふむ。
「登山シーズンなら秋ですけど、話が纏まるなら、この夏にでも観に行くのが良いんじゃないでしょうか? 秋には各地で竜と、現地の民の交流も始まるけど、今なら竜達の手も空いてるでしょうから。「死の大地」との間に島々が点在している、本島側で見晴らしがよく登りやすそうな山をピックアップして、何箇所かで分散開催すれば、参加人数も増やせるでしょう。ガイド役は若竜に顔見世を兼ねてお願いする手もありますね。冬の雪山は自殺行為ですし、年明けに回す必然性もなし。秋は収穫まで忙しいのと、まだ帝国の成人の儀が行われる可能性も残ってるから避けるとして。んー、やっぱりこの夏に行う事を推したいとこです」
「死の大地」周辺の地図を出して貰い、呪いが海を渡り、途中の島を呪って足掛りとしつつ、本島へと上陸するであろうルートを三箇所ほど示して、海流が強く、海運を行うには難所と言える地域だけど、火砕流のように海面上を呪いが広がっていくなら、海流や岩礁は行く手を阻む難所とはなり得ない、なんて話もしてみた。
おや、リア姉が手を挙げた。
「呪いの詳しい性質の研究はこれからだけど、呪いは周囲を侵食して規模を広げていくのは間違いないから、今のアキの仮説も一理あると思う。しかし、竜達が登山を認めるかな?」
「これだけ広い範囲なのだから、いいよと言ってくれる竜達も見つかるでしょう。視察はできるだけ多くの種族の混成チームにしたいですね。立ってる者なら親でも使え、同じ地に立つ者達同士で争ってる場合じゃない、て感じで「死の大地」のあまりに広大な呪いを目の当たりにしたら、自分達のちっぽけさを自覚するでしょう。きっと竜だって、あれらを何とかするという認識で観れば、その途方も無さに意識も変わります。そして、同じように心を揺さぶられた者達が肩を並べている、燃えるシチュエーションですね!」
ぐっと手を握って、ほらどーだ、と皆を見ると、あー、うん、何かノリが悪い。
「エドさん、いがみ合っていた者達が、バラバラでは対応できない困難を前にして、一時共闘を合意する。そして、共に活動していく中で、不思議な友情やある種の信頼が育まれたりして、共闘を終えた後、少なくともその場では争ったりせず、互いを褒め称えて別れていく。演劇なら、観客が総立ちで拍手を贈ること間違いなしだと思いません?」
演劇に例えると、エドさんも困った顔をしながらも頷いてくれた。
「言わんとする事は解るよ。しかし、連合所属の各国から幅広く集めた者達に小鬼族や鬼族、妖精族に竜族まで集めての視察だって? 例の紫竜様が起こした魔獣達の生息域玉突き移動の件だって、選抜された三大勢力の各探索チーム同士の連携も手探りで始まったばかりと聞く。プロ意識の高い専門家達でそれだ。実施は難しいんじゃ無いだろうか?」
ふむ。
「そこは同行するのは小型召喚竜として圧を減らし、その後ろには本体の竜達がいると理解した上で、手が出るような阿呆は取り除いておけば、何とでもなる話かと。竜族も皆で力を合わせて「死の大地」の呪いに対処する為にも、先ずは皆で大地を覆い尽くす呪いを観ておきたい、と提案すれば、否とは言わないでしょう。ユリウス様、レイゼン様も快く同意してくれるんじゃないでしょうか」
おや、今度は母さんか。
「アキは、大地の呪いを観ておきたいのかしら?」
んー。
「距離があって日帰りはキツいし、そこまで無理をして眺めたいとは思ってないです。視察チームの反応がどうだったか、撮影してくれたりすれば、そちらは興味がありますけど」
そう答えると、母さんも安堵してくれた。
◇
そんな訳で、「死の大地」の浄化となれば、どうせいつかは詳細な観測も始めるのだから、その切っ掛けとして、弧状列島に住む人々が集って、高山からそっと眺めてみる事を提案します、と締め括った。僕が絡むのは、該当地域の竜族に見学の相談をするところくらい、とも補足した。
「なので、この話なら、例えば、この後、福慈様に相談して感触を確かめてみる、とかもありかなー、と」
そう話すと、全員が、声を揃えて、ちょっと待て!と止めてきた。
「竜族が許可しなければ、そもそも話にならないのだから、竜族への確認が最初でしょう?」
「そうは言うけど、さっきまでの話しぶりからして、竜族も場所は指定してくるだろうけど、ほぼ認めそう。連邦、帝国、共和国、財閥、それと妖精の国も拒む理由が無いわ。連合だって、声を掛ければ参加する所属国の方がきっと多いわ」
まぁ、エリーの指摘通り、危ない話をするでもないし、山登りして皆で海の向こうを眺めるだけだし、大してコストも掛からないし、こうして話していても、良い提案と思うんだよね。
おっと、ジョウさんが手を挙げた。
「私も、前回、帝国に対して敬意と哀悼の意を表したのと同様、アキの話した提案は通ると思う。感情的な対立を抑え、各勢力に提案を検討させる事さえできるなら、実行へのハードルは驚くほど低いからだ。ただ、だからこそ、先ずは三大勢力の代表に一報を入れるべきと思う。彼らも何かあるなら、とにかく連絡をしろと話していたのだから。それに竜族に相談し、彼らが乗り気になれば、他の勢力は追認するしかないが、それは心に無用な澱みを残すだろう」
心を病んだ時、足を運んでくれた彼らに、先ずは相談すると言う誠意を見せた方がいい、とも話してくれた。
なるほど。
確かに、福慈様がよしやろうと腰を上げてくれれば、基本的に暇で遊びに飢えている竜族は、大した手間でも無いし、動いてくれると思う。
でもそれは、揉め事に対して、初めに竜族にお願いするのは、焚き火を消すのに、堤防を崩して池の水を流すような話で、これまでにも何回も、色んな人から止めろ、と注意されてきたんだった。
うん、大した手間じゃないし、僕の連邦行きとも人員が被らないから並行で進めればいいとか思ったけど、それは止めよう。
「考えてみれば、数日を争うような急ぎの話でもありませんし、防疫・医療体制の実験都市の話も、呪い研究の話もまだ本格的な始動には間があるのだから、竜族に先に相談するのは無しとしますね。ただ、帝国との争いが少し遠退き、長年放置してきた「死の大地」に目を向ける良い機会と思います。これを経験すれば、連合内も、帝国からの圧が弱まったとしても、纏まる流れは生まれるでしょうし、「死の大地」の広大さの前には、小さな国単位では力が余りにも足りないとも考えるようになるでしょう。そうして連合として、力が集まる流れが生まれれば、広い意見を集約する新たな仕組みも必要となります。セシリア様の望まれる活動もそこに含まれるでしょう。えっと、僕の気付きと提案は以上です」
良い仕事をしました、って気分で話を終えた。
奇妙な沈黙が重く続いたけど、それをケイティさんが突き破った。
「特に今すぐ、アキ様への質問、相談もないようですので、アキ様には、この後、シャンタールやリア様麾下の魔導人形達との合同訓練をして戴くのは如何でしょうか?」
ん、確かに帝都訪問の際の訓練を考えると、そちらも重要だ。
一先ずはそれでいい、と言うことになって、僕はシャンタールさん、トラ吉さんと合流して、打合せの場を後にしたのだった。
ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。
ちょっとしたタイトル遊びの回でした。結果としてはいずれ、セシリア様の希望する、女衆同士の交流を支える団体の設立にも繋がってはいくでしょうけど、暖を取ろうと薪を取りに行ったら、老朽化の進んでいた倉ごと全部燃えちゃった、みたいなノリでしたね。まぁ燃えるのは秋頃からです(笑)
大使のジョウが強調して話してましたが、アキの思い付きはきっと、同じように辿り着いた人もそこそこいて、危機意識も持ってたりはしたと思います。ただ、アキの場合、①感情的な対立を抑える、②各勢力に提案を検討させる事ができる、③しかも実現へのハードルは低い、というオマケが付くので、その影響力は絶大です。現代知識で異世界無双だ!って奴です。
他の面子だと③の案は思いつくでしょうけど、②まではまぁ諸勢力の代表が提案すれば実現できるとしても、①を言って角が立たないのは妖精族くらいでしょうけど、彼らは異世界の住人である分、②を押す力が弱い。あと、竜族が言うと、それは追認以外ないので、対立を捻じ伏せる感じになっちゃいますね。
次回の投稿は、一月十九日(水)二十一時五分です。




