15-1.鬼王からの親書(前編)
前話のあらすじ:十四章では、世界樹との心話で、心のバランスを崩してしまったけれど、多くの人々の手を借りて何とか持ち直すことができました。その後、「死の大地」の呪い関連で、帝国に残る呪われた地を研究対象として提供してくれることになって、その事に感謝と哀悼の意を伝えようと、雲取様とお爺ちゃんと僕で、帝国首都を訪れて、各勢力の言葉を伝える式典を開催しました。後は、「死の大地」に街エルフがばら撒いた罠とか毒とかが大量に残ってる可能性があるとわかって、かなりイラっとしました。昔のことだから仕方ないんだろうけど、後始末する身にもなって欲しいですよね、ほんと。(アキ視点)
という訳で、第十五章スタートです。季節感ズレまくりですが、作内は7月、そろそろ梅雨も終わり、暑くなってくる季節です。
今後も週二回ペースの更新していきますので、のんびりお付き合いください。
帝都訪問も終わり、帰ってきてすぐの報告も取り敢えず終わり、やっと落ち着いた日々が戻ってきた。
外はもう、七月。日差しも結構強くなってきてて、まだ梅雨開けって感じじゃないけど、気温もだいぶ上がってきて、夏っぽい雰囲気に。
まぁ、今日は梅雨っぽく結構な勢いで雨が降ってて、外での訓練は中止になり、その代わり、お爺ちゃんと一緒に帝都行きで、空から眺めて気付いたことの口述筆記をして貰ってたんだよね。
で、今は休憩中。
リビングの大窓から外を見ると、薄暗くて止む気配はない感じ。二重窓なので雨音は殆ど聞こえないけどね。
水気を含んで青々としている庭木が綺麗で、見ていると心が静かになってきて、これまで考えるのを避けてきた部分にも意識が向いた。
……ミア姉もあっちで、もしそのまま誠として高校生をしてるなら三年生。大学受験を控えている時期だから、夏といっても、そうそう遊んではいられないだろうけど、どうしているだろう?
まぁ、いくらミア姉の知力が高くても、それならあちらの文化に、受験に対応できるかと言えば、贔屓目に見てもハードルは結構高めと思う。英語なんて鬼門過ぎる。海外の国々についても色々と紹介はしていたし、英語の単語をカタカナにして使っている例は多いから、それらも語源とかも含めて話はしたけど、英文に触れる機会なんてなかったし、ミア姉も異世界文化だけでお腹一杯で、そっちまではさして興味を示してなかった。
でも、受験で英語なし、なんて……どうだろ?
探せば、それでも受験できる大学もあるだろうけど、大学に行くこと自体を目的にする感じでちょっと微妙。
というか、こちらでの僕みたいに行き届いたサポートなんて、あちらでは期待できる筈もなし。一番可能性が高いのはなんか理由をつけて休学ってところだと思う。次点でそのまま通学、でも進級できるかって話もあるし、ミア姉から見たら、回りの子達なんて、皆、子供っぽいだろうし、やっぱり、そのままは無いかな~。
「凄い雨じゃな。雨音が聞こえない二重窓も悪くはないが、ちと風情に欠ける気もするのぉ。それで、アキよ。そろそろ休憩時間も終わりじゃが、外をぼ~っと眺めて、何を考えとったんじゃ?」
ふわりと飛んできたお爺ちゃんが話しかけてきた。
ぱっと見、普段と変わらないけど、こちらに帰ってきてからというもの、殆ど、単独稼働状態なんだよね。後で並行活動した分の記憶を統合する時に、二日酔いみたいに酷くなるからやりたくないとか言ってた筈なんだけど。
「ん~と、今月末には僕が地球から来て一年なんだよね。だから、日本で高校生の誠をやってるミア姉は今頃、何してるかなーって」
「あちらでは学生をしておるんじゃったな。あちらの文化を満喫しておるのじゃろうか?」
「話を聞いて知ってるのと、実際に体験するのじゃ大違いと思うし、そこはそれなりに楽しんでいるとは思うよ? ただね、こっちと違って、僕の家は普通の一般家庭で、両親とたまに帰ってくる姉がいるだけだから、夏休みの間に頑張ったとしても、二学期から学生生活を続けるのは厳しい気がするんだよね」
「何故じゃ? 今の状態に合わせて教師が教えればいいだけじゃろう?」
あー、妖精さんも長命種だから、そもそも子供少ないんだよね、きっと。
「あっちだと、同じくらいの学力の生徒達が同じ学校に通う感じで、クラス分けされてるけど、そのクラス内での学力はだいたい同じくらいに合わせてるんだよね。高校ともなるとそうしないと授業の効率が悪いから」
「ふむ。その話からすると、生徒達の人数は多そうじゃのぉ」
「そうだね。学校にもよるけど、僕の行ってるとこだと、クラスは三十人から四十人くらいだね」
「なんと! それだけ集めてまともに統制するなど、成人した大人達相手でも大変じゃろうに、子供を相手にするとは驚きじゃ。教師も大勢用意せんといかんし、皆で行う共同学習なんじゃろうか? うーむ。それと確か高校というのは、一年ずつ区切ってだいたい同じ年の子供を集めて学ばせとる筈じゃが、それなら高校だけで、ちょっとした街くらいの人が集うことになりはせんか?」
ふむふむ、そこからして違う、と。
「えっとね、お爺ちゃん。日本ではそのクラスに対して、教える科目毎に違う教師が担当するけど、授業を行う教師は基本的に一人だよ? だから、まぁ高校全体ならそこそこの人数だけどお爺ちゃんが想像したよりは人数もずっと少ないんだ」
「いやいや、それでは、生徒の学び具合なんぞ目が届かんじゃろう? それともアレか? あちらで普及しておるコンピュータが、こちらでの魔導人形達のように、生徒一人ずつに合わせて学びを助けとるとかか?」
「あちらに人のように活動するロボット、えっとこちらでの魔導人形みたいなのだけど、そういうのはまだ空想の世界で、人々の生活に携わるようなことはないんだ。それで、んー、簡単に言うとね、教師は講義をする、生徒は必要があれば質問をする、で、講師は生徒達の反応を見て説明を増やすか、先に進むか決めるって感じ」
「それだと、賢い生徒は進みが鈍いと感じるじゃろうし、理解が追い付かない生徒は講義に付いていけなくなりそうじゃ」
「一応、同じクラスは似たような学力の人達だから、それほど大きな差はでないって建前。でも追い付けない子は出てくるから、補修って形で追加授業に参加させたりして、補ってあげる感じだよ。学校も生徒がきちんと学んで卒業して、進学するなり就職するなり、先に進んだ時に、そこの学校出身ならそれくらいの学力はある、というくらいには身に付けさせてから卒業はさせてるよ。まぁ生徒の学力にそれなりの幅が出るのは仕方ないところだけど」
「教えるペースについていける生徒はいいじゃろうが、そうでない者は大変じゃのぉ。子供は国の宝じゃろうに、そこまで急かして学ばせては、子供が本来身に付けるべき知恵や生きる力まで手が回るとは思えんぞ」
お爺ちゃんがなんか渋い顔をしてる。
「人族は小鬼族ほどじゃないけど短命だからね。街エルフみたいに成人まで百六十年なんて時間をかけて学ばせるのは極端としても、全員一緒なのは中学までで、高校からはある程度、方向性を決めて教えてくんだよ。大学ともなれば、完全に専門で分けるし。大学に行かず、高等専門学校に進むとか、就職するパターンもあるよ。こちらだと小鬼族がその辺り、顕著だよね」
そう言えば、こっちの人族ってどうだったか聞いてなかったね。今度、エリーにでも聞いてみよう。エリーが公務で色々と頑張ってる感じからして、日本よりは小鬼族のように早い段階でルートを選ばせるか、できる子はスキップさせる仕組みがしっかりしてそうだ。
「社会が複雑になっても、成人までの時間は増えない。じゃから、学ばせる分野を絞るという訳じゃな。しかし、それでは、浅い範囲しか知らん大人と、一部の深く狭い範囲しか知らん大人ばかりになって、社会が上手く回らんじゃろう?」
「それは――」
「アキ様、翁、そのお話はそこまでとシテ、後日、別の機会としてくだサイ。まだ行程の一割程度しか進んでいまセン」
ベリルさんが、立体模型に刺された現在地を示すピンをトントンと叩いて、口述筆記の再開を宣言した。
…まだ全然進んでない。
うーん、少し――
「アキ様、纏めはこちらで行いますノデ、端折るのは無しデス」
う、先手を打たれた。というか、まるで思考を読まれているような的確さだ。
そう思ったら、アイリーンさんが焼き立てのクッキーと紅茶を差し出してくれた。
「アキ様は顔に出やすいのでよくわかりマス」
むむぅ。
ポーカーフェイスで、心の内を読ませない、なーんて物語の主人公を格好いいとか思ったりもするけど、僕にはどうも無理そうだ。
「では、再開しマス。次の城塞都市は――」
ベリルさんが示した位置と、飛行高度や方位をイメージして、その時の光景を思い出す。それからは空撮段階で街エルフの人達が目星を付けていた施設とか、目を惹くであろう地域なんかについて思いついた事を話して、その中で同行している竜の皆さんに紹介した内容とか視点を話したり、興味が薄そうだからと外した部分なんかも伝えて、といった具合に、話を進めていった。
そうして話をしていると、空から眺めていた時には気にしなかったこともふと、何か閃いたりして、それもまた語ることになってと、まぁ、その歩みはそうそう早くなる訳もなく。
それに、僕の説明の中で、その場で理解しておくべき内容であれば質問をきっちり行ってきたし、後から確認すれば良い内容なら付箋紙を付けて、解釈した上でチェックを求める、なーんて感じで進めていたから、なるべく負担を減らそうと努力もしてくれているのは確かだけど、同席しているお爺ちゃんも、ちょっと聞かせてくれ、などと掘り下げを要求したりもして、うん、とにかく時間がかかった。
集中力が途切れてくると、トラ吉さんがふらりとやってきて、気分転換させてくれりと、かなり配慮はしてくれていたんだけど。
二日、三日で終わる話にはなってくれなかった。
「言い忘れてたケレド、などと後出ししたらきっとヤスケ様やエリザベス様がお怒りになりマスヨ」
なんてベリルさんも穏やかな笑顔で逃げ道を塞いでくれたから、面倒だけどきっちり続けるしかなかった。
◇
午後のお茶の時間も終わって、後は寝るまでのルーティンをこなすのみ。
長い髪を丁寧に洗って、タオルで纏めたら、湯船に浸かってのんびり。
いつものように、ケイティさんも少し離れた位置にいてくれて安心だ。
あ、そう言えば、ケイティさんなら、心話があるね。
「ケイティさん、今やってる報告ですけど、ケイティさんと心話でぱーっと情報共有をしてお終いって訳には行きませんか?」
これは名案と思ったんだけど、桶に張った湯に浸かっているお爺ちゃんが待ったをかけた。
「これ以上、仕事を回してはいくらケイティとて捌ききれんじゃろ」
おや。
「えっと、今、何か抱えてるとか?」
「ヒントはマコト文書じゃよ」
えーと、つまり。
「どこかから、マコト文書に関する問い合わせが来てて、その対応に追われているとかでしょうか?」
「その通りです、アキ様。マコト文書の読み聞かせや、講演会を行っていることもあり、そういった方面からの質問や相談が色々と来ています。一番時間をかけているのは研究組への対応ですね。アキ様の報告が終わるまでの間も研究は止まりません。研究内容や課題について、拙い身ではありますが、マコト文書を知る者の視点で気付きがないか査読を行い、場合によっては、本国から該当部分の非公開情報を取り寄せて確認、開示許可願いに回す、といった話をしています」
纏め資料を読んで、手紙を書いてと続くので、最近は目が疲れてます、と目元を揉んだりしてる。聞いてるだけで大変そうだ。
「うちの家族の誰かに手伝って貰ったらどうでしょう?」
「御両親は議員としての仕事を、リア様は研究者達の取り纏めなどもされており、それでも時間を捻出しては頂いていますが、別邸にいる面々への窓口を私が担っている状況です。ちなみに、私の前に、ダニエルやマコト文書の神官達が一次窓口を担当してくれていて、そこでかなりの量は対処してくれていると聞いています」
なんと。
「どこも目一杯力を振り絞っていて余力など無いという事じゃ」
お爺ちゃんが杖を一振り、身体の水気をぱっと飛ばして寝間着に着替えだした。
あれ?
「えっと、お爺ちゃん、もう寝るの? 早くない?」
「あちらの儂も動いておるからのぉ。今日はキリがいいから同期に備えて心を休ませておかんと」
おやおや。
「さっき、どこも、って話してたけど、妖精さん達も忙しそうだね」
ケイティさんに手伝って貰いながら髪の水気をしっかり取って、僕も寝間着姿に。時間もないので、髪をケイティさんに纏めて貰いながら、歯磨きをしたりと僕の方も忙しい。
「急ぎの案件以外、妖精の皆さんも来るのを控えており、召喚枠もかなり空いてます」
「雲取様や雌竜の皆さんも、確か、報告回りだとかで、暫くこちらには来れないんでしたよね」
「ですね。ですから、束の間ではありますが、第二演習場も静かになり、この期間を活かして、各種設備のメンテナンス作業をしているそうです」
秋から春にかけて続いていた異文化交流も小休憩、と。
あー、でも、ケイティさんがマコト文書の問い合わせを捌いてて、うちの家族もちょっとずつではあるけど手伝ってる有様ってことは、関係者にマコト文書の知識が広がって、それを考えてこちらに当て嵌める思考が定着してきたって話だよね。
撒いた種が芽を出し始めたとなると、静かなのは第二演習場だけかも。
自室に戻って、ベッドに横になってもまだ意識が落ちるまで時間があるなんて、久しぶりだ。
「ニャ―」
枕元に顔を寄せてきたトラ吉さんが、何か話せ~って催促してきた。
それなら、と、今やってる報告が終わったら、エリーの母、ヘンリー王の御后様と話をする場を設けることになった件について、話をしてみると、興味を持ってくれた感じなので、外から見た印象とか、エリーから聞いてる話なんかも交えて、結構楽しみにしてることなんかを眠くなるまで話し続けた。
寝物語を話している方が寝落ちするのもどうかと思うけど、そろそろ限界ってところで、トラ吉さんがふにふにと肉球で頬を押してくれたのが心地よかった。
◇
別邸の庭を散歩したり、昼の空に浮かぶ月を望遠鏡で見せて貰ったりと、気分転換も混ぜつつ、帝都行きの際の空中からの観察報告は一週間かけて、やっと終わった。
いずれ、報告書として整えられたら、中身の最終確認は必要だけど、それは暫く先。
これでやっと、研究組のところに顔を出せると思っていた矢先、ソレは届いた。
「えっと、親書ですか?」
親書を持って別邸を訪れたのはセイケン。帝都訪問関連の情報を携えて国元に帰って報告をした後、急ぎで戻ってきたそうだ。
庭先に鬼族用のテーブルセットも出して、椅子によじ登った。
盗聴防止用の厳重な箱がケイティさんに渡されて、ケイティさんは封が機能していることを確認してから、定められた手順に従って箱の封を解いて、中から封蝋印の捺された封筒を取り出してくれた。
う、宛名が竜神の巫女アキになってる。個人的な手紙じゃない、と。
ペーパーナイフで封筒の上部を切って、折り畳まれた手紙を取り出して目を通してみた。
送り主は、鬼王レイゼン様で、見事な達筆で書かれているけど、僕でも読めるよう、シンプルな文面で書いてくれている配慮が嬉しいね。
で、肝心の内容だけど。
「セイケン、この手紙、中に何が書いてあるかは知ってます?」
「レイゼン様から概ね伺っている。それに話の取り纏めを行う全権も与えられてきた」
なるほど。
「アキ様、レイゼン様は何と?」
ちらりと、お爺ちゃんの方を見たけど、一応、興味は持ってくれてる感じか。
「できるだけ早い時期に、竜と巫女と妖精の揃いで、連邦にも顔を出して欲しいって。ついでに鬼族の皆さんへの顔見せも兼ねて、洗礼の儀も執り行って欲しい、と書いてありました。今年は西瓜が豊作で、荷車一杯の美味しい西瓜も用意できるから腹一杯味わってくれ、ともあって、旬な時期を考慮して一、二週間以内に来て欲しいようです。ちょっと大変かもしれないが来て欲しい、歓迎すると、まぁざっくり言うとそんな感じでした」
そう話すと、ケイティさんもお爺ちゃんも驚いた表情を浮かべた。
「詳しい話はセイケンと詰めること、僕宛の親書だけど関係者への開示は許可する、ともありますね」
僕の言葉を受けて、セイケンが深く頷いた。
「共和国への訪問の際と同様、天空竜と巫女、それに妖精が連邦の地を訪れること、それ自体が目的だ。親書の開示は、アキを招くとなれば、少なくとも共和国、竜族、妖精の国には協力を求めねばならない事から、必要な事と認めた。あちらの諺でも、鉄は熱い内に打て、と言う。レイゼン様は三者の訪問が今必要だ、と判断されたのだ」
ふむ。
それなら行きましょう、とさくっと答えられないのがもどかしい。
「どうした? 何か問題でもあるのか?」
報告書を纏めたり、連邦に戻ってとんぼ返りしてたんじゃ、ちょっと話が伝わってないか。
「雲取様や雌竜の皆さんは帝都訪問の件で、あちこちの部族への結果報告回りで暫く戻ってこないのと、妖精さん達の方も、急ぎの話以外はこちらへの召喚を控えてるくらい手一杯らしくて。ケイティさん、黒姫様か白岩様なら連絡してもOKでしたっけ? それとお爺ちゃんの方はどう?」
「黒姫様は、世界樹と親睦を深めるとのことで、森エルフの国を訪れていると聞いています。白岩様ならば、鬼の武術を研究する為に時折いらっしゃるので話をすることは可能でしょう」
「儂らの方も、研究の為に賢者はこちらに来ておるし、完全に止めておる訳ではない。じゃから、関係者を集めた場では、先ずは儂が話を聞けば良いじゃろう」
ふむふむ。
離れた位置に控えてくれているジョージさんの意見も聞いてみよう。
「ジョージさん、護衛関連の方はどうでしょう? ヤスケさんにお願いすれば良い感じですか?」
「ヤスケ様と家族の誰かが同席されれば検討はできるだろう。ただ、相手が鬼族では、同行する魔導人形達の人選も見直しが必要だ。小鬼人形達が並んでも、街エルフの人形遣いが来た、というアピールとしては薄いと思う」
確かに。二メートル半もある立派な体格の鬼族達からすれば、人族の子供ほどの背丈では、幼児にしか見えないだろう。竜族の誰かが同行してくれれば他は些事なのも確かだけど、でもまぁ見栄えは意識しておきたいよね。
一応、何とか関係者を集められそうとわかり、セイケンがホッとした表情を浮かべた。僕にわかるようにわざと感情を見せてくれたって感じだ。
嬉しい心遣いだけど、つまり、事態はそれだけ急ぎってことだ。
「白岩様も心話は好みではないとは話していたけど、心話をするなとは言われてないし、ここは好意に甘えて、連絡を入れましょう。僕を連れて飛んでくれる竜がいなければ話は始まらないので、先ずは白岩様と相談。その結果を受けて、方針を決めましょう」
僕の提案に、皆も頷いてくれた。
別邸備え付けの心話魔法陣もあるから、セイケンにはこのままちょっと待って貰って、先ずは白岩様にお話してみよう。
小休憩の時間もお終いだ。
ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。
誤字・脱字の指摘ありがとうございました。やはり自分ではなかなか気付かないので助かります。
アキの帝都訪問時の気付きも、第三者にわかるように報告する、というのは手間がかかるもので、竜族や妖精族が顔を出さないこともあって、報告の口述筆記の専念することができました。
そうして、ふと、足を止めることがあれば、やはり気になるのは、日本にいるミアのこと。
いるのが当たり前だった人が姿を消したことで空いてしまった心の穴。
その記憶は一年前から時が止まったままです。暫くは、鬼王レイゼンの頼みもあって忙しさで気も紛れますが、節目となる日ともなれば、ソレを意識する日もくるでしょう。
今年も週二回投稿のペースを守ることができました。来年もこうありたいものです。
次回の投稿は、年明けの一月二日(日)二十一時五分です。