SS③:小鬼達から見た帝都訪問の後日談(後編)
前回のあらすじ:竜、妖精、街エルフが帝都に降り立ち、全勢力の言葉を紡いだ式典も大好評のうちに終わりました。帝国臣民の受けた衝撃は大きかったものの、時代の荒波に対しても、全力で立ち向かって乗り越えていくぞ、と闘志を燃やすあたりは、他種族、特に長命種には真似のできない強みでしょう。
今回も本編ではなく、小鬼帝国視点で三人称描写となります。読まなくても本編理解には何ら問題はありませんが、読むとより一層楽しめることでしょう。
かくして、臣民層は希望を胸に抱いてやる気に満ちたのだが、諸王達はといえば、当然だが、そんなカンフル剤のような言葉に、自分を酔わせ続けることなどできなかった。
西海王は、報告書の最後に添付されていた、今回の式典とは関係がないが、直近で届いたという、共和国の探査船団からの問い合わせを皆に見るよう促した。依頼内容はシンプルなもので「死の大地」の浄化に際して、海上から呪いの状況を観測する場として、共和国、連邦、帝国が所有する帆船で船団を組みたい、その為にも帝国が持つ大型帆船の性能を明らかにして欲しい、と書かれていたのだ。
ご丁寧に、まずは自分達からと、共和国が所有するという探査用で取り回しのいい小型帆船だとして、その性能、機能が列挙されていたのだが、その内容があまりにも隔絶していたのだ。
「街エルフ達の言う小型帆船とは、我々の大型に該当する船種だが、先日の式典で見た魔導人形達と同様、あらゆる装備が魔導具で構成されているようだ。帆は陽光・魔力変換機能を持ち、船体は海竜の体当たりにも耐え、風が無くとも航行できる魔導推進器を持ち、船体と帆を全て覆う障壁を展開可能、戦術級の術式による遠距離攻撃もできるそうだ」
西海王も含めてだが、このページを見た時にまず感じたのは、これは何が書いてあるんだ? という疑問だった。それくらいあまりにも、彼らの常識と記載内容がかけ離れていた。
「そもそも、船が全て魔導具で構成されているという時点でおかし過ぎる。式典で見た魔導人形達の姿も彼らにとっては、身の回りの品や装飾品を魔導具化し、術式付与するのは当たり前の話であって、示威行為のつもりはさほどなかったのかもしれん。……恐らく、これでも記載を概要レベルに抑えて、あまり機密に触れないよう配慮してるつもりなんだろう」
鋭河王が呆れた物言いをしたが、実はそれは正鵠を射ていた。ファウスト提督は、敢えて魔導推進の連続稼働時間や、全体を覆う障壁の強度、攻撃兵装の射程や威力、連射性能といった部分には触れず、持っている機能の概要だけ記載するに留めていた。具体的な情報が一つ、二つあれば、そこから船全体の性能を推測することなど、街エルフからすれば朝飯前の話なのだ。だからこそ、共に船団として行動できる程度の概要だけ把握しておけばいい、と判断していた。
ただ、それは盛大な勘違い、過大評価だった。
西楔王が鋭い目を見せた。
「この問い合わせでわかったことがある。街エルフ達の空からの観測精度はかなり粗く、使い魔の鳥から眺めるほど詳細には知ることができず、我らの帆船の航行速度が把握できてないところからして、観測頻度も多くても日に一回とか、そんなレベルなのだろう。頻繁に観測できるなら、風を受けた際の航行速度や、無風時の移動の有無も把握できていた筈だ」
群砦王もそれには安堵の息を零した。
「少なくとも、前回話した際のように、戦場で事細かに分散した部隊の位置を把握され、各個撃破されるほどに緻密な監視網を持ってはいないと思える、それは朗報だ。だが、我らの帆船との差は大き過ぎる。似ているのは船体規模だけではないか?」
同じ体躯でも、一方は歴戦の勇者、一方はただの民間人というくらいに違う、そう愚痴るしかなかった。
西海王が、情報整理の意味を込めて、自分達の帆船について語った。
「我らの帆船は、船体が全金属製という点と船体規模くらいしか類似点がない。こちらの帆には保存術式を付与した程度、船体は小鬼族の体格に合わせて水密区画は密だが体当たりに耐える装甲はなし、魔導推進器はあるがそれは座礁した際などの緊急避難用であって通常推進に使えるものではなく、障壁も敵の攻撃に合わせて部分的に展開できる移動式が左右に一つずつあるのみ、攻撃兵装も代わりに魔導師の魔力を補う宝珠を載せてあるだけ。こうして見比べると、とても同じ船団など組めんだろう。連邦の帆船のデータも知りたいところだ」
「鬼族の体躯に合わせた船となれば、我らの船ともまた大きく違っているだろう。「死の大地」の呪いを考えると、確かに単艦運用は避けたい。だが、二番艦の建造は先送りされていなかったか?」
「一番艦で問題点を洗い出す作業の進みが悪く、それが終わるまでは設計段階で止めていたと思うが」
などと、皆が知る情報を話し合い、それて暫くして、溜息が場を支配した。
金がない。時間がない。人材が足りない。やってみないとわからないことが多い。
言ってみれば当たり前の話ばかりだが、何せ小鬼族換算なら大型の帆船だ。海の上で運用するだけでも船体は傷み、定期的な補修は欠かせない。船員達もその船に合わせて専門の訓練を積んだ熟練者で全体のレベルを揃えないと、船の能力を最大限に引き出せない。つまり、抱えておくだけで大変な金食い虫なのだ。
まして、初めての大型艦となれば、やはり使ってみてこそわかる改良点もある。どうせ作るのなら、二番艦は問題点を見直したい。予算不足と軍側の思惑もあって、二番艦の建造計画は宙に浮いた状態だった。
諸王達は、報告書の中に書いてあった、アキの見解「大型帆船の運用は弧状列島級の国で初めて運用できるものであって、小国では運用するだけの国力がない」を思い出していた。陸軍なら、歩兵に射撃武器の一つ、耐弾障壁の護符でも持たせれば戦力になるが、海軍では、沿岸用の小船では、大洋での航行は耐えられず、ある程度の船体規模を持たないと、戦力足りえない。
小国では、海の戦には参加する事すらできないのだ。
そんな話をしているうちに、ユリウスが入室してきた。
◇
諸王達から、「死の大地」の探査を行う帆船について話を聞き、ユリウスもまた肩を落とした。
「余もその報告には目を通した。皆も思ったように、街エルフ達の作る品は魔導具、術式付与をされているのが当たり前、その品質は過剰の一言に尽きる。我らの帆船の強みは、魔力が乏しい事から、魔力探査を避けやすいことくらいか。船団はとても組めぬ。同型艦と組んで船団としたいところだが、当面、それは難しい。それでも直接、攻撃を受けぬよう水平線を超えた地点から上空に使い魔を飛ばして、定点観測するといった使い方なら、その役目をこなすことは可能だろう」
彼の言葉に、西海王は驚きの表情を浮かべた。
「直接、視認すらさせぬとはかなり慎重な方針ですが……報告書にあった、「死の大地」の呪い、祟り神に経験を積ませない為でしょうか?」
「そうだ。連樹と世界樹の呼びかけで、超水平線攻撃を受けた祟り神が、視界外の超遠距離すら観測している可能性が出てきた。大地を覆い尽くす規模の呪いとなれば、水平線までの距離であろうと、攻撃術式を放ってくる可能性も否定できん。どこまで近づくのかは、呪いの研究を進めてみないと判断できぬ。それまでは安全側に倒した運用とするのだ。それに、我々からすれば過剰と言える街エルフの帆船であっても、祟り神からの攻撃には耐えられぬかもしれんぞ」
ユリウスの指摘に、諸王達も表情を引き締めた。自分達の帆船と、街エルフの帆船ではかなりの性能差があるが、それでも祟り神からすれば、どちらも同程度なのかもしれないのだ。竜族から見れば、小鬼族でも鬼族でも似たようなレベル、という身近な例もあるだけに、杞憂とは言い切れなかった。
まぁ、それはそれとして、とユリウスが話を切り出した。
「それで、卿らは、式典のどちらにも参加した訳だが、何を感じたかぜひ話を聞かせて欲しい」
第一部では天空竜の雲取様、竜神の巫女アキと魔導人形達、妖精達が並び立つ様子を、第二部では妖精達の砕けた様子と間近で超絶レベルの魔術行使を幾度となく観察できたことから、それらを諸王達がどう感じていたのか、ユリウスは興味を持っていた。誰もが自身と同じように感じる訳ではなく、また、何か別のことを思うかもしれないからだ。
ならば、と鋭河王が先陣を切った。
「福慈様の魔力爆発を間近で受けた身としては、天空竜である雲取様の姿を拝むことができ、圧倒的な存在感、空を飛ぶことに特化したスマートな体躯、金属のように輝きを湛えた黒く輝く鱗、何より心に響く落ち着きをもった思念波に感動を覚えました。あんな存在がこの弧状列島には数万柱もおられるのだから恐ろしくもあり、頼もしくもある。正に竜神、彼らが地の種族のことを弧状列島に共に住む仲間となりうると認識してくれていることは天に感謝したい気分です。そしてそんな雲取様の傍らに立ち、平然と語らう竜神の巫女の様子にもまた驚きました。魔力が一切感じられず、立ち振る舞いも武人のそれからは程遠かったものの、それを欠点と思う者の目は節穴でしょう。式典に参加した我らを前にしても恐れや警戒するそぶりを見せず、親愛の思いすら込められた言葉は心に響くモノがありました」
すると、群砦王が破顔しながら、後に続いた。
「あまり話をされると、後に続く者が話題に困るぞ。被る話を避けると、アキ殿の周りを固めていた護衛の魔導人形達と、前面に並んでいた小鬼の人形達、それに雲取様から座席の着脱を行っていた作業着の人形達だが、歴史書で語られていたような魔力分布の違いは、装備している大量の魔導具や術式付与のされた衣類のせいか認識できなかった。だが、揺らぎがまるでない魔力は生き物とは違う。難しいが区別はできるだろう。身のこなしや視線の配り方は全員が一流のソレだった。噂に違わぬ実力者達なのだろう。彼らが全体で一つの生物のように完全な連携をする様をいずれは見てみたいところですな」
前線でそんな化け物共と対峙したくはありませんが、と彼は話をそこで終えた。
次は西海王だ。
「では、別の視点として。やはり特筆すべきは妖精達が第一部で見せた、妖精界の夜空、それを実現した集団術式でしょう。上空に正確に術者を配し、僅かなズレもなく夜空を模した障壁を半球状に展開した様は見事でした。難度からして、こちらの基準で言えば、神技と呼ぶに相応しい演出でした。賢者殿が展開していた、見るからに難しそうな複雑な魔方陣が全体の統制を行っていたのでしょう。どこかが基点となって揃えねば、あれほど大勢の術者が息を合わせることなどできますまい。それと妖精達の同時実行する術式の多さも特筆すべきところでしょう。空を飛び、夜空の障壁を展開し、姿を消す、少なくとも三つの術式を並行実行してたのです。どのようにそれを為しているのかぜひ、知りたいところです」
ラストは西楔王だ。
「だいぶ、意見を言われてしまったが、さて、残りというと、やはり第二部での妖精達との交流が圧巻でした。こちらに合わせるように、ある程度したら召喚をし直すことで人員の入れ替えをしていたこと、そうして新たに召喚された者達もまた高い実力と知性を発揮していたことからも、彼らが大国と呼べる規模を持つ種族だと理解できました。召喚されている身では例え死んでも仮初の体を失うだけという安心感があるからか、だいぶ口が軽かったですな。皆が見聞きした話を取り纏めれば、妖精の国の実態をかなり詳しく把握できるでしょう。大量召喚を行っていたのが賢者殿だけだったのは、妖精なら誰でも何十人と仲間を喚べる訳ではないことに繋がるので、彼らにも限界があると知れたことは良い収穫でした。……が、あんな存在と殺り合うのだけは勘弁させて欲しい。彼らは我らよりも密偵向きでありながら、その実力は一流魔導師をも超える。しかもどれだけ倒せても、妖精界の本人は無傷。アレは竜族と同様、争うべきではなく、手を取り合うべき存在です」
諸王達の見解を聞き、ユリウスも満足そうに頷いた。
「皆の視点を聞かせて貰い、やはり多くの者の見解を束ねるべきと思えた。我らが今回の式典で得た知見は全てを漏らさず纏め上げて、次へと繋げて行くべきだろう。妖精達とて、自分達のことを熱心に知りたいと思う者達を無碍にはすまい。街エルフは部品一つからでも多くを知ると言うが、我らとてそう劣るモノでもない。これまでにロングヒルで重ねてきた交流記録と合わせれば、竜族、妖精族、街エルフ族、それにアキへの理解も深まるだろう」
ユリウスの物言いは、やはりアキのことを種族としての竜、妖精、街エルフに並べる別格の扱いだった。そして、そんな扱いに対しても、諸王達は異を唱えることはなかった。あれほど大きさの異なる竜と妖精、生き方も考え方も大きく違うだろうに、アキはどちらもお友達といった気軽さで交流し、良い話があるんですよ、と誘っては簡単に手を貸して貰っている。報告書ではロングヒルの王女エリーがアキを指して「誰とでも組める鬼札」と称した、という小話も載っていたが、正にその通り。帝国を含む諸勢力を一斉に動かす影響力を何度も示しているのだから、その実力はもはや疑いようもない。そんな奴がいるか、とも言いたいが、事実、いるのだから認めるしかないのだ。
群砦王が皆で話しておくべきこととして、懸念事項を切り出した。
「これで我らは、陛下と同じとまでは言えずとも、寄った視点は持てたと言っていいだろう。だからこそ、帝国の置かれている立ち位置と振舞いの難しさも見えてきた。……秋の成人の儀だが、本当に行うのか、行えるのか、どう行うのか、何を目指すのか、もうあまり期間はないが、決めなくてはならない。陛下はどうお考えですか?」
やはり、先ずは皇帝から話されるべき、などと殊勝な顔をしているが、実際、群砦王はそれらを考える情報があまりに少なく、方針を決めかねていた。例年通りなら、隣接する連合の二大国の戦力分布や刈入れ時の人々の動きなどから、自軍の状況も鑑みて攻略方法を考えれば良かった。しかし、今年にそんな浅いレベルで動いては、局地戦では勝利を収めたとしても、大局的には帝国を不利な状況に追いやる恐れがあるのだ。
ユリウスは、諸王達の目を覗き込むと、自らの考えを語った。
「此度の式典を受けて、まず卿らは、所領に戻り、今回の情報を広めて臣民の反応を見極めて欲しい。余も皇帝領で同じことを行うが、事は長年に渡って行ってきた慣習にも絡む話だ。どうあろうと連合を叩きたい、彼らに余裕がないうちに勢力を広めたい、と考える者達もいるだろう。連合にも同様の者達はいる以上、連合との間では、常に緊張感を維持せねばならん。だが、我らの戦い方はとかく悪評を招きやすい。アキが指摘した、竜の好む食材やそれに関連する技術者や施設への被害の問題もある。我らが荒らし過ぎて、竜達がそれらを失うのを惜しいと介入を考えるようでは不味いのだ。だからこそ、戦を望む者達がどれだけを占めているのか、臣民の数をどの程度に調整していかねばならぬのか、その見極めが必要なのだ」
まず今回のインパクトを受けて帝国としての臣民の意識を把握したい、と切り出した。これは話が根の深い慣習に絡むだけに、いくら一強の皇帝と言えども、力で強引に民を従わせるのにも限度があると考えていることを意味していた。実際、諸王達は春の時点では、成人の儀で理に沿わない話が出れば、それに賛同せず、自分達の納得できる形での戦を行うつもりでいたのだから、現実的な判断と言えるだろう。
そして、諸王達もまた、そんなユリウスの考えに共感していた。今回の件を自領に持ち帰り人々に話を広めたとしてどんな反応が返ってくるのか、それを読み切れなかった。多くの民にとって、帝国を一つの勢力と看做す高い視点は、あまりに敷居が高く、同じことを求めるのは酷だからだ。実際に一当てしてみないと理解できない、そんな連中とて多かった。
鋭河王が諸王を代表してそれに答えた。
「我々は戦を行うとしても、諸勢力の介入を招かない範囲でなくてはならない、しかも竜神の神子達も教育を終えて少しずつ戻ってきており、竜も含めて勢力間の交流は今後、一層深まることは間違いない。だが、連合との緊張は維持せねば、国境を現状維持することはできない、と。好戦派は必要だがある程度で抑えねばならず、暴発する過激派の目は摘む。なんとも困難な話ですが、先ずは今年を乗り切るとしましょうぞ」
彼の言葉に、諸王達も深く頷いたのだった。
◇
最後に、ふと、西海王が話を振ってきた。
「ところで陛下、流石にもうこのような大事はないと考えて宜しいですか?」
何せ、春先に会ってから、まだ二か月と経過してない。だが、ユリウスとてそう聞かれても答えに困った。
「無いと言いたいところだが、見舞いをして、さして間を置かずにコレだ。アキの振舞いは予想できん。だがこれまでの傾向からして、何かあると思っておいた方が気が楽だろう」
彼も、どうせまた暫くしたら大事が舞い込んでくるだろう、と半ば諦め気味だった。
「直通回線でしたか。早めの開通を願うばかりです」
などと、鋭河王が話すと、ユリウスが嫌味混じりに答えた。
「今回の件を受けて、街エルフ達の施設を国内に設置するなど国防を蔑ろにする愚策だ、などという反対意見も少しは静かになってくれることだろう。だが、ソレにあまり期待するでないぞ。直接話ができたとしても、余が言えるのは、恐らくは、待て、話を聞きに行くからそこで止まれ、といった程度だろう」
伝令経由で話が届くよりは数日は早く動けるだろうが、とユリウスが溜息をつくと、諸王達も今後、確実に起こるだろう苦労を幻視して、労わりの言葉を贈るしかなかった。そして、そんなユリウス帝を見て、我こそが次期皇帝となるのだ、などと考える酔狂な者はこの場にはいなかった。
SS三篇が終わりました。第三者視点、小鬼族から見た一連の流れ、いかがだったでしょうか?
春先に、対立の時代から協調の時代へと移り変わっていくことへの緩やかな合意が行われたかと思えば、梅雨も終わるかどうかという時期には、これまで接点のなかった新勢力(竜族、妖精族、街エルフ族)が揃って帝都訪問という劇的な変化が起こりました。ファウスト船長の書簡にもあったように、共和国もこれまで裏方で回っていた姿勢を大きく改めて、三大勢力に比肩しうる実力の一端を開示し始めました。不俱戴天の仇にして最強最悪(街エルフの年配世代視点)の竜族まで関わってくるとなれば、地の種族同士のじゃれ合いなんぞに足を引っ張られたくない、という切実な思いもあったりします。
諸王達も、本物に直に触れたことで、新勢力がどんな存在なのか、弧状列島の未来はどちらに進もうとしているのか、理解が大きく深まることとなりました。
そして、各種族との差や、諸勢力の中に締める帝国の割合の小ささなどを理解しながらも、迷うどころか更に加速していく勢いの小鬼族の姿勢もまた、各勢力への強烈な刺激となり、目を覚まさせることへと繋がっていくでしょう。
……幻影の強敵の姿に危機感を強めて更に競争を激化させていく、というのは地球での冷戦構造みたいですね。
いずれ、疲弊して止まるのか、現実が見えてきて、そこまで焦らなくてもいいと気付いて止まるのか。
まだまだその答えが見えてくるのはずっと先の話になるでしょう。
<今後の掲載予定>
12月19日(日) 第十四章の登場人物
12月22日(水) 第十四章の施設、道具、魔術
12月26日(日) 第十四章の各勢力について
12月29日(水) 十五章開始
<雑記>
ボーリングで痛めた左手中指が、二週間近く経過してもまだ痛い。投げ方をミスって、指に負担がかかった結果とはいえ、ここまで治りが遅いとは困ったものです。