14-3.初夏の始まりは穏やかに(後編)
前回のあらすじ:リア姉が推し進めていた計画の成果、①科学・魔術併用式コンピュータ試作機、②浄化杭試作品を見ることができました。前者は金竜さんも大興奮してた通り、技術の一大革命なのは間違いないでしょう。一般的な魔導具との住み分けは、こちらの世界での量子コンピュータと通常のコンピュータの住み分けみたいな話になるかも。
後者は、見た目、単なる巨大な羽付き金属杭なので、実際に空中から投下してみないと、詳しい話は見えてこない感じでしょうか。(アキ視点)
研究組へのプロジェクト管理導入は三日目だけど、まだ書類作成は終わらない。昨日はミア姉が主体で動いている活動について、二つを見せてもらったけど、今日はそういった予定もなし。
その代わり、家族揃って、と言うか、家族とサポートメンバー全員参加で、二つの話題について話し合う事になった。
いつもの様に、全員が居間に集まった。テーブルの上、僕の隣にはトラ吉さんが香箱座りしてて、隣にはお爺ちゃんが浮いてるのは定番だね。
司会はケイティさん。ホワイトボードに議題を二つ書き出した。一つ目は、帝国、異例の成人の儀実施、二つ目は、世界樹より心話用の枝が届く、だ。
「議題の一つ目は、小鬼帝国の成人の儀についてです。先日、連合、連邦双方に対して、帝国から、今年の秋、刈り入れを終えた頃に成人の儀を行う旨の通告が届きました」
「毎年、成人の儀と称して、連合、連邦に対して限定的な戦争を仕掛けてくるという傍迷惑な風習ですよね」
以前、教わった内容を思い出しながら話すと、ケイティさんは、その通りと嫌そうな表情を隠さず頷いた。
「昨年の秋は、三大勢力の代表がロングヒルに集い、不戦の誓いを行った為、小鬼族の襲撃はありませんでした。そして、今年は例年とは異なり、襲撃する都市を予め指定し、そこに対して正面攻勢を仕掛けるとの事です」
ふむ。
「小鬼族の優位は、軽い身のこなしと夜陰に紛れた浸透戦術で、弱点を突く点にあったと記憶してますが、攻撃側の優位を捨てて、わざわざ狙う都市も予め教えて防衛準備をさせて、しかも正面攻勢って、参加する者に死んで来いと言わんばかりですけど、何故、そんな方針としたんでしょうか?」
そう話を振ると、父さんが補足してくれた。
「少し情報を補足しよう。ユリウス帝は、我々からの支援を受けて、防疫・医療体制の改善を行うモデル都市を創り出し、今後十年間、つまり、その都市で生まれた赤子が成人するまでの期間について運用する事も宣言した。これは共和国、財閥、連合、連邦からの支援もあるから、速やかに実現されるのは間違いない。また、今回の方針に異を唱える者は、帰国して戦の準備をするのも止めない、と諸侯を集めて話したそうだ。異を唱えた王はいなかったと聞いている。――我々もこれらの情報を聞いてあれこれ考えてみた。だが、その意見交換をする前に、まずアキの意見を聞きたい」
他の皆の表情から見ても、それなりには話し合われた後のようだ。
で、僕の意見が聞きたい、か。
あちこちの代表とか、役員的な活動をしてるから、前回の洗礼の儀で露呈した、言葉に意思を乗せる手法のリスクを考慮して、考え違いがあれば予め正しておきたい、と言うのがまず一つ。
戦のない日本から来た子供という意味で、戦が行われる事に何を思うのか知りたい、というのもあるかな。
後はまぁ、与えられた情報とこれまでの知識を元にどの程度、分析できるか把握しておきたいってとこか。
なら、一番聞きたがってる所から話そう。
「ロングヒルは最前線都市ですけど、襲撃対象から除外されると思います。ただ、これは分からないので教えて下さい。僕が知る人達が襲撃都市に派遣されて戦争に参加する事はあるでしょうか?」
「アキはあると思うのかしら?」
母さんはまず自分から話せ、と釘を差してきた。ふむ、徹底してるね。ま、いいか。
「ロングヒルは最前線国家ですけど、三大勢力に加えて共和国、妖精の国、竜族が頻繁に出入りしており、融和を図る政策からしても襲撃対象からは除外するでしょう。わざわざ竜の注目する地に軍を突入させるのも、リスクしかありません。それと成人の儀は、各地で個別に防衛が基本とも聞いてるので、ロングヒルから誰かが派遣される事もまず無いと思います。あと、僕の知る人達は文官か、或いは国の代表なので、前線に出たりはしないでしょう」
「それを前提として、何を話してくれるのかしら」
「戦に対する僕の認識から話そうと思います。日本では、世界大戦以降、周辺国との小さないざこざは絶えなかったけれど、戦争にまで至る事はありませんでした。だから戦争は遠い地で行われる、縁の薄い出来事でした。実際には世界中が貿易し合っていて、密接に関わってあるので、何かは影響が出るんですけど、多くの人が影響を最小限に抑えようと頑張るおかげで、不便に感じるような事はまず無かったです。だから、戦とは身近な話ではなく、報道で知る出来事でした。親の世代の話ですけど、部族間の対立を煽る放送に扇動されて百万人以上が虐殺された話や、原始共産主義こそ素晴らしいと、国内知識層を殺害し続けて、終いには眼鏡を掛けているだけで知識層と見做されて、虐殺してた国家もありました。何万という兵士や市民が死んで行く戦争も毎年のように何処かで起きてました」
ここでちょっとお茶を含んだ。
幸い、ここにいる人達は、地球の事を知ってるから、どんだけ地獄なんだ、と今更、ショックを受けたりはしてない。ただ、何万か同士の軍が戦ったレベルが、弧状列島では大戦だから、感覚の違いは気を付けたいところ。
「なので、今回の成人の儀も、伝聞で見聞きする、遠い地での戦という以上の感覚は持ちにくいと言うのが正直なところです。ただ、小鬼族が大勢死んでる写真を見たら、敵を倒したと喜ぶ方々を理解はしても、共感はできないでしょう」
地球の話として、異教徒を皆殺しにして、踝まで血溜まりに浸かりながら、聖地奪還の歓喜に打ち震える人々が讃えられた歴史的な話を読んでも、共感できなかったのと同じ、と補足した。
「戦を行う事はどう思う?」
感覚的な話については、追加質問はなし、と。
「これは確認ですけど、帝国は他に何か条件を付けてませんでしたか? 戦場を限定するからと言って、そこだけに戦力を集中させないような何かです」
「帝国と接する地域の戦力が減っても、それを見過ごす等と思わない事だ、とは釘を差されたよ」
「まぁ、そうでしょうね」
ここで、お爺ちゃんがまったをかけた。
「アキ、帝国は今後の宥和政策を考えて、限られた地でのみ戦を行う事にしたのじゃろう? なのに隙きがあれば襲う姿勢を全方面で示すのは何故じゃ? 皆は納得しておるが儂には解らん」
ふむ。
「基本、空軍思考で、鈍重な周辺国の陸上戦力を、圧倒的な機動力と火力で蹂躙してきた妖精さん達だと、気にしない話かもしれないね」
「まぁ、そうかもしれん」
「この話は種族的な特性にも絡むんだけど、小鬼族は体が小さいから、防衛戦は苦手なんだよね。特に足を止めた拠点防衛なんて大嫌い。逆に彼らが得意とするのは、機動力と軽快な運動能力を活かして、地形を活用した浸透攻勢だ。だから、敵の侵攻を防ぐ場合、攻勢防御を選ぶのがベストって事」
「攻勢防御とな?」
「いつでも擦り抜けて後背地を攻撃するぞ、と全面で圧力を掛ければ、連合や連邦は戦力を薄く広く全域に配備せざるを得ない。そうしないと弱い市民とか生産拠点とかを潰されて、国が危うくなっちゃう。妖精さんのように地形を無視して高速移動できないから、予め、戦力を守りたいところか、その近くに配備する、それが地上の戦いなんだね」
「不便なモノじゃ」
「まぁ妖精さんだって、移動速度には限りがあるから、都市部から離れた場所で敵を撃退したい、なんて話があれば、ある程度の人数を向かわせる事になる。そして、あちこちでそれが必要となって、派遣した結果、都市部に残る戦力が何時もより大きく減ってる状態で、敵の襲撃を受けたらどうなるかな? 散ってる戦力を戻すのが間に合わなければ、都市部は蹂躙されるなんてことにもなるって事。都市は運んで逃げられないからね。相手は如何に戦力を引き剥がすか考えるだけでいい」
「――受け身になり、手数が足りなくなれば、相手の動きを読めねばそうなる、と言うのじゃな」
「そういう事。ちょっと話が逸れたから戻すと、帝国は戦力を集中して一点突破されると困る。だから、戦力の分散を強制し、それでも駄目なら集まる前に各個撃破するとか、道路とか橋を破壊して軍の移動を阻害したり、後背地を襲って前線に集中できないようにするんだね。今回の場合、想定した戦場に戦力をあまり集中させず、帝国が攻撃側、連合や連邦が防衛側という立ち位置を変えさせない、それが帝国の狙いだと思う」
「理解が追いついたわい。それでアキは、帝国が示した方針について、どう思うんじゃ?」
「戦場でしか生きられない人、死に場所を求めている人、最後に一花咲かせようとする人、それに帝国にとって死んで欲しい人、そんな人々が戦う場所を用意して、貧しい帝国が維持できるレベルになるよう人口調整と、問題のある人々の数減らしをしようって話だろうけど、それが避けられないなら今は仕方ないと思う」
「今とな?」
「防疫・医療体制の見直しが進めば、一番死にやすい乳幼児が育つようになる。生むペースを変えなければ、貧しい帝国は飢餓で破綻しちゃう。だから確実に子供が育つなら生む人数を絞るようになる。そうなると、あまり余計には人口は増えないから、成人の儀でバンバン殺してたら、人口が減る。そうならないように、成人の儀の戦闘規模は年々、小さくなって行くって事。勿論、増えた頭数を養えるよう領土拡張するという選択肢は、連合と連邦が手を組んで潰すのが前提だよ」
「それで今は、何じゃな」
「うん。ただ、ユリウス様は、昔、想定していた、平和を求めて手を取り合おうと語る皇帝そのモノだから、戦が減り、弧状列島を統一する流れは進めるなら、勢力バランスが崩れる前にしないとヤバいね」
「平和な世とは、連合や連邦が力の優位を捨てる事と同義であり、頭数が多く変化に強い帝国が優位となるからじゃったな」
「そうなるね。今、ユリウス様は難しい舵取りを迫られてるけど、自分達に有利な土俵に相手を引きずり込める最善手を打ってきた感じかな。争いをやめて共に生きよう、魅惑的な誘いでしょ」
そこまで話すと、リア姉が手を挙げた。
「アキ、その話は前にも聞いたけど、思ったよりも弧状列島の統一と、武力を用いない関係の成立が早まりそうに感じられる。数の暴力で潰される未来を避けるにはどうしたらいいと思う?」
ふむ。ちょい混乱してるかな?
「今のペースで統一されて、竜族が参加してくれれば、弧状列島内の限られた土地で、争うことなく共存することになるので、小鬼族も好き勝手に増える事はできません。小鬼族の人口が頭打ちになってる間に、そこは政で何とかしましょう。ある程度豊かになり、命の危険が減ると、人口増加は自然と抑えられてきます。そのあたりが鍵ですね。あと、ちょっと勘違いしてるっぽいけど、変化の術を使って竜人や鬼人を増やせば頭数で渡り合える、って話はこの惑星全体の話で、弧状列島だけに限定すれば、竜族の縄張りが広い分、小鬼族の領土が狭い問題もあるから、そこまで人口比が極端にはならない筈だよ」
「……ベリル、ちょっと時間軸で話を纏めてみて」
それから、あれこれ話をして、ベリルさんに何とか簡単なタイムスケジュールで話を纏めてもらった。
「つまり、最短で小鬼族の世代が二巡する程度の短期間、ユリウス帝の次の代には、戦争を吹っ掛ける成人の儀の風習が無くなって弧状列島も統一、更にそこから百年、二百年程度で世界規模の活動が標準と成りかねないと」
「遅れる要素は多いですけどね。いくらユリウス様の語る未来像が素敵で実現性が高くても、そうそう頭を切り替えられない、認めたくない諸侯もいて、その暴発を完全に防ぎきるのは至難かと。でもまぁ、今回の成人の儀は、そこに繋がる一手。それは間違いないでしょう」
明治維新を成し遂げた後も、不満を抱えた武士達に担ぎ上げられて、西郷隆盛が戦争を起こさざるを得なくなった事を念頭に、帝国のこれからについても話してみた。勿論、いちいち、日本の事例を言うとくどいから、そこまでは話さないけど。
それとウォルコットさんも現役中に統一国家を見れるかもしれないですよ、観客視点ならきっと楽しいと話を振ってみたんだけど、何とも答えに困る表情をされてしまった。
◇
小休憩の際に、ウォルコットさんに何か気になる事があったか伺ったら、この秋の話が二十年後の統一、二百年後の世界規模活動へと繋がると言う話は、突飛すぎて認識が追いつかなかったとの事だった。それでも、僕が都合の良いところだけピックアップして話をしたのだけはわかりました、と教えてくれた。
そうならない可能性も多いけど、そうなる可能性もあるなら、嘘じゃないからね。まだ世界の未踏破地域もあるし、どう転ぶか見通しにくいのも間違いないし。
◇
さて、もう一つの議題は、世界樹から、心話用の枝が届いた件だ。
「枝はイズレンディア殿が森エルフの滞在施設で保管されてます。実際の心話は、第二演習場で、竜族の誰かにも控えて貰い、試みることになるでしょう」
ケイティさんの説明してくれた通りなら、特に問題なさげだ。
「それは喜ばしいことですけど、何か心配事があるんでしょうか?」
でなければ、いつものように第二演習場に行って、はい、やりましょう、ってだけと思う。
「樹木の精霊系の存在としては、これまでに連樹の神との心話の実績があります。ただ、あの方は、高度な知性と、我々、地の種族への深い理解がある為、別格ではないかとも思えるのです」
ふむ。
「それだと、念の為、連樹の巫女のヴィオさんにも予め話を聞いておきましょうか。近いから手紙もさほど間を置かずに届きますから。後はそうですね、ロングヒルに滞在してる森エルフの精霊使いさん達の話を聞けば、備えになるでしょうか。あ、イズレンディアさんが精霊使いの技も使えるなら、お話を聞くのも有りですね」
うん、うん、我ながら良い案だ、と考えたんだけど、ケイティさんは少し言い淀んでから、口を開いた。
「ヴィオ様にお願いして、連樹の神に話を伺うのは良い案と思います。ですが、精霊使いについては、話は伺えると思いますが、その、あまり、期待はしないでください。彼らの実力は確かなのです。ただ、アキ様は古典魔術を行使できてもいるので、恐らく、感性が合いません」
えっと?
「実力は確かだけど、感性? 古典魔術も考えるな、感じろって方針でしたけど、それとも違うんでしょうか?」
ケイティさんは深く頷いた。
「彼らの世界観は独特で、私はどうしても合いませんでした。私が精霊魔術も、精霊との意思疎通もできなかったのもその為です。幸い、古典魔術には素質が合ったので習得できましたが」
むむ。
「それは、ん-と、人でない存在の繊細な機微を感知できる、そんな感性が必要だとか、そんなところでしょうか?」
「……一言で言うなら、精霊使いのソレは、擬人化なのです」
は?
「擬人化? えっと、連樹の神様が人の姿で現れたような?」
「いえ。アレは、人でも動物でもない存在が、人が会話しやすいよう、人の形をとったものです。精霊使いのソレは、私もできる訳ではないので、精霊使い達の話を聞いて理解してる限りですが、あちらで言うところの空想上の友達に近い存在に思えます。本人にしか知覚できず、しかし確かに知性がある、そんな存在です。そして、彼らにしか見えない、人の形をした存在を経由することで、自然現象に介入する、それが精霊使いの技なのです」
えーと、えーと、ちょっと待って。話を整理しよう。
こちらの世界では、精霊使いは精霊魔術という形で、自然現象を操れるけれど、精霊使いが認識する精霊は、精霊使い本人にしか知覚できない、擬人化された存在だと。
「その精霊ですけど、精霊使いでも、他人の精霊は見えないし、意思疎通もできないんですか? あと、炎の精霊とか、風の精霊みたいに属性とかはあるんでしょうか?」
「精霊使いが認識できるのは、自身の精霊だけで、それもいつでも知覚できる訳ではなく、完全に意のままにできる訳でもありません。得意な属性は、精霊使い本人の魔力属性に近いようです。精霊の知性も個体ごとに大きく異なり、賢い精霊であれば人のように話し、理解し、嫉妬もするようです」
むむ。
「……ソレって、確実に存在するし、精霊を通じて自然現象にも介入できるのだから、地球で言うところの空想上の友達と同一視すると、逆鱗に触れる感じでしょうか?」
「絶対に口にせず、態度にも表さず、彼らの感性、意識をそのまま受け入れてください。そういうモノだと」
ケイティさんが悟った目で、淡々と話してくれた。第三者視点とか、再現性とか、現象の更なる効率化だとか、そういった魔術的思考とはとにかく合わないのだ、と諦めた声で教えてくれた。
なるほど。
諦観に満ちた眼差しからも、森エルフ達と暮らしていた頃にケイティさんが苦労した様が目に浮かぶようだ。森エルフからすれば精霊を知覚し、彼らの手を借りられるのが普通であり、ソレができないケイティさんは、色々と残念な子扱いされたんだろう。
でもちょっと気になった事がある。
「ケイティさん、樹木の精霊達の場合、本体の木もいる訳ですが、その場合だと精霊使いは、自身の精霊を経由する形で、樹木の精霊達を認識し、交流する形ですか?」
「そうです。精霊使いにとって、己と共にある精霊とは、世界を知覚する為に力を貸してくれる仲間であり、友なのです。ですから、人の姿を取れるほどの力がない相手であれば、精霊の力を借りて交流を行う事になります」
ふむ。
「精霊を介する分、直接、心を触れ合わせる心話ともまた違う感じっぽいですね。……というか、話を伺うにしても、精霊を知覚できない相手を慮って、通じるよう話をしてくれる方でないと厳しそうな気も。イズレンディアさん、その辺りはどうでしょう?」
「彼は、そうですね、精霊との交流がない他種族の事もよく理解しているので、上手く言葉を選んで話ができるでしょう。話をする場を設けますか?」
「大丈夫そうなのでお願いします。その分だと、他の精霊使いさんに話を伺う必要はないと思いましたけど、どうでしょうか?」
「多くの精霊使いから話を聞き、精霊とは何か、自身の中で何かイメージを確立したい、という願望があれば別ですが、そうでなければ、精神的な負担も大きいのでお勧めはしません」
ケイティさんは、十人十色、イチオシの歌姫自慢を延々と聞かされるようなモノですよ、と話してくれたので、そっちは丁重にお断りした。
しかし、そっかー。他人には知覚できないんじゃ、意思ある自然現象的な大精霊とかは、こちらの世界では存在しないっぽいね。
残念。
でも、世界樹は、単に魔力を取り込んで強化してるだけでは、あのような巨体の構成は厳しいだろう、とお爺ちゃんも話してたし、心話で何か得るモノもありそうだ。取り敢えず、ヴィオさんに手紙を送って、連樹の神様から助言を貰おう。
ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。
今回は、ユリウス帝が推し進める政策と、例年と異なる成人の儀について、あれこれ考えさせられた話でした。アキが語った内容は当然、家族やサポートメンバーも思いつく内容が多かったものの、どう感じるのか、何を思うのか、といった部分は本人に聞くしかないですからね。先生のザッカリーからも、第三者から見た姿、発言だけでなく、アキの内面を把握しないと駄目、と言われたので、少し丁寧に対応してます。
それと、世界樹の枝をゲットしたことに伴う心話と、森エルフ達、精霊使いの技についてのお話でした。こちらの世界は、アキも悟ったように、擬人化された一般的な精霊は存在せず、台風の日に精霊使いが空を見上げても、大勢の大気の精霊が乱舞するような光景は見ることができません。残念、夢がないですね。
また、精霊使いと魔法使いの間には、グランドキャニオンより深く広い谷が広がっていて、両方を行使できる術者も確認されていません。
あと、精霊使いは、精霊魔術という形で、ちゃんと効果のある力を行使しているので、彼らには彼らの世界観があり、視点があります。ケイティにとって、森エルフの里はかなり居心地が悪かった事でしょう。
次回の投稿は、九月一日(水)二十一時五分です。