第十三章の施設、道具、魔術
十三章でいろいろと施設や道具、魔術が登場したので整理してみました。
◆施設、機材、道具
【第三演習場】
第二演習場がアキと竜族の交流や各種試験の為に占有されてしまったため、新たに敷地を確保し、建造した演習場であり、規模は第二演習場とほぼ同じ。部隊が移動することも考慮して、第二演習場やロングヒル市街地への道路も合わせて整備した。しかし、ロングヒルの軍が利用した回数は数えるほどで、魔法陣だらけで、大勢が集まるのに適さなくなっていた第二演習場の代わりとして、風洞実験や洗礼の儀が行われた。そうそう空地もないので、第四演習場を作る余裕はない。ロングヒル軍部が訓練場所の確保に難儀する日々は続きそうだ。
【鬼族の大使館】
見上げるような巨体の鬼族達が暮らせるようにと作られただけあって、その作りはとにかく大きい。しかし、当初から他種族との交流を前提として設計された為、小鬼族、人族サイズの家具や水回りの設備も用意された。武人である彼らは修練の場として庭も広く確保していた為、小型召喚竜や鬼も含めて集まりを開こうとすると、ここか、別邸の庭先や、第二演習場のようなオープンスペースを用いる必要があった。鬼族の女衆の力強い支援もあり、竜神子達の合宿場所にも選ばれるなど、その存在感は増している。各種族のロングヒル滞在人数をある程度で抑える方針が示されたこともあり、他種族が同じように鬼族や竜族も同席できる大型施設を作る動きにはなっていない。屋根付きなら鬼族大使館、外でいいなら鬼族大使館の庭先か、別邸の庭先、もっと広いなら第二演習場と棲み分けもできてきた。
【小鬼族の大使館】
プレハブ工法で、驚異的な短期間で建設された。ただ、規格化された部品を多用する為、その施設は小鬼族が使う事を前提として設計されており、人族でギリギリ、鬼族が入るのは無理だった。小鬼族の政府関係者はこちらで、一般の小鬼族は併設されている滞在施設で生活をしている。
【ドワーフの滞在施設】
まだ敷地しか確保していないが、ドワーフ好みの岩山がない中で、どこまで皆が納得する施設とできるか、建築家達も、知恵を絞っているところだ。
【森エルフの滞在施設】
まだ敷地しか確保していないが、森エルフ好みの森がない中で、どこまで皆が納得する施設とできるか、建築家達も、知恵を絞っているところだ。
【呪符】
符に記した術式を発動させる使い捨て魔法陣といった位置付けの道具である。通常の魔導具に比べると、多様な術式を紙の束としているので運搬性に優れている。ただし、魔導具と違い、魔法陣には術者が自前で魔力を通して発動させる必要があり、符に魔力も籠める関係で材料も高価で、安価な魔導具ではない。仮初の連絡用の鳥を創り出すといった術式が有名である。
【停戦旗】
小鬼帝国で使われている敵味方識別用魔導具の一種。これを振ったら停戦しないと、敵と見做されて殲滅されても文句が言えないと言う。竜の加護を与えられた者達が持参する為、彼らとの偶発的衝突を回避するよう貸し出された品で、連合、連邦、帝国にその旨が公布された。そんな経緯があるので、大変、興味を惹かれる魔導具だが、分析の類は行われておらず、試みる事も厳禁とされた。竜に関わる話に、そういった余計な雑音が混ざると、話がどう転ぶか分からないからだ。
結果としては、竜の加護を得た探索者等と言う、見誤る事などあり得ない特徴もあり、小鬼族の前線部隊との問題は起こらず、この旗を掲げる事態も起こらなかった。
【妖精召喚の呪符】
妖精界から、発動した呪符の位置に妖精を一人召喚すると言う破格の魔導具である。本編でも説明されているように、この呪符は場所を示す情報を送る為のトリガーに過ぎず、召喚術式を発動寸前で止めておく別の魔導具や、召喚に備えてスタンバイしておく妖精界側の準備も必要と、かなり大掛かりな仕組みで成り立っている。妖精の彫刻家が自ら創った逸品であり、妖精の3D製造技術が無ければ呪符にこれ程の機能を持たせる事は出来ない。ただ、妖精さん達は結局、喚ばれなかった事に不満で、探索者達と一緒に旅をできるよう、別の仕組みを検討中である。
【識別用宝珠】
妖精さんが背負う事で、その位置を魔力で感知できるようにする為の品。一つずつ、異なる属性の魔力が籠められている。こちらに喚ばれる妖精は、アキやリアの完全無色透明の魔力で維持されるので、通常はその存在を魔力で感知できない。その問題を解決する為に用意された品だが、使い捨てできるような代物では無いので、これを背負ってる時は、召喚を止めないよう念押しされている。実際、小型召喚の竜が識別用宝珠を付けた状態で、召喚を解除して召喚体が消えて、その場にボトボトと識別用宝珠を入れたケースが落ちて、関係者が大慌てで回収する騒ぎとなった。
【重鎧】
連合で標準的に配備されている重装歩兵用の鎧である。耐弾、耐刃、耐呪の特殊加工を施されており、その防御力には定評がある。ただ、人族相手には十分なソレも、鬼族相手には紙装甲であり、小鬼族相手では重いせいで後手に回り、その装甲も過剰として、兵士には不評だったりする。重さに起因する動きの鈍さを改善したモノが魔導甲冑だが、あちらはあちらで高価過ぎて数を揃えられない問題がある。
【小型ヘッドホン&マイク】
小型召喚の竜や、妖精用にオーダーメイドで作成された科学式のヘッドホンとマイクで、飛行中の小型竜と妖精が会話をスムーズに行えるよう用意された品である。期間がない為、彫刻家が3D製造でピッタリの形状で作り上げた。大変小さい品だが、きちんと動作する事が確認できたので、雌竜七柱分も追加生産する予定だ。
【妖精サイズの飛行服】
シャンタール率いる最高のお針子集団が、その力を結集して作り上げた逸品である。基本構造はアキが着ていたものと同じだが、何せ妖精は小さいので、布地も極薄に作る必要があり、その作りは最早、別モノと言える。
【妖精サイズの観測機器】
小型軽量化を徹底し、操作パネルも人ならピンセットが必要な、妖精さんサイズを実現した品である。小型召喚の竜が運ぶ事を前提としている為、対G性能や、気温、湿度の変化にも耐える特別なケースに収納されている。それでもこれを運んでいる際の飛行には多くの制限が掛かり、竜にとってはストレスの多い飛行となっている。制限を緩和する為の検討はされているが、当面は現行のまま行くしかないだろう。
【振り鈴】
アキが、皆の注目を集める為に振った手持ちの鈴。アキが何度も意識を通して振ったので、付与された術式は全部消えて、新たに術式の付与も出来ない代物と成り果てた。とは言え、特別な効果は何もない普通の道具である。アキが振った時に、聞き手の心にまで響くのは、声に意識を乗せているのと同じで、アキの技能の影響である。
【映像投影眼鏡】
小型召喚の竜が装備する事になる科学式の道具。方位、高度、速度、気圧などの様々な情報を表示できる品となる予定だが、十三章終了時点ではまだ基礎設計段階である。試作品の製造時間短縮の為、彫刻家が3D製造技術で創る事になるだろう。ドワーフ達も何とかその技を習得しようと頑張っているが、やはり梃子摺っている状況だ。
◆魔術、技術
【魔導人形】
街エルフが魔導技術の粋を集めて創り出した自律行動できる人形であり、現在では街エルフの十倍とも言われる数を運用すると言われている。
街エルフは人形遣いとも呼ばれ、多くの魔導人形達を統率して、一つの統一された意思で、死角が無く、完全な連携を行える生物のように運用できる。その実力は同数の完全武装の人族の部隊を、軽く蹂躙するレベルであり、比較にすらならない。
同じ背丈の人よりも少し力が強く、長い時間全力行動可能で、呼吸を必要とせず、ボディに刻まれた呪紋を行使することで、鬼族のように近接戦闘と魔術の擬似的な併用もできる。
このように数多くの利点がある魔導人形だが、地球のロボットのイメージと異なり、経験や知識の共有やコピーはできず、個々の魔導人形が自力で学ぶしかない。また、部品を交換すれば、慣れるための訓練も必要であり、命ある魔導具と呼んだほうが実態に近い。
経験を整理し、余計な情報を捨てる為、人の睡眠に相当する機能低下状態になったり、消耗部品を交換しないと心身の機能が低下するなど、無機質なロボット的なイメージからは程遠いと言えるだろう。
その外見は間近で見ても人との区別は難しいレベルだが、人と違い、宝珠から魔力を供給する為、身体の魔力分布が人のそれとは大きく異なる。その為、アキのように魔力感知ができない人で無ければ、人と魔導人形を見分けるのは容易である。
また、瞳には視覚支援用の魔法陣が刻まれている為、瞳を覗き込むような真似をしても、区別はできるだろう。
個性もあり、主人の飲食に対応するよう、五感や飲食機能を持ち、魔力耐性を高めていたりと個体差があるが、性格や経験の差の方が大きいのが実態だ。中にはロゼッタのように採算度外視で創られ、頻繁に機能向上を図る個体もいるが、そんな個体は例外中の例外だ。
空間鞄への収納も可能で、その場合、中では寝てるような状態になる。共和国やロングヒルの大使館領でも、配備されている魔導人形達がフル稼働するのは稀で、普段は一割以下の個体が活動するに止めていた。
街エルフ本人は何でもできるのが成人の証だが、魔導人形にまでそれを求めてはいない。その為、習得している技能やその練度は個体毎に大きく異なり、同一時期に同一工房で創られた魔導人形であっても、同じ技能を持ってはいない。
アキのサポートをしている女中三姉妹やロゼッタは、同じ魔導人形達からも、敬われ、別枠扱いされ、恐れられるような突出した個体であり、モブのように出てくる大使館領の女中人形達とて、厳しい選別を勝ち抜いた優秀な個体群である事には留意すべきだろう。
まぁ、それを言い出すと、本国でマコト文書の図書室に努めている司書人形達も、あちらの知識を学び、アキと普通に会話できる程度の練度に達しているし、大型帆船に乗り込んでいる水兵人形達も、緊急時に備えた訓練に耐え抜いた精鋭だったりするし、アヤや護衛の人形遣い達が展開した魔導人形達とて、VIPの護衛に抜擢される程の個体ばかりだったりするので、一般レベルの魔導人形達をアキが目にする事は当面無さそうだ。
【召喚の経路】
召喚すると、召喚者と召喚体の間には経路が確立し、経路を通じて魔力が供給される。また、経路を通じて意思疎通を行う事もできる。ただ、過去の召喚事例では精々、数分といった程度の召喚であり、魔力供給は膨大な魔力を蓄積した宝珠から行われていた為、経路を通じた繋がりを感じた、と言った程度の記録しか残っていなかった。
アキとリアは完全同質の魔力属性を持つせいか、召喚体との経路がどちらに繋がるかは確率論的にしか決まらない。
ちなみに相手に明示的に意思を伝えようとしない限り、相手に意思が届く事はないようだ。まぁ、そうで無ければ、大量召喚をしたら、情報過多で頭がパンクしてた事だろう。
【発光術式】
強い光を放つ術式で、光の強さや色、放つ時間を細かく設定できる。熱線の術式と違い熱量は僅か。また、街エルフはこの術式を改良したレーザーの術式も編み出している。自然には存在しないレーザー光だが、マコト文書から知識を得て創り出す事に成功した。ただ、レーザーの術式は大変効率が悪く、据置式の施設で運用するのが精々だ。
【リア】
魔力の単位。完全無色透明の魔力属性を持つリアが計測機器に魔力を込める事で、周辺の魔力影響を排除した高精度の魔力測定が可能となった。数学のゼロの発明に匹敵するインパクトがあり、魔術や魔導具の発展に大きく寄与する事となった。そこで、その功績を称え、魔力の単位名称にリアの名が使われるようになった。
また、リアが運営しているリア製作所では高精度の計測機器を販売しており、リアが魔力を込めた機器を第一世代として、それを利用して作った第二世代が販売されている。一般レベルでは第三世代が使われている。リアが技術者達と懇意な理由は、この件の影響が大きい。
【停滞陣】
時間が極度に遅延されている領域を作り出す魔法陣。こちらの世界では時空間制御をある程度行うことができるが、保管庫や空間鞄のように制御する空間は限定された閉鎖系であることが常。しかし、それだけだと不便なので、対象空間を囲むように魔法陣を展開して、一定範囲の時間を遅延させることができるようにした点が特徴。ソフィアはさらりと言ってるが、対象空間が広いほど、遅延率が高いほど、膨大な魔力を必要とする為、これが使われることは殆どない。閉鎖系にすれば、保管庫のように普段使いできるくらいには魔力消費を抑えられるが、保管庫とて、実用に耐える程度に遅延しているだけで時間停止している訳ではない。今回の場合、一部屋分程度の空間を停滞させる想定だが、もし本当に実施するとしたら、リア&アキの召喚枠を一つ潰して魔力を供給するしかないだろう。
【心話】
相手と直接心を触れ合わせることで、記憶や感情を直接やり取りできる便利な技法だが、彼我の力の差が大きい場合、小さい側が、火に飛び込む蛾のように、呆気なく掻き消される恐れもある危険性を孕んでいる事が再認識された。
ミアやアキのように相手との心の距離を調整できる卓越した技量を持つなら、安全な距離を保てるが、通常は相手との関係から生じる距離は変わらない。
今回、緊急切断機能が働いたおかげで、大事には至らなかったが、その運用には細心の注意が必要だろう。
【アキの意思を載せた発言】
アキの意思が声と共に相手によく届く利点はあったが、新たな欠点として、本意が伝わり過ぎる問題があることが判明した。いくら声色や言葉で取り繕っても、本心でそんな気はない、と思ってて、その本心がストレートに相手の心に響いたなら、いくら表面的に取り繕っても意味はない。アキが初めに思ったように「たいして期待してない。とにかく足を引っ張るような真似はやめて」と本心から思い、言葉でも注意や付和雷同を諫めるように言われたなら、本編でのリーダー達の意欲も底を打っていたに違いない。意思の乗った言葉は、英雄の演説のように心に響く。その影響力はプラスにもマイナスにも極端に振れる、それが明らかになったのだ。ただでさえ、アキはミアと同様、駄目と思えばばっさり切り捨てる傾向があるので、プレリハーサルは重要と皆が頷き合ったのも無理はなかった。
【保護魔法】
対象の状態維持効果を発揮する術式であり、こちらでは様々な品に付与されている。定番はやはり書物である。対象のサイズに応じて魔力を必要な魔力が増加する為、あまり大きな物には付与されない。効能としては耐摩耗性を高めるのが定番だ。シャーリス女王が合意書に付与した術式は、あらゆる劣化、変化を防ぐ最上位術式に相当する。
【連樹の社の拡張】
通常サイズの召喚竜を招けるように、社を囲む連樹が地面を液化しつつ、移動する事で、着陸できるスペースを確保する荒技を行った。敷地自体は鬼族の助力もあって、整地できたが、参道の見直しはこれからと言ったところ。連樹の民も樹々がこれ程大規模に動く様を見たのは初めてだった。ただ、連樹も同じ技を山全体で使って全体で移動する事まではできず、あくまでも全体の並びを少し整理する程度の調整しかできないようだ。
【連樹と世界樹による呼び掛け】
連樹と世界樹が共鳴して、弧状列島全域に対して、呼び掛けを行った。呼び掛けは一時間にも及んだ。ゆらゆらと長周期で心を揺らし続ける効果があり、人だけでなく妖精も暫く寝ている程の影響が出た。また、人類連合の魔導具の一割が何らかの不具合を生じてしまい、社会全体に大きな影響を生じる事にもなった。こちらの世界では、家電製品のように魔導具が普及しているので、その影響は長期に及ぶものとなるだろう。
他にも、宙に漂う呪いのように脆い存在は、呼び掛けによって揺さぶられ続けた事で、構成が崩れて消える事となった。この効果は浄化に相当するモノで、「死の大地」を覆う膨大な呪いも強く影響を受ける事になった。通常の浄化術式換算で十兆発に及ぶ効果を発揮し、呪いの分布が大きく変化する事態を招く事にもなった。
この呼び掛けは、連樹や世界樹にとっても大技であり、そうそう使えるモノではない。長い時間を掛けて蓄積した魔力があればこそ行えた神技である。
【別邸の結界】
別邸は一見すると単なるカントリーハウスだが、ロングヒルの大使館領に位置する事もあり、有事の際には防衛拠点として機能するよう設計されている。結界は防衛機構の一つで外部からの魔術の影響を遮断する効果がある。勿論、稼働には膨大な魔力を必要とするので、必要な時にだけ動かす仕組みだ。対軍仕様なので、個人レベルの術式では歯が立たない。ただ、そんな事を言うと、妖精さん達が力試しをしかねないので、その全容は大雑把にしか伝えられていない。
◆その他
【探索者ガイド】
アキがアンディ&エド王子から借りた書籍。二人の手で沢山の注釈が書き込まれている。子供達に探索者への興味を持って貰う事を目指して、発行されており、人気のある本だ。探索者とはどんな職業か、何をするのか、どうしたらなれるのか、収入はどれくらいか、引退後の選択肢は何があるかな等と言うように、単なる紹介ではなく、実際に仕事として選ぶ具体的なイメージを描けるように、挿絵なども多く使い、丁寧に解説が記されている。また、本人達の許可を得て現役の探索者達の紹介をしていたり、海外の有名な国や風土等も書かれていて夢が広がるページも多い。
二人の王子も、燻ってた時期に熱心に読み、更に書かれた内容を独自に調べて書き込みを入れる程だった。その内容は幼い少年の憧れや夢、悩み等も含まれている為、写本の取扱いもアキと翁以外は閲覧しないよう念押しされたのだった。
【探索者】
大型帆船に乗り、海外で様々な探索を行い、モノや情報を持ち帰る任を担う専門家達であり、必ず十人程度のチームを組んで行動する。一芸に秀でた専門家だが、サバイバル技術や戦闘技術は必ず習得している。彼らは共和国に所属しており、街エルフの様々な技術や魔導具の支援を受けている。一般的な軍人と異なり、装備のカスタマイズは広く認められており、その外見はとても多彩だ。
種族も年齢も様々だが、外交や交易も担う為、採用時には人格面や精神面も重視されているのが特徴だ。その為、常に人員不足の問題を抱えており、探索者や元探索者達は様々な活動を通じて、後輩の獲得、育成にも力を入れている。
未知への挑戦を行う探索者は、優れた能力と人格を兼ね備えた高収入職であり、帰還する事が何よりも重視される為、探索中に命を落とした例は実は想像以上に少ない。ただ、危険と隣り合わせの仕事である事は間違いなく、それでも喜んで飛び込んで行くような連中でもあり、変わり者とも認識されているのが実情だ。
引出しが多いほうがいざという時、生き残りやすいという事もあり、専門以外の分野でもそれなりに技能を習得している者が殆どだ。これは現地に着くまでの間、やる事がなく、メンバー間の交流促進と暇潰しを兼ねて、他分野の勉強会を通じて、技能を習得している為である。
荒事もできるが、読み物に出てくるような、なんでも屋、底辺職と揶揄される冒険者とは似て非なる存在と言えるだろう。
【ケイティ&ジョージのサイン】
二人共、有名な探索者であり、二人が記した書籍もそれなりの数が出回っている。また、数は少ないものの、二人がサインを記している例もあり、好事家には高値で取引されているという。次世代を担う人々を勧誘する為、帰国した探索者達は講演会を開いたり、海外で撮影した写真の展覧会を開いたり、本を書いたりと、広報活動をするのも重要な仕事だ。二人がミアに目を付けられたのも、こうした活動を通じて性格や嗜好を知る機会があったからだったりする。
誤字、脱字の報告ありがとうございます。何回読んでいても気付かないものなのでほんと助かります。
次回は、「第十三章に登場した各勢力について」になります。
投稿は八月十八日(水)二十一時五分の予定です。