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第十二章の登場人物

今回は、十二章で登場した人物や、活動してても、アキが認識しないせいで登場シーンがなかった人の紹介ページです。十二章に絞った記述にしているので、各人物の一般的な情報(立場や外見、これまでの活動)については、九章の登場人物紹介をご覧ください。


あと、今回はチェックが甘いので、手直しが入ります。ご了承ください。

(手を入れたら、その旨を後書きとかで書くようにします)

◆主人公


【アキ】

共和国に、雲取様や翁と一緒に空から舞い降りてみたり、竜神子候補たちを集めて、洗礼の儀の司会を務めたりと、あちこちで活躍しているように見えるが、連樹からの提案に皆が尻込みしている、と早合点するなど、ちらほらと精神的な危うさが見て取れる。実際、心話をまだ禁じられるくらいには、まだ精神的に余裕がない状態だ。それでも、多くの人々に支えられて、歩き出した姿はだいぶマシになってきた。十三章では、心話も解禁され、これまでと毛色の違う相手(ケイティや世界樹)との交流も増えていくことだろう。


◆アキのサポートメンバー


【ケイティ】

アキの活動を家政婦長ハウスキーパーとして支えつつ、マコト文書の専門家としても支援する日々だが、アキが心話を禁じられている間に研究を進めて、心話が解禁されたら、アキとの心話を試せるよう準備を何とか整えることができた。十三章ではそんな彼女の努力も実を結ぶことだろう。日々、接して親密な関係を築いていると自負しているが、それでも心を直接触れ合わせている雲取様とアキの仲の良さを見ると、どうしても、自分はまだ何手か足りてないと感じてしまうからである。


【ジョージ】

アキの護衛として、どこに行く時も行動を共にしているが、流石に空を飛ぶ雲取様に同行する訳にもいかず、空飛ぶ様子に憧れと尊敬の念を抱きつつも、護衛としての本分を達成できない悩みを抱えている。また春先は、お偉方がやってきていることもあり、彼の仕事量も激増しており、残念ながら小説執筆は一時中断しているようだ。


【ウォルコット】

少しだけ本編でも描写が出てきたが、彼は連樹の神官達とものんびり語り合うくらい、仲を深めていたりする。なにせ、物語を楽しむには表舞台に立つ者達だけでなく、周囲を固める一般枠の人々のことも知らなくてはいけない、などと考えている道楽隠居だからである。同じ隠居同士だからか、翁も誘われて、宴会に参加していることも多いようだ。彼が一般枠の人々を重視するのは、近頃は、連樹だの世界樹だの「マコトくん」だのと言った高位存在がぞろぞろと関わり出して、感覚が麻痺してきたから、というのもある。あくまでも自身を一般人と位置付けて、歴史の激動を特等席で満喫する、というのが彼のポリシーなのだから、そこは大切な拘りなのだろう。


【翁】

謎の好事家ディレッタントにして、アキの子守妖精として、常にアキに寄り添って行動している彼だが、給金を群衆資金調達クラウドファンディングに惜しげもなく投入したり、自分で資金集めに名乗りを上げたりと、アキの知らないところで、あれこれはっちゃけていたりする。また、アキが求めれば必ず助けよう、と確約したりと、その言動の怪しさが、方々であれこれ憶測を呼んだりしているのだが、彼は「儂はただの隠居の好事家ディレッタントじゃよ」と呑気に笑うだけなので、深く突っ込む者も最後は諦めている状況だ。召喚されてきていて、誰も妖精界に行って裏を取ることなどできないのだから、そこは突っ込むだけ野暮というものだろう。


【トラ吉さん】

アキが精神的に余裕がないこともあって、あちこちの会合でも、アキの足元や膝の上に彼がいることが多くなってきている。もちろん、急勾配な階段の昇り降りではギリギリまで手を出さないなど、甘やかすだけではないところも、アキから高い信頼を勝ち取っている秘訣と言えるだろう。リアからもしっかり頼まれているので、まだしばらくはアキに寄りそうシーンが増えそうだ。


【マサト】

裏方でアキの活動を支えつつも、「マコトくん」の依代創りという、直接的に次元門構築に恩恵がありそうな話が出てきたこともあって、三大勢力に無駄なことに手を取らせないよう、リスクを取って、竜神子支援機構の設立に尽力した。また、ロゼッタからの熱意もあって、雲取様と翁をショートウッドに招いたり、そこで妖精達を大量召喚して、妖精を大勢喚ぶメリットをアピールし、翁と賢者を発起人として、群衆資金調達クラウドファンディングで、魔術的計算回路開発のための資金をあっという間に集めたりと、何気にあちこちで暗躍している。彼が手を貸した活動が本編で話題になる日もそう遠くはないだろう。


◆魔導人形枠


【アイリーン】

彼女のレシピはあちこちで参考にされており、特に対竜向けの菓子は、全ての料理人が必ずアイリーンのレシピを一度は真似て作る、といったほどに定番化している。鬼族の女衆との交流も始まり、彼女のレパートリーがまた増えそうだ。


【ベリル】

打合せの場にベリルあり、といった具合で、話し合った内容を記録し、資料化し、関係者に配布して、といったシーンでベリルは相変わらず大活躍だ。ただ、お偉方がやってきている期間は、趣味に割ける時間も少なくなって、それが少し不満だったりはする。


【シャンタール】

今回も対外イベント目白押しだったため、シャンタールが選んで、作った衣服が活躍するシーンは多かった。ショートウッドでアキが会談の際に着ていた学生チックなワンピースも、多くの観衆から高評価を得た。今後はアキが代表として振舞うシーンも増えるので、シャンタールが趣味と実益を兼ねて、アキの衣服を用意することは続くことだろう。


【ダニエル】

「マコトくん」の神官として、直接、彼の神託を聞き、皆に伝えるという栄誉も賜ることができ、彼女は満ち足りた日々を送っている。今の最大の関心事はやはり、「マコトくん」が降りる予定の依代創りだ。依代に、神官として祝福を与える役目を担いたい、とも考えているが、彼女より力のある神官も多く、あれもこれもと抱えるよりは、皆で分かち合う道を結局は選ぶことだろう。


【護衛人形達】

ジョージと共に護衛としてきっちり仕事をしてくれているのだが、なかなか描写されることが少ない。実際、目に見える位置で護衛しているシーンより、裏で各方面と調整しているシーンのほうが多いので、そんな彼らの苦労話もいずれは短編で描いていきたいところ。まぁジョージとのセットにはなるけれど。


【農民人形達】

アキが食べている野菜やお肉も彼らが生産してくれていればこそ。そんな訳で、本編では触れられてないが、アキも時折、彼らの仕事風景を邪魔しないように訪問したりはしてる。綺麗な庭も、彼らが日々、手入れをしているからなので、たまに描写してあげたいところだ。


【ロゼッタ】

心話ができないほど精神的に追い詰められたアキを何とか労わりたいと、あれこれ画策して、雲取様をショートウッドに招くことで、アキとの再会の機会を設けることに成功した。短い時間だがアキと触れ合うことで、心配し、大切に思う気持ちは伝えることができた、と手応えを感じている。今後もある程度の頻度でアキを伴って竜達がショートウッドにやってくることも約束されたので、ロゼッタの思惑通り、アキも、ロゼッタのことを少し重い、と感じながらも、その溢れる熱意と愛情に癒されることだろう。


【タロー】

仮想敵部隊アグレッサーの仕事もかなりペースダウンし、代わりに増えたのが小鬼族の文化、風習を学ぶ、という文官としての仕事だった。小鬼族に酷似した外見を活かして、小鬼族の中に踏み込んでいく同僚達を束ねて、全体を統括するのが近頃の彼の仕事である。また、神子候補として集まった小鬼達も、面白い交流相手であり、同僚を誘っては、彼らとの語らいに時間を割いているようだ。


仮想敵部隊アグレッサーの小鬼人形達】

成人の儀で正面部隊を担うような小鬼達を模した彼らだが、その中身は魔導人形の中でも腕利きで、洞察力に優れた意欲溢れる者達であり、小鬼族の文官達が続々とやってくると、彼らの生き方、振舞いを観察し、それを取り入れる試みを始めた。初めは変に真似て気味が悪いなどと言われることもあったが、わざとらしい粗野な振舞いを脇に置いて、誠実に接する彼らに対して、小鬼族の文官達もまた、少しずつだが、面白い連中として受け入れ始めているようだ。


【仮想敵部隊の鬼人形さん】

定期的に常駐している鬼族達と手合わせなどもしているが、鬼族連邦の情報も大量に流れ込んできていることもあって、そちらの知識を学び、鬼族としての考え方に触れる、という文化面での活動が増えてきた。ロングヒルで活動する鬼族が増えたことに合わせて、鬼人形も増やすべき、と打診したりもしてるが、さてどうなることやら。


【大使館や別館の女中人形達】

当たり前のように大勢の魔導人形達が働く様子も日常化し、病院通いするように、人形遣いの工房に出入りする人形達の姿も眺めるようになり、と共和国でもそうそうお目にかかれない光景が、ロングヒルでは現出している。いくら手があっても足りない、なんて有様で、裏方でもいいからロングヒルに行きたい、などと移動願いを出す魔導人形達も増えてきているらしい。


【館(本国)のマコト文書の司書達】

マコト文書の問い合わせは減る気配を見せず、増員された新人の司書達もまた、毎日の荒波に揉まれて、驚くべき早さで、その技能を高めつつある。ただ、やはりマコト文書の知識もある彼らからすれば、コンピュータのないこちらの世界が、どれだけロスが大きいか痛感しているところでもある。彼女達は高い給金から群衆資金調達クラウドファンディングに投じて、何とかコンピュータの完成を夢見ているが、開発の進展は遅かった。ただ、そこに一筋の光が差し込んだ。魔力制限のない瞬間発動魔術の使い手、妖精族達のショートウッド上陸である。彼らの三次元製造魔術を応用すれば、魔術的計算回路も作れそう、などと言い出した連中(翁と賢者、手続きはマサトが手伝った)が現れて、一気に目標資金の獲得に成功したそうだ。案外、近いうちにこちらの世界でもコンピュータが産声を上げる日は来るのかもしれない。



◆家族枠


【ハヤト】

十二章は対外的な話が多かったので、気が付けば本編描写なし。ちゃんと家族として接してはいるんですが、十三章で少し補完しておきます。心話ができないくらい精神的に余裕がないアキのことを色々と心配してアヤと共にあれこれやっているんですけど、短編で補うほうがいいかも。妻のアヤと共にロングヒル常駐の議員として、共和国の対外活動の一端を担ったりしててそこそこ仕事もしてるんですけどねぇ……。


【アヤ】

アキに信仰に支えられた神々の説明をしたりと、心話ができないくらい精神的に余裕がないアキのことを色々と心配してハヤトと共にあれこれやっているのだけれど、出番はちょっと少ない。出番がない夫よりはまぁマシですが、短編で補うほうがいいかも。夫のハヤトと共にロングヒル常駐の議員として、共和国の対外活動の一端を担ったりしててそこそこ仕事もしてるんですけどねぇ……。


【リア】

アキが心話を行えない間も、姉の意地とプライドにかけて、雌竜達にも協力して貰いつつ、着実に心話の技能を高めていっている。また、研究組の一員として、アキが踏み込めない専門レベルの検討にも参加しており、アキの代わりにリアが行う、といったシーンも増えてきている。そんな自己にも厳しい一面を持つが、アキから「リア姉」と親愛の気持ちで呼ばれれば、凛々しい表情もどこへやら、楽しそうに話を聞くのだから、リアもミアのことを言えないくらい、シスコンを拗らせていると言えるだろう。


【ミア】

ミアがあれこれやってきたことも、だんだんアキにバレてきているが、恋は盲目、同じことを見ても、贔屓目で判定が傾くので、ミアの株は上がることはあっても下がることはなさそうだ。街エルフらしく、興味のあるところには手を伸ばすけれど、そうでないところは他人任せ、なのだが、ミアの場合、他人=財閥、ということもあって、その影響を受ける人達が膨大になる。今後もミアの所業はあちこちで露呈していくことだろう。



◆妖精枠


【シャーリス(妖精女王)】

召喚体制を見直し、主要メンバーが召喚されていない時には、一般枠の人員を召喚させるなど、柔軟な運用を始めたりしているが、それは一度行けば二度行きたい、二度行けば三度行きたい、といったように妖精達の物質界熱がまるで収まらないからだ。更にリア&アキから供給される魔力に頼るだけでなく、召喚される側の魔力を利用することで、さらなる召喚枠の拡大を図れないか、などと言い出す術者達まで出てきている始末であり、全体を治める立場としては、難しい舵取りを迫られることが続きそうだ。


【賢者】

術式の研究も、竜族の竜眼で大きな飛躍をみたが、その恩恵も一山超えた感じで、初期のような怒涛の技術革新とはいかなくなってきた。そこで彼が希望を見出しているのが連樹だ。植物という根本的に異なる視点と、多数同時思考という超知性が加われば、研究組の開発技能も更なる飛躍を遂げる、と考えているのだった。ちなみに、召喚の楽しさ、物質界だからこそできる研究についても、興味ある者達がいれば、説明して回るといった地道なこともやっている。これは自分の好奇心に賛同する者達と交流することが楽しい、というのもあるが、同じ召喚沼に引き摺りこんで、開発力アップに繋げようという打算も大きい。そして、そんな打算に拍車をかけているのが翁の悪知恵だったりする。


【宰相】

国自体が活性化していること自体は喜ばしいものの、いささか制御を離れつつある兆候も見えてきているために、自分達の住む妖精界にも目を向け直すべきだ、というキャンペーンを打ち出したりしている。物質界で得た知見を妖精界にもどんどん適用していこう、新たな発見は身近なところにある、といった具合である。世界間通信を活用して、以前よりも情報自体は流れてきているが、それを理解し、血肉と化すペースが追い付いてない、というのが彼の持つ懸念である。


【彫刻家】

膨大な魔力を用いた高効率な浄化術式、その魔方陣の改良作業に最近は熱中している。遠征などしない妖精族にとっては、妖精の国を流れる地脈は無駄遣いできない有限の資源であり、そうそう派手な試みなどできるはずもない。しかし、「死の大地」ほどの広さとなれば、使える魔力も半端なレベルではなく、これまで試せなかった様々な術式も試せるし、失敗しても被害を受ける相手もいない、と良いことずくめである。彫刻家の遠慮を捨てた技術提供がどんな結果を生むのか。竜族も竜眼でチェックしているし、街エルフも可能な範囲で徹底して検証しているから、確認ヨシ、と研究組は言うだろうけれど……。


【近衛】

一割召喚された連中を束ねて引率するのが最近の彼の日課となっている。本業を疎かにはできない、と言っても、部下にシャーリスの護衛は無理、などとは言えないし、シャーリスから、近衛でなくては頼めぬ仕事だ、と言われれば、断れる筈もなし。そんな訳で、近衛も当面は、すぐに乱雑に散ってしまう妖精達の統制を維持しようと奮闘する日々に追われることだろう。


【一割召喚された一般妖精達】

軍人達だったり、抽選を潜り抜けた一般市民だったりと、一割召喚される妖精達の顔触れは多彩で、毎日のようにメンバーが入れ替わる有様で、妖精界での熱気はまったく収まる気配がない。また、共和国での妖精達への関心も高まっており、竜と共にショートウッドに訪問して大人数同士で交流を深める、といった話も今後は本格化していくことだろう。



◆鬼族枠


【セイケン】

調整組の一員として、鬼族のロングヒルでの代表として、あちこちの会合にも顔を出し、何故か研究組の集まりにも呼ばれて、ブレーキ役を求められ、と優秀な男には、更に仕事が舞い込んでくる、というスパイラルに嵌っているようだ。十二章では語られてないが、実は彼の妻子も、女衆と共にロングヒル入りしている。では、なんでアキにその話が伝わり、接点を持つ流れにならなかったのか、というと、実は、五歳の娘が、大好きな父を取った相手としてアキのことを嫌っているからだった。他にも理由があってのことで、そのあたりは十三章で語られることになるだろう。


【レイハ】

彼も、セイケンの付き人というか秘書的な立場となって動くことが増えてきた。竜族も何かあるととりあえずセイケンを頼る、といったことがあるからだ。そのため、他のメンバーとの調整や雑事は彼が取り纏めるといった具合に、作業分担が進んできた。


【トウセイ】

彼の一族も、不遇の扱いから一転、脚光を浴びる待遇に変わって、それに伴って変化の術を編み出した彼への注目も鰻登りになっている。ただ、不遇の時代が長かっただけに、急に寄ってくる連中を無条件に歓迎するのは、やはり気持ちが割り切れないようだ。それでも、なんだかんだと手を貸してくれていたのも事実なので、一族の者達にも、変化の術の改良、研究の課題を渡して、作業分担を始めたのだった。研究組としての彼は、ソフィアに気に入られていることもあって、頻繁に引っ張り回されて、あれこれ首を突っ込む羽目に陥っているが、そんなやり取りも彼は楽しんでいるようだ。


【レイゼン】

何とか国を纏めて、鬼族としては異例な速さで、トウセイの一族への処遇も改善したつもりだったが、ロングヒルに集まってみれば、連邦がマラソンペースで入っているところを、帝国はリレー形式で飛ぶように走っている事に気付かされた。連合はといえば、敢えて多数を同時に走らせることで多様性を生み出しており、単なる早さとは異なる土俵で歩んでおり、街エルフはと言えば、高価な魔導具や魔導人形達を大量投入して、質と量の両面で充実しきった支援という名目で三大勢力全てを追い立てているようだった。彼もまた、連邦の代表であり、自他ともに認める英雄として、多少の劣勢で音をあげたりはしないが、異なる尺度が乱舞する状況には、手を焼いているようだ。


【ライキ】

連邦に帰っているので、本編での描写はなし。ただ、女衆にあれこれ心配され、弄ばれているだけに、頻繁に届く手紙を読んでは、あれこれ頭を悩ましているようだ。また、レイゼンの鶴の一声で、軽口を叩いた連中が根こそぎ招集されて、天空竜相手の洗礼の儀に参加させられることが伝えられて、彼女も武闘派の統制を引き締めるために奔走させられている。秋には天空竜を招いて、神子を介して交流もしなくてはならず、どんどん押し寄せる話に、武闘派だの穏健派だのと拘っている場合ではない、と考えてシセンと相談を始めたようだ。


【シセン】

連邦に帰っているので、本編での描写はなし。手配した文官達は優秀な者達であり、これで十分対応できるだろうと安心していたところに、連日のように補助要員の要請や、魔導具の工面を求める手紙が届き、何が起きたのかと驚いた。比較対象が大量に魔導人形を投入している街エルフ達や、専門分野に特化した人員による徹底した分業体制を敷く小鬼達(しかも、その中でも精鋭連中)とくれば、見劣りするのも仕方ないところだろうが、検討や提案が常に後手に回る、というのは対外的にも、対内的にもいい話ではない。そんな矢先、ライキから、受け手に回っては駄目だ、と相談が持ちかけられ、彼もまた、何か突破口を開かなくては不味いとの思いから、話し合うことを決めたのだった。


【鬼族の女衆(王妃達)】

身長二メートル近い、オバちゃん三人衆、その正体は本編でも種明かしされたように、レイゼンの王妃達であった。リーダー格のウタは他の二人(テル、ハナ)よりも、より高いレベルでまつりごとに関わっているようだ。テルは料理を、ハナは服飾を主に担当しており、三人揃って歌ったりもして、なかなか賑やかな方々だったりする。本人達も言ってるように、化ける技術はかなりのものがあり、王妃の姿になったり、女中の姿になったり、オバちゃんの姿になったりと、その技を活かしてあれこれやっているようだ。こんあパワフルな奥さんが合計五人もいれば、いくら英雄レイゼンとて、押され気味にもなろうというものである。


【セイケンの妻、娘】

セイケンの欄でも述べたが、実は女衆に混ざって、母子でロングヒルにやってきて、セイケンと半年ぶりの再会を楽しんでいた。娘はアキのことを嫌っており、それ以外にも理由があって、会わせる訳にはいかなかった。ロングヒルに滞在している者達の役目もかなり変わってきたので、セイケンが帰国すると再出国が難しくなる、などという事態も想定せずとも良くなったので、今後は週一回程度ではあるがセイケンも家族の元に帰って、一家団欒をすることもできるようになるだろう。


【鬼族のロングヒル居残り組メンバー】

女衆と共に文官の増員も行われて、やっと一息つける状態となった。ただ、事あるごとにレイゼンと衝突するユリウス帝やその部下達の寸暇を惜しむかのような怒涛の提案や問い合わせなどに、手がとてもじゃないが追い付かない。実はあっちも帝国の最上位の優秀官僚達がトップスピードで働いているからこそできる仕事なのだが、鬼族の感覚では、最優秀人材を最前線に放り込む、という発想に至らないために、そんな認識のズレは埋まりそうもない。そのため、足りぬ足りぬは工夫が足りぬ、と言わんばかりに今いる人員で何とか工夫して対処することが求められ、かなり苦労しているようだ。


【鬼族の職人達】

女衆の到着までに何とか屋敷を作り上げたものの、来たら来たで、あーしろ、こーしろと手直しの指示がばんばんと出されて、休む暇がない。女衆とて無理筋を言ってる訳ではないだけに、職人達も時間に追われながらも創意工夫に精を出す日々だ。そんな彼らも、日が落ちれば、他の種族の職人達との交流を兼ねた宴会などに繰り出すようにもなってきており、親睦の輪は着実に広がっているようである。



◆ドワーフ族枠


【ヨーゲル】

大勢のドワーフ達を束ねる代表として、調整組の一員として、彼は今日も大忙しだ。今回は調整組の出番がなく、本編描写はなかったが、それなら彼が暇しているかというと、そんな日などありはしない。あれこれ思いつくと、必要とあれば、予算と資金と人員が潤沢に供給されるせいで、ついついゴーサインを出してしまう毎日だが、ドワーフの国であれば、もっと慎重な判断をしていたことだろう。天空竜と妖精のペアによる「死の大地」の空からの調査、浄化杭の設計、妖精の道に放り込む発信器ビーコンや信号を受け取る受信器の妖精界と設計図だけで共通規格を作り上げる作業など、ドワーフをしても難度の高い研究、開発が目白押しだ。だが、半端な連中まで集めてはドワーフの名に傷がつく。増大する要求に応えつつも、少数精鋭主義をどれだけ貫けるか。ヨーゲルの戦いは続く。


【常駐するドワーフ技術者達】

当初の想定を超える頻度で利用される馬車の改良作業は、使われていない時間帯に行うしかないため、進みは鈍い。ただ、それを補うために、試験用車両を別に作っており、余計な装飾が付いてない車両の試験光景は、ロングヒルに来ている他の種族の注目を浴びることになった。見て覚えろ、技は盗め、といったところだろうが、彼らも本当に重要と考える技術は外からの観察では類推すらできないよう工夫はしている。……ただ、その基準が他種族とはかなりズレているので、見学を望む声は減る気配を見せない盛況ぶりだ。自分達のマイナーな車両開発に注目が集まるのは悪い気はしないので、邪魔にならない程度に受け入れているが、全体の統制をしているヨーゲルも、どの程度まで開示していいか悩ましいようである。


【施設建設で派遣されてきた百人のドワーフ技術者達】

複合工業施設の見直しもある程度進んできたが、そんな彼らに普段と違う無理難題が降ってきた。草木を「死の大地」に植えて根付かせる為の自然分解される小型ケースを取り敢えず百万個、最終的には億の単位で作るよう依頼が来たのだ。それも小鬼族の技術力で大量生産可能で、安価で、軽量、強度もあり、必要な性能を満たせるモノ、ときた。ケースには根付くのに必要な土、養分、水分を含み、簡単に流されないモノとの注文付きだ。ドワーフにはそんなケースの設計、生産に向けた技術指導をして欲しいと。草なら種を、木なら苗を入れるのでサイズは色々と検討して欲しい、といった具合にユリウス帝から依頼されたのだ。普通なら、無理難題言うな、で終わったところだろうが、アキがそこで地球(あちら)の例を示して、皆さんならできる、と煽ったために、結局、引き受けることに。

そのあたりの話の経緯は十三章の本編でも()()()()語られることだろう。


【ドワーフの職人さん達】

後から後から、どんどんロングヒルに人が集まるために、ドワーフ達への製造依頼も留まるところをしらない。そんな彼らの最近の癒しは、妖精達が自分達用に作り始めたツリーハウスの見学だったりする。三次元印刷の要領で部品を作り、魔術で材料を加工して、作っていく様は、自分達と全く異なる技術体系であるのと同時に、自分達とは別の(ことわり)に従って作られていることが理解できた。そんな光景を眺めていれば、何か心に響くものがあるというものだ。そうして眺めているドワーフ達がいれば、自然と妖精達も近寄って話し出すことになり、交流も活発に進んでいるようだ。



◆森エルフ族枠


【イズレンディア】

各地の樹木の精霊(ドライアド)の探索と協力を取り付ける交渉が必要となり、森エルフの精霊使い達に対するニーズが高まった。また、「死の大地」の緑化についても、草木には一家言ある森エルフの協力は欠かさない為、本国から農林業の専門家達を招集する事も決まった。その為、森エルフ達の滞在施設も拡張する事になり、周辺の山林も、技能研修区域として確保する事になった。思わぬ人気ぶりに、ドワーフに並ぶ存在感を出せると喜んだのも束の間、コミュニケーション能力の低さが問題になりそう、と頭を抱える事になった。お互い技術者同士、同じ知識分野を持ってるなら交流も進むはず、と見切り発車する事に。

彼も対外的な森エルフの窓口として、今後も重用される事だろう。


【森エルフの職人さん達】

コツコツと続けていた別邸の増築作業も完成を迎え、大工達は満足そうだったが、新たにやってくる農林業関係者の為に、滞在施設を作る事になり、そちらに駆り出される事になった為、まだ当面、彼らが帰国する事は無さそうだ。また、料理人達も大勢やってきた。鬼族の女衆の熱意に応える為でもあるが、多くの調理技法、新しい食材の話を聞き、自分達も試してみたい、との熱意に押されたのだ。他にもポツポツと様々な分野から職人達が愛用の道具を携えてやってきた。イズレンディアの地道な努力の成果だった。


【ロングヒルに常駐している森エルフ狙撃部隊の皆さん】

彼らの警備における立ち位置に変化はないが、全国で樹木の精霊(ドライアド)の探索と協力を取り付ける任務が立ち上がってきた為、精霊使いとしての力量に加えて、交渉にも長けた者が引き抜かれる事になりそうだ。そうなると、他社との交流を得意とする森エルフが更に減るので、イズレンディアへの負担が増して、彼が強権を発動する日も近いかもしれない。


【森エルフ&ドワーフの心話研究者達】

冬の間の研究を経て、やっとアキとの心話を試せる段階まで到達した。後はアキの心話解禁となれば、すぐにでも試せる見込みである。ただ、小型召喚体の雲取様と話ができるようになった為に、少しモチベーションが下がった。そこはケイティが、普通の対話と心話の密度の違いを熱弁し、先ずは自分がやると宣言して、皆を引っ張った。



◆天空竜枠


【雲取様】

他の者達の歩みを止める役を頼まれたり、竜族のことを伝える役目をお願いされたりと、やはり竜族の中では最も信頼され、参加を求められるようになってきた。小型召喚のお陰で、庇護下にある森エルフやドワーフ達との交流も今後は活発になっていく事だろう。そして、今、彼の最大の関心事は、「死の大地」の初探査に向けて、小型召喚体で予定されている各種飛行訓練だったりする。魔力の減りを気にしないで済むので、これまで諦めていた大気圏まで全力上昇した上での超音速巡航が試せる、と大喜びだ。


【雲取様に想いを寄せる雌竜達】

今回は雲取様が前面に出て会議に参加してた事もあって、本編の描写はなし。十三章では、それぞれが抱える課題に連樹を巻き込んだり、「死の大地」の浄化に向けた探査訓練に参加したり、樹木の精霊(ドライアド)達の探索チームに関与したりと、盛り沢山の活躍となる見込みだ。


【福慈様】

「死の大地」の浄化に向けて、あれこれ、竜族内での意見調整に動いてはいるのだが、その様子はあまり伝わってこないので、本編では描写なし。何頭か、不満を持つ竜がいたが邪魔をしないよう言い含めた、と言う話があったが、その何頭かは老竜を指し、言い含めたのは福慈様だったりする。福慈様を他の竜が止める超難度ミッションでなくて幸いだった。


【白岩様】

洗礼の儀を受けたいという者達が大勢集まると聞き、白岩様は上機嫌だ。理由はさておき、竜の前に立つというその心意気だけでも、称賛に値すると考えているからだ。ロングヒル以外でも、洗礼の儀を開催する話になり、先駆者たる彼の元にも、あちこちから、話を聞かせて欲しい、と話が舞い込み、彼は快く了承し、自らの経験を、他の成竜達に伝えていった。その中でやはり司会進行役であり、竜と人の間に立つ巫女に話題が集中し、巫女と神子の違いや、自分の地域に来るであろう神子が誰か、といった話も盛り上がっていた。その辺りの話も十三章で対応に追われる事だろう。


【黒姫様】

次はロングヒルで会おうと約束していたが、あちこちから各勢力の代表達が集まっていると聞いて、時期をずらす事にした。彼女が今、興味があるのは、弟の雲取が、他の雌竜達より先に連れてきたという、街エルフの娘、アキだからだ。眼中にない扱いを受けた代表達はホッとしたのか、悔しく思ったのか。それは彼らの胸の内だけの秘密だ。


【アキと心話をしている竜達】

アキが精神的に余裕がなく、心話は危険として、十二章では心話は禁止となった。ただ、長命種たる竜族からすれば、ちょっとした小休止程度の認識なので、それを問題視したり、不満を持つ者はいなかった。十三章では心話も解禁されるので、彼らとの交流も元通りとなるだろう。



◆人類連合枠


【ニコラス】

鬼族と小鬼族の間を繋ぎ、共和国を含めてバランス良く話し合う、そんな議事進行役が近頃の彼の定番となっている。ユリウス帝が過激な提案を行い、レイゼン王がそれに反発して慎重論を話し、長老のヤスケが支援可能な内容を明らかにし、最後に大統領のニコラスが自分達の提案も交えて話を総括して、と言った具合だ。

全体的な視点を忘れず、落とし所を提案して次の話に繋げる、その手腕は皆も認める所であり、彼の立場は当面、安定したものとなるだろう。


【トレバ―】

「死の大地」浄化の件をいち早く本国に伝え、探査船団の一隻を建造、運用すると言う思い切った施策に繋げた手腕は見事だった。自分達で一隻の帆船を運用できれば、連合の中での存在感も強くアピールできる事だろう。


【ナタリー】

「死の大地」浄化の件は、自国でも帆船を運用する事、それといくら連合内の二大国ラージヒル、テイルペーストと言えども、帆船の運用には莫大な経費と人員の育成が必要な事から、両国がノウハウを共有していくよう働きかけている。ただ、これまで凌ぎを削ってきた両国だけに、連携が上手くいくかは未知数だ。


【エリー】

調整組を束ね、研究組への相談窓口となり、存在感を増しているエリーだが、財閥が前に出過ぎて影響力を危険視される状況は、判断に苦しんでいるようだ。財閥を経済優先の商人集団と理解はしていても、あらゆる活動の前提として、「当主ミアの為に」と着く連中だとは知らないのだから無理もない。街エルフの歴史を紐解けば、ミアの為に体制を捻じ曲げるような真似を合法的に何度もやってる事も理解できると思うが、他国、それも長命種の国の古い歴史にまで精通しろというのは、流石に酷だろう。予算の縛りから開放された師匠、あらゆるモノを巻き込んでいく妹弟子にも、当面、振り回される事になりそうだ。


【ロングヒルの王様ヘンリー】

各勢力を迎えるホスト国としての立場も不動のものとなり、今後、何十年かはロングヒルが集う地として確定した事に彼は複雑な心情を抱いていた。人類連合を守る最前線の国として、東の守りの要としての自負はあった。しかし、それが多くの種族、天空竜や妖精達まで交えた種の坩堝、混沌の地と成ろうとは夢にも思っていなかった。自分の治世では、新たな時代の為の土台作りまでがせいぜいと考えてもいる。幸い、二人の王子とエリーは行く末が楽しみな逸材として活躍し始めている。いずれは帝国の先帝を見習い子供達の世代を支援する立場となるのも悪くない、などと妻と語らう日々である。


【ロングヒルの御妃様】

調整組の人々を束ね、各地の王達からも頼りにされるエリーには関心しながらも、婿選びに難儀しそうと気を揉んでいる。ここ数年で、王子達も心の整理が付いて、エリーとの関係も良好で安定したモノになったのも嬉しい。ただ、そんな息子達の苦悩も知るだけに、アキと王子達との交流には難色を示していた。アキの言葉、思想、振る舞い、立ち位置は、息子達に取って劇薬過ぎるのではないか、と。十三章までには家族の間で話し合いが持たれる事になるが、話はすんなりとは決まらないだろう。


【ロングヒルの王子様達】

王族内で業務を分担し、同意を得るために周辺国巡りをするなど、実務上の成果は目覚ましいものがあり、この半年で大きく成長したのは間違いない。王、王妃はまだ時期尚早と考えていたが、ヤスケや他の代表達の進言もあり、王子達とアキの交流の場も設けられる事になりそうだ。


【ザッカリー】

ロングヒルの宰相であり、長年、研究案件絡みでソフィアとやり合ってきた実績を持つ。彼がエリーに帝王学の何たるかを教えたのは、ヘンリー王と王妃の強い要望による物で、夫妻も様々な手練手管で予算を確保するソフィアのことを、研究者として高く評価する一方、要注意人物としても警戒していたことに他ならない。そんな夫妻の考えに強く共感し、ザッカリーはエリーに一般的な帝王学だけでなく、様々な実例を通して、話す相手の視点に立つことの重要性を伝えたのだった。今回は名前だけの登場だが、彼が本編にがっつり登場するのもそう遠い日ではないだろう。


◆小鬼帝国枠


【ユリウス】

連合、連邦と足並みをそろえつつ、帝国内の意見統一と未来に繋がるモデル都市建設に手を伸ばしたりと八面六臂の大活躍を見せる彼だが、財閥からの支援を受け入れつつ、小鬼族の生き方そのモノに手を付けようとする彼の姿勢には賛否両論といったところだ。勿論、各地の王も表立って非難はしないが、失策があればここぞとばかりに、足を引っ張り、その手を縛ろうとする事だろう。ちなみに彼はロングヒルでの出来事に対して多くの手記を残しており、アキの勘違いに対して、誰よりも早く動き、手を取って誤解を解いた行為を、自らの人生でも一、ニを争う、良い選択だったと述べている。


【ルキウス】

皇帝に常に付き従い、身辺警備する彼だが、なかなか反対勢力の連中が動き出さず、ヤキモキしている。どうせ暴発するのだから、早く出てこい、と手ぐすね引いて待ち構えているのだが、皇帝が国を離れて少数の手勢だけを引き連れてロングヒルに通う大きな隙きを見せても、各地の王は動きを見せていない。樹木の精霊(ドライアド)達の探索に絡んで何か起きないかと期待しているのだが。成人の儀で、人口調整を行い難くなる未来を見据えた彼の暗躍も当面続くことだろう。


【速記係の人達=ユリウス帝の幕僚達】

「死の大地」の緑化に関する苗木の確保や世界樹からの祝福、帝国領への連樹の植樹に繋がる地質調査計画立案、帝国利用内の樹木の精霊(ドライアド)探索など、規模が大きく、速やかな立ち上げが必要とされる施策が多く出た中、皇帝が帰国する迄の期間に、関係者達との段取りを全て終えた力量は流石という他ない。時は金なり、を地で行く小鬼族のハイペースに関係者を巻き込み、追随させたのも、彼らの奮闘あればこそ。……まぁ、そんな超速度、走りながら考えるような小鬼族の振る舞いしか見えないせいで、この時期は、小鬼族の生き方が過大評価され続けたのだが、誤解が解けたのはかなり後の時代だった。


【ガイウス】

派手な初期の交流の波も落ち着いて、地道な研究に打ち込もうとしたところに、立て続けにデカイ話が押し込まれ、皇帝陛下や幕僚達が来ているのを幸い、研究者達の大幅増員や帝都との高速通信網の早期確立を直訴し、それを認めさせた。場を整えるのが上の仕事とはいえ、キレ者揃いの皇帝や幕僚相手に成果を勝ち取った彼の功績は見事と言う他ない。


【ユスタ】

小鬼の研究組の紅一点だが、今は数少ない竜族の神子としても活動を求められており、本業の研究よりも、他種族との交流のほうを重視せざるを得ない日々である。勉強熱心で天空竜に対しても恐怖よりも興味が勝つ、という研究者の鑑であり、アキも頻繁に話しかけたりしてて、人目を惹くことが多い。本業は研究、副業として神子、というテストケースでもあり、今後もロングヒルで彼女の活躍するシーンは増えることだろう。


【小鬼の研究者達】

次元門構築に関わるメンバーは粛々と研究と交流に専念している。やはり研究成果はそう簡単には出ないものだ。しかし、そこに「マコトくん」を降ろす依代創り、「死の大地」の浄化、各地の樹木の精霊(ドライアド)達に妖精の道の捜索協力を依頼、連樹の植樹、と新たな課題が立て続けに降ってきた。新たな取り組みはいずれも最終的には次元門構築に繋がるだけに、新たな専門家達を本国から呼び寄せる事になり、全体の纏め役であるガイウスの役割は更に重みを増すことだろう。



◆街エルフ枠


【ジョウ】

共和国とロングヒルを繋ぐ大使の役目は、長老が全面に出て、三大勢力とやり合うようになって、重みが減ったかと言えば、それは逆で、国の規模に合わない、大国の集う都市としてロングヒルの役目がシフトしていく中で、彼らを表で、裏で支えていく役割が求められるようになり、その重みも、対応する業務の幅も、扱う作業量も大きく増すことになった。今は今後を担うロングヒルの二人の王子も交えて、最前線都市から、多くの種族が争いなく集う大都市へと作り変えていく施策を練っているところだ。アキが来る前は変化を求め、退屈だとボヤいていたのだが、それも遥か遠い昔。苦労も多いが、変化を楽しむ日々である。


【街エルフの長老達】

不本意ながら、共和国の地に天空竜を招き、交流を歓迎すると表明せざるを得なくなり、最終的には合意したものの、今回の判断も長老全員が賛成したわけではなかった。表に出ている三人はまだ公私の折り合いがついているが、それ以外、穏やかな若い世代の竜と接点がなかった者達は、変化を実感できなかった為だ。そんな本国組の長老達も、ショートウッドへの竜達の訪問が増える事で、街エルフの高齢層も、アキ達が触れている思慮深い竜達と交流していく事で、変化が生まれる事を期待している。決して少なくない竜の暴威を知る世代、その受け皿が無くなれば、統制が効かなくなる。それを彼らは憂慮している。世代間の衝突が過激にならないよう危ういバランスを取る彼らの仕事は当面気が抜けないだろう。


【船団の皆さん】

アキからのお願いで、各地から持ち帰る品に、召喚にも使えるような逸品がゴロゴロと増えたりしているが、今、各地に派遣されている船団は、これまでに無い熱気に包まれていた。以前なら母港で帆船がメンテされている間、世界に出ていけず燻っている連中を憐んだものだった。それが、今では、「死の大地」の浄化という前代未聞の巨大プロジェクトが発表され、全国にいる力ある樹木の精霊(ドライアド)達の協力を仰ぐ探索隊の大規模派遣、というように本国が世界で最もホットな地域に変わったのだ。特に航路が安定し、交易がメインとなっている船団では、現在の権限の範囲内で如何に早く帰国するか、なんて話が真面目に議論されているくらいである。そんな派遣されている船団の騒ぎの半分くらいは、居残り組で纏め役でもあるファウストのせいだったりする。彼が、アキへの協力を皆に呼びかけ、列島全域を巻き込んでいく台風のようなお祭り騒ぎを、熱心に発信しているからだ。本国に残った彼を労りつつも揶揄った仲間への意趣返しなのだったが、効果がバツグン過ぎた。


◆その他


【ソフィア】

次元門構築を最優先とする旨の方針が示された事で、ソフィアの懸念が一つ払拭された。理論構築にも苦慮する中、何とか実地調査や、検証、実験をして突破口を開かなくては、構築など夢また夢と理解しているからこそ、アキを必要以上に追い詰めないよう、演技半分、好き放題やる姿勢を見せていた。アキの精神的な危うさもそろそろ、心話解禁まで回復してきたのも好材料だ。

連樹、世界樹、「マコトくん」、それに竜族に妖精族。神と崇められるレベルの存在を掻き集めたはアキの大金星、ならば、師として、最高の魔導師としての自負を持って、何としても結果を出してみせる……そんな内なる熱意が十三章で花開く事だろう。毒花だろうと、腐花だろうと、花は花である。


【街エルフの人形遣い達】

この冬は、街エルフの人形遣い達の出番もそれほど無く、人形達の整備や修理に時間を割くことができた。おかげで、春先に各地から代表達の使節がやってきた際には、修理待ちで空間鞄に放り込まれている人形をほぼゼロで迎えるに至った。

これで、後は稼働率の高い女中人形達のメンテに専念できると思った矢先、人形遣い達に招集が掛かる。各地の樹木の精霊(ドライアド)達の緊急探査要請が原因だった。十三章では冒頭から鉄火場に放り込まれる彼らの不満が噴出するのも、そう遠い日では無いだろう。

魔導人形は生き物と違い、障害は自然には治らない。そして腕のいい人形遣いはやはり限られる。すぐには解決できない悩ましい話である。


【連樹の神様】

様々な願いも快く引き受けてくれた見返りは、関東平野にも匹敵する広大な「死の大地」の浄化と、連樹を八箇所に植樹する事だった。新たな様々な協力に対しては、帝国領への植樹と、共存する民の提供で釣り合いを取るなど、やはり神との約束は極めて重い事を為政者達は理解した事だろう。だが、連樹の神はこれでも、地の種族への理解溢れる方なので、他の神々との接触は要注意だ。リスクだらけでリターンどころか持ち出しだらけなんて話にも成りかねないのだから。

今後は、様々な術式の改良や、依代の見極めなど、連樹の神に頼るシーンは増えるが、膨大な数の信者をいくらても受け入れられる信仰系の神とは異なるので、そろそろ追加のお願いは受け入れ中止になるかもしれない。これほど忙しい状況は連樹の神とて初めての経験に違いないからだ。


【ヴィオ(ヴァイオレット)】

アキと文を交わしたり、連樹の神が関与していく施策の話について行けるよう、特別教育を受講してきた事で、彼女は連樹の民の中ではかなり外への理解ある存在となった。巫女として連樹との暮らしに深く関わってきているだけに、神官達の反応も頭が固いだけでは無いとわかっており、外部とのバランスをどう取るか悩む事も多い。


【連樹の神官達】

連樹の神が多くの者達から頼りにされる事態は誇らしいものだが、神聖なる社に、小鬼族や鬼族、それに竜族や妖精族まで押し掛けてきた事には、かなり不満を持っているようだ。歴史を紐解けば、連樹の森が小鬼や鬼、天空竜に襲われて被害を受けた事もあるだけに、そうそう割り切れるものでも無いのだろう。外に出した若者達の様子も気掛かりだ。彼らが送ってくる情報は確かに有用だが、街エルフが支援するロングヒルの暮らしは、あまりに豊かで刺激に満ちていて、連樹と共に暮らす伝統を守る彼らからすれば、安心できる要素が殆ど見つからないのも頭が痛い。事実、若衆の間でもロングヒル市街での暮らしに憧れる者達も出てきている。アキが示した鳥居前町の案を何とか活かして、連樹の民の生き方を残そうとする彼らもまた、苦悩しているのだ。


【連樹の民の若者達】

ロングヒルでの生活もだいぶ慣れて、様々な種族とも交流の機会を持つ事で、視野も大きく広がった。ただ、ダニエルが主催するマコト文書の教えを紹介する集いにも参加しており、連樹と共にあった暮らしの小ささ、世界の広さ、実在する二つの異世界のあまりの差にかなり衝撃を受けてもいるようだ。幸い、今後、弧状列島内でも、連樹の神は、重要な位置を占めるのは間違いないので、彼らも自分達の森を疎かにはしないだろう。


【世界樹の精霊】

東京タワーより大きな巨木の精霊は、アキは引っ込み思案な幼女と認識され、連樹の神や雲取様からものんびりしていると称されているくらいには、時間感覚も長命種寄りだ。しかし、森エルフから神木として扱われるくらいには長い年月を共に過ごしており、雲取様の庇護下に入るまでは、結構、苦労もしている。森エルフとは共存関係にあり、彼らの助けがなければ、今の大きさまで成長する事も出来なかった事だろう。なので、他の樹木の精霊(ドライアド)達に比べれば、地の種族の事は良く理解している方であり、世界樹はだいぶマシな方だったと皆が理解するのもそう遠い日では無いに違いない。


樹木の精霊(ドライアド)達】

大きく分類すると、世界樹や連樹も含まれるが、十三章では、弧状列島全域にいる全ての樹木の精霊(ドライアド)達へと協力要請が行われ、彼らの元へとまずは探索者達のパーティが訪問ししていくことになるだろう。力の強さも、考え方も、置かれている状況も千差万別であり、連樹から教えられた通り、彼らは基本、個人主義であり徒党を組むこと自体が稀なだけに、その対応はかなり手を焼くことになりそうだ。


【マコトくん】

直接、具体的な指示を伝えたり、文句を言ったりと、信仰によって存在する神の中ではかなり異質な彼だが、依代に長期間、降りると言うのは前例の無い行いであり、かなりの英断だったのは間違いない。しかし、彼が「マコトくん」である以上、ミアと信者を並べれば、一切の躊躇なくミアを選ぶのも確かだ。マコトもそうしたし、彼だってそうするのだから。降りてしまえば、わざわざ神託などせずとも考えは伝えられるし、依代ではあるが、体がある事で自己を保つ事も容易となるだろう。それは「マコトくん」自身にとって大きな変化を生む行為であり、何を意味するのかは、降りた後に彼自身が語ってくれるだろう。

誤字・脱字の指摘ありがとうございました。自分では気付けないことが多く助かります。

次回は、「第十二章の施設、道具、魔術」になります。

投稿は三月二十八日(日)二十一時五分の予定です。


<補足>

慌てて書いたので、次回投稿までに、見直します……。

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