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12-27.財閥の立ち位置

前回のあらすじ:ファウストさんから、船団の仕事や組織変更についてざっと話を聞くことができました。樹木の精霊(ドライアド)達を探すための精霊使いが足りない、という話でしたけど探索者の皆さんが対応してくれるなら、かなり助かりそうで良かったです。(アキ視点)


次の話はマサトさんとロゼッタさん。財閥ペアからだね。


「それでは、次は我々、財閥の活動を話します。①アキ様の精神安定、②「マコトくん」の扱い、③竜神子支援機構の趣旨、④「「死の大地」開放に関する方針、の四点です」


ふむ、盛り沢山だ。


「①アキ様の精神安定、については、今回の不安定化は心話の相手によるモノではないので、回復後の心話の再開自体は反対するものではありません。ただ、これまでに心話をされている、アキ様をよく知った相手と先ずは心を触れ合わせて、彼らの評価を聞いて下さい。アキ様の心が安定を欠くようであれば、その要素を取り除くべきです。不安定なまま無理をするような事は避けてください」


「心話は当事者以外、手出しができないノデ、心配なのデス」


二人に切々と懇願されてしまった。


<そこは我も含めて、見極める事としよう。アキは自分の事には無頓着だからな。周りの者が見ていないと、何処かに行ってしまうやもしれん>


まるで、目を離すと危ない事をしちゃう幼児のような扱いだけど、三人とも茶化している訳ではないので、そこは神妙に頷いた。


「先々、「マコトくん」とも交流する事になるので、安全寄りで判断するようにします」


そう話すと、とりあえず皆は納得してくれた。


「次は②「マコトくん」の扱いデス。アキ様、ミア様からの手紙を受け取ったと聞きまシタ。支障のないよう範囲で内容を教えて下サイ」


ふむ。僕はミア姉の手紙の内容と言う事で、信仰に支えられた神々との交流は期待薄である事、「マコトくん」はその中でも期待できる恐らく唯一の神である事、あと、ミア姉は「マコトくん」を放置してたから、扱いは慎重にって感じだと説明した。


神様なのに扱いがぞんざいだ、とファウストさんが苦笑し、長老の二人はミアだからそんなモノだ、と軽く流していた。


「有難う御座いまシタ。海外の神々や精霊達の所縁(ゆかり)の品もそうデスガ、接触相手は厳選していきまショウ。漠然とした目的で接していい相手ではありまセン」


確かに。僕は静かに頷いた。


「③竜神子支援機構の趣旨ですが、アキ様は我々が支援機構をどう考えていると推測したか教えて下さい」


「三大勢力や共和国には、ミア姉救出に繋がる本業に専念して欲しい、だから枝葉末節なところはお礼を兼ねてフォローしておこう、ってところかなと思いました」


ほう答えたら、マサトさんも、ロゼッタさんも満足そうに微笑んでくれた。


「正解です。幸い、アキ様のサポートをする中で、神子に必要な活動を我々は誰よりも把握できていたので、話が揉める前に素案を示して、落し所に話を誘導しました」


丁度いい手札があったので使っただけ、とも。

まぁ、そんなところだよね、と納得したけど、ファウストさんや長老の二人は呆れた視線を投げてきた。


「何か気になるところとかありました?」


大筋問題なしですよね、と話を振ってみたけど、今度は僕にまで呆れた視線を向けられてしまった。 


「俺も詳細は知らんが、船団や財閥の物流網に匹敵する新組織の立ち上げなのに、片手間のように話されれば、呆れる気持ちにもなるってもんだ」


ファウストさんが教えてくれた。ふむ。


「でも、財閥の持ち出しは少ないし、各国から人材や資金を募って、独立運用させてくんでしょう? それなら財閥への影響は少ないし、ミア姉救出の為の研究支援や、「マコトくん」の依代創りに専念できるし、実際、一部を担うだけだから、そんな認識になるのも当然でしょう」


そう話すと、クロウさんが補足してくれた。


「こいつ等は、裏で意見調整せずとも、事がミアに関することとなれば、視点は変わらん、そう言う事だろう。今回の件で財閥の持つ力を危険視する種が蒔かれ、支援機構が動き出せば、種は芽を出し、大きく成長するだろう。だが、そのリスクを取る道を選んだ。財閥の方針は昔からブレないな」


「ミア様を支える為の組織なのですから、そこは揺らぎません」


マサトさんもそれは当たり前の話で、その為に財閥の立ち位置が悪くなるなら、状況自体を覆しましょう、と言い切った。


その発言を肯定するロゼッタさんも含めて、二人を指して、財閥とはこんな連中の集まりなのだ、とクロウさんは雲取様に話した。


<財閥はアキの活動をサポートするが、あくまでもミア殿の為にある組織、そう言う事か>


雲取様がそう話すと、覚えのいい生徒を見るように、クロウさんは笑みを浮かべた。


「その認識で正しい。必要とあれば無理を押し通し、道理を蹴飛ばす、そんな連中と覚えていただきたい。そして、今回、竜族の窓口である貴方に話に加わって貰っているのは、アキの旗振りに賛同して集う者達が、それぞれ思惑があり、似た方向を見つつも、異なる目的を持つ事を理解して欲しかったからだ。それと、何か違和感を感じたら、歩みを止めるよう動いて欲しいからだ。貴方が立ち止まるよう提案すれば、皆も耳を傾けよう」


クロウさんはそう話し、僕に話を振ってきた。


「アキ、他の皆が進もうと話してる時に、今、まさに「死の大地」に浄化の杭を投下しようという、その瞬間、全て問題なく推移してたとして、雲取様が、待てと言ったらどうする?」


「それは待ちます。投下を止めて一旦仕切り直します。意味もなくそんなタイミングで、止める訳がありませんから」


なんでそんな当たり前の事を、と思ったけど、一応答えた。僕の返事は予想通りだったようで、この通りだ、なんて言ってる。


「貴方に全体を仕切れ、と言うのではない。ただ、必要があれば、皆に歩みを一度止めて考えさせる、そんな役目を担って欲しい。これは貴方にしかできない役目だ」


クロウさんは、感情を横に置いて、公平な目で見て、雲取様をそう評価した訳か。なんか自分の事のようで嬉しいね。


<我も加減を間違えて謝った事があり、どんな場合もとは言えんが、必要とあれば、皆を止めるよう動く事を約束しよう>


誠意には誠意を、信頼には信頼を。


感情的には折り合いはつかなくても、共に歩く事はできる、そう思える確かな絆がそこにはあった。





「そして④「死の大地」開放に関する方針ですが、これは長老のお二人に話して貰いましょう。その件は、財閥ではなく、共和国が前面に出て活動していきます」


マサトさんはそう切り出した。財閥は手を引くわけではない、他の組織も主導できないからだ、と簡単に補足してくれた。


そう聞いて安心した。誰がトップでも活動を推進してくれるなら、それでいいからね。


そう考えたら、ジロウさんが釘を刺してきた。


「アキ、お前がミアの事を第一と考えるのは理解している。だが、街エルフである事も忘れてはならん。我々に深い因縁のある「死の大地」。常にとは言わんが、公の場では鎮魂の念と、彼の地への望郷の念を示すのを忘れるな。単なるポーズであろうとも、示す事が不可欠だ」


ジロウさんは、国と言う存在の厄介さを示してきた。面倒臭いからお任せします、と押し付ける訳には行かない、それが表情から感じ取れた。

ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。

今回は財閥の立ち位置、考え方についてのお話でした。彼らにとってアキは賓客ゲストであって主人はあくまでもミア。そこをよく理解しておかないと、いざという時に彼らの行動を見誤るかもしれません。アキがミアのことを第一に動くので、両者の道が違えることは殆どないとは思いますが……。

次の投稿は二月二十八日(日)二十一時五分です。


<雑記>

AQUOS Sense4 Liteというスマホに乗り換えて、googleドライブにバックアップしようとしたら「今すぐバックアップ」というボタンが無効化状態で押せない。バックアップがないのは怖いなぁ、とあれこれ調べて、バックアップ先のMicroSDXCカードがないと駄目なのか、と思い、購入。(他にもデータ保存先にSDカードはあったほうがいいかと考えた)

購入したMicroSDXCカードを説明書には「カードトレイから浮かないように」とあったので、きっちりトレイにセットして浮いてないことを確認してから、本体に挿入した……筈だったんだけど、なんか入れる時、固い感じだなぁと思いつつも入り、OSを起動したら、SDカードが認識されない。変だと思って、トレイを引き抜いたらSDカードがない! まるで手品だ!

……トレイを抜いて少し振ったりしたけど出てこない。という訳で、SDカードが変なところに入って出てこない状態になってしまったようです。注意しながらセットしてトレイを戻したのであれ以上注意しろといっても無理。だけど、何か間違ったのでしょう。

なんとも悲しい。ただ、幸い、空のトレイは本体に再び戻しても入ったのと、OSも起動できたのと、カードトレイの抜き差しをしたからか、システムの「今すぐバックアップ」はクリックできるようになり、当初の目的であるバックアップはできるようになったので当初の目標はクリア。

……ただ、MicroSDXCカードが変な状態で押し込んでる状態になっているので、このまま使い続けるのも怖い。という訳でサポートに問い合わせ中です。

トレイなんぞ使わずそのまま差し込むガラケーならこんな問題も発生しなかったのになぁ、とかなり黄昏てます。


……検索してみると「抜けないSIMカードの取り出し修理!」とかあったりするので、同じように残念なことになっている人がいるっぽいですね。

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『彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』を読んでいただきありがとうございます。
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