12-22.神々との契約と波及効果(中編)
前回のあらすじ:竜神の神子達の短期強制教育も決まり、揉めていた「死の台地」の浄化に絡む検討についても、やっと、話がある程度纏まって、僕も参加できる段階になりました。「マコトくん」の依代も作らないといけないし、樹木の精霊達に協力して貰いたいし、気が焦りますね。(アキ視点)
ざっと会場を見回してみると、給仕役の和服を着こなしたウタさんが、私は女中でございって顔をして、鬼族の座る一角に陣取っていた。軽く手を振って合図してくれたから気付いたけど、そうでなければ見逃したくらい、見事な立ち振る舞いだった。
鬼族の面々が僅かだけど、やりにくそうな感じなのはそのせいか。レイゼン様は開き直りモードにもう突入しているっぽい。
この分だと、テルさんやハナさんもちょくちょく顔を出しそうだ。フットワークが軽いね。
大型幻影に表示されている線表を見ると、ケイティさんに聞いた順番に時系列に沿って予定が記載されているのがわかった。
「お待たせしました。気を遣って貰ったようで、ありがとうございます。それとニコラス様、お疲れ様です」
そう話すと、ニコラスさんは軽く手を振って答えてくれて、シャーリスさんはこちらに飛んできて、身振り手振りを加えて補足してくれた。
「ニコラス殿が議事進行をしてくれていたが、学ぶべきものがとても多かったぞ。妾達もいずれは周辺国と話合いをする時に役立ちそうじゃ」
ほう。
<同じ事柄でも、ここに集った種族はそれぞれ視点から違い、多方面から分析し、把握する事の大切さがわかった。今は我々だけだが、いずれはもっと多くの者達が、同じ経験を積んでいくべきだろう>
雲取様も大満足と言った感じだ。
大型幻影の正面には各勢力代表達が座り、左右には開発組、調整組の面々が座るという贅沢な布陣で、幻影近くの庭には小型召喚された雲取様がいて、僕はその反対側に用意された特別席、すぐ後ろにはケイティさんとジョージさんが控える感じで、足元にはトラ吉さん、隣にはお爺ちゃんだ。
ベリルさんは書記で、シャンタールさんは鬼族以外への給仕を仕切っている。アイリーンさんは裏手で飲食全般の支援をしてるってとこかな。
そして、大型幻影の前、司会席には師匠が凄く不本意そうな顔をしてリクライニングシートに座ってた。少し後ろには師匠の家から女中人形の人もきてて、フォロー体制は万全だね。
「あれ? 師匠が司会をされるんですか?」
「尻に殻を付けたままの雛には、指導者の目が必要だと引っ張り出されたんだよ。こんな老人をこき使うなんて、敬老の精神は何処に行ったんだろうねぇ」
お偉方に囲まれてストレスで胃に穴が空きそうだよ、なんて話すと、まるで示し合わせたように、会場中が笑いに包まれた。ウタさんですら、どの口が言うかね、なーんて呆れた顔をしてるから、ここ何日かで、かなりやらかしてるんだろう。
僕達が座り、師匠は声を拾う魔導具を操作して議事進行を始めた。
◇
「さて、それじゃ、先ずは①「マコトくん」の最弱の依代の制作から始めるよ。この件は街エルフが中心となって進めるから、説明はヤスケ様からだ」
師匠が話を降ると、声を拾う魔導具が渡され、ヤスケさんが話し始めた。
「あちらと繋ぐ助けとなる神の依代、その製作には我が国でも指折りの人形遣い達が制作を担うことにした。最弱の依代とする件だが、技で優劣は付けない。これは職人の矜持に反する為だ。その代わり、素材を複数用意し、その組み合わせで宿る限界の差を出す事にした」
ここで、用意された資料を見ると、世界樹の枝にも質の差があるので最高の品から、普段使いより上くらいまで何種類か用意して貰う。また、神が宿る要となる宝珠も様々なサイズを用意するとのことだった。
「素材の見極めは竜族の竜眼で、用意した素材から創られる依代の強度の予想は、連樹の神が同じ人形遣いが創った作品を参考として行う。神降ろしの為の補助魔法陣は妖精族の賢者が中心となって設計、魔法陣自体の製造はドワーフが行い、星辰の分析は街エルフが行う計画だ」
ふむふむ。素材以外は全て最高に揃える訳か。それに契約が成立すれば、素材集めはすぐ行い、連樹の森で関係者を集めて、相応しい組み合わせを決める、という流れもいいね。
「とても良いですね。「マコトくん」との調整は組み合わせを決める時でしょうか?」
そう問うと、ヤスケさんは調整組の方、ウォルコットさんの隣に座るベリルさんに視線を向けた。
「いや、今だ。――予想通りか」
ヤスケさんの告げた通り、ベリルさんも手元にメモを取りながら頷くと、声を拾う魔導具を手に取った。
「「マコトくん」から神託がありました。『良策だ。選択時はダニエルも同席せよ。慌てず急げ』との事です」
うわー、物凄く具体的だ。それと、ダニエルさんが、良策と告げた際には、称賛と労いの思いに満ちていたこと、同席するダニエルさんを通じて自身も見極める姿勢が感じられたこと、慌てず急げ、の部分では、質を保ちつつ一分一秒でも早く、という焦りが感じられた、と前回同様、大変熱心に補足してくれた。
というか、ダニエルさんが高い信仰心のある神官で神託を受けやすいと言うのもあるだろうけど、「マコトくん」は明らかに人のような思考をしてるよね。
……いや、現状の認識をダニエルさん経由、あるいは僕を経由して得れば、今を基準に未来を予想して示せる、か。
何にしてもありがたい話だ。全てを完全に用意できても、「マコトくん」の降臨が成功しなければ、意味がない。
あ、そう言えば気になる事があった。
「「マコトくん」ですけど、いつまで依代に降臨できるんでしょうか?」
それについてはダニエルさんが教えてくれた。
「今回、依代に求められる役割は、ミア様との経路を確立するコト、その支援なので、通常の降臨と違い、奇跡を必要としまセン。また、その件については、「マコトくん」から『私に考えがある。心配ない』との神託を得ていマス」
ほぉ。
「師匠、研究組は「マコトくん」の考えについて、何か予想できたりしてます?」
「信仰に支えられた神が依代を使うにせよ、降臨し続けるというのは、歴史上、類を見ない初めての事例なんだよ。まぁ、依代に宿って普通に動き回るだけなら、神力もそうそう減らないだろうさ。宿らせ続ける依代の耐久性の方が先に音を上げるんじゃないかね。それと、「マコトくん」特有の話だが、その教えはマコト文書で示された知識やエピソードに支えられていて、神官達が神術を使う必要がない。実りや戦勝という不確かな未来に対する介入を求められる神々との大きな差だ。つまりね、神力が貯まる一方で使い道がない。ある意味、贅沢な話だが、そんな神力を降臨の維持に使おうって話までは確実だろうね」
ふむふむ。
「今後、マコト文書を知る人も増えていくから、力がその分、増していくだろうし、急激な増加は神官の皆さんの手に余るから、少しブレーキをかけたいのかな」
「後は、降臨している間は、実体を持つ事にもなる。その状態を活かしていくつもりなのかもしれないけれど、そこは降臨されたあとにでも教えて貰えばいい話さ。神託と違って、依代で話す分には受け手の負担も殆どないんだからね」
それもそうか。
「ダニエルさん、降臨した「マコトくん」の行動とか発言とかは、全部、神託扱いですか?」
そう話を振ると、ダニエルさんはとても残念そうに首を横に振った。
「残念デスガ、一部の限られた神官達だけが閲覧を許される外典扱いとナルでショウ。ミア様の不在、マコトと「マコトくん」、いずれも公開されているマコト文書との乖離が大きく混乱の元と判断してマス」
公開されるとしても、それは全てが終わった後でショウ、と補足してくれた。
……確かに前提とする話が多過ぎて、一般の信者さん達には、話が飛び過ぎてついて行けないかも。
ミア姉の不在は、そもそも、「マコトくん」と接点持たなかったというくらいだから、これまでも関与してないだろうし、影響は無いんだろうね。街エルフが隠れキャラ扱いされているのが幸いだった。
◇
「研究組から補足しておくと、依代から溢れ出る神力を極力減らす補助用の魔導具も用意するつもりだよ。それは竜族用に研究している品が流用できる筈さ。強過ぎる力は周りに影響を与え過ぎる。漏洩を防げば、その分、神力の節約にもなるし、信者達が殺到するような事も防げるからね」
「彼も、事が終わるまでは静かにしていたいでしょうから、良い策かと」
「経路を持つ第三者を活用した心話用の魔法陣は既に運用実績があるから、そちらは妖精を依代に代えても問題ないと考えてるよ。やってみないと判らない事もあるだろうが、そこはさほど気にすることは無い。魔力差が大きい相手との心話は、ケイティ達が用意してる方法の結果待ちだ。そちらはアキの準備が整えばすぐ試すから、そのつもりでいるんだよ」
「えっと、そろそろ再開してもいい感じですか?」
期待を込めて聞いてみたけど、師匠の見立てでは、神子の皆さんが帰国する頃には許可できるかも、との事。もう暫くは我慢か。
他に気になる事、気付いた事がないか聞かれたので、あと一つ、聞いてみることにした。
「降臨した「マコトくん」ですけど、何処に住むんでしょうか?」
「大使館領のどこかだろうね。他では保安面でも、情報の保全面でも厳しいからね。別館で暮らすかどうかは、降臨してから考えればいいさ」
まぁ、それもそうか。彼は僕と違って起きていられる時間に制限はないだろうし、睡眠とも無縁だろうから、生活スタイルを人に合わせるのも大変だったりするかもしれないし、それは後回しでいいか。
◇
「次は、②妖精の道の探索だ。契約が為されれば、連樹と世界樹に依頼を出して貰う流れとなるが、この話にはいくつも用意すべき話があって、今すぐ、妖精の道が見つかっても、それはそれで困る、ここまではいいかい?」
「投入用の小さな転移門を用意したり、見つけた妖精の道に人員を向かわせる仕組みを用意したり、そもそも、樹木の精霊達から話を聞ける精霊使いを確保するとかでしたね」
「そう。小型転移門の製造や、信号発振器や受信機の開発は、街エルフ、ドワーフ、妖精族でやっていくから、出来た段階で投入していけばいい。だが、精霊使いはそう簡単に必要だから確保できるとはいかない。その件についてはイズレンディア殿、説明しておくれ」
話を振られて、イズレンディアさんが声を拾う魔導具を持ち立ち上がった。
「樹木の精霊が、妖精の道に気付いて知らせてくれる気になったとして、問題は彼らの声を聞ける精霊使いの人数、能力に限りがあり、理想的な状態との間に隔たりがある点にある」
「樹木の精霊達は、弧状列島全域をカバーしているけれど、精霊使いの感知範囲はそうではない、でしたっけ?」
「そうだ。精霊使いも各地の居住地域で生活しており、必要が無ければ外の地域を歩き回るような事はしない。我々、森エルフは管理する森林地帯を頻繁に巡回しているが、それでも弧状列島全域からすれば小さな点に過ぎない。この隔たりを何とかしなければ、妖精の道の位置を把握して、人員や機材を投入することが、そもそもできないんだ」
そう説明して大型幻影に、全ての城塞都市や村などをプロットした地図を表示してくれた。地図を見ると、都市から半径数百メートルは濃い赤、1キロくらいまでは薄い赤で描いてくれたるけど、カバー範囲はせいぜい数パーセントといったところ。これではいくら樹木の精霊がやる気でも意味がないね。
これは問題だ。イズレンディアさんが、精霊使いは素質があってもキチンと意思疎通ができるまでには何年もかかるもので、他の種族では精霊の声が聞こえる耳を持つ者がそもそも少ない、とも補足してくれた。
精霊使いは簡単に増やせない、外は物騒だから街からの日帰りコースくらいしか出歩かない、だから精霊使い側のカバー範囲がなかなか広がらない、と。
うーん、精霊使い側を変えるのは難しい。
……なら、樹木の精霊側はどうだろう?
「街中の精霊使いに声を届けられる樹木の精霊はどれくらいいるんでしょうか?」
「連樹の神様なら連樹の神官達、世界樹の精霊なら、我々、森エルフの民がすぐに声を聞けるが、それ以外は情報を集めてみないとわからん」
ふむ。じゃ、窓口はその二柱だ。
んー、飛行空域が重なりまくってる竜族なら、伝言リレーで弧状列島全域に伝言を届けるくらい簡単なのに。
ん?
樹木の精霊は伝言リレーできないかな?
「すみません、木々が大地を覆ってると言う事は、樹木の精霊達の認識できる範囲もかなり重複してるんでしょうか? 連樹の神様か世界樹の精霊まで伝言がリレーできれば、どこで発見したか大まかに把握できて、そうなれば、後はそこに精霊使いを派遣すればいいですよね」
僕は、樹木の精霊の認識範囲の連なりをネットワークに見立てて、伝言の中継回数をカウントすれば、どこを経由して、どれだけ離れた位置か把握できる、と図に書いて説明した。孤立している樹木の精霊がいるとしてもそれは少数だろうから、そこだけ、ピンポイントに精霊使いを派遣すれば良いだろうと。
あと、伝える話は、見つけたという話と、中継回数だけだから、手間も掛からないし、情報の劣化も防げると補足した。
「――ちょっと時間を取るよ。研究組、調整組、それに代表の枠でそれぞれ話し合ってみておくれ。アキも翁達と意見交換しておきな、時間は十五分とするからね」
師匠がそう提案し、各集まりからも同意が得られたので、個別に話合いが始まった。
◇
チラリと雲取様を見たけど、考えているから気にするな、って感じだったので、取り敢えず、席を後ろに向けて、ケイティさん、ジョージさん、お爺ちゃん、「にゃー」っと、膝の上に乗ってきたトラ吉さんも含めて、意見交換してみよう。
「提案自体はさほど珍しい話ではない。軍部の警戒網が中央に伝令を上げる仕組みと同じだ。異なるのは、それを担うのが樹木の精霊達である事と、その範囲が弧状列島全域である事、その二点だ」
まぁ、監視要員からどれだけ速やかに正確な情報を中枢に届けるのか、と言うのは軍事の基本だからね。
「中継回数をカウントする考えは伝令にはない、あちらの世界固有の考えですが、シンプルで運用も行いやすいでしょう」
言われてみれば、人の支配地域なら地名があるから、中継回数のカウントなんて不要だろう。
「樹木の精霊も初めに、協力を二柱から依頼された時点で、どちらに報告を伝言すれば良いか方向は把握できる。後はそちらに向けて伝言を伝えれば良い。伝言は上手く行きそうじゃな」
ん、お爺ちゃんも方法自体は問題なし、と。
「伝言以外に何か問題がありそう?」
「何を伝えればいいのかが曖昧じゃからのぉ。暫く運用してみんと、情報の粒度や質の揺らぎは安定せんじゃろう」
「なるほど」
「ですが、樹木の精霊達が連絡をしなくては始まりません。伝言とて、ある程度の魔力を費やす行為ですから、そうそう無意味な話を送ることはないでしょう」
「そうだな。監視員は情報を上げるのが役目。その内容を判断するのは受け手の役目だ」
ふむふむ。
他の集まりを見てみると、それぞれ、活発な話合いが行われていていい感じだ。ウタさんも、そんな皆の様子を感心した表情で見ていた。
◇
師匠も司会席に戻り、各集まりの方でも意見はある程度出たようなので、少し時間はオーバーしたけど、話を再開する事になった。
「それじゃ、先ずは調整組から話し合った内容を伝えて貰い、後の集まりは同じ内容は省いて話して貰うよ。それじゃ、エリーからだ」
師匠に話を振られて、エリーが声を拾う魔導具を取った。
「伝言を伝える程度であれば、多くの樹木の精霊が行えるのでその点は問題ないと思います。数のカウントは少し怪しいかもしれませんが大勢に影響はないでしょう。報告対象ですが――」
その後も何点か指摘があったけど、こちらで考えた内容と同じだった。精霊使いのイズレンディアさんがいる分、樹木の精霊なら何ができるか、どう考えるか、なんて意見がなかなか面白かった。夜間に見つけても報告は翌朝になるかもしれない、なんてのも、樹木だって夜は休んでると考えれば、その通りと思う。樹木の精霊からの要望を聞いて対応する体制作りは、地図上に樹木の精霊の位置を記録して、定期的に巡回していくしかないだろうが、精霊使いの頭数を増やすところから始めなくてはならず、息の長い取り組みとなるだろうとも話してた。
次は研究組、発言は賢者さんだ。
「こちらで、場所を特定できたとして、そこに如何に迅速に精霊使いを送り込むか、そちらに手間取るだろう、との意見がやはり強かった。竜族の協力を得て、精霊使いが運搬に耐えられるものとしても、「死の大地」の探索でも話題になったように、竜の飛行距離にも限りがあり、弧状列島全域をいくつかの地域に分けないと、精霊使いの派遣は難しいだろう」
確かに。日本でも、日本列島を五つの空域に分担してたし、こちらでもそんな工夫は必要そうだ。
最後は代表組、ユリウス様だ。
「こちらで出た他の意見は、弧状列島の本島は伝言のリレーも可能だろうが、島々を隔てる海峡を超えて、樹木の精霊が意思疎通をするのは難しいのではないか、という懸念だ。これは初めにアキが話したように、本島以外の島々で要となる都市、精霊使いがいて、伝言を渡せる樹木の精霊がいる拠点を選定し、その都市と本島の間は、魔導具や、街エルフの光通信を用いて繋ぐ必要があるだろう」
確かに。海峡を挟んだ植物同士が話し合う必然性なんて殆どないだろうし、そんな事、これまでに試みられた事だってないと思う。
出た意見はベリルさんが綺麗に板書してくれた。
そして、ベリルさんが書き終えるのを待ってから、雲取様が話し始めた。
<妖精の道もそうすぐに消えることはないと思うが、我らが精霊使いを運ぶとなると、地図を記憶し、迷いなく目的地域に向かえるよう、ある程度の訓練が必要だろう。現在位置の把握は晴れていればそれ程でもないが、天候が悪くなれば難度は高くなってしまう。それとな、我がアキと飛んだ時と同じで、竜との間に深い絆が必要だ。それらは何とかしていくとしても、我らの傍らにいても問題のない精霊使いを見付けるのが先決だろう>
むむむ、改めて列挙されると、かなりの難度という気がしてきた。
「ケイティさん、神子の皆さんやその候補の方々で、精霊使いの人っていましたっけ?」
「精霊の微かな声に耳を傾ける繊細さと、竜の圧に耐えられる鈍感力は対極に位置するモノで、勿論、そのような方は居ませんでした」
なる程、そうだよね。
「意見出しとしては、これくらいで十分かね。検討項目も随分と出たから、それらを勘案すれば現実的な落としどころも見えてくるだろう」
師匠がそう話を纏め、皆も同意したので、ここで一旦、休憩を挟む事になった。
誤字・脱字の指摘ありがとうございました。自分では気付かないので助かります。
前回のミスを反省して、アキの面倒をソフィアが押し付けられましたが、まぁ、自分の知らないところで何か起きるより、目の前で起きたほうが対応が楽なので、ソフィアとしても仕方ないところでしょう。
それでも文句の一つも言いたくなるのは、彼女らしいところですね。
降臨した「マコトくん」がどこに住むか。ソフィアは話を先送りにしてますが、どうなるかはだいたい予想済です。いずれエリーの口からも語られますが、妹弟子がもう一人増えるようなものだから対応は任せた、とエリーに丸投げしてます。酷い話です。
樹木の精霊を無線中継局に見立てた弧状列島全域の通信網。アキはそれが運用されている地球の状況をイメージできているので、話は簡単とか思ってますが、樹木の精霊達がそもそも「協力して皆で何かしましょう」という概念がなく、隣接している樹木の精霊なんて、生存競争相手ですからね。なので、アキが思うほど簡単には行かないでしょう。
雲取様も事前に訓練と称して、小型召喚体で丸一日、全力がぶっ飛んだりと、普通はできないことをあれこれやるつもりなので、これもまたいろいろと波紋を巻き起こすことになるでしょう。安全性確保のために遠距離からでも認識できる宝珠を装備して飛びますから……。
次の投稿は二月十日(水)二十一時五分です。