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第十一章の施設、道具、魔術

十一章でいろいろと施設や道具、魔術が登場したので整理してみました。

◆施設、機材、道具


【大きな砂時計】

竜が操作しても簡単には壊れないように、ヨーゲル達が作り上げた大きな砂時計である。一時間を計測する事ができる。単に一時間計測する砂時計というだけであれば、人が片手で持てる程度の大きさで作れるのだが、雲取様が使う、という事で、彼が手に持って馴染むよう、竜の手に合わせて大きさが決められた。その為、人族では扱えない大きさになった。おかげで暴風が吹き荒れて大きく飛ばされても壊れる事は無かった。


【転移門】

鳥居のような形状をした魔導具で二つ一組で作成される。対となった転移門同士は、起動すると空間を超えて、互いの門同士を接続する事ができる。門を起動するには膨大な魔力が必要であり、必要な魔力は、門の大きさ×門を起動する時間で決まる。対となった門以外とは繋がらない。今のところ、街エルフ以外に転移門を実用化できている種族はいないとされている。設計図と技師からの説明を受けただけで、妖精達は自国でゼロから創り上げたが、これは例外である。


信号発信器(ビーコン)受信機(アンテナ)

アキがイメージしたのは科学式の電波発信器とアンテナである。ただ、こちらで機能するよう、耐魔力措置が施さなくてはならず、安定動作と小型化を両立させるのはかなりの難度となるだろう。

また、魔力濃度の違うところで、電波が偏向してしまう為、電波発信式は役立たない。概念は同じだが、魔術式の仕組みとなるだろう。

こちらと妖精界では魔力濃度が違い過ぎるため、こちらで動くモノができても、放り込んだ向こう側で機能するとは限らない。しかも、信号発信器(ビーコン)受信機(アンテナ)は必ず異なる製作側の物とペアで使う事になる。科学式に疎い妖精達にそれらを製造させる為の原理を説明し、設計から始めなくてはならない。高難度の取り組みとなるだろう。


【最弱の依代】

神「マコトくん」が告げた最弱の依代。言葉にすればシンプルだが、普通、というほど事例は多くはなく、神を降ろす為の依代は、目的を達成するまで機能するよう、可能な限り最高の素材、技術を結集して創り出すモノだ。なのに、その依代を、最弱で創れと言う。弱過ぎれば神が降りただけで依代は砕け散るに違いない。しかし、これまで、神の降臨に耐えるギリギリの強度などというポイントが重要視される事は無かった。

ミアとの心話を行う為の所縁(ゆかり)の品としては、依代は弱いほど、ミアとの魔力差が少なくなり心話がスムーズにいく可能性が高まる。

故にそれを為すのは至難なのだ。

更に難度を増しているのが「マコトくん」の信仰の高まりだ。信仰が増す程、神力は増える。そうなれば、依代は頑丈に創らざるを得ない。

つまり、創るタイミングは早ければ早いほど、弱い依代を創れる、そして、最弱のギリギリをこれまでに見極められた事がなく、神を降ろせる素材は貴重で数を揃えるのは難しい、それらの制約がある中で、依代を創れと言うのだ。

研究組が最初に乗り越えるべき巨大な壁と言えるだろう。


【自動導入、自動追尾の魔導具】

ベリルが天体観測に用いたとても便利な魔導具である。星雲のように肉眼で発見する事が難しい天体も、観測済みで位置が分かっていれば、望遠鏡をそちらに向けて、常に中心に捉えるように望遠鏡の方向を補正してくれる。高価だけど初心者に優しい装備で、暗い天体の撮影には必須と言える。まだ試作品でメモリー機能はなく、ベリルは観測に必要なデータを自分でセットしていた。


◆魔術、技術


【夢渡り】

他人の夢の中に入り込む、或いは自分の夢の中に相手を招き入れる魔術であり、通常は互いの体を触れさせるなど、近い距離で行うものだが、ミアはこれに心話を組み合わせる事で、世界間の交流を可能とした。アキが自身のイメージの確定に手間取ったのと同様、ミアもまた大変な手間をかけて自身のイメージだけでなく、室内イメージ、家具などの小物も含めて、全て明確に認識できるまで徹底した。その為、二人が交流に使っていた白い部屋は実在しているかのように常にイメージが安定し、そこでの二人も実在しているかのように実際に行動できていたが、夢は本来、移ろいやすい物。そこまで安定した仮想空間を創り出し、運用し続けたのは前代未聞の事だった。


【召喚と食事】

本編でも描写されていたように、召喚先で何か食べても、本体の腹が膨れる事はない。なので味わえるだけとなり、その差は激しい空腹感となって本体を襲う事になる。翁は慣れたと言っているが、慣れるまではなかなか苦労したようだ。小型召喚でたらふく食べて飢餓感に襲われた竜族が暴飲暴食などしたら、弧状列島が食い尽くされて、後には肥満体の竜族が残るだけに違いない。なので、小型召喚での飲食禁止は妥当な措置だろう。


【雲取様の発生させた亜音速の暴風】

魔術はイメージこそが全て。そして竜族は古典魔術の使い手である為、イメージ=結果となる。彼が発生させた暴風は、彼が加速落下した際に経験した風であり、亜音速の暴風である。因みに最強クラスの台風で風速八十メートル/秒。(人が空を飛び、鉄筋コンクリートのビルが歪む)

だが、雲取様は亜音速、つまり三百四十メートル/秒に近い暴風を創った事になる。範囲が狭く、上空に向けてぶっ放したから、周辺被害も最強台風襲来レベルで済んだが、下手に水平に放ったりしていたら広大な森が根刮ぎ削り取られて荒地が残るだけという惨状になっていただろう。雲取様が凹むほど怒られたのも当然だった。


経路(パス)

魔術を使うのに何かと関係してくるのが経路(パス)。今回、明らかになったのは、経路(パス)が太いと、そこを経由して相手に意思を送り届ける事ができるということ。

使い魔と育んだ経路(パス)を用いて、感覚を共有することもできること、経路(パス)を経由して翁に魔力を送る事で召喚を成立させていることもあるので、それ自体はおかしな話ではない。アキから「マコトくん」に、本人が意図せず、神への深い信仰心がある訳でもないのに、意思が届いたということが珍しい出来事なのだ。

アキの場合、ソフィアが推測したように、マコトとして、世界の誰よりも「マコトくん」に所縁(ゆかり)があるので、意思が届いたのかもしれない。或いは常に最大出力な魔力が後押ししたのかもしれない。それとソフィアは知ってて語らなかったが、アキの行った手順のせいかもしれない。

アキの手順は、所縁(ゆかり)の品(アキ自身)を用意し、相手を明確に意識した上で、自らの意思を送る、つまり呪詛をしたのと同じなのだ。普通はこれに魔力を収束、圧縮して術式を発動して後押しする訳だが、アキの場合、収束、圧縮は不要。

……と考えられるが、ソフィアは敢えて説明しなかった。手順を知らなければ、それを使うことも無い、との判断で、それはそれで正しい。だが、いずれは師としてアキに教える事になるだろう。


【魔眼】

アキが、精神的に余裕がない状態で、無遠慮に視線に意思を込めて視線を向けた時、小鬼族のガイウスは眩しそうに目を細めた。これはアキの視線から心に強い圧を感じたからだった。強い意志を込めて視線を向ける、これは竜や魔獣が使う魔眼と呼ばれるモノと同じで、相手の心に強く働きかける効果がある。ただ、このように強い外圧を受けると、弱い心ならそれだけで安定性を失いかねない。魔獣に何気ない視線を向けられただけで一般人が震え上がるのは、その為だ。(勿論、力の差を理解して絶望すれば更に効果倍増)

報告会の場で大半の者達に悪影響が出なかったのは、高い力量を持ち、緩和障壁の護符を持っていたからである。それでも保有魔力の少ない小鬼族にはかなり影響があったようだ。アキはトラ吉に視線を向けられても可愛いなぁ、とか呑気な事を言っているが、熟練の船乗りですら、トラ吉の揶揄い半分な視線に腰が引けていた程であり、それが普通なのだ。


まじない)音】

アキが意志を乗せて発する言葉。分類としては、竜族の思念波や、妖精族の伝話と同じである。思いが相手にしっかり伝わる、という効果が上乗せされるのだが、がっつり魔力も乗っている。何せ、感情や意思が音に上乗せされるのだから、効果は抜群だ。

ただ、一般人には効果が出過ぎてキツい。

しかも、アキの場合、魔力はすぐ回復するので、全ての発言に意志を乗せ続けるような真似もできる、というかやっていた。

それでも穏やかな心構えの時なら、影響は少ないが、心に余裕がなく、思いを一方的にぶつける様な状況となれば、受け手は堪ったものではない。報告会に同席していた者達は皆、高い力量を持っていたから、耐えられただけである。ソフィアが心が落ち着くまで使用を禁じたのも当然だった。


【魔力擬態術式】

召喚された妖精や竜族が、召喚主のアキやリアの魔力属性と同じ完全無色透明になってしまう問題があり、互いの認識に大きく支障をきたす事が判明した。その為、妖精族が周囲に溶け込むのに用いる魔力欺瞞の術式を応用して、別の魔力を各自が纏う事で感知を可能とする事を目指す事になった。元の術式はあるので、そろそろ試作術式はできそうなのだが、本人に似た魔力の真似る元を用意する必要があり、そちらが難航している。絵具のように魔力のベースを用意して混ぜて作る事にしているが、それが妖精界の本体の魔力と似ている事をどう確認するのか、いい案がない。竜族であればこちらに本体がいるので、似た魔力を混合生成する事は試せそうだ。


【識別用宝珠による暫定運用】

遠くからも感知できる程の魔力を込めた宝珠を個体毎に用意するという、なかなか贅沢な対処法だ。この方式の欠点は、第二演習場まで飛んできてる竜族にしか適用できない事。妖精さん達は、本体が妖精界にいるから、この方法は使えない。それと宝珠の魔力反応は一定なので、その場にいるとしかわからない点も問題視され、あくまでと暫定措置扱いとの事。そして、本編でも描写されたように、送還されれば、装備品はその場に落ちる事になる。雌竜達が本体に戻るからと小型召喚を打ち切って消えた時、スタッフの皆さんが目を見開いたのも無理はない。国宝クラスの宝珠が、鞄に入っているとはいえ、無造作に落とされたのだから。この件では雌竜達もクレームが入れられて、小型召喚を終える際には、作法として装備品を外す事を約束させられた。気紛れで、飛んでる最中に召喚を終えられたりしたら洒落にならない。スタッフ達の懇願に、雌竜達も気をつける事を約束したのだった。


【精霊使いと樹木】

精霊使いは、あらゆる樹木と意思疎通ができる。これは樹木には、樹木の精霊(ドライアド)が宿っているからだが、全ての樹木にも人型を取れるほどの力ある精霊が宿る訳ではない。森エルフのワインが別格の品質を保てるのは、精霊使いが仲介する事で、樹々の求めが把握できるからだったりする。草や花も同様なので、精霊使いは林業、農業では欠かせない存在となっている。


【森エルフの木材建築】

森エルフは木の曲がりを活かして建物を建築する。必要な木は日当たりや斜面を利用した望みの曲がり具合まで考慮して苗から育てたりしてる。

おかげでどの建物も一品物となる。木の特性を最大限に活かした森エルフの建物は転がしても歪まないと言われる程だが、森エルフに屋敷を注文する者はいない。それは建てる前に寿命が尽きるのが確実だからだ。今回の別邸の増築も、森エルフの側からすぐ建設できるからやらせてくれと申し出が無ければ、ジョウも頼もうなどと考えなかった事だろう。


【アキの過熱と凍結の魔術】

本編でもやっていたように、どんな熱湯も確実に凍結させ、どんな冷水でも一瞬で沸騰させたため、師匠からはダメ出しを食らった。魔術的には狙った水温に変える事は可能なのだが、アキにも苦手なイメージがあったようだ。

なお、これはソフィアが高望みしたところがあり、そもそも望んだ効果の魔術はなかなか出せず、創意工夫して足掻くものなのだ。同席していたエリーも、アキがいくら試行回数をこなせても、コツをすぐ掴める訳ではないと知って、内心、安堵していた事だろう。


【アキの熱風の魔術】

温風を送って水を温める事で、ある程度時間はかかるが指定温度にできる。でも、本来なら指定温度に一発で変化させないと駄目で、しかも温風を送る間、ずっと魔力を消費し続ける事になって普通は実用的ではない。

あと、この魔術は風を起こす魔術と、温める魔術の併用なので、実は難度が高い。リーフブロアー代わりに使っていたが、あの光景を見れば、魔導師なら我が目を疑うに違いない。


【熱線の術式】

竜族でも一部の老竜が使う技で、彼らの竜の吐息(ドラゴンブレス)を、魔術で再現したものである。レーザーではないが発動は一瞬なので、放たれた時にはもう命中していると言う酷さだ。連発もできるので、老竜相手に小さい者達が数で翻弄すると言う戦術が成立しない。小さく敏捷だから大きな獣は捉えられず翻弄される、とならず、秒間何発というペースの必中必殺攻撃を放つのだから、竜からすれば掃除をするような気楽さで殲滅できるだろう。竜は高い知性があるので、威力過剰な無駄な攻撃などしないのである。


【魔力の漏洩防止】

魔力は自然と体から外に放出されるものであり、保有する魔力量に従って、放出量も増えるのが普通だ。自然放出量を減らす事ができれば、活動域も増える。そう考えた雲取様が結構苦労して身に付けた技術である。雲取様は当たり前のように意識せずこの状態を維持しているが、普通の竜はそうはいかない。雌竜達も行なっている、魔力を抑える技はこれとは別系統の技である。いずれにせよ、普通の竜はこれまで必要としてこなかった技であり、今回、福慈様もそうだが、そういった自らを律する行為が竜族に流行るのは初めてだった。大陸竜の情報もそろそろ集まり始めるが、弧状列島の竜達がどれだけ異質か、明らかになる事だろう。



◆その他


【雲取様の見せてくれた湖】

不凍湖であり、魚影も豊か。五つの花弁が開いたような形をしている。水深は数十メートルとあまり深くはない。水辺に桜並木道が作られており、早咲きなので、澄んだ冬の青空と、桜の紫紅色が映える。もう少し経つと、村人達が花見に繰り出して賑やかになる。大きさは二キロ四方程度とあまり大きくはない。

ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。

それと誤字、脱字の報告ありがとうございます。五回、十回と読んでいても気付かないものなのでほんと助かります。

本文での説明と重複して同じ内容を書いても意味がないので、内容は少し別の視点から書いてみました。

次回は、「第十一章に登場した各勢力について」になります。

投稿は十一月二十二日(日)二十一時五分の予定です。

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『彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』を読んでいただきありがとうございます。
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