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第八章の各勢力について

八章で各勢力にかなりの動きがあったので整理してみました。


妖精の国、竜族達以外の勢力の基本説明は七章の「第七章の各勢力について」をご覧ください。このページでは、八章での状況を中心に記載してます。


【ミアの財閥】

七章で人材供給破綻に陥り、アキに行動を自粛するよう頼み込まざるを得なくなる、という失態を見せた財閥だったが、人類連合内の大国にも比肩し得る財力、人材の豊富さ、活動範囲の広さを自認していただけに、関係者のショックは大きかった。当主代行の家令マサトは、失地回復を行うべく、休眠状態にあった魔導人形達を復帰させると続々と選別にかけて、体制の強化するよう指示を出した。同時に財閥に縁のある街エルフの引退者達にも声を掛けて、アキの起こす大波に乗るよう熱心な勧誘を始めた。

これは人材獲得合戦で、共和国政府に先手を打つ意味もある。同じ勧誘をするにしても、後から引き抜くとなれば費用も余計に掛かるからだ。先の先を見越して動けるのは、マサトが情報を武器に財閥を維持し、拡張し続けてきたからに他ならない。最前線に居続けたからこそ、一般的な街エルフの動きの鈍さとは無縁なのだろう。竜族の情報を管理する専門部署を立ち上げて、情報の囲い込みを始めたのも、将来、蓄積した情報の価値が暴騰すると確信しているからこそ。

こうした広範な活動があるから、アキも多くのスタッフに支えられて生活できている訳で、アキももう少し彼らに感謝するべきだろう。


【共和国(街エルフの国)】

名前だけはよく出てきても、関係者の顔が見えない、そんな共和国だったが、ようやく重い腰を上げて、今回の一連の騒動の震源たるアキに接触する事を決めたようだ。多くの事を魔導人形に任せて、引き篭もってる彼らにしては珍しい行動である。座視していれば、共和国自体を揺るがしかねないのだから、当然とも言えるが、彼らが重い腰を上げた最大の要因はやはり天空竜だろう。それも一頭や二頭どころではない。弧状列島全域の竜達を巻き込む騒動となっているのだ。街エルフの長い歴史の中でも、死の大地を生んだ総力戦の時代であっても、関わる天空竜達は全体から見れば一部の勢力に過ぎなかった。

それから考えれば、アキの行動があまりにも影響を広めており、その特異性の原因を突き止める必要があると判断したのだろう。

アキから流れてくる天空竜達の情報が、これまでに蓄積したものとかけ離れている為、報告を受け取るだけでは埒が明かないと考えたのも確かだ。だが、財閥に比べてかなり出遅れており、今後の活動は苦戦を余儀なくされる事だろう。


【ロングヒル】

一連の騒ぎの震源地であり、人類連合の最前線を支える主要国家の一つという程度であるにも関わらず、その重要性は日々、増し続けている。末端の貴族達まで、急遽、何らかの役職を与えられて、人類連合の所属国巡りをやらせたなどと言う事は建国以来、勿論、初めての事であった。というか、アキが来てからの一連の対応は異例づくしであり、今回の経験で、人々の意識も大きく変わった事だろう。数ヶ月の間に、三大勢力の種族が集結する混沌の地と化しており、街エルフの魔導人形達も当たり前のように闊歩し、頻繁に天空竜が立ち寄る有様。少し前の変化に乏しい日常は遠い過去の話になってしまった。日々、変容を続ける国として、これからも貪欲に人を飲み込んで発展していく事だろう。


【人類連合】

街エルフの流通網の全力支援を受けて、多くの手紙や、外交官達が各地に飛んで、働きかけを行った事もあり、珍しく、人類連合の中で意見が纏まり、大統領がロングヒルの地に行き、誓いの儀を行う事になった。初めは小鬼達が和平を遵守するか疑う国も多かったが、ある程度の人数の兵士が集まっていると、それを見かけた天空竜が上空から威圧してくる為、軍の展開を極力抑えるように慌てて変更した。今までは遠くに見かけることのあった程度、近くて遠かった竜族が、意図的に距離を縮めてきたのだ。それも弧状列島の本島全域で。この冬の変化は、所属国の認識も大きく変える事になった。

九章ではアキが大統領にとある提案を行う事で、人類連合の政治力学的バランスが大きく変わる事になる。


【鬼族連邦】

百人力の実力を持ち寿命も長い鬼族という事もあり、変革の速度は街エルフ程ではないが、やはりゆっくりとしたものだ。八章では、鬼王、武闘派の代表、穏健派の代表と連邦の上層部が動いたが、連邦全体としての動きはまだない。しかし、アキがロングヒルに来る前の三大勢力、街エルフ、竜族の関係、パワーバランスは、今では大きく様変わりしてしまった。鬼族に対するアキのスタンスは明確なので、後は彼らがそれをどう捉えるか……。九章では武闘派代表ライキ、穏健派代表シセンによる状況の見極めが行われるが、その間にも状況がどこまで変化してしまうか。時代の変化はきっと、鬼族が求めるような穏やかさでは進んでくれないだろう。


【小鬼帝国】

毎年のように成人の儀と称して定例的に戦争をふっかけてくる事、技術力が二流、人の半分程しか生きないため、死に急ぐように見える事もあり、これまで各国は、小鬼達の帝国をあまり評価してこなかった。

しかし、貧しくとも広大な版図を、帝国という形態で中央集権化まで果たしている彼らが、そんな軽い存在な訳がない。

事実、今回の誓いの儀で、ロングヒルにやってきた小鬼皇帝を含む支配者層との接点を得て、認識を大きく改める事となった。

僅かな時間も惜しんで、常に工夫と時短を目指す生き様は、小鬼達が新しい技術もすぐ取り込む柔軟性を持つ事を思い出させたのは間違いない。アキの推進する次元門構築計画に小鬼族の研究者が派遣される事も決まり、今後はロングヒルにも小鬼達の大使館が置かれ、息の長い活動が行われていく事だろう。

争いを避ける為とはいえ、ロングヒルには人族の立ち入らない地区(街エルフの大使館領、竜の通う第二演習場、鬼族の大使館、小鬼族の大使館、ドワーフ達の複合工業施設、森エルフ達の駐屯地)が増えていっており、市民もその状況に慣れて落ち着くまでにはかなりの時間が必要となるだろう。


【妖精の国 New!】

妖精界に存在する女王シャーリスが統治する国で、国民は妖精だけで構成されている。首都には数万人が暮らすようだが、元が小さいだけに、森の中で暮らす彼らを見つけるのは容易ではないだろう。首都の周囲に広大な緩衝地帯の森林を有しており、その広さは関東平野並み。

広大な緩衝地帯を有するが、これは妖精達の行動が基本、空軍仕様であり、緩衝地帯に入り込もうとする周辺勢力を撃退する方針としている事、空を飛べるため、地形を無視して直進できる事が主な理由である。

広大な手付かずの森を巡って、周辺に位置する人族の国々からたびたび侵攻を受けているが、これまで全てを軽々と撃退してきた。

飛行高度や食性の違いから天空竜と妖精は棲み分けているが、そうでなくても天空竜ですら、妖精達の国には近寄らないというのも、理由あればこそ。

妖精達が実力を上手く隠しているのも大きいだろうが、よくもまぁ、妖精界の人族達は妖精の住む森に手を出そうとするモノだ。無謀としか言いようがないが、それを彼らが知るのは当面先だろう。

シャーリスは、周辺国の事を殆ど把握していない事に危機感を覚え、人族の国の在り方について、こちらで情報収集を行う事を決めた。これは妖精界と違い、こちらの三大勢力はいずれも妖精達に好意的な為である。

その為、当初はあくまでも私的な交流というスタンスだったが、誓いの儀の期間は国として接触していく方針となった。

今後はこれまで来ていなかった官僚達もやってくる事だろう。そうでなくても、こちらの世界に行きたいと国民からの要望も高まるばかりなのだから。


【竜族達 New!】

弧状列島の山々の高魔力域を占有し、我が物顔で大空を飛ぶのが天空竜と呼ばれる種族である。政治体制は緩い農村といったところで、数万頭に達する天空竜達だが、一枚岩の国家ではなく、数百の小さなコミュニティが緩く交流している程度という事が判明した。

竜の生態と実力からして、皆で力を合わせるような事もほぼなく、魔力が尽きぬように巣から一定範囲を支配地域として、さほど遠出をする事もなく暮らしているのだから、国家としての体制など必要ないのだろう。

竜は年齢を重ねるほど体が大きくなるので、若い竜が年上に勝つ事は困難、そして竜は長命なので、年齢順の上下関係が延々と何百年と続く傾向がある事もわかった。安定し過ぎなのも、ストレスが溜まる事だろう。

彼らは道具を作る事もなく、文字も簡素な物をマーキングのように使う程度。

ただ、個体としての能力は極めて高く、龍眼を用いた観察能力の高さも相まって、教えれば苦労せず、アキの話す「あちらの話」も理解する程。

膨大な魔力を有しており、高度な魔術も気軽に使っており、竜とはそういう物と考えて別枠扱いするしかないだろう。

そんな彼らも人族との魔力差があり過ぎて、威圧するつもりがなくとも、魂レベルで人族は恐慌に陥る有様で、これまで殆ど人族との交流はなかった。

それがアキの登場で激変した。竜と対峙しても平然としており、その知識は膨大で果てがなく、退屈極まりない竜族達にとっては、アキと話す事を娯楽として楽しむ風潮まで生まれてきている。普通は相性問題が生じて、活用が難しい心話もアキは誰とでも接触できる事もわかり、これもまた竜達が順番待ちしてでも心話をしようとするのを後押ししている。何せロングヒルまで出向かなくても話ができるのだ。こんな便利な事はない。

魔力の関係で遠出ができなくても、会話するのを諦めなくていい、このハードルの低さも、竜達がアキに興味を向ける一因だろう。

また、これまで外から観察するしかなかった人族の暮らしや文化が雪崩れ込む事になり、噂好きな竜達を熱狂させる要因となっている。八章での写真撮影も竜達に一大ブームを巻き起こす事になった。写真を収めた額縁をしまっておく竜サイズの収納箱なんて物も欲しがる始末だ。

なんでも切り裂く爪も、こうなってくると威力過剰で不便極まりない。そう考えた竜達はきっと、何か解決策を生み出す事だろう。

諦める、などと言う退屈なルートなんて彼らが選ぶ訳がないのだから。


ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。

それと誤字、脱字の報告ありがとうございます。五回、十回と読んでいても気付かないものなのでほんと助かります。

次回から、第九章スタートです。老竜が割り込んできた(雲取様が割り込ませた)せいで、後回しにされた人類連合の大統領ニコラスとの会談からになります。


2019年も週二回の投稿を続けることができました。ニッチな内容の話を読んでくれる読者の皆さんがいるからこそ、投稿を続けることができたと思っています。

2020年も同じペースで投稿していきますので、のんびりお付き合いください。


次回、第九章の投稿は一月一日(水)二十一時五分の予定です。

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『彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』を読んでいただきありがとうございます。
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