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第八章の登場人物

八章で登場した人物や、活動してても、アキが認識しないせいで登場シーンがなかった人の紹介ページです。

八章の人物紹介。


◆主人公

【アキ】

外見は色違い(髪が銀髪、目が赤い)のミアといったところであり、中の人は誠。地球では高校二年生の男子であった。現在はミアと魂が入れ替わっており、こちらではとても長い学生生活を始めている。

成人するまで待っていたら、地球の誠(中の人はミア)が寿命で死んでしまうので、なんとか奮闘して、地球との間に次元門を構築する専門チームを立ち上げて貰う状況まで持って行った。

また、こちらでの姉であるリアとの間で、魔力共鳴現象が起きており、魔力は超強化されたっぽいのだが、制御不能、魔力の感知も不可と欠点ばかりが目立つ。強過ぎる魔力のせいで触れると魔導具が壊れると、行動範囲すら大幅に制限される有様である。アキの魔力属性はリアと同じ無色透明であり、他人からはアキの魔力がまるで感知できない。

魂入れ替えの影響で、一日の半分も起きていられない。日がかなり昇ってから起きて、日が落ちる前には寝ている感じ。そのため、生活の大半をサポートメンバーに頼っている。

八章では、来訪してきた雌竜達と心話を行うことで、六勝一敗の勝率ではあったが、彼女達に問題点を納得して貰うことに成功した。人生初の魔術行使も成功して、やってきた三大勢力のお偉方を相手にした誓いの儀も無事成功。竜達が写真撮影に目覚めちゃったり、小鬼皇帝達との会合ではちょっと畏れられたりしたとこもあるけど、大変な状況の中では、まぁ、ほぼ上手く行ってる……と本人は思っている。

しかし、実際は、これまでの会話相手はある意味、イージーモードな皆さんで、ハードルが低かったことを九章では思い知らされることになるだろう。



◆アキのサポートメンバー


【ケイティ】

元は探索者であり、今は家政婦長(ハウスキーパー)として、アキがロングヒルでの活動の基点としている別邸で働く人々を統括している。「マコト文書」も抜粋版ではあるが一般には公開されていない範囲も含めて全て読んでいることもあり、アキの会話が、普通に通じるのもそのため。

魔導人形の女中三姉妹と共に、アキの活動全般を支えている。ケイティの献身的な対応がなければ、一日の半分以上寝てるアキがこれほどストレスなく活動することはできていないことだろう。

最近はハヤトとアヤが別邸の主人代行を務めているため、本業に専念できるようになった。

アキのマコト文書専門家としての活動を支える業務がメインであり、調整役メンバーとの会合にも顔を出す事が多い。アキが会談を行うときには、基本、同席しており、会談内容の把握に努めている。これは調整役のメンバーからの強い要望によるもので、アキの発言内容、相手の反応を分析し、先手を打っていかないと、予想外の影響が出て危険と判断された為だ。聞き役に徹していて、あまり表には出ないが、彼女の役割はとても重要だ。


【ジョージ】

元は探索者であり、かなりの有名どころだったりする凄腕の護衛である。アキが行くところ、常に行く所に同行している訳だが、ミアからは「街エルフの子供が成人するまでの間、危なくないように見ててあげてね」などと勧誘され、街エルフなら引き篭もり、ならまぁ、少しはのんびりできるかなどと考えたのが運の尽き。僅か数カ月で街エルフの国を飛び出して、ロングヒルにやってきて、本物の鬼族が現れたり、森エルフがきたり、そして本物の天空竜まできたのだから、護衛という視点からすれば、アキにはもっと大人しくしていて欲しいところだったりする。アキ自身は、直接、戦うようなこともなく、荒々しい輩に襲われるような場所に行くこともなく、極めて安全寄りに行動している「つもり」だが、鬼や竜とは会うという時点で、それは、安全の対極に位置する行動なのだと自覚して欲しい、と常々思っている。

アキが「竜神の巫女」としての存在感を高めるほど、干渉してくる輩も増えてきている。今回、三勢力の使節が来たのを契機に、別邸と第二演習場の警備に専念するよう役割分担を変更している。竜の飛来回数も増えて、別邸と第二演習場間の地域は、人が立ち入らない危険地域扱いされて来ており、外は森エルフ、施設内はジョージ達護衛チームと分担が分かれてきた事もある。少なくとも今回の一連の会談が終わるまでは彼が気を抜く事はできないだろう。


【ウォルコット】

御者であり、魔導馬、馬車の整備も担当しており、ロングヒルに来てからは庭師としても仕事をしつつ、魔導人形達のメンテもしてたりする元商人。若隠居であることがエリーの発言により明らかになった。こちらに来てからは、特等席で歴史の激動を目撃できている、と大変喜んでおり、実はせっせと日々感じたことを日記に記していたりする。なにせ、妖精キター♪、鬼族キター♪、ドワーフ達もわんさかやってキター♪、天空竜まできて、森エルフも! ってな感じである。

アキの創造した水がいつ消えるか、というしょーもない賭け事の胴元だったりもして、彼もこの一連の騒ぎを満喫しているようだ。


【翁】

本物の妖精であり、妖精界からアキの子守妖精となるべく召喚された老人である。他の妖精達と違い、色々と度外視した召喚体で構成されていることもあり、同期率を下げれば、こちらと妖精界で二重行動をしたりもできる。今回の天空竜との一連の騒ぎでも、妖精達と人族を繋ぐ役を果たし、調整役に徹していた。また、トラ吉さんとは仲が良く、アキの傍にいることで、アキを身体面、精神面の両面から強く支えている。八章では小鬼皇帝とアキの間に立つ者として、その交流に心を砕いた。妖精族から見ても、アキの抱えるマコト文書は異質で手に余る、という事を示した事で、小鬼皇帝も、街エルフ達の思惑を邪推せずに済んだようだ。


【トラ吉さん】

芝犬くらいの大きさの角のある猫、つまり魔獣であり、アキはとても愛らしいと思っているが、一般的視点からすれば、虎やライオンといった猛獣枠である。リアに頼まれたということもあるが、最近の行動を見ていると、どうみても彼の思考は保護者のそれである。

アキの精神がかなり不安定なことも認識しており、常に近くにいて触れ合うことで、心を癒すのにも一役買っている。

常に傍にいて見守ってくれる彼の思いは、言葉を語らずとも、アキにもしっかり伝わっていて、抱きしめたり、毛繕いをしたりと御礼をしており、彼も満更でもないようだ。

八章でも相手が竜だろうと、常にアキの傍にいる彼は、例の集合写真撮影でもしっかりアキの足元で写っており、最も有名な角猫として歴史書に記される事になっていく。


【マサト】

ミアの家令であり、ミアの財閥を管理している責任者でもある。「マコト文書」という知財を活用して、膨大な資産を多くの方面で運用しており、彼と秘書人形のロゼッタが行使する影響力は王侯貴族連中を束にしても敵わないレベルだったりする。そんな彼らではあるが、怒涛のイベントラッシュに、遂に手札が尽きて、活動を停滞せざるを得なくなった。人材確保に奔走する中でも、ロングヒルから国宝の戦略級長杖を借り受けたり、日々増大する竜族情報を蓄積する情報室を設立したりと、財閥の総力を挙げて、遅れを挽回しようと奮闘中である。ただ、内容が国防にも密接に絡むだけに、今後は街エルフに共和国との綱引きもし烈なモノになるだろう。



◆魔導人形枠


【アイリーン】

アキに触れることもできる高性能女中三姉妹の一人であり、彼女の料理は雲取様からも好評価を得て、彼女に加護を与えるに至った程である。竜が加護を与えた、などと言う話は、お伽話か、歴史書を紐解く必要があるほど稀なことであり、その事実を知った人々を大いに驚愕させたのだった。

その噂は、小鬼帝国皇帝も知るほどであり、アイリーンは竜族向け、妖精族向けの工夫したレシピも公開していることから、各勢力からも信頼を得ており、その役割は日々、重要性を増してきている。

増員が続く大使館では、アイリーンの教えを受けた女中人形達が黙々と腕を磨いており、作業分担もある程度進んできている。どれだけアイリーンの重要性が増しても、日々のアキの食事を作ることを優先している。自分の立ち位置はまず、アキの住む別邸の専属料理人と考えているからだろう。


【ベリル】

アキに触れることもできる高性能女中三姉妹の一人であり、今回集まった各勢力の使節への提供資料については、ベリルやベリル配下の女中人形達の監修がなさえており、実はかなり忙しい立場だったりする。冬には天体観測日和の澄んだ空気も期待できることから、その準備に余念がない。残念ながら、使節団ラッシュが続くこともあって、共同執筆者のジョージは手が空かず、子供向けの小説作成はたまに考察メモを書き溜める程度になっているのが残念。


【シャンタール】

アキに触れることもできる高性能女中三姉妹の一人であり、アキの着る服のコーディネイトは完全に一任されており、日々、新たな魅力を引き出そうと邁進している。アイリーン、ベリルが専門の仕事を抱えている分、全体のフォローに回っており、作業量の増加に合わせて配置された新たな部下の女中人形達も上手く使いこなしていたりする。今回は妖精達のために衣装をあつらえたり、アキの装飾品などを含めた衣装一式を揃えたり、誓いの儀の会場設営を指揮したりと大忙し。そして九章でも引き続き、会談ラッシュが続くので、印象を左右する衣装選びに彼女の力は欠かせないものとなるだろう。


【ダニエル】

ウォルコットの助手として、彼の活動を支える立場である。魔導人形で唯一、「マコトくん」を信仰する司祭としての力を持っており、百パーセント善意から、日々、日常の雑談をするように、「マコト文書」のエピソードなどを語り広めていたりしている。八章では出番なし。暗躍が表面化するのは多分、十章あたり。


【護衛人形】

アキに触れることができるよう強化された護衛用の魔導人形達で四人一組。室内戦闘用ということで小回りが利くよう、体格は小さめ。その実力は、連樹の巫女の護衛達の動きを軽く止めるほど。八章では人類連合、鬼族連邦、小鬼帝国の使節がやってきていることもあり、彼らは縁の下の力持ちとして活躍している。


【農民人形】

主に農作業を担当するということでロングヒルに同行してきた魔導人形達。お揃いの作業服をきて園丁としての仕事も兼務している。骨董品のような別邸や、その庭が常に手入れが行き届いているのも彼らのおかげ。アキがのんびりできるよう木々の配置や手入れも工夫している気の使いようだ。八章ではそろそろ冬支度ということで、庭も積雪に備えて準備に余念がない。落ち葉を集めて芋を焼いたりもしており、結構楽しんでいたりする。


【ロゼッタ】

ミアの秘書を務めている魔導人形であり、通常の魔導人形二十体分にも相当する超高性能機らしい。ミアの知的財産管理を担当している関係で、ロングヒルには同行していない。ミアの財閥と呼ばれる企業集団を統括、運営する立場におり、別邸やその中で働くスタッフ達が維持できているのも、彼女の手腕があればこそ。今回はロングヒルから国宝の戦略級長杖を借り受けたりと、交渉事にも活躍している。破損することを前提に準備をしていて、幸いだった。


【タロー】

小鬼人形の一人で、館ではアキの訓練役を担当していたが、仮想敵部隊においては部隊長を任されており、色々と枠に当てはまらないアキに顔と名前を憶えられていることもあって、アキ担当役を押し付けられている苦労人だ。小鬼達による仮想敵部隊の設立当初からのメンバーであり、仲間達からの信頼も厚い。八章では三勢力の記念撮影のリハーサルで小鬼族役としてひっぱり出されて、かなり苦労したようだ。幻影とはいえ生々しい天空竜がいたり、見知った仲とはいえ、セイケン達もいたのだから、仕方ないことだろう。


【仮想敵部隊の小鬼人形達】

予定通り、総合武力演習でボロボロになった彼らは、大使館に人形遣いの工房が開かれたこともあり、順次、修理を受けている。アキとの話し合いの場に出るメンバーを優先して修理しており、まだまだ修理待ちの行列はなくなりそうにない。なぜなら、女中人形達の増員ペースが早過ぎて、そのメンテに四苦八苦している状態だからだ。自分達が後回しにされる事は、世が平和な証拠と達観していた。しかし、小鬼帝国の使節がやってくることが決まると、腕利きから順次、戦闘可能状態までメンテされて優先的に復帰させられることになった。やはり小鬼達の暗殺能力は侮れないため、対抗戦力としての役割と、警護の穴を埋める意味で彼らは重要と判断された為だ。同時に本物の小鬼達がやってくるということもあり、滅多にない平和的な観察もできるとして、彼らもまた奮起していたりする。


【仮想敵部隊の鬼人形さん】

今回も特に出番なし。鬼族の屋敷に、鬼族の使節も逗留することもあり、しばらく訓練は控えざるを得ないことだろう。



◆家族枠

【ハヤト】

ミアとリアの父であり、こちらでのアキの父でもある。共和国議員であり役職は高め。街エルフの長老達と対峙している。雲取様の来訪が決まった際には、周囲の反対をねじ伏せてロングヒルにきたほどだったが、自分の娘が天空竜と会うなどと聞けば、心配するのが親心というものだろう。実際、そうしてやってきたハヤトやリアに、アキは感謝の気持ちを伝えており、二人の見せた愛情深い姿勢は、アキの心の支えとなったことは間違いない。

街エルフの長老達も遂にロングヒルにやってくることになり、彼らとの会合の前に、出来るだけアキに多様な人々との交流経験を積ませようと苦慮している。なにせ、アキと長老達は、天空竜に対する認識が真逆なのだ。何も起きないわけがない、と頭を悩ませる日々である。


【アヤ】

ミアとリアの母であり、こちらでのアキの母でもある。共和国議員で役職は高め。せっかくロングヒルに来ているのに、長老達や、人類連合の関係者達への対応で忙殺されており、日々、不満が蓄積中。

ハヤトと共に、長老対策に苦慮しており、ある程度、同じ魔力属性と魔力量も持つリアに作業を割り振って、アキの負担を減らそうと調整してくれている。しかし、人には得手、不得手があるとも痛感しているところ。アキの特性が尖り過ぎてて、アキの得意分野となると、リアでは穴埋めも難しいとわかってきたからだ。なかなかうまくいかないものである。


【リア】

ミアの妹であり、こちらでのアキの姉でもある。アキとの間に魔力共鳴現象が発生しており、アキと同様、魔力は異常に強いが、魔力感知不可、制御不可とポンコツ状態なのも一緒。

雲取様の来訪が決まった際には、ハヤトと同様、周囲の反対をねじ伏せてロングヒルにやってきた。

魔術関連では、雲取様の協力もあり、アキとセットで確認するようなことも増えて、すっかりロングヒルに根を生やしている。アキに対してお姉ちゃん風を吹かせる機会が嬉しくて仕方ないようだ。

少しでもアキの負担を減らそうと、同じ魔力属性、魔力量である事を活かして、苦手な心話を肩代わりしてみたり、集束、圧縮の工程を経ず、いきなり発動させる魔術に挑戦したりと、結構頑張ってる。ただ、魔術は長年染み付いた経験が災いして、なかなか上手くいかず、心話の方も、慣れておらずかなり苦戦しているようだ。

ただ、そんな彼女の奮闘ぶりが、逆に街エルフも普通に苦労するし、苦手な分野もあると相手に認識させる事になり、結果としてアキへの警戒感を薄れさせることにも寄与している。

アキは得意分野に異様に尖った稀有な人材で、アキみたいなのが街エルフの標準という訳ではないと理解する事に繋がった為である。リアも無理に取り繕う事なく、自分はここが苦手とアキに示す事で、アキとの心の距離を縮める事にもなり、嬉しく思っていたりもする。互いに外面を取り繕うようでは、親密な関係になどなり得ないのだから当然だ。ミアの度を越したお姉ちゃん像演出とその為の異常なまでの努力を知ってるだけに、常人にはその域に達するのは不可能と悟れたからかもしれない。


【ミア】

アキ、つまり地球でのマコトを召喚した張本人だが、召喚時に入れ替わりに地球のほうに行ってしまい、音信不通状態。異世界(地球)との間で夢の中ではあるが交流もやっていたりと魔導師としては超一流。きっと地球では、誠の中の人として楽しく生活しているはず。召喚前に今後、アキが遭遇するであろう様々な事態を想定して、山になるほどの手紙を書き残した。また、誠と延々と話した内容を『マコト文書』として書き残している。

八章ではミアからの手紙も披露されたが、本文でも説明してるように、まさか魔術の初歩を書いた手紙が、ラスボス級の天空竜との会合の手紙より後に読まれるとは思ってもいなかったのは間違いない。


◆妖精枠

【シャーリス(妖精女王)】

改良された召喚術式により追加召喚された妖精の一人で、妖精の国の女王様である。アキが齎した「妖精でも使える賽子(サイコロ)」により、他人と公平に遊べるようになったことを大変喜んでいる。

アキのことも、手間のかかる妹といった感じで見ているようで、保護者視点での発言や行動もよく見受けられる。妖精達がこちらにきているのはあくまでも私的な立場であり、公的な立場ではないと明確に線引きしている。天空竜相手に全員召喚ということも多いが、八章では、人類連合、鬼族連邦、小鬼帝国と形態の違う勢力との稀有な交流機会が得られた為、誓いの儀の期間は公務としてこちらにきている。共同文書に十年という期間限定の祝福を施したのも、今後を見据えた布石である。


【賢者】

召喚術式を改良し、大勢の妖精を追加召喚した妖精界の偉大なる大魔導師である。賢者という役職名も自分から言い出したものではないが、他人からずっと言われるうちに、面倒臭くなり、それでいいと受け入れたものだったりする。八章では、魔術への興味の深さと、それ以外への興味の薄さが露呈し、ソフィアからは指導者としては失格の烙印を押されている。彼の魔術な才は素晴らしいものがあり、効率はまだまだ改良の余地があるが、竜族の龍眼の助けもあり、竜族の圧力を軽減する緩和障壁の先行量産化にも成功している。


【宰相】

改良された召喚術式により追加召喚された妖精の一人。妖精の国の統治を行う閣僚の一人だが、人族のそれよりも統治機構はシンプルで、各人の裁量に任される範囲が広いようだ。

彼は妖精と人族の在り様は違えども、統治という視点で国全体を情報という角度から見れば、学べるポイントは多いと考えており、賢者ほどではないにせよ、かなり積極的にこちらを訪問していたりする。

今回は形態の違う三勢力との会合を行えるとあり、妖精の国としても、正式に情報収集に乗り出しており、遊び半分と思っていた妖精の市民達を驚愕させた。


【彫刻家】

改良された召喚術式により追加召喚された妖精の一人。優れた彫像を作る高い技量があるが、実際にはできないことがないんじゃないか、というマルチな才能を持つ妖精である。妖精もドワーフも互いの技、知識に触れて刺激し合うことで、双方の国に影響も及ぼし始めていたりする。八章で参考量産化された緩和障壁の護符は街エルフと妖精の技のハイブリッドであり、それを実現できたのも彼の技量があったからこそできた絶技と言えよう。


【近衛】

改良された召喚術式により追加召喚された妖精の一人。シャーリスの護衛を担当しており、妖精族の中でも精鋭が割り当てられている。今回もシャーリスが行くところ、一緒に同行し、彼女を護る仕事に徹することが多いが、宰相など、他のメンバーの護衛としても同行することは多い。こちらにくると、妖精の国では接点のない人族などの視点、意見も得られるため、情報交流も以前よりも熱心に行っている。

妖精界での他の勢力との交流を念頭に、こちらの異なる三勢力と上層部と接点が持てるとあって、彼もまた、今回の会合から多くを得ようと奮起している。


◆鬼族枠

【セイケン】

鬼族連邦から、総合武力演習に参加するため、やってきた鬼族達の代表をしている鬼族の男である。体つきはとても大きく、ジョージと並ぶと、ジョージが子供に見えるほどだが、彼は鬼族としては普通といったところ。

魔術と武術を同時に使用する技をかなり高いレベルで習得しており、護身用の鉄棍だけでも、大概の困難には対処できる強者である。アキも言っていたようにスマートな印象のイケメンであり、故郷には妻と四歳になる娘がいたりする。妖精族との繋がりを得たため、彼を含む五人の鬼族の若者がロングヒルの地に残る事になった。ロングヒルに鬼族連邦大使館も建設が始まっており、彼の単身赴任状態はかなり続きそうだ。

アキからは鬼族連邦の窓口役として頑張るよう発破をかけられており、本人もその気はある。街エルフや人族の対妖精シフトの人員投入規模の大きさに、鬼族がかなり出遅れた、と認識している。

八章では、鬼王を含めた上層部のキーパーソンが集結していることもあり、人材の大幅な投入増加が必要である事を示そうと奮起している。小鬼族と話をして、彼らの貪欲さ、学習意識の高さに危機意識を強めたのも影響している。


【レイハ】

ロングヒルに常駐しているセイケンの補佐役を務める鬼族の男だ。文武に優れているが、特に人族の文化への造詣が深くロングヒルでの活動では、彼の知見が大いに役立っている。セイケンと違い、彼は居合術の達人であり、鬼の膂力で繰り出される斬撃は、人の身では防御ごと断ち切られるのがオチだ。そんな武人気質な男だが、ロングヒルで求められるのは文官としての能力であり、あまり得意でない分野に苦戦している。それでも上司達に増員が必要とアピールする貴重な機会でもあり、仲間達と共にこの機会を最大限活用しようとしている。


【トウセイ】

失敗技術と烙印を押された大鬼化の魔術について故郷に戻って自費で研究を続ける鬼族の男。鬼族の中では変り者として結構有名だったりする。鬼族の後続組に混ざってやってくると思われるが、今はまだ互いにそれほど期待してる訳ではない。しかし、これにいくつかの要素が加わる事で化ける事になる。今回も話題に出ただけで登場せず。九章ではロングヒルに到着する予定。


【レイゼン】

鬼族連邦の王であり、鬼王とも呼ばれる英傑である。武闘派、穏健派が対立しつつも、無用な衝突にまでに至らないのは、彼の存在が大きい。武に優れてもいるが、彼の振る舞い、考え方が、鬼族の理想たる王の姿其の物を体現しているからに他ならない。

それを彼も熟知しており、王として必要があれば率先して動く事を厭わないようだ。

勿論、普段は各地の代表達の裁量で動くに任せてあまり口出しはしない。必要な時にだけ動く、それができるからこそ、皆が信服しているのだろう。

彼は今のところ、アキに興味を持っていないようだが、ライキ&シセンの見極めを経て、その考えが変わるのかどうか。また、各勢力の代表と精力的に交流して何を思うのか。


【ライキ】

鬼族の武闘派代表の女傑で、肉食系といった雰囲気で素晴らしいナイスバディなのだが、それは鬼族としてバランスが取れているのであり、アキも言うように、自分の頭ほどもある胸を見ても、人族なら圧倒されるのがオチだろう。南瓜を握り潰す握力の持ち主と人族にすら伝わってくる程で、その手で握り潰されたモノは多岐に渡るようだ。

武闘派と言っても、戦闘中毒ではないし、何事も腕力で解決という脳筋でもない。

九章では、彼女がアキの何を見極めたいのか見えてくる事だろう。


【シセン】

鬼族の穏健派の代表を務める男で、物静かな文人といった服装や振る舞いをしているが、セイケンを上回る体躯と鍛え上げ方を見れば、彼が単なる文人ではないとわかるだろう。他の派閥の合意を得ずに、ロングヒルの総合武力演習に、セイケン達を派遣したのも彼である。ライキと同様、彼もまたアキの何を見ようとするのか、九章で明らかになるだろう。


【鬼族のロングヒル居残り組メンバー】

セイケンと共にロングヒルに来た若者達で全員、男であり年齢構成は、人間換算なら二十代といったところ。セイケン程ではないが、やはり魔術と武術を同時に行使できる技を身につけており、百人力の猛者達である。彼らは穏健派の中でも、有望と見られている逸材揃いであり、セイケンは彼らの纏め役という位置付けであり、実はそれぞれが代表を務められるような精鋭だった。半分がロングヒルの居残り組となった。

エリーの働きかけもあり、居残り組も調整チームに組み込まれて、本国からの後続組の為の足場固めに奔走している。しかし、事務方としてみれば、セイケン達を含めて合計、僅か五名。多くのことに手が回らず、最低限の活動を維持するのが精一杯という状況をアピールし、何とか遅れを挽回しようと一致団結して事に当たっている。彼らも小鬼族上層部と接点を持ち、その生き様には、危機意識を持ったようだ。



◆ドワーフ族枠

【ヨーゲル】

ドワーフの中でもその人ありと言われた有名な彫刻家。長命なドワーフ族の中でも、老齢の域にあるが、旺盛な創作意欲は衰える事なという有様だ。ドワーフのロングヒル常駐組の代表も務めるなど、多忙な日々を送っている。八章でも、彼が指揮して作り上げた心話用の魔法陣は大活躍。良い仕事ができたと満足している事だろう。


【常駐するドワーフ技術者達】

馬車のメンテは程々に、妖精達との技術交流にどっぷり浸かって至福の日々を送っている。やりたい事に対して予算不足に四苦八苦する事が予想されていたが、蓋を開けてみれば、慢性的な人手不足と、深刻な専門家不足に陥っている。何せ施設派遣で増員されたドワーフ達はその道の専門家ではあるが、未知の試みに長けた研究者ではない。それだけに彼らも今後の奮闘を期待される事だろう。


【施設建設で派遣されてきた百人のドワーフ技術者達】

妖精の技に触れた技術者達の猛烈な働きかけにより、ドワーフの技を見せるための施設作りにドワーフ技術者百人からなる大集団派遣されており、施設の建設も着々と進んでいる。

また、他の種族との技術交流も盛んで、特に酒造りでは鬼族相手でも、火花を散らすようなやり取りも辞さないといった具合だ。

八章では、本格的な冬の到来を前に、建設現場が影響を受けないよう、様々な対策を施しているところ。

しかし、環境対策もあって、建設現場はシートに覆われていて中が見えず、音だけが聞こえる状況の為、ロングヒルの住人達の様々な憶測を呼んでいる有様だ。いずれ、誤解を解く為、現場見学会などを開催する羽目に陥る事だろう。



◆森エルフ族枠

【イズレンディア】

天空竜の雲取様が庇護下に置いている深緑の国から、雲取様の勅使としてきた森エルフの男。ジョージより少し高い身長と、野山の勾配を物ともせず走り回れる卓越した身体能力を発揮できるアスリート体型である。身体能力的には一般的な森エルフと大差ない。彼が勅使として選ばれたのには弁舌が立つため。

そんな彼も今ではエリーに引き摺り回されて、調整組の一人として活躍する日々である。

増員された要員の大半は、街エルフの大使館領と第二演習場の間の地域の警備に回されており、なかなか彼の負担が減る事がない。外回りの方が気が楽だと考える森エルフが多い為だ。心労で禿げない事を祈るばかりだ。


【ロングヒルに常駐している森エルフ狙撃部隊の皆さん】

狙撃のプロにして、集団化すれば、生体イージスシステムとでも言うべき効果を発揮する頼もしい連中だ。

ただ、狙撃手向きな性格故か、寡黙な彼らが集団でいると独特の凄みが滲み出て、人を遠ざけてしまっている。八章では慢性的な人手不足解消の為、彼らが得意とする外回り警備の担当に回されており、本国の期待する他種族との交流や情報収集の進捗は芳しくない。いずれ、本国からお偉方が怒鳴り込んでくる事だろう。



◆天空竜枠

【雲取様】

人族の間でもその名を知られている有名な天空竜である。他の天空竜より一回り体格が良く、その鱗は透明感のある黒であり、その飛ぶ姿は優雅である。飛ぶことが趣味のようで、他の天空竜よりも飛ぶのがとても上手く、行動半径は三倍にも及ぶ。そのため、人類連合の間では最も目撃例の多い天空竜である。

彼の支配する地域には、森エルフやドワーフも居住を許されており、その庇護下にある。庇護下の種族からは竜神として崇められているが、魔力量の差が大きく、接触時間が僅かしか持てない制約がある。

今回の交流で、ストレスなく話が出来て、美味しいケーキや紅茶も飲めるとあって、刺激に飢えていた彼はすっかりロングヒルに入り浸るようになってしまった。それでも節度ある振る舞いは、人々に好感を与えており、中には雲取様の姿を見たいと申請してくる者も出始めているようだ。

八章では、たまたま通りがかったという体で、雌竜達の反感を買う事なく場を収めるなど、その立ち振る舞いは、人々の信頼を勝ち得る事となった。

まぁ、アキは彼の心労を思うと、後で愚痴くらいは聞こうと考えている通り、彼がしがらみを逃れて、一人空を飛んでいる事が多いのも、ストレス解消の為なのだろう。

そんな彼だが、老竜の福慈様には良い所を見せようと張り切ったりする一面もあったりして、アキを驚かせた。


【雲取様に想いを寄せる雌竜達】

鱗の色は紅、群青、中黄、若竹、白磁、本紫、金とそれぞれ異なるが、これは人の魔力属性が瞳や髪色に現れるのと同じで、天空竜の場合、全身を覆う鱗の色に現れるからであり、種族としては同じ天空竜である。精神年齢的にはティーンエイジャーといったところであり、しかも大切に育てられてきているため、いろんな意味で箱入り娘といった感じだ。

八章では、今回の不手際の罰として、三勢力の誓いの儀に立ち会う役目を担わされたりしてる。しかし、彼女達も口煩い上の世代から距離を置ける大義名分を得たと、役目を担う事を喜んでる有様だ。

彼女達との会話は、立ち合い期間中は思念波を使っている為、アキが改めて報告する必要はないのだが、マコト文書の専門家の手厚いフォローがないと、言葉は理解できても内容は理解できない事態に陥るため、ケイティ達、マコト文書担当チームの負担はあまり減っていなかったりする。

紅竜はリーダー格で律義な性格、青竜は、ちょっと皮肉屋なところと世界の広さに興味津々、それと白竜は他より小柄な分、背伸びして大人になろうとしてるとこがあり、色々と他の竜より力がない分、考えたりしているようだ。あと、白竜との心話で寂しくてアキが泣いたり愚痴を言ったりしてたことは、「他の竜(子)には内緒だよ」という魔法の言葉と共に、七頭の雌竜全員で共有されており、アキはペット枠扱いとして見守る方針となったようだ。


【福慈様】

最古参にあたる老竜であり、弧状列島でも彼女の事を慕う竜達は多いようだ。若い竜達と話をひたすら聞き役に徹して、耳を傾けてくれるのが、好感を持たれているようである。竜族は年を経るほど体が大きくなるが、体が必要とする魔力量がなかなか回復せず、寝ている事が多い事も判明した。アキが誰よりも熱いと称したように、内に秘めた熱は誰にも負けず、彼女の逆鱗に触れた街エルフ達の多くが塵と化した過去もある。街エルフとの因縁の地が未だに生きるモノの気配すらない死の大地と化しているのも、彼女達の世代が怒り狂って、世界を灰塵と化す勢いで焼き尽くしたからだったりする。なので、穏やかな一面もあるが、激しい一面もある事を忘れてはならない、そんな存在である。



◆人類連合枠

【ニコラス】

人類連合の大統領。長身痩躯でちょい悪な雰囲気の男である。小洒落たスーツを着こなし、鬼族を前にしても、余裕ある態度を崩さない等、一癖も二癖もありそう。

ただ、九章でアキが語るが、彼の人類連合での立場はせいぜい調整役といったところであり、政治的手腕を発揮できているとは言い難い。利害の対立する大国が反対意見を出すせいで重要案件が中々通らず、苦労させられているようだ。彼も今の立場のままで終わる気はないようだが……


【トレバ―】

人類連合の南西の端にある国ディアーランドからロングヒルに来ているエージェント。荒々しさの中にも深い知性を感じさせる男性だ。貧しい土地故に、独特の死生観を持ち、戦場での働きを貴ぶお国柄だったりする。八章では表立った出番はなし。今回の三大勢力の代表達の集う事態を受けて、本国の指示を仰ぎつつも、情報収集に勤しんでいる。九章で人類連合相手に財閥が行う策がアキの発案によるものであることが、彼の働きにより本国に報告されることになる。大使のジョウも彼経由で情報が流れることを理解した上で、意図的に情報を提供していたりと、政治の世界はいろいろと面倒臭い。


【ナタリー】

人類連合の二つある中枢国のうち東側に位置する国テイルペーストから、ロングヒルに来ているエージェントで、キャリアウーマン風の外見。肥沃な国土のため、食文化もとても栄えており、他国の者には量があり過ぎるモーニングの文化も盛んだったりする。八章では表立った出番はなし。トレバ―と同様、九章にて財閥が行う策がアキの発案によるものであることは彼女経由で、本国のほうにも伝わることになる。彼女のような表立った工作員はそのまま活かしたほうが、人類連合への影響力を行使できるとの判断があるからだが、もちろん、ナタリーもそれは理解している。


【エリー】

名前はエリザベス、ロングヒルの王女様であり、ソフィアに師事するアキの姉弟子でもある。ソフィアに言われて、アキの教育係になっている。魔術の腕はまぁまぁだが、魔導師の域には遠いようだ。一応、国民からの人気は高い(本人談)とのこと。王位継承権第三位ということで、それなりに重要な立ち位置のようである。総合武力演習で鬼族を応援したことで、自らの立ち位置が明確になり、アキの進める計画への参加も承認されることになった。

次から次へと激震を生むアキ達に、のんびり対応などと言ってられる筈もなく、気が付けば、調整組を取り纏めて、強力なリーダーシップを発揮するに至っており、大変頼もしい。

八章では、動きの鈍い貴族達や、迷う国民相手に演説したり働きかけを行ったりと、精力的に動き回り、そのカリスマ性を存分に発揮した。おかげで人類連合も重い腰を上げて、大統領を派遣する流れとなったりと、全体としてはいい流れとなったのだが、エリーが眩く輝く分、二人の王子の影が薄くなってしまい、王と王妃はそのフォローに追われていたりする。


【ロングヒルの王様ヘンリー】

ロングヒルの現国王であり、国民からは国父と大変慕われている。自らの人気の高さ故に、世代交代がスムーズに行くよう、二人の王子にも実務を着実に積ませていていたりする堅実派。八章にしてやっと名前が明かされた。

今では、二人の王子には内政と人類連合内の外交を、エリーには他種族と融和と暴走の抑制を期待するに至った。竜達の頻繁な来訪に直面し、王妃と共に、五頭体制に改めるよう、現在、国内の体制見直しに手をつけ始めていたが、それでは動きが間に合わず、伝家の宝刀たる「緊急動議」を発動したり、エリーや二人の王子だけでなく、王妃や貴族達まで動員しての大々的な政治工作を敢行し、なんとか人類連合から大統領を招くことに成功した。なんで一国の王に過ぎない自分がこんなことをやってるんだ、と王妃にだけはボヤいたりしてるらしい。


【ロングヒルの御妃様】

ロングヒルの現王妃様であり、エリーの実の母でもある。エリーを見ていればわかるように、実は苛烈な性格は母親譲りであり、彼女が夫を立てているから、夫も国父と慕われているが、かかあ天下であることは国民にはバレバレのようで、彼女も国母と慕われていたりする。実務の何割かは実は彼女が統制しており、その比率は夫より少し多いくらいだったりする。八章では、国家総動員とも言えるほど王家、貴族の使える者達全てを動かしての政治工作に邁進することになった。結果としてエリーが最も輝くことにはなったが、二人の王子も堅実に成果を出しており、初手としてはまずまずと考えていたりする。

ただ、鬼族連邦や小鬼帝国に比べて、人類連合は寄り合い所帯的な傾向が強く、夫の心が少し折れそうになっていて、そのフォローもせねばならず、内助の功といっても大変なようだ。

まぁ、そんな弱みを自分にだけは見せる夫もまた可愛い、などと言えるくらいの器だからこそ、夫婦仲も安泰なのだろう。


【ロングヒルの王子様達】

ロングヒルの第一王位継承権、第二王位継承権を持つ王子達である。現在の王妃とは血の繋がりはないが、関係は良好であり、互いに足を引っ張り合うような無能でもないため、国王夫妻からは身の丈を弁えており合格ラインに達していると見られている。能力的には十分な域に達しており、国民からの人気もそれなりにあるのだが、第三王位継承権を持つエリーの人気の前には霞んでしまっているのが実情だ。

今は、御妃様が調整組から持ってきた仕事を二人で黙々とこなしていたが、それだけでは間に合わず、今回の事態を受けて、人類連合の所属国に対する政治活動として初の外遊を行うに至った。二人とも華々しい成果はなかったものの、結果はしっかり残しており、二人の王子を推す貴族達も安心したようだ。

ただ、そんな二人に比べてエリーの成果、カリスマ性が突出しており、二人足してもエリーに敵わないと少し凹んでいる。それでも精神的に腐るでもなく、嫉妬するでもないのは妹への変わらぬ愛故か。父母のフォローで気を取り直し、着実に政務をこなしていく彼らを応援する人々も多いので、彼らが実力を伸ばしていくのは確実だろう。



◆小鬼帝国枠


【ユリウス】

小鬼帝国の皇帝であり、稀代の英雄とも称されるほどの実力者である。歴代皇帝の中でも異例となる二十歳前後の若さだが、人より寿命が半分の彼らからすれば、そんなユリウスでも、既に全盛期を迎えており、十年もしたら引退する年といったところ。そんな時間感覚の小鬼族故に、朝から晩まで秒単位で効率改善をしており、早朝からそんな小鬼族達と会合を行ったハヤト達、街エルフ組は、その時間間隔のズレに衝撃を受けることになった。小鬼族基準で言えば、街エルフはのんびりし過ぎ、ぼーっとし過ぎといったところ。

そのため、同席していたケイティも含めて、小鬼達は技術も文化も遅れてて二流という考えを改めることになったようだ。今は差があっても、明日には差が縮まり、一カ月後には追い付かれ、一年後には置いていかれるかもしれない、と。それほどまでに小鬼達のエリート層の生き方は鮮烈だったようだ。


【ルキウス】

小鬼帝国の親衛隊のリーダーであり、選抜された腕利きの小鬼達の中でも更に実力が抜きんでている強者達を率いる。今回は少数精鋭ということで、十人程度の護衛チームで来ているが、これは竜族が絡む今回の誓いの儀が特殊過ぎるため。彼らがいくら腕が立つといっても同人数の鬼族や街エルフの人形遣い達とやり合えるとは思っていない。時間稼ぎがせいぜいと彼らも認識している。なので彼の立場からすれば、皇帝の今回の英断も、胃が痛くなる事態なのは間違いない。それでもそんな内面は隠して、スマートな立ち振る舞いで皇帝の身辺を護衛しているのだ。気苦労の絶えない立場といえよう。


【速記係の人達】

速記係として紹介されており、実際、速記者としての能力も持ってはいるのだが、彼らは政治・軍事など様々な事柄を理解し、要約し、その場で短文に纏め上げることができるという文官の中でも選りすぐりのエリートだったりする。流石に戦闘能力まで一流とはいかないようだが、それでも一般兵士程度なら蹴散らせるだけの実力はあるようだ。少しでも時間を有効活用するため、彼ら自身の会話も独特の短縮言語が多様されており、同じ小鬼族でも意味を理解するのが困難らしい。



◆街エルフ枠


【ジョウ】

街エルフの駐ロングヒル大使。若手だがかなりのやり手であり、ルーチンワークで対応できていた頃は、暇で暇で退屈していたようだ。今ではアキがきてから、日々、ルーチンワークでは対処できない非常事態の連続が続いており、毎日がとても充実しているらしい。そんな彼も、流石に天空竜の雲取様が飛来し、彼が寝落ちしたり、入り浸ったりすることで、アキや街エルフの取り巻く情勢が、複雑怪奇と化してきており、遂にアキに、行動を自重するよう釘を刺すに至った。変化は歓迎だが、早過ぎる変化は制御できない結末に繋がりかねないため、なんとか手綱を握ろうと奮闘中だった。しかし、そんな優秀な彼をしても、ロングヒルだけなら兎も角、人類連合、鬼族連邦、小鬼帝国の三勢力のトップが集う状況は手に負えなくなっており、本国から急遽、外交官の一団が支援に駆けつけた程だ。それで何とか現状に対応できたかどうかというところで、今度は竜族最古参の老竜との対話、街エルフの長老組のロングヒル入りとビッグイベントの駄目押しがあり、近頃はだいぶお疲れのようである。それでも過ぎてしまえば、懐かしく思える日々も来ると達観しているのも街エルフならではの事。今日もまた、明日のある全力で頑張っている事だろう。


【街エルフの長老達】

話題には出ていても、なかなか重い腰を上げることのなかった長老達だったが、ハヤト&アヤ夫妻だけに担当させるレベルを超えたと判断して、遂に老人達の中ではまだフットワークの軽い面々が動き出した。

夫妻が遅滞戦術に努めていることなど百も承知であり、我が子可愛さ故とそこは容認している。

竜族とは殺し殺されという過酷な関係を記憶が薄れる程昔から続けており、燃やし、消された人も物も数知れず。感情が擦り切れて、平坦になり、何の感慨も抱かず、相手の首を跳ねるような精神の世代だが、下の世代への愛情、感情が失せた訳ではない。それすら失せた者達でおれば、街エルフも自分達の政治を任せる気にはならないだろう。

彼らからすれば、アキが竜達と心を触れあわせて、日々、齎される情報はあまりに異質過ぎて、自分達の経験や知識と整合性が取れず、かなり混乱していたらしい。それでも雲取様との交流だけなら、まだ影響も少ないと判断していたが、雲取様と七匹の雌竜を起爆剤に数千頭にまで広がった影響は、全くの予想外であり、自分達の理解を超えた「何か」が起きており、その見極めと舵取りを誤れば、未来が危ういと意識を持つに至ったようだ。

彼らにとって、竜族は不倶戴天の怨敵であり、消せるものなら存在した事実すら根絶したい、そんな種族なのだ。勿論、彼我の実力差は理解しており、どれ程憎んでも、それがなし得ないことは重々承知している。

それだけに、アキの提案する弧状列島の在り方には簡単には納得できないのだろう。彼らとアキの間に穏便な決着など有り得ない、それだけは確かだ。

まぁ、彼らからすればアキは、まだ卵の殻をお尻に付けた雛鳥のようなモノであり、幼子を相手にするような気でいる事だろう。



◆その他


【ソフィア】

アキの魔術の師匠であり、エルフとのハーフとのことだが、高齢であり、その背はアキより頭一つ分は小さい。魔力属性は透明度ゼロの炎色であり、意志をもって現実を塗り潰すような魔術が得意。斜陽の古典魔術を指導する立場ということもあり、街エルフの齎した現代魔術に対する研究も余念がない。貪欲な探究心があればこそ、アキの師匠として抜擢されたとも言える。ただ、目的の為には手段を選ばぬ所があり、天空竜絡みでも、色々と問題行動見受けられ、全幅の信頼を置くと色々と怖そうだ。

それでも指導者としての視点と実力は確かであり、アキの魔術行使の際には、アキの発動の瞬間に合わせて、防御盾を展開して見せており、雲取様、妖精の賢者をして、対等の相手と認めさせるに至っている。

アキの尖りまくった特性にも心を砕いており、姉弟子のエリーにフォローを依頼するといったように、研究面での暴走気味なところと、指導者としての慎重さが共存しているのも、彼女の魅力だろう。


【街エルフの人形遣い達】

街エルフの人形遣いにも二種類いて、アヤの護衛要員達は戦闘が得意な連中だが人形の製造・調整は不得手、その逆の工房組は、膨大な数の稼働している魔導人形達のメンテが得意だったりする。天空竜達だけでなく、人類連合、鬼族連邦、小鬼帝国まで続々とロングヒル入りしており、これ程の事態は街エルフの長い歴史を紐解いても例を見ないほど。それだけに引退していた人形遣いにも声を掛けて、現役復帰させ始めており、人形遣いの技や魔導人形達の活躍を目にする機会も増えていく事だろう。


【世界樹の精霊】

イズレンディアの母国である深緑の国には、世界樹と呼ばれる巨大な木があり、精霊が宿る特徴以外にも、世界の名を冠するだけの特徴を持っていたりする。とは言え、立地が悪いのか、土地が手狭な為か、一般的な世界樹に比べて、まだだいぶ小さい。雲取様の庇護が必要なのもその為である。八章では目立った動きはなし。とは言え、庇護してくれている雲取様が頻繁に支配地域を離れるようになってきており、取り巻く環境の変化は、世界樹にとっても見過ごせない事だろう。


【マコトくん】

異世界に住む少年で、惜しげもなく様々な学問、技術、文化、歴史といった驚くほど多岐に渡る知識を伝えてくれた。その膨大な語録は書籍として出回っている。マコトくん信仰者達にとっても、ここまでマコト文書への注目が高まる事態は想定してなかった事だろう。八章では目立った動きはなし。……なのだが、マコトくん信者達の尽力により、多言語版のマコト文書(抜粋版)が増刷されており、かなりの高額であるにも関わらず、増刷した端から飛ぶように売れていってるようだ。勿論、暴利を貪るような真似はしない。挿絵もわざわざそれぞれの種族に合わせる手間までかけ、相手の文化に合わせて、補足説明を満載した副読本まで用意する程だ。そんな彼らでも、小鬼族はこれまで交流がなかっただけに、小鬼族向けの書籍化は苦戦している状況だ。

ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。

あと誤字、脱字の報告ありがとうございます。五回、十回と読んでいても気付かないものなのでほんと助かります。

戦記モノなら鬼籍に入って人物は減っていくものですが、本作では派手なドンパチも起きていないのと、ロングヒルの状況が刻々と変化していくせいで、なかなか皆、本国に帰ったりもしないせいで紹介する人物が増えていく一方です。アキが興味を示せば本編でも語られるのですが、結構スルーされているイベントも多かったりします。

次回は、「第八章の施設、道具、魔術」になります。

投稿は十二月二十五日(水)二十一時五分の予定です。

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