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第七章の施設、道具、魔術

七章でいろいろと施設や道具、魔術が登場したので整理してみました。

◆施設、機材、道具


【別邸】

古風な様式で、大使館領の中でも入り口から遠いため、使われていなかった館をアキが使えるように手を入れたもの。……だったのだが、アキの活動に、ケイティ&女中三姉妹も手が足りなくなってきたため、部下となる新たな女中人形達が増員されてきた。彼女達の活動場所を確保するため、急ピッチで別邸を増改築中だったりする。


【第一演習場】

総合武力演習と雲取様との最初の会合を行った演習場。ロングヒルの城塞都市から一番近い位置にある。結構な広さがあり、部隊同士の演習を行えるなど、位置と広さ的に使い勝手が良く、そのため雲取様との二回目以降の会合は、第二演習場で行うことになった。


【第二演習場】

ロングヒルの郊外にある演習場で、第一演習場に比べて縦横倍の広さがある。広さを活かした演習を行う場所だったのだが、アキが竜族との交流に使う場所として確保し、魔法陣を刻んだりしているため、当面は竜族との会合場所として占有することが確定した。周辺地域も頻繁に来訪する竜族の強大な魔力に農民達も耐えられないことから、費用補填をした上で、国有地として立ち入り禁止区域扱いされる日もそう遠くはないだろう。


【無水鍋】

水の乏しい国で生み出された鍋で、重く密閉する蓋で全ての水分を閉じ込めて調理する為、燃料も節約できる優れものであり、世間一般には、海外交易の際に外国で見つけた変わった鍋を街エルフが国産化した物とされている。実際はマコト文書で紹介されていたものを国産化しただけ。なので、求められる密閉精度が現代レベルという品と化しており、他国が真似をしようとしてもその試みは成功していない。森エルフに大量輸出したのを契機に、他国への販売も始めたようだ。


【大量に紅茶を淹れる魔導具】

大量の茶葉を使い、樽一杯の紅茶を美味しく作る魔導具であり、ドワーフ族との共同開発品である。こちらでも紅茶は嗜好品だが、ペットボトル飲料は発達しておらず、飲む時に淹れるのが普通だ。そのため、大きいモノを探してもせいぜい鬼族用のものしかなく、人族換算で何百杯分にも相当する紅茶を一度に淹れるような品へのニーズはなかった。小さなものを単に大きくすればいいというものではなく、開発は結構苦戦したらしい。


【護衛珠】

直径四十センチほどの浮遊式自動防衛魔導具。三機をセットで使う。囲んだエリアに対する攻撃を物理、魔術のどちらも自動迎撃する機能がある。同時飽和攻撃にも対応するが、内蔵する魔力にも限りがあるため、迎撃性能にも限界はある。ただ、これは戦場において司令部の防衛にも使われるガチな軍用兵器なので、その性能はかなりのものがある。


【二人でも入浴できる湯舟】

真空断熱層を備えた、湯冷めしにくい湯舟であり、街エルフの主力商品の一つでもある。もちろん、魔術は使っておらず、破損しない限り、魔力を消費せずとも湯冷めを防ぐ効果が失われることはないという逸品だ。


【雲取様専用の特注コップ】

樽のように大きいガラス製のコップ。分厚いガラスを高い透明度のまま、コップの形状に加工したのは勿論、ドワーフ達の技術があればこそ。そんな彼らも強度と透明度をそんな大きさで両立させろ、というのは手古摺ったようだ。そして、苦労しただけのことはあり、たっぷり注がれた紅茶の色合いの美しさが映える逸品となった。


【船舶用の特大宝珠】

街エルフだけが製造を可能とする人造宝石で、赤い色合いの通り、ルビーである。宝石はその大きくなるほど蓄積できる魔力量は増大する性質がある。そのため、街エルフ達の大型外洋帆船では、帆で集めた魔力を蓄積しておくのに、この特大宝珠を用いているのだ。現代と同様、人造宝石は天然物とは比較にならない純度で作られており、一目で天然物との違いが分かるほどである。


【街エルフの大型外洋帆船】

詳細は四章でがっつり紹介されている通り、潜水艦のように二重船殻構造を持つ総金属製の大型帆船である。船体や帆の色を周囲に溶け込ませる光学迷彩、帆には魔力を集める機能があり、無風時にも航行できる魔導推進器を備え、揺れを防ぐ各種装備のおかげで乗り心地は大型客船にも匹敵する。船としては探索船であり、交易船であり、客船であり、そして軍船でもあるといったところ。空間鞄のおかげで膨大な補修部品に水や食料、大勢の魔導人形の海兵達を搭載しており、数年単位での無寄港航行を可能とする常識から大きく逸脱した船である。船全体が魔導具と言っても過言ではなく、この船で海外へと旅立つ探索者達は誰もが、街エルフのイカれ具合を強く認識したのだった。



◆魔術、技術


【魔術無効化】

天空竜は位階の低い魔術は無効化してしまい効果がない。そして妖精族も翁は明言しなかったが、同様のことができる模様。ちなみに魔術無効化は、こちらの世界においては、降臨した際の神々、力の強い精霊も持っている特徴である。街エルフの術式として、魔力の集束や圧縮を阻害する結界を生み出すというものがある。これを使えば魔術発動を防げるので似たような真似はできる。ただ、鬼族の魔力活性化からの魔術発動や、天空竜や妖精族が行う魔術の瞬間発動を阻害できるものではないので、効果は限定的と言えるだろう。


【竜族の重力操作】

人が歩くような気軽さで、自身への重力の方向を好き勝手に操作できる。そのため推力は通常は1Gまで。また、その操作に魔力を使うので、燃料なしに飛べる戦闘ヘリというよりは、魔力で飛ぶ戦闘ヘリといったところだろう。ただし、全方位に瞬時に重力方向を変更できるので、反動推進の飛行機や戦闘ヘリでは真似のできない高機動を可能とする。反動推進ではないので、爆音もないし、風が吹き荒れることもない。


【竜族の飛行】

羽は揚力を得るための補助として使われており展開はするが羽ばたくことはない。風を捉えてうまく飛ぶことで魔力消費を抑えており、雲取様はその技が特に優れている。基本的に揚力を得て飛んでいるが、通常なら失速する状態でも、魔力消費は大きいものの重力操作で揚力がない状態でも自在に飛行できるので、飛行の自由度は航空機や戦闘ヘリとはまるで別物である。


【思念波】

竜族が離れたモノと意思疎通をするための技術で、思念を魔力を使って放出するという力技である。言葉だけでなく意識もある程度含めて送ることができるので、表情筋が発達していない竜族にとってはとても便利なコミュニケーション手段となっている。……ただ、心の扱いが卓越した者にかかれば、内心駄々洩れ、意志読み取り放題という弱点もあることが今回露呈した。

ちなみに当初、雲取様が出力を抑えてそーっと送ってきたように、アキ達は手加減抜きで平然としていたが、一般的な魔導師達からすれば、威圧や恐怖の効果を発揮させる恐ろしい代物である。

竜が本気が怒った時に相手に叩きつける、所謂「竜の咆哮」は、相手に力を見せつけて威圧し、これから確実な死を与えようと宣言する、竜が戦いにおいて行う作法であり、技法としては思念波に属する。心の弱い者であれば、それだけでショック死してしまうことがある程である。竜相手に頭数を揃えても意味はないと言われる所以だ。


【竜眼】

竜の目を全てを見通す。そう言われるほどであり光学だけでなく、魔力の流れや空間の歪みなど、多くの情報を見通すことができるようだ。光学的には完全に本物と同じに見える、妖精族の幻影ですら、離れた位置から幻影と見破ったほどである。その見通す力によって、アキとリアの間に起きている魔力共鳴っぽい「何か」についても研究が動き始めたのは僥倖だろう。


【心話】

心を接触させて意思疎通を図る技術で、感情とか細かいニュアンスまで伝わるのが利点であり欠点。また、相性が良くないと成功しない制限もある。一度、経路が確立してしまえば、距離に関係なく心を触れ合わせる事ができる。アキはこれを十年間、その道の達人であるミアを相手に毎日何時間も行ってきただけあり、技術面だけでいけば、達人級に達している。言語化せず意思疎通することで、会話時の十倍速くらいで意思疎通できるとアキは言っているが、それは相手もその速度に耐えられるだけの達人だからできる絶技であって、普通の相手にそれをやると、過剰情報流入で頭をパンクさせてしまうだけだったりする。

それと相性の問題だが、アキはミア、翁、雲取様、そして紅竜と次々に心話を成功させており、普通の術者と違い、相性問題が発生しない特性があるのではないか? という話も八章で語られる予定。


【世界間データ転送技術】

通常の召喚と、心の隙間に魔術を貸与する技術、それに隙間の魔術を解凍、展開して、記録する魔導具を組み合わせて、世界間のデータ転送を行うという新技術。妖精界の本体と、こちらの召喚体を通信端末扱いして、心の隙間は通信パケット、召喚の繋がりを通信回線と見做す感じである。これが実用化されれば、今までは妖精本人の記憶力に頼るしかなかった情報の受け渡しを直接行えるようになり、扱えるデータの量と質が飛躍的に向上すると期待されている。ただし、生体通信装置の役割を担う妖精さんへの負担を考えると、通信速度はある程度で頭打ちになることが予想されており、最終的に魔導具で代替していくことが期待されている。


【竜からの圧力を緩和する障壁】

こちらの意志は通し、竜からの圧力は軽減するという、なんとも都合のいい障壁であり、ソフィアと賢者が共同開発した新しい魔術である。雲取様相手にチューニングを施した結果、ソフィアでも、竜と何時間も話をできるレベルまでは緩和効果を発揮できるようになった。ただし、この術式を発動し、チューニングできる術者が賢者だけ、利用できるのもソフィアだけという未完成な術式でもある。


【心話補助魔法陣】

アキと心話を行う場合に困るのは、アキの魔力属性が無色透明なために、上手く認識できないこと。そこで、翁を召喚した際の魔法陣を参考に、所縁ゆかりの品を経由することで心話を可能とする魔法陣を開発した。魔術初心者なアキでも使えるよう、所縁ゆかりの品と術者をセットすれば、後は全部自動でやってくれるというお手軽仕様だ。

ただし、相手から受ける圧力を軽減するような機能は全く付いてないので、アキやリア以外の普通の一流魔導師程度では、心に酷いダメージを負うのは避けられない。そういう意味で使用者が限定される欠陥魔法陣だったりする。

短期間で製造するため、ドワーフ技術者達と共同制作した品であり、この魔法陣を用いることで、アキは雲取様と親しくすることができたため、製作に関わったドワーフ達の心境は複雑なものがあったと言う。

その際の心の葛藤が、魔力差の大きい者同士でも心話を行うことができる魔法陣開発への膨大な熱意を生むことになるのだから、面白い。


所縁ゆかりの品を必要としない心話補助魔法陣】

心話補助魔法陣の欠点は、所縁ゆかりの品を必要とするところだった。身一つでやってくる天空竜に、それを用意しろというのは無茶というもの。そこで、竜本人が魔法陣に入ることで、所縁ゆかりの品がなくとも心話を可能とする新しい魔法陣が製造された。なにせ、今後続々と天空竜がやってくることは確実視されていたので。

ただし、本文でも語られているように、天空竜がゆったりと魔法陣の中に入れるよう、とても大きく作られている。単一魔法陣としての大きさだけで言えば、弧状列島の歴史上でも他に類を見ない規格外のものとなった。アキは単独でこの魔法陣を起動させているが、これは当然だが、常識を大きく逸脱している。

そして、用意しておいたおかげで、七柱の雌竜襲来時にも、心話による交流、という選択肢を取ることができた。人を選ぶ欠陥はそのままだったりする。


【魂の交換】

これは、不安定な魂を別の入れ物に移し替えるといった意味を持ち、移し終わった後も、新しい肉体に魂が慣れて安定するまで時間がかかるという、大変危険な魔術である。街エルフが安定させるための専用術式を開発したくらいであり、安定するまでの間は魂は不安定な状態となり、意識が落ちている時間が増えるといった副作用も出てきてしまう。雲取様が禁ずるのも当然である。

この術式は一般レベルの魔導師は使用が許可されない禁術であり、よほどのことがないと使用を許可されることがないものだが、それも当然だろう。


◆その他

【弧状列島全域図】

街エルフ謹製の地図であり、各勢力の支配地域や主だった都市、河川、街道といったものが記載されていたりする。鬼族達が驚愕していたように、ここまで他勢力のことを詳細に把握しているのは、街エルフだからであり、人類連合にすら、この地図の劣化版しか渡していないほどだ。一目瞭然、鬼族連邦の支配地域については把握しているので、その精度の異常さを鬼族達は理解したのだ。情報戦では完全敗北、その事実が付きつけられた瞬間だった。


【海域図(公開範囲限定版)】

鬼族が把握しているであろう海域までに限定して作られた世界地図であり、街エルフの大型外洋帆船が航行して調査した地域について描かれた逸品である。投影Onlyということで、結構微細なレベルで情報が記載されており、世界の広さを皆が強く意識したのも無理はない。それとあまりに正確に鬼族の把握している範囲と重なっているため、鬼族が公開している情報をかなり限定していることを察することになった。もちろん、そう理解できるよう敢えてそうしたのである。鬼族連邦が無駄に駆け引きなどをして時間を無駄にすることがないように、と。


【世界儀】

公開した海域図を惑星を模した球体に張り付けたもので、形状は地球儀だが、世界のことを地球と呼んだりしないので、こちらでは世界儀となる。執務室に置いても映える精巧な形状をしており、インテリアとして観ても一級品である。勉強会に来た者には全員に一つずつ無料配布し、同じ物が欲しいなら受注生産する旨を伝えたところ、人類連合だけでなく、鬼族連邦からも注文が殺到し、数年後まで生産計画が埋まってしまった程である。

一般の人々が弧状列島の地図どころか、自らが生活する城塞都市周辺の地理しか把握していない状況において現れた品であり、これを見た人々に、自分達の住む弧状列島が、世界の中にある小さな国なのだ、という自覚を強く促すことになった。

また、弧状列島の緯度、経度や赤道の位置、自分達が知っている地域、そしてまだ探索されていない広大な地域が一目でわかり、それが月のように球状の大地という限りある閉じた世界に存在している、ということが理解できる珠玉の品であり、後世においても、人々の世界観を一変させたオーパーツ扱いされることになった。


【天空竜の庇護下に置くという行為】

これは、周囲に住む天空竜達に「アレは俺のものだから、手ぇ出すんじゃねーぞ」と明示する行為である。竜同士の信頼関係によって成立する取り決めであり、本来は竜相手以外では意味がないものである。実際には、雲取様の庇護下にある森エルフやドワーフ達が、周囲から襲われることが稀であることからもわかるように、他種族に対してもかなりの抑制効果がある。そりゃ、誰も天空竜の怒りは買いたくないものだ。


【天空竜の加護】

庇護下に置くのは、種族や国といった大きな単位に対して行われるのに対して、こちらは魔力による匂い付けのようなものであり、特定の人物やモノに対して行われる行為である。加護は明確に「竜が自分のモノと宣言した」ことを意味するものであり、そういったものには手を出さないのが、天空竜達の紳士協定となっている。

あまり価値のないものに施すと、その竜の名声が落ちるので、竜も他の竜に「我が宝だ」と宣言しても恥ずかしくない対象にしか施さない。

そのため、天空竜の加護は、御伽噺や年表を引っ張り出すほど稀なものだったりする。

竜を強く意識させる印であるため、弱い魔獣などはそれを感知しただけで逃げ出すほど。効果としては近代北米神話に出てくる「旧き印(エルダーサイン)」と似たようなレベルである。

本文での説明と重複して同じ内容を書いても意味がないので、内容は少し別の視点から書いてみました。

次回は、「第七章に登場した各勢力について」になります。

投稿は十月二日(水)二十一時五分の予定です。

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