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第六章の登場人物

六章で登場した人物や、描写はあったけど登場シーンがなかった人の紹介ページです。

◆主人公

【アキ】

外見は色違い(髪が銀髪、目が赤い)のミアといったところであり、中の人は誠。地球では高校二年生の男子であった。現在はミアと魂が入れ替わっており、こちらではとても長い学生生活を始めている。

成人するまで待っていたら、地球の誠(中の人はミア)が寿命で死んでしまうので、なんとか奮闘して、地球との間に次元門を構築する専門チームを立ち上げて貰う状況まで持って行った。

また、こちらでの姉であるリアとの間で、魔力共鳴現象が起きており、魔力は超強化されたっぽいのだが、制御不能、魔力の感知も不可と欠点ばかりが目立つ。強過ぎる魔力のせいで触れると魔導具が壊れると、行動範囲すら大幅に制限される有様である。アキの魔力属性はリアと同じ無色透明であり、他人からはアキの魔力がまるで感知できない。

魂入れ替えの影響で、一日の半分も起きていられない。日がかなり昇ってから起きて、日が落ちる前には寝ている感じ。そのため、生活の大半をサポートメンバーに頼っている。

第六章では、総合武力演習に招待されて見ることになったが、血は出ないとはいえ、小鬼人形達に実際に太矢クォレルが突き刺さり、槍や剣で斬られる様子はかなりのショックだったようで、周囲を大いに心配させた。

鬼族のセイケンとの会談も成功し、妖精達の描いた光の花に天空竜の雲取様が興味を持ったことで、天空竜との交流ルートもフラグがたった感はあるが、ミアが手紙でも書いている通り、本来なら他のことを全てやってから接触すべき相手であり、ラスボスダンジョンに突入するようだ、と称したのも、こちらの世界の人からすれば当たり前の認識である。

この状況の変化の激しさは、流石に街エルフの長老達も予想しておらず、千年来の怨敵でもある天空竜達が相手となれば、彼らもまた何らかの動きをみせることになるだろう。


◆アキのサポートメンバー

【ケイティ】

元は探索者であり、今は家政婦長ハウスキーパーとして、アキがロングヒルでの活動の基点としている別邸で働く人々を統括している。「マコト文書」も抜粋版ではあるが一般には公開されていない範囲も含めて全て読んでいることもあり、アキの会話が、普通に通じるのもそのため。

魔導人形の女中三姉妹と共に、アキの活動全般を支えている。ケイティの献身的な対応がなければ、一日の半分以上寝てるアキがこれほどストレスなく活動することはできていないことだろう。

アヤが来てくれたことで、他との折衝、調整といった面倒な部分から手を引くことができて、だいぶ助かっている。アキは賓客ゲストであり、別邸は主人相当の人物が不在だったが、アヤはそれに準じる人物ということもあり、ケイティも本来の職務に専念できるようになってきたようだ。

新たにやってきた森エルフの勅使イズレンディアは、よく知っている仲のようだが、なんとも塩対応なのは、森エルフの国からケイティが探索者として飛び出していることと関係しているらしい。


【ジョージ】

元は探索者であり、かなりの有名どころだったりする凄腕の護衛である。アキが行くところ、常に行く所に同行している訳だが、ミアからは「街エルフの子供が成人するまでの間、危なくないように見ててあげてね」などと勧誘され、街エルフなら引き篭もり、ならまぁ、少しはのんびりできるかなどと考えたのが運の尽き。僅か数カ月で街エルフの国を飛び出して、ロングヒルにやってきて、本物の鬼族が現れたり、森エルフがきたり、そして本物の天空竜まできたのだから、護衛という視点からすれば、アキにはもっと大人しくしていて欲しいところだったりする。アキ自身は、直接、戦うようなこともなく、荒々しい輩に襲われるような場所に行くこともなく、極めて安全寄りに行動している「つもり」なんだが、ジョージからすれば、町中にいるゴロツキや、兵士崩れの野党なんかより百倍怖い連中に会いに行くアキは、危機感覚が壊れているんじゃないかと心配になるほど。アキはお友達感覚でセイケンと楽しく交流しているが、ジョージからすれば、一人で一個小隊相手に戦えと言われたほうがマシと思うほど危険と考えている。

そんな訳で、万一の事態に備えて準備をして、関係各所と調整するジョージの仕事は大変なのだ。

アキはそのあたりはあまり興味がないので、本編で語られることは少ないけれど。

あと、そんな忙しい日々でも、別邸にいれば護衛の仕事は手が空くので、せっせと子供向きの小説をベリルと一緒に書き進めていたりする。ある程度、形になってきて、物語の世界が見えてきたこともあり、筆が進むのだが、ベリルからはあまり設定ガチガチにしないで、と釘を刺されたりもしている。


【ウォルコット】

御者であり、魔導馬、馬車の整備も担当しており、ロングヒルに来てからは庭師としても仕事をしつつ、魔導人形達のメンテもしてたりする元商人。若隠居であることがエリーの発言により明らかになった。こちらに来てからは、特等席で歴史の激動を目撃できている、と大変喜んでおり、実はせっせと日々感じたことを日記に記していたりする。

なにせ、妖精キター♪、鬼族キター♪、ドワーフ達もわんさかやってキター♪、天空竜まできて、森エルフも! ってな感じである。

不夜城と化していく大使館から離れた位置にある別邸は、アキのサポートメンバーだけというこじんまりとした構成なので、こちらは穏やかでいいですねえ、などとご満悦。実際にはケイティや女中三姉妹は忙しいので、気が向いた時には手伝ったり、愚痴を聞いてあげたりと、別邸を影で支える役どころと言える。

助手のダニエルが、馬車で移動する際にドワーフ達に「マコト文書」の教えを広めていたり、大使館にいる女中人形達との集まりでも、日常生活ベースの「マコト文書」のエピソードを語り広めたりと、熱心な布教活動に勤しんでいるのも、本業に支障をきたさないなら問題なし、と承認してたりする。

それどころか、そうして広がる交流時のエピソードを聞いて楽しんでいる始末。楽しそうで何よりだ。


【翁】

本物の妖精であり、妖精界からアキの子守妖精となるべく召喚された老人である。他の妖精達と違い、色々と度外視した召喚体で構成されていることもあり、同期率を下げれば、こちらと妖精界で二重行動をしたりもできる。今回は公開演技エキシビジョンに参加したり、鬼族達とも熱心に交流したりと、その活動は相変わらず濃いようだ。


【トラ吉さん】

芝犬くらいの大きさの角のある猫、つまり魔獣であり、アキはとても愛らしいと思っているが、一般的視点からすれば、虎やライオンといった猛獣枠である。リアに頼まれたということもあるが、最近の行動を見ていると、どうみても彼の思考は保護者のそれである。

アキの精神がかなり不安定なことも認識しており、常に近くにいて触れ合うことで、心を癒すのにも一役買っている。アキの毛づくろいやマッサージはお気に入りのようで、脱力しきった彼の様子を見ると、とても魔獣とは思えないことだろう。

鬼族相手くらいまでならば、気負うことなくなんとかできる感じではあるが、流石に天空竜はキツいようだ。それでも同行してくれるのだから、アキとしても心強いことだろう。


【マサト】

ミアの家令であり、ミアの財閥を管理している責任者でもある。「マコト文書」という知財を活用して、膨大な資産を多くの方面で運用しており、彼と秘書人形のロゼッタが行使する影響力は王侯貴族連中を束にしても敵わないレベルだったりする。アキがロングヒルで行っている活動を、金を生む企業活動に落とし込む作業をしてくれているのも彼らであり、彼らの存在なしではアキはロングヒルであれほど大規模な活動を行うことはできないだろう。


◆魔導人形枠

【アイリーン】

アキに触れることもできる高性能女中三姉妹の一人であり、彼女の料理は今回も大活躍となった。幕の内弁当の再現には、マコト文書を読み進めていたベリルの支援も受けたりしている。料理にかける情熱は半端なく、特別な道具の必要となるような焼き八つ橋にも手を出すなど、その勢いは留まるところを知らない。きっとたこ焼き、たい焼き、大判焼きあたりにも手を出すことだろう。頼めば作ってくれるドワーフ職人達がいるうちに、と考えたりしてそうである。


【ベリル】

アキに触れることもできる高性能女中三姉妹の一人であり、本編ではあまり触れられていないが、セイケンとの会談準備や、天空竜との接触について様々な文献を調査したり、検討するような作業で大いにその力を発揮している。また、人類連合の所属各国からロングヒルに派遣されてきている人達相手のワークショップに使う資料の作成もベリルの力は欠かせない。アキと作成方針を決めたら、翌朝までに資料を作って、という忙しい日々だ。それでも夜中の天体観測は欠かさないし、雲取様が飛来してきた際には、望遠鏡を使い詳細な観察も行ったりしている。あと、ジョージと一緒に進めている小説の執筆も結構、書いたページも増えてきて、そろそろアキに読んでもらおうと思ってたりする。自分達では結構良い出来と考えているが、地球あちらの世界で、小説を読み慣れているアキからすればどうなのか気になるのだ。


【シャンタール】

アキに触れることもできる高性能女中三姉妹の一人であり、アキの着る服のコーディネイトは完全に一任されているようだ。アイリーン、ベリルが専門の仕事を抱えている分、全体のフォローに回る感じであり、ベリルと一緒に資料作りをしてたかと思えば、アイリーンと一緒に食材の下拵えをしたりと、忙しく働いているようだ。別邸の清掃もしてたりと、実は一番忙しいのはシャンタールかもしれない。


【ダニエル】

ウォルコットの助手として、彼の活動を支える立場である。魔導人形で唯一、「マコトくん」を信仰する司祭としての力を持っており、百パーセント善意から、日々、日常の雑談をするように、「マコト文書」のエピソードなどを語り広めていたりしている。本編では今回は語られていないが、馬車移動の際にはウォルコットと共に移動しており、乗客のドワーフ達や、移動先の大使館の女中人形達などとの接点も有効活用しているのだ。特に大使館では大使のジョウが率先して「マコト文書」について部下達に学ばせていることもあり、その下で働く女中人形達の間でも俄かに関心が高まっていたのだ。これを逃す手はない。

司祭としての語りの巧さを活かして、今では何冊も布教活動用の「マコト文書(抜粋版)」を手渡すことに成功している。そして、百人からなるドワーフ職人達の来訪も、ドワーフ達は魔導具を使う技術者ということもあって、アキとの接点は少ないことから、ここは私が動かなくては! という妙な義務感を持って、彼らとの交流を積極的に増やそうと画策していたりする。彼女の暗躍が七章でも少し表に出てくる予定である。


【護衛人形】

アキに触れることができるよう強化された護衛用の魔導人形達で四人一組。室内戦闘用ということで小回りが利くよう、体格は小さめ。その実力は、連樹の巫女の護衛達の動きを軽く止めるほど。今回もジョージと共に総合武力演習の会場では護衛として四方に睨みを効かせていたのだ。


【農民人形】

主に農作業を担当するということでロングヒルに同行してきた魔導人形達。お揃いの作業服をきて園丁としての仕事も兼務している。別邸の庭が常に手入れが行き届いているのも彼らのおかげ。建物が古いので、どうしてもメンテにも手間がかかってしまうのだが、骨董品のような屋敷や庭を手入れできるのは貴重な経験のようで、彼らも楽しんでやっているようだ。


【ロゼッタ】

ミアの秘書を務めている魔導人形であり、通常の魔導人形二十体分にも相当する超高性能機らしい。ミアの知的財産管理を担当している関係で、ロングヒルには同行していない。エリーの発言で、ミアの財閥と呼ばれる企業集団を統括、運営する立場にいることが判明した。何も手を打たなければ、合計二十人近い魔導人形や専門職と彼らが住まう屋敷というのは、維持するだけで膨大な費用がかかる赤字部門となるものだが、大使館やロングヒルの役人達、それに鬼族といった相手への働きかけを、金を生む活動に変えることで、赤字どころか大きな利益を生む黒字部門へと押し上げているのも、マサトやロゼッタの働きがあればこそ。

まぁ、そんな仕事をしながらも、次にアキに会ったら、どう甘やかしてあげようか、とか考えていたりするのだから、良い性格である。


【仮想敵部隊の小鬼人形達】

予定通り、総合武力演習でボロボロになった彼らは、大使館に人形遣いの工房が開かれたこともあり、順次、修理を受けることになった。損傷状態で動き続けると妙な癖がつくので、損傷を受けた小鬼人形達は空間鞄の中で、スリープモード状態になっている。そのため、アキと約束しているヒアリング作業はしばらく先になりそうだ。


【仮想敵部隊の鬼人形さん】

総合武力演習では特に損傷もなかったので、仕事としてはこれで終わって後は帰国するだけの筈だったが、鬼族がロングヒルに残ることになり、彼はなんとか鬼族の技を学びたいと頼み込み、鬼族側もそれを快諾したことから、しばらくロングヒルに残ることになった。彼の課題は鬼族の鬼族たる魔術と武術の同時使用である。身体能力は再現できていても、魔術まで完全再現という訳には行かず、彼を作り出した人形遣いも交えて、どうするか色々模索していくことになりそうだ。ちなみに鬼族の有名な範囲魔術「神鳴」自体は鬼人形も似たような魔術を行使できるのだが、鬼族達から言わせると、魔術の使い方が雑らしい。


◆家族枠

【ハヤト】

ミアとリアの父であり、こちらでのアキの父でもある。共和国議員であり役職は高め。街エルフの長老達と一人で対峙することになっているが、なんだかんだと話を通すあたり凄腕である。ロングヒル行きはアヤに負けたが、アキが天空竜と会うなどと言う事態になることがほぼ確定したことから、七章では無理やりにでもロングヒルへとやってくることだろう。


【アヤ】

ミアとリアの母であり、こちらでのアキの母でもある。共和国議員で役職は高めなのだが、総合武力演習では公開演技エキシビジョンをやったりと、とっても行動的。人形遣いとしての実力は並で、本人も言うように操る人形達もちょい昔の型落ちだったりする。もっとも練度が異常域に達しているので、アヤと一緒に来ている人形遣い達が同等レベルかというと、やはりアヤのほうが少し高め。

こちらに来てからは、なんだかんだとアキの行動を邪魔しない程度に、話に絡んでみたりと、結構、距離感には苦労している。スキンシップ役をトラ吉に任せて、上手くいっているのでなかなか、自分も参加とは言いだしにくいようだ。ケイティだけでは通しにくい話もアヤが大使のジョウと組めば大概はなんとかできるのも、街エルフの動きがやけに早い理由の一つだろう。


【リア】

ミアの妹であり、こちらでのアキの姉でもある。アキとの間に魔力共鳴現象が発生しており、アキと同様、魔力は異常に強いが、魔力感知不可、制御不可とポンコツ状態なのも一緒。総合武力演習にはアヤが参加することもあって、リアがロングヒルに来ることは許可されなかったが、ハヤトと同様、アキが天空竜に会うとなれば、無理やりにでもやってくるのは間違いない。


【ミア】

アキ、つまり地球でのマコトを召喚した張本人だが、召喚時に入れ替わりに地球のほうに行ってしまい、音信不通状態。異世界(地球)との間で夢の中ではあるが交流もやっていたりと魔導師としては超一流。きっと地球では、誠の中の人として楽しく生活しているはず。召喚前に今後、アキが遭遇するであろう様々な事態を想定して、山になるほどの手紙を書き残した。また、誠と延々と話した内容を『マコト文書』として書き残している。

六章では、ミアの残した手紙が三通渡されたが、そこに書かれている内容は、こちらの人が常識的に考えたらそう予想するだろう、といったものであり、鬼族の話も、天空竜との話も現状とは大きくかけ離れていた。あまりのズレにアキも悲しむよりも前に、自分の出会うペースがかなり幸運に恵まれたものであり、通常からかけ離れたもの、と認識することができた。

ミアもまさかこんなペースで手紙を読まれていくことになるとは思っていなかったことだろう。


◆妖精枠

【シャーリス(妖精女王)】

改良された召喚術式により追加召喚された妖精の一人で、妖精の国の女王様である。アキが齎した「妖精でも使える賽子サイコロ」により、他人と公平に遊べるようになったことを大変喜んでいる。

アキのことも、手間のかかる妹といった感じで見ているようで、保護者視点での発言や行動もよく見受けられる。妖精達がこちらにきているのはあくまでも私的な立場であり、公的な立場ではないと明確に線引きしているが、これは人族の国という存在がどんなものかよく理解できていないためである。個々人レベルでは相手のことを理解できても、個々人の集合体である国は、独自の振る舞いをする別の精神生命体と捉えたほうがいいと考えている節があるのだ。今後は鬼族やドワーフ族との交流も深まり、天空竜やその使いの森エルフとも交流できるということで、大変喜ばしい展開と思っているが、同時に頭数が足りないとも考えており、召喚術式の更なる改良を賢者に命じている。


【賢者】

召喚術式を改良し、大勢の妖精を追加召喚した妖精界の偉大なる大魔導師である。賢者という役職名も自分から言い出したものではないが、他人からずっと言われるうちに、面倒臭くなり、それでいいと受け入れたものだったりする。周囲が心配するほどこちらの世界での魔術専門家との交流にのめり込んでいるが、シャーリスの打ち出した対策により、節度ある召喚生活を送れているようだ。

総合武力演習における妖精達の演目は徐々に消費魔力を高めていくものであり、アキの魔力総量、回復量を計測するため、緻密な計算にによって裏付けられたプランが練られたものだった。特に急激な魔力低下は問題を引き起こすため、常に満タン状態に見えるアキの魔力が減少に転じた際、あまりにも減るペースが早過ぎる時は、消費魔力を抑えるよう演目も何種類かパターンを考えたのも彼である。

鬼族の魔術は、人族のそれとも、街エルフのそれとも異なるので、賢者の楽しい日々も当分終わることはないだろう。


【宰相】

改良された召喚術式により追加召喚された妖精の一人。妖精の国の統治を行う閣僚の一人だが、人族のそれよりも統治機構はシンプルで、各人の裁量に任される範囲が広いようだ。

彼は妖精と人族の在り様は違えども、統治という視点で国全体を情報という角度から見れば、学べるポイントは多いと考えており、賢者ほどではないにせよ、かなり積極的にこちらを訪問していたりする。

また、妖精の国の周辺国について、どう情報を集めるか悩んでおり、人族の統治について少ない情報からどう読み解いていけばいいのか、外部からの観察でどこに注目すればいいのか、相談、検討していたりする。

ロングヒルや街エルフの専門家達も、書物は駄目、会話も駄目という制限付きの中で、妖精が人族の国に潜入して見聞きすることで何が把握できるのか、何が把握できないのか想定する話し合いの中で、自分達の国を見つめ直す機会を得ており、この交流は互いに得るものが大きいようだ。


【彫刻家】

改良された召喚術式により追加召喚された妖精の一人。優れた彫像を作る高い技量があるが、実際にはできないことがないんじゃないか、というマルチな才能を持つ妖精である。六章では加工皿を用いた金属の立体加工技術を披露したが、あれは基本セットということで、初めて学ぶ者が使うようなシンプルなものだったりする。実際に彼が「妖精と戯れる少女の像」を作った時には、特注の超特大加工皿と、何十種類もの材料を入れる壺を組み合わせた専用部屋が使われている。作業補助の魔導具があるので、細かく繊細な作業も快適に行える優れものだが、流石にその部屋自体を召喚時に持ち込むことはできなかったようだ。

ドワーフ達の鋳造や鍛造の技術は、膨大な超巨大物体の製造におけるノウハウの塊であり、微細なものしか作らない妖精からすれば、それはそれで未知の超技術だったりする。なので、妖精もドワーフも互いの技、知識に触れることで、多くのことを得られることだろう。


【近衛】

改良された召喚術式により追加召喚された妖精の一人。シャーリスの護衛を担当しており、妖精族の中でも精鋭が割り当てられている。今回もシャーリスが行くところ、一緒に同行し、彼女を護る仕事に徹していた。シャーリスも職務に忠実なのはありがたいが、常に同行されていては息苦しくて構わないので、外せるタイミングがあれば、近衛と別れて行動しようとする傾向がある。そんなシャーリスの気持ちも理解はするが、職務ですからとなかなか首を縦に振らなないのも彼らしさが出ていると言えよう。


◆鬼族枠

【セイケン】

鬼族連邦から、総合武力演習に参加するため、やってきた鬼族達の代表をしている鬼族の男である。体つきはとても大きく、ジョージと並ぶと、ジョージが子供に見えるほどだが、彼は鬼族としては普通といったところ。

魔術と武術を同時に使用する技をかなり高いレベルで習得しており、護身用の鉄棍だけでも、大概の困難には対処できる強者である。アキも言っていたようにスマートな印象のイケメンであり、故郷には妻と四歳になる娘がいたりする。妖精族との繋がりを得たため、彼を含む五人の鬼族の若者がロングヒルの地に残る事になった。ロングヒルに鬼族連邦大使館も作られることになり、彼の単身赴任状態はかなり続きそうだ。

アキからは鬼族連邦の窓口役として頑張るよう発破をかけられており、本人もその気はある。街エルフや人族の対妖精シフトの人員投入規模の大きさに、鬼族がかなり出遅れた、と認識している。実際にはせいぜい一ヶ月遅れというところなので、そこまで遅れている訳ではないのだが、そこでどっしり構えていられないのは、若さ故か。

アキやエリーの物怖じしない態度も好ましいものと考えているが、同時に人族や街エルフの子供がこれ程とは予想外であり、鬼族の子供もそうあるべきか、などと考えたりしているが、その誤解が解けるのもそう遠くない事だろう。たまたま、例外中の例外に遭遇したに過ぎないのだから。


【鬼族の総武演参加メンバー】

セイケンと共にロングヒルに来た若者達で全員、男であり年齢構成は、人間換算なら二十代といったところ。セイケン程ではないが、やはり魔術と武術を同時に行使できる技を身につけており、百人力の猛者達である。彼らは穏健派の中でも、有望と見られている逸材揃いであり、セイケンは彼らの纏め役という位置付けであり、実はそれぞれが代表を務められるような精鋭だった。

勿論、ロングヒル側はそんな事は知らないので、鬼族はやはり凄いなどと、彼らを基準に考えてしまい、セイケンが公開演技(エキシビション)の場で沈静化を図る羽目に陥ったりもしている。

彼らの内、半数が今回の一連の出来事の情報を国許へと持ち帰って、大規模増援をするよう働きかけることにした。それが鬼族連邦内に大きな動きを生むことになるが、それはまだ暫く先の話。

ロングヒル居残り組も、自由な行動が制限される中、妖精達と意欲的に接触して、少しでも遅れを取り戻そうと躍起になっている。

勿論、いくら百人力の彼らでも、交流する上ではセイケンと合わせて頭数五人の少人数に過ぎず、身の丈に合った活動をするよう切り替える事になるのだが、それも当然だろう。

ロングヒル、街エルフのどちらも、補助要員まで含めれば、妖精側の人数の五倍以上の人数を投入していて、それで何とか回している有様なのだから。いくら優秀でも、数の差は如何ともし難いのだ。


◆ドワーフ族枠

【ヨーゲル】

ドワーフの中でもその人ありと言われた有名な彫刻家。長命なドワーフ族の中でも、老齢の域にあるが、旺盛な創作意欲は衰える事なく、今でも気の向くままに作品を創り続けている。今回、妖精から贈られた彫像の再現も話を聞いた時には受ける気はなかったが、貴方でなければ他の何者でも作れないと懇願され、仕方なく現物を見たところ、その造形の緻密さ、巧みさに惚れ込み、引き受ける事を決めたのだった。

彼が等身大で再現した秀作は、彼の人生経験の全てを注ぎ込んだ力作だが、一、二位を争う出来と言ったのは、作家としてのプライドから。自分がゼロから作ったものでないのが不満なのだ。

その為、彼は同じモチーフで、創った独自の作品を後に発表しているが、それを観た妖精族の彫刻家がなんと言ったかは明かされていない。


【常駐するドワーフ技術者達】

元々は魔導馬車のメンテをする名目で来ていた彼らだが、多くの魔導具を組み合わせた集合体の対応を任されるだけのことはあり、再び、ロングヒルに向かう役目も実力でもぎ取ったようだ。

彼らがそこまでして来た理由は、超一流たるヨーゲルが、敗北を認めて教えを請いに行くと聞いた為だ。それほどの話ならば、何としてもその場に居合わせたい、場合によっては自分も学びたい、と技術者魂に火が付いたのだ。結果として、彼らの勘は大当たりで、異質な妖精の技を目の当たりにして、何としても習得する、それまでは国許には帰らん!、といってかなり気合を入れて、国許へと働きかけたようだ。


【施設建設で派遣されてきた百人のドワーフ技術者達】

妖精の技に触れた技術者達の猛烈な働きかけにより、ドワーフの技を見せるための施設作りにドワーフ技術者百人からなる大集団派遣されることになった。建築資材や派遣費用を考えれば、この規模は一軍の派遣にも匹敵する大事業である。妖精の技はそれだけのインパクトがあったという事である。

しかも、彼らも、せっかく来たのだからと、ロングヒルの人族だけでなく、工房を開いて作業をしている街エルフの人形遣いや、大使館を立てている鬼族とも交流する気満々だったりする。

ただでさえ、人の数倍は食べると言われるドワーフがこんな人数居座れば、ロングヒルの食糧事情も統計に表れるレベルで影響を受けることになり、物流体制の見直しが急がれている。いくら資金があったとしても、物がなければ話にならないのだから、活動を支える人々も大変である。


◆森エルフ族枠

【イズレンディア】

天空竜の雲取様が庇護下に置いている深緑の国から、雲取様の勅使としてきた森エルフの男。ジョージより少し高い身長と、野山の勾配を物ともせず走り回れる卓越した身体能力を発揮できるアスリート体型である。身体能力的には一般的な森エルフと大差ない。

彼が勅使として選ばれたのには訳がある。ケイティが辛口なコメントをしていたが、森エルフはスナイパー向きの性格が多く、弁舌が立つような者は稀なのだ。幸い、彼は外部との交渉事でも、それを苦にせずこなせる能力がある事がわかり、国許では重宝されている。

彼も他の森エルフと同様、雲取様を信仰してはいるが、それは畏怖すべき存在としての認識の方が強い。

この辺りの認識のズレは七章で明らかになっていく事だろう。エリー、セイケンに続く貴重な苦労人枠である。


◆天空竜枠

【雲取様】

人族の間でもその名を知られている有名な天空竜である。他の天空竜より一回り体格が良く、その鱗は透明感のある黒であり、その飛ぶ姿は優雅である。飛ぶことが趣味のようで、他の天空竜よりも飛ぶのがとても上手く、行動半径は三倍にも及ぶ。そのため、人類連合の間では最も目撃例の多い天空竜である。

彼の支配する地域には、森エルフやドワーフも居住を許されており、その庇護下にある。そのため、竜神として崇められたりしているのだが、その関係がどんなものかは第七章で語られることになるだろう。

こちらの世界では、個人レベルで空間転移するような真似はできず、天空竜より素早く移動できる存在もなく、彼らの魔術は瞬間発動となれば、「天空竜からは逃げられない」というのが常識である。

低い位階の魔術はそもそも効果がなく、その鱗は槍や剣で傷つけることすら困難であり、天空竜の牙や爪はあらゆる防具を容易に貫き、竜の吐息(ドラゴンブレス)は砦すら破壊する。街エルフもよくもまぁ、こんな理不尽な存在相手に条約を結ぶに至るほど戦い続けられたものである。


◆人類連合枠

【エリー】

名前はエリザベス、ロングヒルの王女様であり、ソフィアに師事するアキの姉弟子でもある。ソフィアに言われて、アキの教育係になっている。魔術の腕はまぁまぁだが、魔導師の域には遠いようだ。一応、国民からの人気は高い(本人談)とのこと。王位継承権第三位ということで、それなりに重要な立ち位置のようである。総合武力演習で鬼族を応援したことで、自らの立ち位置が明確になり、アキの進める計画への参加も承認されることになった。色の付いてない彼女のほうが望ましかった勢力やファンが暗躍しそうだが、現国王及び、王位継承権第一位、第二位の王子達も国民から支持されており、そういった暗躍は暗躍のまま終わることだろう。エリーも自覚している通り、アキの進める計画においては、ブレーキ役、調整役となることがほぼ確定しており、なんとか仲間を増やそうと、今後も腐心していくことになりそうだ。

なお、結婚相手との巡り合わせが期待できそうにない現実を直視し、なんとかしようとそちらについても頑張ろうとしている。太陽のように輝かしく苛烈な彼女の隣に立とうという男が現れてくれると良いのだが。


【ロングヒルの王様】

ロングヒルの現国王であり、国民からは国父と大変慕われている。自らの人気の高さ故に、世代交代がスムーズに行くよう、二人の王子にも実務を着実に積ませていていたりする堅実派。……なのだが、エリーにはとても甘く、箱入り娘のように無難に、無難に、と介入しては、エリーの反発を受けている。

また、アキがやってきてからの一カ月ちょいで、ロングヒルの立ち位置、重要性が大きく変貌していく様に直面してからは、二人の王子には内政と人類連合内の外交を、エリーには他種族との融和を図る役を担わせようと考えを改めたようだ。第七章の終わり頃には、その程度の作業分担では全然足りないことがわかり、王妃と共に、五頭体制を真剣に考えることになっていくが、それはもう少し先の話である。


【ロングヒルの御妃様】

ロングヒルの現王妃様であり、エリーの実の母でもある。エリーを見ていればわかるように、実は苛烈な性格は母親譲りであり、彼女が夫を立てているから、夫も国父と慕われているが、かかあ天下であることは国民にはバレバレのようで、彼女も国母と慕われていたりする。実務の何割かは実は彼女が統制しており、その比率は夫より少し多いくらいだったりする。まぁ、国王は全体統制役なので、それで丁度よいバランスなのだろう。王子達二人は十分合格ラインではあるものの、二人足してやっとエリーと並ぶくらいか、などと評価している模様。最近のあまりに激し過ぎる状況変化に、国の体制強化と、各種施策の迅速な実施こそが急務と考え始めているようだ。


【ロングヒルの王子様達】

ロングヒルの第一王位継承権、第二王位継承権を持つ王子達である。現在の王妃とは血の繋がりはないが、関係は良好であり、互いに足を引っ張り合うような無能でもないため、国王夫妻からは身の丈を弁えており合格ラインに達していると見られている。能力的には十分な域に達しており、国民からの人気もそれなりにあるのだが、第三王位継承権を持つエリーの人気の前には霞んでしまっているのが実情だ。

実は二人とも極度のシスコンで、父と共にエリーを猫可愛がりしていて、王妃から白い目で見られていたりする。もちろん、エリーを無力化しようと画策している訳ではないのだが、安全側に、特定の勢力に偏らないように、と考えるため、結果として、エリーから反発を受けたりしている。

彼らが政治の表舞台に立つ日も近いだろう。人類連合所属国としての責務を果たしつつ、人種の坩堝と化していく国内を統制し、更に強大過ぎる街エルフの国、鬼族連邦、妖精の国ともうまくやりあっていく必要があるのだから。


◆その他

【ジョウ】

街エルフの駐ロングヒル大使。若手だがかなりのやり手であり、ルーチンワークで対応できていた頃は、暇で暇で退屈していたようだ。今ではアキがきてから、日々、ルーチンワークでは対処できない非常事態の連続が続いており、毎日がとても充実しているらしい。そんな彼も、流石に天空竜の雲取様が飛来した時には顔が青くなったらしい。それでも先を見通して、人材確保に奔走し、大使館の施設強化にも努めたり、ロングヒル側に働き掛けて、物流網の強化を推し進めるなど、とても精力的に活動している。彼の立ち位置は今後も重要性を増していくことだろう。


【ソフィア】

アキの魔術の師匠であり、エルフとのハーフとのことだが、高齢であり、その背はアキより頭一つ分は小さい。魔力属性は透明度ゼロの炎色であり、意志をもって現実を塗り潰すような魔術が得意。斜陽の古典魔術を指導する立場ということもあり、街エルフの齎した現代魔術に対する研究も余念がない。貪欲な探究心があればこそ、アキの師匠として抜擢されたとも言える。

第六章では、アキの魔力総量、回復量を把握するため、妖精達と画策して膨大な魔力消費を伴う演目をいろいろと考え出した。アキの手を握って、アキに他人の魔力に圧される感触を経験させるなど、とても頑張ったが、ちと無理をし過ぎたようで、第七章では少し行動も控え気味になる見込み。

とはいえ、それは自分自身が動くのを控えるだけで、他人に指示して研究・分析を推し進める作業のほうは逆に遠慮がなくなりそうだ。周囲としてはいい迷惑だろう。


【街エルフの人形遣い達】

アヤの護衛として派遣されてきた街エルフの人形遣い達である。アヤの公開演技エキシビジョンを見てもわかるように、それぞれが五十人から百人近い魔導人形を従えており、その戦力は鬼族に並ぶとも劣らないと評される。こんなバランスブレイカーである人形遣い十人、鬼族五人が常駐することになったロングヒルからすれば、たまったものではないだろう。

各人が大使館の空き部屋を利用して人形遣いの工房を開いたが、護衛が得意な面々ということもあり、日々増大する魔導人形のメンテ依頼に早くもパンクしかけている。そのため、本国に魔導人形のメンテを得意とする人形遣い達を派遣することを打診しているが、それがまたパワーバランスを崩す要因になることだろう。彼らはドワーフの技師達とも技術交流が熱心であり、ドワーフ達が常駐する好機を逃すまいと、彼らと話し合う機会を増やすべく奮闘していくことになるだろう。もっともドワーフ達からすれば、未知の超技術を抱えた妖精達と、既知の超技術を抱えた街エルフ達ならどちらを優先するか、といえばまぁ、妖精達になる訳で、彼らも色々と苦労することになりそうだ。


【マコトくん】

異世界に住む少年で、惜しげもなく様々な学問、技術、文化、歴史といった驚くほど多岐に渡る知識を伝えてくれた。その膨大な語録は書籍として出回っている。マコト文書の非公開部分も徐々に公開が始まっていることもあり、彼を信仰する者が今後も増えていくのは間違いない。第七章では暗躍の一部が表にでる程度だろうが、マコトくん信仰者達の動向も今後は目が離せなくなることだろう。

ブックマークありがとうございました。執筆意欲がチャージされました。

あと、誤字・脱字の指摘ありがとうございました。大変助かります。何度も見直しているんですが、なぜか見落とすんですよね……。


魔導具や施設、魔術の紹介ページも今回はセットで投稿しています。

今回は、これまでの説明と被る部分はできるだけ削り、本編とは別視点の情報を記載するようにしてみました。

登場人物は増えはすれども減りはせず、なのでどんどん量が増えていきますね。予想以上に書くのに手間取りました。

魔導具や施設、魔術の紹介ページも今回はセットで投稿しています。

次回から七章スタートです。天空竜の雲取様が遂にやってきます。


※風邪で体調を崩しているため、投稿日が7月十四日(日)にずれる恐れがありますがご了承ください。


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『彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』を読んでいただきありがとうございます。
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