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6-11.鬼族の公開演技(エキシビジョン)

前話までのあらすじ:街エルフの公開演技エキシビジョンということで、アヤと魔導人形達vs小鬼人形達の演習が行われました。小鬼人形達も奮戦したんですが、相手が悪かったとしか言いようのない完敗でした。もし薄霧の中、真っ赤な外套ポンチョを着込んだ魔導人形達で演習をやれば、恐慌をきたした市民達の慌てふためく姿が見れたことでしょう。

鬼族の公開演技(エキシビジョン)の準備をする間、市民の皆さん向けに、魔導人形達の連携だけでなく、そもそも魔導人形の動きが既に非常識であることの補足説明を、大型幻影を使って説明していた。


そもそも人の場合、全力で斬りつけるような真似を延々と続ける事はできない。どうしても疲労するし、呼吸のタイミングに合わせざるを得ないからだ。けれど、魔導人形の呼吸は人らしさを表現する為の風味(フレーバー)に過ぎない。

だから、魔導人形が剣を全力で振るうと、休みの一切ない終わりなき連携攻撃、それも必殺の威力を込めた斬撃が襲い続けることになる、と。


事前に記録してあったようで、ロングヒルの剣士が連撃を放つ様子と、並べる形で、魔導人形の剣士が連撃を放つ様子が投影された。

ロングヒルの剣士の攻撃も十分速いんだけど、やはり少しずつ遅れてくるし、武器を振るうタイミングから、どこで呼吸しているのかも予想できる。

それに対して、魔導人形のほうは、振るう速度がいつまで経ってもまったく落ちない。だからいつ呼吸してるのも全然わからない。呼吸してないのだから当然だ。


騎士人形達の異様に速く、しかも終わることのない連撃の理由がわかり、あちこちから溜息が溢れた。


同じ技量では魔導人形に勝てない、それが理解できたからだろう。


同様にいつまでも全力で走り続けて小鬼人形達を後方から撹乱し続けた狼人形達の強さも理解できた。彼らの呼吸もまた風味(フレーバー)に過ぎないのだから、本当の狼と違って、今回の演習時間程度なら全力で走りながら激しく方向転換を繰り返すような真似をしても、問題がないのだろう。


魔導人形達は人の姿をしていても、その在り方は別物なのだ、と総括してアナウンスの補足説明は終わりを告げた。





そんな説明が行われている間に、僕達の陣幕に見知った人が入ってきた。小さな背で年を取っているのにヤケに存在感がある耳の長い女性、つまりソフィアさん、僕の師匠だ。


「お邪魔するよ」


ズカズカと入り込んできて、当然のように僕の隣の席に座っていたエリーをどかして、ドスンと座り込んだ。


「いらっしゃい。来るとは思ってませんでした」


というか聞いた覚えがない。だけど、エリーやケイティさんの感じからすると予定の行動なんだろうね。


「我々より魔力が多い鬼族の技が特等席で見れるんだ。足も伸ばす気になるさ。いいかい、エリー、それにアキ。鬼族は当たり前のように通常の武術に魔術を併用してくる。彼らにとっては、それが普通だ。妖精族のほうは非常識過ぎて参考にならないが、鬼族の方なら多少は参考にもなる筈だ。彼らの技を見逃すんじゃないよ」


師匠がそんな事を言い放つと、テーブルの上で寛いでいた妖精さん達、特に賢者さんが眉をピクッとあげて、こちらに飛んできた。


「ソフィア殿、参考にならないかね?」


賢者さんは別に機嫌が悪くなってる訳ではない。ただ、その理由が何か興味津々といった感じだ。


「魔法理論も魔術の体系もあんた達、妖精の技は見事なもんだ。でもね、尻に卵の殻を付けているような二人には、まだまだ早い話さ。それにね、私達は魔術を使う時、魔力を杖に集束し、圧縮して、それでやっと発動する。発動まで三行程かかるんだ。ところがあんた達、妖精はいきなり発動、一行程しかない。魔術を使うという意味では、妖精のそれは我々には真似ができないから、参考にならないんだよ」


「ふむ。確かにソフィア殿が魔術を行使するのを見ていると、それぞれの行程はかなり短いものの、必ず三行程を踏んでいたな。実に興味深い。それで鬼族はどう行使するのだろうか?」


賢者さんは、面白い話を聞いたと、とっても楽しそうに師匠の前に飛んでいき、杖を振って、さぁ、早く話せと催促してきた。


「記録を読んだ限りでは、体内魔力を活性化させて発動という二行程のようだね。手練れになるほど、活性化から発動までの間隔が短い。ずっと活性化しないのは魔力を節約する為と書いてあったね」


「ふむふむ。それでソフィア殿は、あの演者、セイケンだったか。彼の実力をどう見るかね」


演習場に入ってきたセイケンさんは、平服のままで、長さ三メートルくらいの鉄棍を杖として持っていて、その足取りはとても自然で力みを感じさせない。


「そうさね、アレはかなりの曲者だよ、間違いない。隣の陣幕にいる鬼族の連中もそうだが、市民に気を使っているのか魔力反応をだいぶ抑えているね。オマケに凪の日の水面のように静かだ。少なくとも魔力制御に関しては全員が人で言う所の魔導師級ってとこだろうさ」


師匠は値踏みするような視線を向けながら、イヒヒッなんて変な笑い声を出しながら、そんな評価を話してくれた。僕は母さんから聞いた印象の話と違う気がしたので、それを話してみたんだけど。


「――それは人柄や年齢に起因する話じゃないか。だいたい鬼族らしく魔力も強いとは聞いていたんだろう? 私の弟子なら魔術の使い手としての視点を忘れちゃ駄目だよ。いいね」


「……はい」


とは言うものの、魔力が感じられない僕からすれば、強いと言われてもどれくらいか、まるでわからない。


「アキにもわかるように例えるなら、鬼人形がケイティ並みの魔術を、武器を振るいながら同時に行使できると考えればいいさ。魔術も使えるんじゃない。武術と魔術を同時に行使してくるんだよ、鬼って奴らは」


「そんなのが十人?」


改めて聞いてみると、確かにそれは凄過ぎる。その厄介さは、鬼人形とケイティさんがペアで戦うのとは、厄介さの方向性が違う。


「そうさ。経験の足りない若者達かもしれんが、こと魔術に関しては凄腕だよ」


「なるほど……っと、小鬼人形さん達も揃ってきたしエリー、そろそろ準備を。あ、シャーリスさん達も位置について貰えます?」


僕とエリーが前の席、前方にある高さの低い陣幕の辺りまで移動して、妖精さん達も、やっとか、などと言いながらも、予定位置に並んでくれた。


「……で、うちの弟子達は何をしようって言うんだい」


師匠は呆れながらも止めるつもりはないらしい。


「ちょっとした応援です、師匠」


「鬼族を応援ねぇ。それで二人はグルなのかい?」


師匠が、母さんとケイティさんを薄目で睨んだけど、二人ともやんわりと受け流して頷いた。


「……いったい誰に似たんだろうねぇ。まぁ、やるなら半端はなしだ。いいね」


「勿論です」


エリーは、師匠ならそう言うと確信していたようで、吹っ切れた笑顔を見せた。師匠も、そうかい、そうかい、などと呟いてニヤニヤしてる。なんて似た者同士なんだか。そんな風に比べていた僕に、師匠がジロリと目を向けてきた。


「なんだい、アキ」


「母さんと同じ事を言うなぁ、と思いまして」


「止してくれ。私のは弟子への溢れんばかりの愛あってのもんさ」


なるほど。母さんにとっては子供の友達、師匠からすれば弟子、向ける愛情の量も質も違いそうだ。

もう少し、聞きたいところだけど、ここは我慢して。何せタイミングが大事だからね。





小鬼人形達が母さんの時と違い、片側にズラリと横隊を組んで整列し、セイケンさんはその反対側に立った。セイケンさんの少し前には、鎧を着た兵士の標的人形が二体設置されている。あれを使って、事前に何か説明する感じだね。


アナウンスの人が話し始める数秒前、そのタイミングで、僕達は割り込みをかけた。


「「セイケンさん、頑張って!」」


エリーとタイミングを合わせて、声援を送った。同時に二つ折りにしていた畳大のプラカードを斜面を利用して展開、妖精さん達は、派手な魔術を上に打ち上げて貰った。


妖精さん達の掲げた杖から、噴出泉のような勢いで色鮮やかな花弁が撒かれて、花弁は風に吹かれて、演習場だけでなく、観客席も含めた全ての場所にヒラヒラと舞い降りていく。


広げた特大のプラカードには、鬼族の文字で、熱烈歓迎と描いてある。会場中の誰でも読める文字の大きさで、ベリルさんに書いて貰ったんだけど、なかなかの達筆だね。


会場の反応はとみれば、どよめきが広がっているけど、僕達に続く声援はなし。残念。


舞い降りた花弁が、幻のように消えていく。障壁と同じ、魔術で作り出した仮初めの品だと理解したからか、あちこちから驚きの声が上がった。


妖精さん達も、そんな人々の反応を見て満足そうだ。


ロングヒルのお偉方をみると、何やらこそこそ話しているようだ。エリーの意思表明は伝わったと見ていいだろう。


肝心のセイケンさんはと言えば、舞い降りた花弁を手で受けて、それをじっと見たり、プラカードの方を眺めたりと、それなりに驚いていてくれているみたいだ。僕の方を見た際には、手を振って笑顔でアピールしてみたけど、またお前か、といった表情をして何とも困り顔だった。


敵役の小鬼人形さん達も、少しだけざわついたけど、すぐに落ち着きを取り戻していた。


意外だったのは、警備兵の皆さん達。特に花弁が魔術と分かると、恐怖と焦りが伺える視線を向けてきた。どちらかというと遠慮がちに。というか意識を向けられないように盗み見るように。


『なんとも派手な応援でしたね。進行に影響が出るので、今後はお控えください』


アナウンスの人が、慌てずに落ち着いた声で話した事で、場の動揺がだいぶ収まってきた。見事なものだ。


『では、次の演目、鬼族セイケンさんによる公開演技(エキシビジョン)になります。状況設定は、離れた集落に所用で移動していたセイケンさん、そこに小鬼達の強行偵察部隊が現れ、双方ともに予期しない遭遇戦となった。セイケンさんは小鬼達の妨害を突破できれば勝利、小鬼側はセイケンさんを通さなければ勝利です』


そこで、セイケンさんが、標的人形達の前に立った。


『公開演技では威力を落として使う技があり、演技の前に、試技で本来の威力を見せるそうです。セイケンさん、お願いします』


アナウンスの声を受けて、セイケンさんが鉄棍を小枝のように軽々と前方に突き出して、二体の標的人形の間を通して構えた。


「辻風」


セイケンさんが一声発したのと同時に、鉄棍の先端の空気が歪み、それが渦を巻いて両脇の標的人形を巻き込む。


同時に、捻じ切るような鈍い音と引きちぎるような耳障りな音が響き、標的人形達がグニャリと曲がって、左手の人形は上空に飛ばされ、右手の人形は地に叩きつけられた。固定していた心棒は強い力で千切れていた。


宙を舞った標的人形の地に叩きつけられた音が、静まり返った演習場に響く。


思わず、エリーの方を見るけど、唖然とした表情を隠せていない。その気持ちもよく分かる。


鬼族の振り回す鉄棍に当たれば即死、それは理解していた。だけど、今の辻風という技は当たらなくても近くを通るだけで致命傷だ。


洒落にならない。しかも瞬間発動だ。詠唱妨害するなんて真似も無理。


『今、ご覧頂いたのは、辻風と呼ばれる武器と併用して使われる魔術で、威力はご覧の通り一撃必殺です。演習では威力を抑えて、小鬼達を空に飛ばしたり、地に倒す程度に留めるとの事です。なお、小鬼側の射手は既に倒されたものとします。これは、射手を見かけたら範囲系魔術で潰すのが定石だからとのことですので、ご了承ください』


射手混じりの状態で演習を始めろ、と言い出すような人は皆無だった。


セイケンさんは試技は済んだとばかりに元の位置に戻り、スタッフが大きく変形した標的人形の残骸を外に運び出した。


小鬼人形さん達は十五人ずつ、四列の横隊を組んで、セイケンさんの前進を止めようと陣形を組んでいる。鬼族との戦いを想定しているという設定なのか、全員が手槍を装備している。というか、小鬼サイズの剣では短過ぎて話にならないんだろう。……でも手槍を構えている彼らをみても、数だけなら六十倍いても、いい勝負になりそうとは全く思えなかった。


あの技を見てもなお、鬼を前にして、なんでもないことのように戦う準備を終えているのは、凄い事だと思う。何か応援したいところだけど、場が白けるからそういう事はするな、と何度となく言われているので、ここはぐっと我慢。


惨劇しか想像できず、見てるだけで口の中がカラカラに乾いてくる。開始までほんの数秒といったところなのに、なぜか時がとても長く感じられた。





『では、演習開始!』


一度にやられないように、タイミングをずらして、様々な方向から小鬼人技達が間合いを詰めて襲い掛かるけど、セイケンさんが鉄棍を両手で構えて攻撃を繰り出そうとしたタイミング、誰もが次に薙ぎ払いを放つだろうと思った間合いで、一切の前挙動なしに、不意にセイケンさんが後方へと低く飛んで、間合いを外した。


攻撃される、と体を固くして身構えていた小鬼人形達は、タイミングを外されて、足並みが乱れ、包囲網が崩れてしまった。崩れたといっても、ほんの僅か、一呼吸に満たない差ではあったけど、セイケンさんにはそれで十分だったようだ。


風の歪みを纏った鉄棍を低く薙ぎ払いながら一気に前方に走り抜け、当たるを幸い、小鬼人形達を十人ほど、吹き飛ばした。現実とは思えないコミカルさで、威力を抑えた辻風の範囲に巻き込まれた小鬼達は放り投げられるように、見事な放物線を描いていて飛ばされていった。


セイケンさんの走り抜けた範囲にいた小鬼人形達は一掃されてしまったけど、なぜかセイケンさんはそこで畳みかけたりせず、鉄棍を軽く構えたまま、ゆっくり前に歩き始めた。


まるで散歩に出かけるような気楽さに見える。周囲にいる小鬼人形達など脅威ではないとでも言わんばかりに。


――いくら仲間の約二割ほどがあっけなく吹き飛ばされて死亡判定を食らったと言っても、その態度にはカチンとくるものがあったらしい。小鬼人形の一人が鋭い叫び声をあげると、周囲にいた小鬼人形達がそのまま纏わりついてでも倒そうという勢いで、セイケンさんに殺到していく。


全方位からの攻撃があと少しで当たる、何十本もの手槍が迫り本当ならかなり危ない筈なんだけど、セイケンさんは、鉄棍を地面に立てると、片手でひょいと自身の身体を浮かせて、反動をつけると一気に宙に飛び上がって、槍衾を華麗に避け、更に大きな放物線を描いて、距離まで稼ぐことに成功した。


本気で突き刺そうとした槍がそうそう簡単に止まる訳がない。何十本もの手槍が派手な音を立てて絡まった。


三階建てくらいの高さまで飛んで、大混雑をしてる下の喧騒を眺めるセイケンさんは、笑みを浮かべてなんとも楽しそう。落下予想地点に向けて、残りの小鬼人形達が走り寄ってきているのに鉄棍は軽く抱えたままで、それを使って倒そうという感じじゃない。


着地予想地点、そのまま落ちればセイケンさんに押し潰されてしまうような位置に、小鬼人形達は敢えて陣取って、地面に手槍の石突をつけると、全員が空に向けて槍先を向けて串刺しにしようと、槍を全身で支えて衝突に備えた。


相打ち覚悟、ダメージ極大化だけを狙った作戦だった。勝てないまでも一泡吹かせてやる、といった気概が感じられた。……だけど、そんな彼らの覚悟を決めた顔は、セイケンさんの次に放った技で凍り付くことになった。


「大楯」


セイケンさんがそう唱えると、足元に仮初めの大き過ぎる盾が生み出された。鬼人形が使っていた扉盾より更に二回りほど大きい、そんな縮尺の狂った分厚い鉄の板だ!

それが、落下の勢いを上乗せして、下で待ち構えていた小鬼人技達を上から押し潰していった。


手槍は爪楊枝のようにあっけなくへし折れて、支えの代わりにすらならず、そして、セイケンさんが乗った大楯は、まるで上に大型乗用車でも上乗せされているのか、と言わんばかりの轟音を立てて地面に落ちた。


地を揺する振動が観客席を揺らすほどで、あちこちから軽い悲鳴があがった。


大楯と地面の間は僅かだけど空いているから、完全に潰れたって訳じゃないけれど、小鬼人形達は地面にめり込んで完全に戦闘不能に陥ったと思う。というか本物の小鬼なら間違いなく死んでる状況だ。


更にセイケンさんは、ダメ押しとばかりに辻風を纏わせた鉄棍で周囲を掃き清めるように一閃して、落下に巻き込まれなかった小鬼人形達を、跳ね飛ばしていった。


軽やかに降り立ったセイケンさんの後ろでは、仮初の大楯が虚空へと消えていき、後には押し潰されて見るも無残にぺちゃんこにされた小鬼人形達が残っている。


そして、絡まった手槍を引き戻して、隊列を組みなおした残りの小鬼人形達を一瞥すると、そのまま軽く飛んで、予定されていた到着地点のラインを踏んでゴールイン。


小鬼人形達もまだ半分くらいは残っていたけど、距離が空いてたこともあり、セイケンさんの動きを止めることはできなかった。


僕は、セイケンさんのあまりの手際の鮮やかさに、応援用の手旗を振りながら、お見事!と声援を送っていた。


ちょうど、彼がゴールしたタイミングと重なり、残りの小鬼人形達とも距離を詰めようと走り出しただけで、戦いの音もなかったから、僕の声はとても目立った。


『鬼族セイケン殿の公開演技(エキシビジョン)はここまでです。鬼族の技はとかく、絶大な力で押し潰すイメージがありましたが、彼の技は軽やかに流れるような動きであり、無理に押し通るイメージとは対極に位置するものでしたね。まぁ、押し潰してはいましたけれど。――皆さん、惜しみない拍手を、ありがとうございました』


僕だけでなく、エリーも応援の旗を振り振り、彼に賞賛の声を贈ったことで、市民席からも困惑混じりではあるものの、賞賛の拍手がぽつぽつと出始めた。ぺちゃんこにされた小鬼人形達も、仲間の肩を借りて起き上がって整列しようと動き出した。


まだ、ちょっとだけ時間があるね。


シャーリスさんに合図を送ると、任せよ、と言って、妖精さん達は、僕なら抱えるようなサイズの大きな花束を皆で支えながら飛んでいくと、セイケンさんに花束を渡した。


何か一言、二言話しているようだけど、この距離からでは流石に聞こえない。だけど僅かなやり取りの後、セイケンさんは鬼族ならちょうどいいサイズの花束を受け取り、小鬼人形達が整列し終えるのに合わせて、洗練された仕草で礼をしてみせた。


誠意ある態度が好感を与えたのか、まばらだった拍手は、次第に増えていき、最後には会場中から拍手が響き渡るまでになった。こうして鬼族の演技もまた無事に終わりを迎えることができたのだった。

ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。

それと誤字の報告ありがとうございました。まさかアキと名前が決まる前にケイティがアキ様、と話しているなんてミスが残っていたなんて……。穴があったら入りたい心境になりました。助かりました。ありがとうございます。


さて、今回は前回の魔導人形達の戦いの補足+鬼族の純粋な戦いでした。実は魔術技を惜しげもなく使う大盤振る舞いだったりします。いくら鬼族でもこんなペースで魔術併用技を連発してたら魔力がなくなるので、本来は鉄棍を使った杖術も見せるつもりだったんですが、まぁ、それをやると小鬼人形達がバラバラに吹き飛んで、怖い絵面になるので、セイケンもそこは考慮してたりします。

エリーの立ち位置もこれでアピールできて、鬼族へも自分達を売り込めて、妖精の技も見せられてニコニコだー、とアキは喜んでいますが……。次パート冒頭は、ちょっとお小言を貰うことになります。

次回の投稿は、五月十九日(日)二十一時五分です。



<補足>

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前のほうのページに載っているおかげで、訪問者が増えてとても良い状態です。

6ページ目とかだったりすると、そもそも一日に訪問者(OUT)が数名増加といったとこですから。

息の長い応援よろしくお願いします。(二週間程度でポイントが初期化されるので……)


 ※2019年05月01日(水)にポイントが初期化されました。

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『彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』を読んでいただきありがとうございます。
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