第五章の登場人物
五章で登場した人物や、描写はあったけど登場シーンがなかった人の紹介ページです。
◆主人公
【アキ】
外見は色違い(髪が銀髪、目が赤い)のミアといったところであり、中の人は誠。地球では高校二年生の男子であった。現在はミアと魂が入れ替わっており、こちらではとても長い学生生活を始めている。
こちらでの姉であるリアとの間で、魔力共鳴現象が起きており、魔力は超強化されたっぽいのだが、制御不能、魔力の感知も不可と欠点ばかりが目立つ。強過ぎる魔力のせいで触れると魔導具が壊れると、行動範囲すら大幅に制限される有様である。アキの魔力属性はリアと同じ無色透明であり、他人からはアキの魔力がまるで感知できない。
魂入れ替えの影響で、一日の半分も起きていられない。日がかなり昇ってから起きて、日が落ちる前には寝ている感じ。そのため、生活の大半をサポートメンバーに頼っている。寝ている間は熟睡しているというより意識がないといった感じ。
二章では、成人するまで待っていたら、地球の誠(中の人はミア)が寿命で死んでしまうので、なんとか奮闘して、地球との間に次元門を構築する専門チームを立ち上げて貰う状況まで持って行った。
三章では、突貫教育で、誰かの補助付きなら野外活動も同行可くらいのスキルは身に着けることができた。
五章ではロングヒルで、新たな師匠の指導を受けるようになり、杖で突いて、他人の作った魔術の炎球を消すという真似をほいほい行っているが、実はこれ、通常の魔導師が見たら目を疑うような行動だったりする。
なぜなら、魔術の炎球に燃やされないよう魔術耐性を高めるだけでも、魔力の集束が欠かせないのに、その魔力量を高めることで、逆干渉して炎球の魔術構成を崩しているからである。一つ崩すだけでもそこそこ手間なのに、アキは、エリーが魔術杖の制御に失敗して生み出した無数の炎球をほいほい消し続けていた訳で、その様は常識の範疇から逸脱している。
本人はできるだけ平静に頑張ってるつもりだが、他人からみると、前のめり過ぎて危うい感じ。実際、ちょっとしたことでも感情が抑えられず涙を流すなど、精神的にも実は一杯一杯だったり。それでもトラ吉さんと戯れるアニマルセラピーとか、歳の近いエリーとの交流、それに打算抜きで仲良くしようというシャーリスのおかげで、少しだけ心に余裕ができてきたようである。
妖精さん達への接触は「個人レベル」、鬼族との接触は「門前払い」と、街エルフ相手のチュートリアルモードに比べると苦戦中と言える。これからも協力者を増やしていかないといけないが、前のめり過ぎ、焦り過ぎ、と指摘も受けているので、はやる気持ちと状況を見極める気持ちのバランスが今後は大切になるだろう。
◆アキのサポートメンバー
【ケイティ】
アキが生活していた館の家政婦長であり、ロングヒルの別邸でも引き続き、その任に就いており、ロングヒルでの活動の全体統括を任されている。元探索者。片親は森エルフであり、草木についての知識は深く、ずっと話し続けられるほど。森エルフの使う弓矢も所持しているが、その腕は森エルフとしては下手な方である。取れる資格は取っておこうというタイプで、外交官の資格もそうして取ったものの一つ。
魔導師としてプライドは人並みにはあり、師匠との魔力比べでも一切、妥協しない意地を見せた。
賢者を含めて新たに召喚された妖精達五人の対応にだいぶ苦慮しており、多くの対応要員を増やすことでなんとか、対応作業の負荷分散を行うことができた。
妖精相手の地図作りでも結構苦労していたが、アキが先走りし過ぎていることもだいぶ理解が進んできた。
翁の食に対する興味の旺盛さから予想して、予め妖精達を召喚する際に、立食パーティの場を用意しておいた手際は流石である。
【ジョージ】
アキの護衛であり、探索者としての実力は上から数えた方が早いとのこと。実技系の資格は総ナメしているが、外交官のような性に合わない資格は敢えて取得していない。ケイティと同様、元探索者である。自由時間は、子供向けのお話の原案を黙々と書いている。
ロングヒルに来てからは、アキの移動に同行して護衛をしているだけだが、実は仮想的部隊や、街エルフの人形遣い達とも総合火力演習の演目や警備についての打ち合わせに、助言者としての立場から参加しており、そこそこ忙しかったりする。そういった活動はアキが寝てる時間帯に行われているため、アキは、いつも護衛ありがとうございます、くらいにしか思っていないのだが。
【ウォルコット】
御者であり、魔導人形の馬と、特別製の馬車を操る。ロングヒルに到着してからは、大使館領の中、別邸と師匠の邸宅の間を往復しているだけなので、時間の余裕は結構多い。そこで、農民人形達と庭師としての副業のほうを精力的に行っていたりする。助手のダニエルも含めて、別邸にいる魔導人形達の通常メンテも担当していたりするので、実はサポートメンバー達と一番幅広く接点があり、色々と話を見聞きしており、何かあるとウォルコットも呼ばれたりしているのはそのため。ケイティもジョージと同じくらい頼りにしてたりする。
【翁】
アキの子守妖精だが、魔導人形ではなく、妖精界から召喚された本物の妖精である。今回の旅で知り得た新たな知識を毎晩、惜しげも無く、請われるままに、妖精界で話し広めているので、その影響力は絶大である。もっとも自慢話は飽き飽きしていると妖精女王のシャーリスも言ってたりするので、妖精達の間には、話だけでなく、実際に行って体験してみたい、という機運が高まっていたようだ。宣伝マンとしては見事な手腕と言えるかもしれない。
引退した只の好事家だと自称しているが、新たに召喚された妖精達(女王陛下、宰相、賢者、彫刻家、近衛)とも親しく、対等に話をし、提案、助言などもしていることから、なかなかの立場のようだ。
【トラ吉さん】
角のある動物、角猫であり魔術を行使する魔獣である。アキや翁と追いかけっこをしたり、アキに毛づくろいをさせたりと、だいぶ猫らしい行動が増えてきた。翁と同程度かそれ以上に、アキと行く場所には同行している感じだが、これはどちらかというと、心配で付いていく親の心境に近いと言えそうだ。
爪を振るって、翁が展開した障壁も壊したり、空にいる翁を追いかけようと、足場の障壁を空中にほいほい作ったりと、その実力は高い。
【マサト】
ミアの家令であり、街エルフの男性である。アキのサポートメンバーの雇用主でもある。話題にはちらほら出てきているが、彼の趣味である瞬間着装鎧への投資や布教活動は、女性陣からの受けは悪いようだ。「彼は良くは働いてくれていて優秀なのよね。ただ……」というように、残念属性付きと思われている感じだろうか。
◆魔導人形枠
【アイリーン】
女中人形三姉妹の一人。魔力耐性を強化する機能を追加したことで、アキが触っても大丈夫。アキの食生活を支えるコックであり、日常の料理は、敢えて家庭的で飽きのこないものが選ばれている。味付けはアキの母アヤのそれに合わせている。今回は妖精達を歓迎する立食パーティでも腕を振るい、彼らの心象改善に大きく寄与した。
大使館や、師匠の邸宅にいる食事担当の魔導人形達との交流も意欲的に行っており、その実力上昇は目覚ましいものがある。
【ベリル】
女中人形三姉妹の一人。アキと館組の交流を支える伝文の送受信を担当しており、アキが何か新しいことを言い出す際にはたいがい同席している。マコト文書は閲覧制限のある範囲についても手を広げて読んでいるため、アキの発言への理解は一、二位を争うレベル。ジョージと子供向け読み物の共同執筆をしたり、夜は趣味の天体観測をしていたりと、行動は多岐に渡る。
【シャンタール】
ケイティの補佐を担当している女中人形三姉妹の一人。アキが着ている服の選択や管理は彼女の役目。服装ならシャンタールと相談、とアキも行動が定番化している。室内のインテリアや、清掃などもシャンタールが行っている。館の管理面では中はシャンタール、外はウォルコットが庭師として分担している感じだ。
エリーが別邸を訪れた際には、急にサポートメンバーが使う風呂に入りたいと無茶振りされたりしても、さらりと対応してたりするので、その技量は高いと言えよう。
【ダニエル】
極普通の魔導人形であり、ウォルコットの助手を務めている。ただ、何百万といる魔導人形で唯一、司祭の地位を得ており、実際、神術の使い手でもある。一般公開範囲のマコト文書に精通し、解説本とかを書いてたりするほど。そして魔導人形だが、朝昼晩とワインのグラスを空ける呑兵衛でもある。ジョン・スミスが運営するワイン醸造場の大株主だったりもする。
マコト文書をダニエルから借りたらどうかとアキが提案した時に、エリーが「接触して色が付くのは困る」と即答するくらいには有名人なようだ。
大使館の職員達や魔導人形達に、マコト文書の内容を伝える取り組みには、ダニエルも駆り出されており、一般信者向けに鍛えた話術はそこでも大きく威力を発揮したようだ。
【護衛人形】
ジョージの部下であり四体一組で活動する。高魔力耐性を付与されておりアキが触っても大丈夫。仮想的部隊の小鬼人形達相手でも躊躇なく、間に割って入るなど、そのプロ意識は高い。アキが別邸にいて護衛の任務から外れている時には、農民人形と一緒に、庭の手入れをしたり、農作業をしたりと、結構、大使館領での生活もエンジョイしているようである。
【農民人形】
農業その他を担当する。六体が同行している。農作物の出来を確認できるよう飲食能力も保有している。大使館領では庭師としての仕事と、農作物を作る本業のほうを兼任している。別邸は古い街エルフ様式の建物なので、屋根や壁面を埋める植物の手入れも彼らの仕事。シャンタールが用意したお揃いのお洒落な作業着を着ており、その様子を観たエリーからの評価も高かったようだ。
【ロゼッタ】
ミアの秘書を務めている魔導人形であり、通常の魔導人形二十体分にも相当する超高性能機らしい。ミアの知的財産管理を担当している関係で、ロングヒルには同行していない。アヤの話によれば、幼いマコト君から聞いた話を編纂してマコト文書に仕立て上げた作業は、ロゼッタの功績がとても大きいらしい。ミアももちろん、自分で書いてはいるが、ロゼッタや他の魔導人形達が加筆した部分の方がずっと多いだろうことは想像に難くない。
【師匠の邸宅の魔導人形達】
普通の女中人形だが、街エルフの魔導人形はそもそも見かけることが稀なので、普通といっても、街エルフ基準での普通である。実は師匠が大使館領に引っ越してきてから、街エルフ側からの要請で増員されたメンバーであり、師匠の邸宅で働き始めてから日は浅い。邸宅の広さからいえば一人いれば十分なのだが、二人が派遣されているのは、師匠の予想される活動内容からして、サポート要員がある程度いないと厳しいと判断されたため。
実際、妖精の賢者がきてからというもの、二人して刺激をし合って爆走しているせいで、生活の支援や関係者との調整役として、彼女達はてんてこ舞いの忙しさである。食事担当でもあるので、飲食機能もついており、アイリーンとの交流は彼女達の数少ない息抜きの場でもある。
【大使館の魔導人形達】
やはり普通の女中人形だが、唯一の同盟国であるロングヒルの大使館で務めているだけあり、優秀なメンバーが揃っている。ただ、アキが来る前までは定番の対応をしていればよく、ルーチンワークだけの日常は刺激が少ない、と愚痴を言ったりもしてたらしい。
ところが、アキが来てからは状況は一変、続々と妖精対応要員の面々が押し掛けてきたり、師匠と賢者が居座って魔術研究に没頭していたり、はたまた、人形遣いの一団がやってきて、彼らの工房を用意したりと、今度は鉄火場のような忙しさになってしまった。優秀な彼女達をもってしても、なかなか大変な状況であり、アイリーンとの料理を介した交流で精神的に助けられているようだ。
妖精達を歓迎する立食パーティでは、アイリーンをサポートして大使館の職員達も参加できるよう、多くの料理を作ったりしており、大使館領内の魔導人形達の交流は密と言えよう。
【仮想敵部隊の小鬼人形達】
生活様式まで含めて、小鬼人形達になりきっている仮想敵部隊としての意識がとても高い精鋭の小鬼人形達である。わざわざ小鬼人形の食生活まで再現できるよう、飲食機能もついていたりする。こんな部隊を用意しているのは世界広しと言えども街エルフだけであり、エリーがあまりの徹底ぶりに呆れ、憤慨するのもまぁ、仕方ないところだろう。
その実力は、小鬼達の精鋭、特殊部隊の面々に匹敵するものがあり、装備こそ、小鬼帝国準拠だが、彼らに恐怖を刻まれた兵士達は小鬼を甘く見るような真似を二度としなくなるのも頷ける。
街エルフの国の邸宅に派遣されていた小鬼人形達は選抜を潜り抜けた優秀なメンバーであり、アキが話しかけたタローも隊長を任される力量があった。
もっとも、そんな彼らでも、何の先入観もなく、よろしくーと立ち入ってくるアキの態度は持て余しているようで、同行しているジョージにまでお願いするほど、扱いに困っているようだ。ただ、アキのそんな態度を好ましいとも感じているようで、総合武力演習の後に、小鬼専門家として話をする場を設けることに同意したりもしてる。
【仮想敵部隊の鬼人形さん】
仮想敵部隊の一翼を担う鬼族を模した魔導人形であり、アヤや、人形遣いの面々と一緒に到着した。総合武力演習の一番の見せ所である魔導鎧を着た兵士達と模擬戦を行うのも彼である。ただ、本気で武器の鉄棍を振るえば、魔導鎧と言えども大怪我間違いなしなので、時代劇物の殺陣のシーンの練習のように、手順も含めて綿密に訓練を行っているらしい。
魔導鎧は、頑丈な鎧を着ても、まるで着ていないかのように俊敏に動き、両手武器を片手で振り回せるのが特徴だが、逆にいえば、その程度のことしかできない、とも言える品であり、鬼の攻撃を前にしては「当たれば即死」が「当たれば瀕死」に変わるだけだったりする。振り回す武器も「効果は薄い」から、「ある程度の効果は見込める」になった程度。
なので、鬼人形の側がかなり配慮しないと、事故ったら不味いことになる。
そんな恐ろしい鬼を模した鬼人形さんだが、オフの時は、森の中を散歩して小動物と戯れたりと穏やかな過ごし方をしてたりする。鬼らしく行動するのもなかなかストレスが溜まるようだ。
◆家族枠
【ハヤト】
ミアとリアの父であり、こちらでのアキの父でもある。共和国議員であり役職は高め。ロングヒルには同行していない。アヤとロングヒル行きを賭けて争ったようだが、残念ながら敗北した。
【アヤ】
ミアとリアの母であり、こちらでのアキの母でもある。共和国議員であり、役職は高め。ハヤトとの争いに勝って、ロングヒル行きを達成した。総合武力演習では、街エルフの公開演技として、一人で小鬼人形部隊との戦いを行うので、毎朝、アキが起きる前に、小鬼部隊との模擬戦をやって本番に備えていたりする。人形遣いとしての実力は並といったところ。しばらくロングヒルに滞在し、アキとの交流を深めたり、アキの心理的ケアを行う予定。
【リア】
ミアの妹であり、こちらでのアキの姉でもある。アキとの間に魔力共鳴現象が発生しており、アキと同様、魔力は異常に強いが、魔力感知不可、制御不可とポンコツ状態なのも一緒。妖精の賢者や師匠からの怒涛の要請に応えて、日々、検証と研究三昧。そのせいかストレスが溜まってきているようで、「アキ成分が足りない」などと言い出していて、ロングヒル行きを画策しているとのこと。
【ミア】
アキ、つまり地球でのマコトを召喚した張本人だが、召喚時に入れ替わりに地球のほうに行ってしまい、音信不通状態。異世界(地球)との間で夢の中ではあるが交流もやっていたりと魔導師としては超一流。きっと地球では、誠の中の人として楽しく生活しているはず。召喚前に今後、アキが遭遇するであろう様々な事態を想定して、山になるほどの手紙を書き残した。また、誠と延々と話した内容を『マコト文書』として書き残している。『マコト文書』は多くのファンがつく人気書籍群であり、その影響範囲はかなり広い。アキがいろいろと地球ベースの知識や話題を振っても話が通じるのはそのおかげである。あちこちに出資していたり、私有地を保有してたりと、実はかなりの資産家。リアと唯一、心話ができる術者であることも判明した。リアと心話ができるようになってからしばらくして、マコト君との心話もできるようになったそうだ。その際には「魔力のない世界にいるマコト君」という話をして、家族一同から精神を病んだと認識されて一騒動あったらしい。マコト文書を書くようになったのもそのあたりが発端だったりする。
マコト君愛が深く、その惚気話はロゼッタを消耗させるほど。それと「綺麗で可愛いお姉さん」などとマコト君に言われたことがよほど嬉しかったのか、その印象を崩さないように、随分と影で努力をしていたようだ。
◆妖精枠
【シャーリス(妖精女王)】
妖精の国の女王様。だけど、召喚時には「公式ではない」という立場なので、私服ベースのラフな服装をわざわざ選んだりしてる。国民からは慕われているらしい。アキが齎した平等に遊べる乱数生成器「賽子」のおかげで、他の人と遊べるようになり、大喜びしている。なにせ、実力が高いせいで、何をやってもだいたい女王様の勝利、となってしまうのだから、それはそれでストレスだったのだろう。
【宰相】
妖精の国の宰相閣下。だいぶお堅い方っぽく、豪華なローブを着てたりと立場をアピールする気満々だ。けれど、賽子賭博でボロ負けしたりと、やっぱり羽目を外す時はしっかり外すようだ。
【賢者】
妖精の国の並ぶ者なしと言われるほどの大魔法使い。自分の知性、技量に並び立ち、自分の全力についてこれる相手をこちらで見つけて大興奮。どっぷり召喚生活に嵌ってヤバそうと周りに心配されるほど。
結局、女王陛下に釘を刺され、監視役(孫)を付けられたりして、一応、節度ある召喚生活を送れている模様。
【彫刻家】
アキと妖精達が戯れる像を作った妖精さん。彫刻だけでなく、技術、芸術、文学などなど、万能じゃないかと思われるくらい何でもできる人。こちらの世界の「魔力が希薄」という絶望的な環境にありながら、自分達に近い道具を量産するこちらの人々の技量に感嘆し、あれもこれもと手を広げ始めたりしている。
【近衛】
妖精女王を護衛する近衛の兵士達の取り纏め役。翁からはよく揶揄われたりしてるため、よく衝突しているが、特に険悪な仲という訳ではない。アキが示した妖精の国の問題点について、かなり危機感を持ったようだ。
◆その他
【ジョウ】
街エルフの男性で、ロングヒル駐在大使をしている。リアにのされた同期男性の一人でもある。優秀だが、アキのことを女性扱いし始めたら注意などと釘を刺されるような性格でもあり、ルーチンワークで対応できる大使の仕事に飽きて変化を求めていたようだ。
そのため、アキの影響を受けたファウスト船長からの檄文と、それによってはじまった変化を大歓迎しており、部下たちにマコト文書の教育を始めるなど、その活動はとても精力的だ。
エリーが、次元門構築計画に参加すると言い出した際には、ロングヒルの王族や閣僚相手に、懇切丁寧に説明をして彼らの理解を得るなど、やはりその実力は高いと言えよう。若いのに大使に抜擢されるだけのことはあるのだ。
あちこちから引き抜かれた人材を受け入れたり、関係各所と調整をしたりと、彼の活躍なくして大使館領の体制を維持することはできないのは間違いない。
【ソフィア】
アキの魔術の師匠であり、エルフとのハーフとのことだが、高齢であり、その背はアキより頭一つ分は小さい。魔力属性は透明度ゼロの炎色であり、意志をもって現実を塗り潰すような魔術が得意。斜陽の古典魔術を指導する立場ということもあり、街エルフの齎した現代魔術に対する研究も余念がない。貪欲な探究心があればこそ、アキの師匠として抜擢されたとも言える。
今は、妖精の賢者との交流によって、新たな知見が得られており、周りを振り回す勢いで、研究に邁進している。アキへの指導は普通にやっても埒が明かない、ということでかなり手探り状態な中で進めている。
【エリー】
名前はエリザベス、ロングヒルの王女様であり、ソフィアに師事するアキの姉弟子でもある。ソフィアに言われて、アキの教育係になっている。魔術の腕はまぁまぁだが、魔導師の域には遠いようだ。一応、国民からの人気は高い(本人談)とのこと。王位継承権第三位ということで、それなりに重要な立ち位置のようである。師の影響を受けてか、即断即決をモットーとするようなところがあり、激情家でもある。外面を維持するのは得意とのことだが、王女様の夢が崩れる、とアキからはガッカリ属性持ちと思われてたりする。
計画参加の許可が下りないことに業を煮やして、総武演では何やらやらかすつもりのようで、アキと一緒に画策中。
【ロングヒルの王様】
エリーの父であり、国父とか言われるくらい遣り手の人なのだが、どうも娘には甘いようで、エリーの次元門構築計画への参加を渋っている。
【ロングヒルの閣僚達】
人類連合の最前線を担う国の閣僚というだけのことはあり、実力は高いようだ。ただ、予算は潤沢とは言えないようで、今回の総合武力演習についても、費用増加を懸念するなど、苦労は絶えないようである。街エルフ達と同盟関係にあると言っても、国力差が何桁も違う状態なので、色々と振り回されているようだ。
【妖精達の対応要員達】
ケイティ、家令のマサト、大使のジョウがあちこちに声をかけて、かき集められた各分野の専門家達である。また専門家達以外にも、実践的な手腕を持つ教師達も集められたりしている。これは、妖精達が持ち帰れるのが情報だけ、なので、妖精の国で改めて実験をして貰い、世界間の違いを検証して貰う必要があるため。
妖精達は魔力希薄域についての知識が深まり、こちらの面々は高魔力域についての知識が深まり、と互いに得るものがある状態である。
また、文化、芸術面、食についても情報交換が密に行われており、その活動は多岐に渡る。大使館領の空き部屋をどんどん埋め尽くす勢いで、活動規模が増えており、このペースで行くと、館の増築も必要かもしれないとジョウが懸念を本国に報告するほどである。
【総合武力演習を担当しているスタッフさん達】
例年通りのつもりで準備をしていたら、アキが観に行くことになり、街エルフ、妖精、鬼族が公開演技に参加することになり、敵役として街エルフから、仮想敵部隊も参加が決まったりと、原形を留めないレベルで開催一カ月前のタイミングで大変更が発生し、その対応に忙殺されることとなった。
人員不足は、街エルフの人形遣い達が派遣されたこともありなんとかなったが、演目内容、順番の調整を、国内だけでなく、街エルフ、妖精、鬼族の三者とも行うことになって、外交部まで巻き込んで、大騒ぎとなっている。
苦労したおかげで、演習自体はかなりの出来となりそうだが、来年はどうするのかと頭を抱えたりもしている。エリー経由で、総合武力演習自体の独立採算イベント化、という新たな概念を叩き込まれて、慣れない商人達との交渉なども始めようとしており、今後も苦労は続きそうだ。
【ロングヒル周辺国の王子達】
エリーの婚姻相手として候補に挙がった結婚適齢期の王子様達。だが、エリーの眼鏡に適うものではなかったようで、その評価は「いまいち」。実際、周辺国の中ではロングヒルは大国であり、同盟国に街エルフもいることから、その扱いは別格と言える。
また、エリーもまた王位継承権争いを勝ち抜いてきただけのことはあり、その実力は高い。それだけに男を見る目もシビアになってしまうのは仕方のないところだろう。
ちなみにその王子様達だが、一般的な基準で言えば十分、合格ラインには達してはいるのである。ただ、エリーと婚姻を結ぶか、と問われたら、彼らのほうが尻ごみしてしまうくらいに、エリーの名声、実力が高いだけである。まぁ、並の男ではエリーの性格を前にしてはパワー負けするのは間違いないだろう。
【鬼族の総武演参加メンバー】
人族換算で二十代の若手だけで構成されている集団であり、これまで外交面でも登場したことがないニューフェイスだけという徹底ぶりである。
なぜ、そのような面々になったのか、それにどんな意味があるのか、等については六章で明らかになっていくことだろう。あと、アキが会いたいといったのに、その願いが聞き届けられなかった理由についても、明らかになるはず。ちなみにそんなに深い意味がある訳ではない。
【マコトくん】
異世界に住む少年で、惜しげもなく様々な学問、技術、文化、歴史といった驚くほど多岐に渡る知識を伝えてくれた。その膨大な語録は書籍として出回っている。熱心なファンが列を作れば、隣町まで続くほどとのこと。更に実は信者が大勢いて、信仰の対象となっていることも発覚した。外見設定は黒髪の幼女であり声も可愛い、歳は十を超えることはない、などという怪しい状態になっている。
やはり幼い頃の会話は、聞き手にかなりの苦労をかけていたようだ。出回っているマコト文書だと、そのあたりの苦労は推測できる程度に留められているため、彼が優秀な語り手だった、と誤解される一因にもなっている。
ブックマークありがとうございました。執筆意欲がチャージされました。
四章の人物紹介ページと内容が被るので、共通的な部分をある程度の端折って、そこに四章で紹介された内容を追記する感じにしてみました。
魔導具や施設、魔術の紹介ページも今回はセットで投稿しています。
次回から六章スタートです。総合武力演習本番です♪
投稿は、四月十日(水)二十一時五分の予定です。
<それと>
あと、良かったなと思ったら、下(宣伝画像の下)にある「小説家になろう 勝手にランキング」のリンクをクリックして投票していただけましたら幸いです。
前のほうのページに載っているおかげで、訪問者が増えてとても良い状態です。
6ページ目とかだったりすると、そもそも一日に訪問者(OUT)が数名増加といったとこですから。
息の長い応援よろしくお願いします。(二週間程度でポイントが初期化されるので……)
※2019年04月1日(月)にポイントが初期化されました。