表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/770

5-19.百聞は一見に如かず

前回のあらすじ:遂に残りの妖精さん四人(女王陛下、宰相、近衛、彫刻家)を召喚しました。そして、召喚して早々、女王陛下の鶴の一声で、アキと女王陛下は語らうことになり、他の妖精さん達とは別行動になりました。アキもだいぶ一杯、一杯だったこともあり、女王陛下に色々と慰めて貰いました。


涙が止まるまで、我慢せずに泣き続けたら、シャーリスさんのことも、色々聞いてて身構えていた部分を脇に退けて、ただの妖精のお姉さんとして見えてきた。


同じ人なのに、印象が全然違うから不思議だ。


肩肘張らない服装を選んで、親近感を持てるよう、こちらにだいぶ歩み寄ってくれている。


僕が泣き止んだ様子を見て、ちょっとホッとした表情を浮かべたのも、心の内が垣間見えたようで嬉しい。


……そうだね。こっちにきて、立場抜きで僕を見てくれた、初めての人だし、まずは打算抜きに、仲良くならないとね。


打算。


打算……不味いかも。用意した資料とか、実演用の機材とか、分野が偏り過ぎだ。


「シャーリスさん、ちょっとね、今回、用意したお土産なんだけど、傾向が偏ってて」


事前に訂正しておかないと、第一印象が悪くなりそう。


「ほう、土産とな」


「知識と体験、やっぱり話を聞くだけより、その方がいいと思ったんだ。記憶は持ち帰れるから、お土産になるでしょう?」


「そうじゃな。心遣いは嬉しいものじゃ」


前にテレビで、無難な観光地巡りや土産物漁りが終わったら、次はその地でなくてはできない体験を求めるものだ、とか言ってたし、方向性は合ってると思う。


「それでね、ちょっと内容が警戒させるような、びっくりさせるような内容ばかりで。あーもう、こんな事なら、美味しい料理とか、音楽とか、文化的な内容も詰めておくんだった」


ファウスト船長さんと話した時も、軍事技術や戦争に関する話ばかりして、地球あちらのイメージが悪かったと反省したはずだったのに、うーん、なんで妖精さん相手に、そのあたりを考えておけなかったのかなぁ……。


「これこれ、せっかちじゃな。まだ会ったばかりではないか。話を交わして、興味のある話題を選べばよい。初めから背伸びしていては、疲れるだけじゃ。せっかく、立場に縛られない異界に来たのじゃ。もう少し、のんびりと、な」


「あ、うん。そうだね。なんでかな、ちょっと焦ってたみたい」


シャーリスさんの落ち着いた声を聞いて、少しぐるぐるしてた頭の中が静まってきた。


「それとな。妾とて賽子(サイコロ)の礼をしたい思いはあるのじゃ。アキは妾に聞いてみたいことはないかぇ? 妾達が人の世を知らぬように、アキも妖精の世を知らぬじゃろう?」


「えっと、それなら、空を飛ぶのが当たり前な妖精さんがどんな家に住んでるのか知りたいかな。お爺ちゃんから軽くは聞いているけど、部屋の間取りとか、炊事、洗濯、掃除とか、朝から晩までの普通の生活について聞いてみたい。体が小さいから衣類も羊毛は使わないだろうな、とか」


「ほぉ、そのような事に興味があるのか」


「大きさが違えば、重さが違うし、人の家のように平地に立てたりはしそうもないかな、とか。服も、針とか物凄く細いだろうし、どうやって作るのかとか、疑問は尽きないよ」


「妾達には普通のことでも、人には珍しいもの、興味を惹くものだらけか。よかろう。では、まずは妾達の住む家から話そう。妾達の家は大きく分けて二箇所に作る。一つは切り立った崖の斜面、それと太く立派な木の上じゃ。生活に使うのは木の家、崖の家は倉庫として使う。それらの――」


シャーリスさんは、それからいろいろな事を教えてくれた。体が小さい分、家具は壁面固定で扉は必ずロックし、道具の類は全て小さく軽いから、使う人と紐で繋いでおくそうだ。部屋は羽を広げてもぶつからないサイズが最小単位で、枝や葉を編んで作るというから、鳥の巣の立体編物版って感じかな。妖精サイズの煉瓦とかじゃ、強い風で吹き飛ぶだろうし、妥当な選択と思う。

重さで耐える、みたいな思想は薄そうだ。

道具の扱い方は高所で仕事をする職人さんのよう。物を落としたら危険だからね。

お爺ちゃんから聞いた通り、家は吹き抜けの大広間と、そこに繋がる個室といった作りで、階段や廊下はないそうだ。


「鳥がぶつかったりしたら大変そうだね」


「普通は近づかれる前に追い払うのじゃが、年に何回か、どうしても突っ込まれる家が出てくる。困ったものじゃ」


おかげで、渡り鳥が来る季節は、常時警戒せねばならず、夜通しで騒ぐ羽目に陥って寝不足になるのじゃ、とのこと。


「寝不足? 大変なのはそっち?」


「毎年恒例の行事のようなものじゃからな。あちらも家に降りるのは事故のようなもの、普通は飛行経路を変えるからのぉ。街に鳥が近付くと、子供達の出番じゃからな。上を下への大騒ぎになるんじゃ」


「もしかして、鳥くらいなら撃ち落とすのは簡単とか?」


「魔術を使えば一発じゃな。妾達は無益な殺生はせぬから、網から漏れた鳥には、子供達の防空訓練に付き合ってもらっておる、そういう事じゃ」


「お祭り騒ぎになる訳だね。シャーリスさんも、子供の頃、迎撃とかしたの?」


「勿論じゃ。あまりの活躍に、他の子の為に後方に下げられたくらいじゃ」


「戦う女王様だね」


「そうせねば、妾のような小娘に大人達が従わぬからの。アキよ、わかるか? 周りにいる部下達が皆、自分の父母、祖父母のような年上で、知恵も力も実績もあるのじゃぞ? 即位してから暫くは、ストレスで胃に穴が開きそうじゃった」


周囲は大人ばかりって感じに上をきょろきょろとみて、溜息をついたりして、当時の心情がとってもわかりやすい。


「うわー、それは何ともやりにくそう。今はもう平気なの?」


「何でも自分で抱え込まず、関係する者を巻き込んで、引き摺り回すようにしたからの。よく知らぬ頃は、完全無欠に思えた宰相達とて、得手、不得手があり、性格もある程度把握できれば、後は何とかなるものよ」


「それは貴重なお話だね。僕も今後、多分、年上だらけ、実力者だらけの中で、我を通す必要が出てくるし、見習わないと」


「妾も話くらいは聞いてやろう。もっとも、妖精相手と、人や鬼相手は勝手が異なろう。あまり期待せぬようにな」


「その時はよろしくね。ん、あちらも話が終わったみたいだね」


ジョージさんの元に、シャンタールさんがきて、何か話してる。そろそろ集合って事だろう。さて、他の妖精の皆さんとのお話、問題がなかったならいいんだけど。





……で、妖精さん達が合流したんだけど、何故か近衛さんと、お爺ちゃんがいがみ合ってる。というか、お爺ちゃんが煽って、そこに近衛さんが突っかかってる感じだ。


「儂はお主の為を思って忠告しただけじゃろう。ライフル銃の発砲音は雷の如し。茂みに逃げ込んだとて、誰もお主の胆力に疑念を抱いたりはせぬ」


「ふん、聞けば翁は忠告を受けて、事前に身構えておきながら逃げ出したとか。我ら、近衛であれば、爆裂魔術の飛び交う戦場でも決して引きませぬぞ」


互いに全身で煽り返している。もっとも周りにいる賢者さん達は、またか、という顔をしているので、いつもの事なんだろう。


「シャーリスさん、二人っていつもこうなの?」


僕が小声で聞くと、シャーリスさんもため息混じりに頷いた。


「近衛はちと融通が利かぬ所がある。そして、武力偏重な言動は、翁には余裕のなさとして映るようじゃ」


あぁ、それだと、もっと力を抜け、とお爺ちゃんがちょっかいをかけそうだね。


「それで、皆さん、外に来たって事は、これから実演?」


「はい。銃器による射撃、耐弾障壁の護り、それとショットガンによる範囲攻撃と、一通り観たいそうです」


ケイティさんはそういって、僕がつける防音イヤーマフ、破片対策のシューティンググラスを渡してくれた。


「何やら重装備じゃな」


「僕達、街エルフは目と耳はいいんだけど、逆に激しい光とか音は苦手でね。だから、こうして目や耳を保護するんだよ」


「それでは視界が狭く、音も聞こえぬではないか。そんなもの、武人ならばくると分かっていれば耐えられるものよ」


近衛さんの鼻息は荒い。


「こうなっては、いくら風を吹かせても枝にしがみつくだけじゃ。ケイティよ、まずはライフル銃とやらを見せよ。まず、彫刻家は量産された品を見て、相手の力を推し量ってみるのじゃ」


シャーリスさんがいがみ合いを断ち切り、ケイティさんが皆をライフル銃が沢山並べられた机へと案内した。


以前、試射したのと同じ形式の銃がズラリと並べられている。


早速、彫刻家さんはボルトを引いて銃口から薬室まで開けた状態の銃を観察し、背負袋から、双眼鏡のような道具を取り出して、銃口から覗き込んだり、ジョージさんに指示して、検査用っぽい金属棒で叩いて音色を聞き比べたりと、かなり綿密に調べて続けている。


「彫刻家よ、あくまでも概略が分かれば良い」


「陛下、分かっておりますとも。ですから、分解もせず、目視確認だけに留めているのではありませんか。しかし、これは凄まじいものです。部品の精度こそ多少荒いものがありますが、人が使う分には十分過ぎる。恐らく、部品を取り外して、相互に交換しても何の調整もなく取り付けられるでしょう。量産速度はわかりませぬが、同じものを量産する技は我らに近いと言えましょう。それを、こんな魔力のほとんどない世界で成し遂げるとは! 我らと同じところに、別の技を持ってたどり着いたのです。見事な技です」


彫刻家さんは努めて冷静に、でも興奮を隠しきれない様子で早口にまくし立てた。


「それ程か。私にもわかるよう、最も特徴的な部分で教えてくれ」


ずずずっと寄って、宰相さんが目を細めて、詳しい説明を求めた。


近衛さんは興味はありありだけど、宰相さんを押し退けてまで意見を言うつもりはないようだね。


「技の高みを理解するのであれば、やはりこの銃身でしょう。狙った方向に弾を撃ち出す歪みのない真っ直ぐな銃身、弾より僅かに狭い内径、そして、弾に駒のような回転を与え、安定させる旋条。銃口からそれぞれの銃身を覗き込んで見てください」


「……滑らかな加工、同じ深さ、曲がりで刻まれた旋条。それをこれほどの長さ、細さで実現するか。確かに侮れん」


覗き込む近衛さんに、手がまるで届かぬほど長く硬い金属の筒、しかも繋ぎ目はない。恐らく、まず、金属の棒を作り、次に穴開け、最後に溝を刻んだのだ、しかも交換し合える質の品がこうして沢山ある、などと宰相さんが説明してる。


宰相さんの場合、自分たちが作るなら、という視点かな。妖精さんだと、僅か口径六ミリ程度の小銃でも、口径三十六ミリの対戦車砲みたいなものだからね。きっと、材料の金属を採掘して、精錬して、加工して、それを同じ規格で量産して、という一連の工程を踏まえた上での意見なんだろうね。


近衛さんも、以前、侵攻してきた人の軍隊が全員、これを装備していたら、それを成し遂げるだけの国力があるなら、と思い至ったようで、少し落ち着きを取り戻したようだ。


「では、次は威力と弾速、そして命中精度の確認じゃな」


シャーリスさんに促されて、ジョージさんが、目標とする妖精型の木製人形をズラリと並べた。


羽は透明なプラスチックで出来ているようで、布製の服も着せてあってよく出来ているけど、なんか生々しい感じがする。


賢者さんが人形に杖を向けて、短く呪文と唱え、人形が光に包まれた。


「一般的な防壁を付与した。これで銃の脅威も測れよう」


他の妖精さんの反応を見ると、妥当なようだ。障壁なしなら致命傷は当たり前、重障壁は普段使いしてないから、推し量るのには不向きと。


女中人形の人が、遠く、百メートルほど先に用意された的に、妖精人形を配置し、その間にジョージさんが狙撃準備を始めた。


以前のような射撃ではなく、狙撃。


照準調整(ゼロイング)はもう終えてあるんですか?」


「あぁ。使うのも狙撃用に精度のいい銃、精度のいい弾を揃えた。何せ骨董品だ。年配の技師達に頑張って貰ったよ」


「それは良かった。普通の銃だと、この距離で、あの大きさに確実に着弾させるのは難しいですから」


そして、まぁ、観てろとジョージさんが伏せて銃を構え、それを護衛人形の一人が、双眼鏡で確認しつつ補佐してる。


僕達も慌ててシューティンググラスを付け、防音イヤーマフを耳にあてて、射撃に備える。


お爺ちゃんは、儂は経験済みじゃからと防音障壁を展開し、近衛さん以外は通常の防壁を展開、近衛さんだけが、障壁を展開せず、ジョージさんの少し後方で的を凝視している。


護衛人形さんの合図を受けて、ジョージさんが引き金を引き絞った。


防音イヤーマフのおかげで、体を竦ませる程度で済んだけど、相変わらず発砲音は耳に突き刺さるような轟音で、放たれた弾丸は見事に、妖精型の木製人形に着弾して、粉々に吹き飛ばした。


人相手に口径三十六ミリの機関砲を叩き込んだ時と同じで、鶏を捌くのに牛刀を使うようなものだ。


……人形と分かっていても、やっぱり気分は良くない。


なんかふらふらと近衛さんが落ち始めたので、手で受け止めたけど、暫くは動き出せなかった。


それからしばらくしたら話せる状態に戻り、気構えでどうにかできるものではないな、と素直にお爺ちゃんに謝ったから、近衛さんも根は素直なのかも。


他の妖精さんはと言えば、始めのお爺ちゃん程ではないにせよ、距離を離して、渋い顔をしている。


「今度は、着弾を落ち着いて観れるよう防音障壁の展開をお願いします」


ケイティさんの言葉に、今度は近衛さんも含めて防音障壁を展開した。


再び、ジョージさんの撃った弾は、隣の妖精型の木製人形の胸を正確に撃ち抜いて、やはりバラバラに吹き飛ばした。銃もそうだけど、ジョージさんもきっと結構、練習をしたんだろう。見事な腕前だね。


ジョージさんが起き上がると、妖精さん達を集めて、説明を始めた。


「翁から聞いているそうだが、見ての通り、銃は弓矢よりも弾速が早く、その狙いは正確、そして連射もできる。当たれば重装甲に身を固めた兵士でも簡単に殺害できる威力もある。そして、弓矢よりも訓練が容易で、一週間も訓練すれば誰でもこの程度の距離で当てられるようになるんだ」


これは脅威だ、などと妖精さんが話し合ってるから、僕の方からちょっと、補足をすることにした。


「銃は恐ろしいけど、その独特の発砲音こそが重要なんだよね」


「確かにあの音はキツイが距離を離せば、それほどでもないだろう」


「んーとね、発砲音がする度に、近くにいた仲間が、的になった人形みたいに粉々に吹き飛んだら、いくら兵士さんでも平静でいられないよね? それに馬に乗ってたりしたら、あの音を聞いただけで、馬が驚いて暴れちゃう。発砲音と共に必ず訪れる防ぎようのない死、それこそが銃の恐ろしさなんだ」


だから、現代の兵士は銃声が聞こえたらすぐに遮蔽物に隠れる。それができない鈍間は、物言わぬ死体になるのだから当然だ。防ぐことはできずとも、撃たれる可能性を下げることはできる。


妖精さん達も、人の軍隊が一斉に銃を撃ってきたりしたら、いくら的が小さくても、素早く動けばそうそう当たらないとわかってても、そこを割り切って飛び回れはしない、と理解したようで、沈黙が場を支配した。


静寂を破ったのはお爺ちゃん。


「じゃが、耐弾障壁の登場で、その優位は崩れた、そうじゃな」


「翁の言う通り。それをこれから実演しよう。今度は至近距離だ。弾を撃つ間隔も注意して欲しい」


そうして、今度は防弾ケースに入れた耐弾障壁の護符を的にセットし、その周囲に妖精の木製人形を配置した。


警戒術式を展開しておき、いざという時に防御の障壁を展開するんじゃ、とお爺ちゃんが説明し、皆がそれを実際に見て納得してくれた。


やはり、以前と同様、リボルバー拳銃を取り出して、一気に六発を撃ちきった。次々に障壁に波紋が浮かんで、勢いを失った弾がボトボトと落ちていくのは、何度見ても不思議だ。


「この通り、銃弾は簡単に無力化されるようになった。最後に妖精界には耐弾障壁はないとのことなので、少し趣の異なる銃を紹介しよう。妖精にとっては、こちらの方がより危険性が高いと思う」


近くの的から、耐弾障壁の護符を取り外して、妖精型の木製人形達だけが残る。


ジョージさんの取り出したのは、ポンプアクション式のショットガンだ。独特の装填音をさせると、大雑把に的の方に構えて、発砲した。


ライフル銃とは異なる発砲音と共に、木製人形達が激しく暴れるのが見えた。


撃ち出された無数の小さな鉛玉が、その身を打ち据えたからだ。


人形ごとにばらつきはあるけど、十発前後の鉛玉が当たったようだ。的全体も、直径一メートルくらいの範囲は蜂の巣のように穴だらけになっている。


「これがバードショット、空を飛ぶ鳥を撃ち落とすために、小さな弾を大量に打ち出す仕組みだ。多少狙いがずれても当たるのがミソだ。一発、一発の弾の威力は小さいが、それも当たりさえすれば、ご覧の通り、鳥を撃ち落とすのには十分だ」


ショットガンの有用性を理解してくれたようで、特に宰相さんの表情は険しい。……プレゼンテーションとしては大成功、と言いたいところだけど、僕はもう泣きたい気持ちで一杯だった。


そんな僕を見て、シャーリスさんが近寄ってきて、肩をぽんぽんと叩いてくれた。


「衝撃的だったが、それで見方を固めるほど妾達は狭量ではないから安心するがよい。何より、翁から毎晩、自慢話を聞き続けてきたのじゃ。こちらが危ういことばかりではないことは理解しておる」


「そう言ってくれると助かるよ」


「そろそろ良い時間じゃ。こちらの食事は多彩で妖精界にはないものも多いと聞いておる。いい加減、翁の食べた自慢は聞き飽きてきたところじゃったのじゃ。ケイティよ、頼むぞ」


「お任せください。アイリーンが腕によりをかけて料理を用意しております。こちらへどうぞ」


ケイティさんも、待ってましたとばかりに、屋外に設けたテーブル席に皆を案内してくれた。お爺ちゃんの食べ方を参考に、テーブルは広めにして、妖精さんが好きな位置に降り立てるようにして、後は妖精さんサイズのナイフやフォークといったカトラリーを配って、好きに飲食して貰うことに。

大使館の人達も混ざって、ちょっとしたパーティって感じ。これなら良さそうだ。


妖精さんはとりあえず誰か一人につく感じで降りて、料理について聞きながら、食べたいところを切り取ってパクつく感じだ。僕の元にもシャーリスさんがきたので、失敗を取り返すためにも、張り切って紹介することにした。例えば同じ肉料理でも妖精さんは一口がとっても小さいから、食べる部位によって印象ががらりと変わったりするからね。


お爺ちゃんが食べながら、あーだこーだと話していたことを思い出しながら、シャーリスさんに色々勧めて食べて貰った。一番好評だったのは、炭酸入りのオレンジジュース。シュワシュワしてるのは初めての感覚だと喜んでいた。


シャーリスさんはわざわざアイリーンさんに礼をしに行って、その技量を褒め讃えてくれた。

失点一を、料理の得点一で取り返した感じだね。……良かった。




ブックマークありがとうございます。執筆意欲がチャージされました。

シャーリスとアキはいろいろ話して打ち解けてきました。それで話をしているうちに、準備が不味いことに気付き、実際、こちらの世界に対する印象はかなり、警戒、不安視させるものになってしまう失態がありました。でも翁の召喚されてからの一カ月以上に及ぶ自慢話プレゼンのおかげで、印象悪化となることは避けられて幸いでしたね。そして、アイリーンの料理のおかげで、心象改善はだいぶできたようです。

やはり美味しい料理や飲み物があれば、自然と心も温かくなるものですよね。

次回の投稿は、三月二十七日(水)二十一時五分です。


あと、良かったなと思ったら、下(宣伝画像の下)にある「小説家になろう 勝手にランキング」のリンクをクリックして投票していただけましたら幸いです。


前のほうのページに載っているおかげで、訪問者が増えてとても良い状態です。

6ページ目とかだったりすると、そもそも一日に訪問者(OUT)が数名増加といったとこですから。

息の長い応援よろしくお願いします。(二週間程度でポイントが初期化されるので……)

 ※2019年03月16日(土)ポイントが初期化されました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『彼女を助けようと異世界に来たのに、彼女がいないってどーいうこと!?』を読んでいただきありがとうございます。
評価・ブックマーク・レビュー・感想・いいねなどいただけたら、執筆意欲Upにもなり幸いです。

他の人も読んで欲しいと思えたらクリック投票(MAX 1日1回)お願いします。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] シャーリスさんが大人で為政者の目を持っててよかった・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ