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第25話 球技・水泳大会にて

 女子の水着が拝めちゃうZE☆なうっきうっきわっくわっくな水泳・球技大会は、俺に渇きと飢えを齎した……。

 だって結局卓球の試合で水泳の試合を見れないんだもんさ!

 何故なら俺の打った球が卓球台の角に当たったりネットにかすって軌道がずれたりと、神(がか)ったミラクルショットの連発で勝っちまったからだ。

 うちのクラスは予想外の連続勝利のせいで、今もトーナメントに残っている。

 もちろん他の団体戦メンバーの努力と尽力があってこそのチームの勝利でもある。

 一回戦負けで、ハイ終了プールに応援直行ウェーイのはずだった俺の計画は見事に頓挫(とんざ)した。

 水着女子とのほんのひと時の邂逅さえ、この罪深き俺には許されないのか?

 佐藤はバスケで、岡田は水泳。

 昼飯の時に互いの健闘を讃え合ったくらいで、後はほとんど二人とは顔を合わせていない。

 まあこんな日もあるよな。

 卓球の試合会場は小体育館の二階。

 建物は二階建てで一階部分は柔道部と剣道部が一日交代で使用している道場になっている。

 因みに二階部分は全面フローリングで、卓球部やバド部が使うのに適した空間だ。


「ああ、水着女子……」


 水泳・球技大会午後の部が始まり、俺は自分のクラスの試合を待つ間、小体育館の壁に背を預けて溜息をついた。


「どうしたのさ花ガッキー、アンニュイに溜息なんかついちゃって? そんなに水着女子見たかった?」


 声の方に目を向けると、藤宮が訳知り顔で俺を見ている。

 そうだ藤宮こいつも卓球組だったな。

 男女共に会場は同じだ。


「ああそうさ。悪いか? 見たかったんだよ俺は!!」

「えー、何で逆ギレなんだよー。何か涙ぐんでるし」

「悪い、見たかったって思ったらちょっと情緒不安定に……ぐすっ」

「ふーむ。これは――脳内8Kの処方が必要だなー?」


 藤宮こいつは何を言っとるんだと通常モードの俺だったなら呆れた事だろう。だが今の俺は普通じゃなかった。


「脳内、8K……だと?」


 8Kと言うとテレビの画質の鮮明さとかのあの8Kか。


「そう。高校生男子たるもの気合いでそれくらいリアルな想像力を持つべし!」


 ごくり、と俺は唾を呑む。その手があったか。いやだが俺は……。

 藤宮に真顔を向ける。


「俺は実物が見たいんだ」

「わー相変わらず花ガッキーは欲望に忠実だなー」

「くっ、そんな引いたような半笑いすんな!」


 言い出しっぺのくせにっ、ぷんすか!

 俺はこれ以上自我が崩壊しないように、やや焦って気を取り直す。


「女子の団体戦まだ残ってんだろ? すげえじゃん」

「ひひっすげえだろだろ~。男子もまだ残ってるじゃん。あ、見てたよ花ガッキー意外に大活躍! 偉い偉い」


 ひひって……。藤宮お前仮にも女子だろ。そんな狂気の魔女みたいな笑い方……。こいつ中学ん時から俺と喋ると何気に見た目のイメージ崩れるよな。ヤンキーだが色気担当みたいな顔してさ。

 俺は活躍したかったわけじゃないから偉いと褒められても複雑だ。

 むしろ最初のうちは水着エンジョイのために早く負けろとか念じてたしな。


「別に偉くはねえよ。奇跡的な確率で偶然が重なった結果だろ」


 俺はささやかな苦笑顔で答えた。

 

「こっちはそろそろ次の試合だが、女子の時間は?」

「次は二試合間に挟んでだから結構暇なんだよー。かと言って他の応援行くのも面倒だし? ねえ男子の時間まででいいからさ、暇つぶし付き合ってよ」


 他の卓球組の女子たちは向こうで固まって雑談している。

 藤宮は至ってしれっとしていた。


「まあ別にいいけど」


 彼女は本当に退屈なのか「どっこいしょっと~」とばば臭い掛け声と共に俺の横に腰を下ろした。


「緑川さんごめんー! ちょっくら花ガッキーの隣借りっからー」


 この場にいない奴に何故か謝罪する藤宮。


「何でだよ。俺の周囲の空間くらいあいつに関係なく使ってくれ」


 つーかもう同中出身者の反応の一貫性には慣れてるがな。

 俺が何をするにも必ず奴の影がチラつくのはどうにかならないもんかね。


「ああ、そうなんだけどついついね。そういや緑川さんは何に出てるの?」

「水泳」

「へえ、緑川さんもー。だから盛り上がってるんだ水泳の方。ルカやんも出てるじゃん? 三組の鈴木さんとか六組の西川さんとか、男女共に人気ある生徒が集まってるから応援の方も熱入ってるって話だよ」

「へえ、そりゃ眼福だな。三組と六組の何とかさんの顔が浮かばんが」


 俺が感心して言うと藤宮は可笑しそうに笑った。


「花ガッキーってホント、緑川さん以外の女子は興味ないよね~」

「はあ? んなこたねえよ。単に知り合う機会がないってだけだ。岡田は彼女いるから他の女子の話ほとんどしねえし、佐藤なんかは好みがよくわからんからな。ダチからの紹介も期待できない」

「なるほど~」


 奇特にも姉貴と付き合ってたし。

 そういやまだパン奢ってなかったよ。スマン佐藤。

 どこか諦念を含んで言ったところで俺は俺の試合の時間になり、仲間から呼ばれてゆっくり立ち上がる。


「じゃあ行ってくるな」

「おう! 頑張って優勝まで突っ走れ~! あ、でもさ花ガッキー」


 藤宮はにっと笑う。


「いいじゃんそれで。緑川さん的には」


 だから何でそうなるんだよ。


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