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あま~い星のキケンなおさとう  作者: 立川ありす
第1章 おかしの街はキケンがいっぱい!?
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おつかいの帰りに

「ククル、おひさしぶり!」

 あたしは『ククルカンの店』のおくにむかって声をかける。


「あらあら~、マギーちゃん、おひさしぶり~」

 おっとりとした声がして、やさしそうな女の人があらわれた。

 落ち着いた色のピーナツバターのワンピースを着て、かたにモンブランのスカーフをまいて、ひとつにあんだ髪を流している。


 パーツ屋のククルカンだ。

 とてものんびりしているけれど、ひとりでお店をきりもりしている、お母さんみたいな人だ。親しい人はククルってよんでいる。


「アリサちゃんも元気~?」

「うん、元気だよ」

 あたしはニッコリ笑って答える。


「てっぽうのたまがなくなっちゃって、買って来てってたのまれたの」

「いつもたまを買ってくれてありがとう」

 でも、ククルはこまった顔になった。


「でも、ごめんね~。今、てっぽうのたまがないの~。おまわりさんが、たくさん買っていったから……」

「ええ!? そんな~」

 てっぽうのたまがないと、おたずね者をつかまえる仕事ができない。

 それに、てっぽうのたまを買って帰らないと、アリサががっかりしちゃう……。

 あたしも、ククルといっしょにこまる。すると、


「ああ、そうだわ~」

 ククルはポンと手をたたいた。


「マギーちゃんは【宇宙ドルイド組合】のケルト魔法使いだったわよね~?」

「うん! ……見習いだけどね」

「それじゃ、ビリビリベリーをたまのおしりにする魔法も使えるかしら~?」

「うん、使えるよ」

 あたしは答える。


「そっか、てっぽうのたまを作るんだね!」

 飛行機で使うてっぽうのたまは、3つの部品からできている。

 ひとつは、飛んでいく先っぽ。

 もうひとつは、先っぽを飛ばすためにばくはつするまん中。

 そして、まん中をばくはつさせるおしりだ。

 てっぽうのたまのおしりをふつうに作るのは、とてもむずかしい。

 でも、シバルバーでとれるベリーに魔法をかけて作ることもできる。


「マギーちゃんがたまのおしりを作ってくれたら、たまを安くゆずるわよ~」

 ククルがニッコリ笑ったので、あたしはふたつ返事で引き受けた。


 そして、あたしはククルといっしょに店のおくに行った。


「ビリビリベリーさん、ベリーに宿る魔法さん、戦う人に力をかしてあげて!」

 あたしは魔法の呪文をとなえて、ペンダントをにぎりしめる。

 【〇】と【十】を重ね合わせたケルト十字のペンダントが、キラキラ光る。


 宇宙は魔法の力で満ちている。

 風にも、地面にも、何もないところにも、動物にも植物にも魔法が宿っている。

 あたしたちエルフィン人の【宇宙ドルイド組合】の魔法使いは、そんな魔力におねがいするケルト魔法を使うんだ。


 ケルト魔法使いが使えるのは、3つの魔法だ。

 宇宙のどこにでもいる妖精の魔力におねがいする【ものを動かす魔法】。

 火や氷や風や土に力をかりる【エレメントをあやつる魔法】。

 動物や植物とお話ししたり、力をかりたりする【動物や植物の魔法】。


 もちろん、ビリビリベリーをたまのおしりにするのは【動物や植物の魔法】だ。

 

 ペンダントをつつんでいた光が、広がっていく。

 そして、部屋のゆかにならんだ箱のひとつにふりそそぐ。


『……いいだろう』

『……あんたがそう言うなら』

『……けいやく、せいりつだ』

 箱の中にしきつめられていたベリーたちが、ささやくような返事を返した。

 魔法はうまくいったみたい。


「マギーちゃん、ありがとう~」

 そんなベリーの箱を、ククルが拾い上げる。

「わたしはたまを組み立てるから、マギーちゃんは次の箱をおねがいね~」

「はーい!」

 あたしは次の魔法をかけるために、ふたたびペンダントをにぎりしめた。


 そうやって、あたしはずーっと魔法をかけつづけた。

 そしてお昼すぎに、ようやく全部のベリーに魔法をかけることができた。


「はぁ、はぁ、やっとおわった……」

「マギーちゃん、おつかれさま~」

 ククルがくれたマグカップのアイスココアを、くいーっと飲みほす。

 カラカラになったのどに、コクのあるココアのあまさがしみわたる。

 魔法をたくさんかけると、ものすごくつかれる。


「カピバラ号は宇宙港よね~? マギーちゃんも、いっしょに乗ってく~?」

 ククルが言った。


 魔法をかけたお礼に、ククルは持ちきれないほどのたまをおまけしてくれた。

 だから、宇宙港まで飛行機でとどけてくれるんだって。

 いっしょに乗って帰るとラクチンだ。でも、


「ううん、あたしは歩いて帰るー」

 あたしはそう答えた。


 そしてククルの店を出たあたしは、焼きチョコの道路をてくてく歩く。


 歩きながら、食べられるおかし屋さんで買ったチョコバナナクレープをかじる。

 クレープのパリッとした食感に、たっぷりつまったチョコクリームとバナナのあまさがたまらない。


 ククルがたまの代金もおまけしてくれたから、あまったお金で買い食いだ。

 アリサに「より道なんてぜったいにダメよ!」なんて小言を言われたから、ちょっと散歩をして帰りたくなっちゃったんだ。でも、


「あますぎて、のどがかわいちゃったね」

 となりに話しかけて、しまったと思った。

 あたしはひとりで買い食いしてるんだった。

 耳がしゅんとたれる。


 ひとりでクレープをほおばっていると、すぐになくなってしまった。

 あそこのお店のクレープはすごくおいしくて種類もたくさんあるんだけど、ちょっと小さいかも。


 そうだ、こんどアリサといっしょに食べに来よっと!

 半分づつ食べっこしたら2つの味を楽しめるし。

 いいアイデアを思いついてニコッと笑う。そのとき、


「うわぁ!!」

「きゃっ!」

 いきなり、なにかにつきとばされた。あたしはたまらずひっくり返る。


「いたた……。もうっ、なにするのよ!!」

 あたしは飛び起きながら、ぶつかってきただれかをどなりつける。


「ゴメン! キミ、だいじょうぶ?」

 目をやると、緑色の長髪をなびかせた男の人がいた。ちょっとかっこいい。

 おかしじゃない服を着ているから、ほかの星の……たぶん地球人の旅行者だ。

 ふしぎなにおいがする。こう水をつけているのかな?


「わりぃ!」

 となりにいたワイルドなクセ毛の人が、あたしの足元を見やる。


「いたたたた……」

 メガネの男の子が起き上がった。


 なかよし3人組かな? 

 それにしても、緑色の髪なんてめずらしい。おそろいで髪をそめているのかな?


「ケガとかしてないかい?」

「だいじょうぶだよ」

 気づかってくれる長髪の人に、ニッコリ笑って答える。

 なんでも屋が、これしきのことでケガなんてしてられない。


「よかった。キミ、身が軽いんだね」

 長髪の人もニッコリ笑う。

 ステキな笑顔でほめられて、思わずエヘヘと笑う。

 そのとき、長髪の人がふりむいた。


 つられて見ると、通りの向こうがザワザワしている。

 だれか大さわぎしながら走ってくるみたいだ。


「ヤバイ!! 追いかけてきた!」

「そうだ、この子に……」

 メガネの子は、クセ毛の人とヒソヒソとナイショ話をする。

 そして、持っていたなにかをあたしにおしつけた。スーツケースのようだ。

 メガネの子は後を気にしながら、


「ボクたち、悪いヤツらから追われてるんだ。このケースを持ってにげて!」

「え? ……え!? どういうこと!?」

 あたしはわけがわからずビックリする。けど、


「おねがい、キミだけがたよりなんだ」

 男の子に目をウルウルされて、思わずスーツケースをうけとってしまった。

 すると3人は、風のようにすばやくわき道ににげていった。そして、


「ええい! ヤツらめ、にげおったぞ!!」

 入れかわりに、オニみたいな顔でカンカンにおこった人組が走ってきた。


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