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あま~い星のキケンなおさとう  作者: 立川ありす
第1章 おかしの街はキケンがいっぱい!?
3/16

おかしの星

「どの服にしようかなー」

 カピバラ号のブリッジのテーブルは、上がテレビになってるの。

 あたしは、そこにうつした宇宙アマゾンのカタログを見ていた。

 しっとりしたプリンの服や、かわいいクッキーの服がならんでいる。


 シバルバーは、あまくておいしい、おかしの星だ。

 でも、シバルバーに住んでいるテオトル人は、ちょっとらんぼうものだ。

 カカオ族とクリーム族っていうグループにわかれて、いつもケンカしてるの。


 陽気で元気いっぱいなカカオ族は、チョコレートの服を着ている。

 真面目で頭がいいクリーム族は、白いクリームの服を着ている。

 それ以外のケンカをしたくない人たちはプリン族ってよばれていて、プリンやクッキーの服を着ている。

 ほかの星の人も、ケンカにまきこまれたくなければプリン族の服を着るの。

 だから、あたしはシバルバーで着るためのプリンの服を選んでいるんだ。


「ねえ、アリサはどれにする?」

 運転席のアリサに声をかける。


 アリサはモニターを見ながら何かしている。

 あたしはアリサのところに行って、いっしょにモニターをのぞきこむ。


 モニターの中の、広い、広いシュークリームの皮に、たくさんの鳥の絵がならんでいる。そのうちのいくつかには、ほかの宇宙船がとまっている。

 アリサはカピバラ号を動かして、空いている絵の上にのせようとしているの。


 ずっと前に、あたしもやらせてって言ったことがあるんだ。

 でも、宇宙船の運転はむずかしくて、となりの宇宙船にぶつかったりするからって言って、やらせてもらえなかったんだ。アリサのケチンボ!

 そんなアリサは、


「この前買ったワンピースでいいわ。それより暗くなって見にくいからどいて」

 モニターから目もはなさずに言った。

「もー、アリサったらー」

 あたしはぷぅと口をとがらせる。


「ねぇ、動物クッキーがらのに新作ができたんだって」

「マギーもこの前買ったでしょ、おかしの服」

 アリサが相手にしてくれないので、あたしは口をとがらせてテーブルにもどる。

 そして、アルパカがらのブラウスとスカートのセットを買ってやった。


 そんなことをしているうちに、カピバラ号は宇宙港についた。

 そして街に出る手続きが終わったところで、アマゾンの荷物がとどいた。


「あら、けっこうかわいいじゃない」

 勝手に服を買ったからってプリプリしていたアリサだけど、とどいた服を着てみたら、ほめてくれた。

 あたしはうれしくなった。

 宇宙港のゲートの前で、クルンと一回転する。


 固焼きビスケットでできた宇宙港のビルの上には、キャンディーみたいなパステル色の空が広がっている。

 わたがしの雲のすきまから、白い太陽がキラリと光った。


 あたしが買ったのは、ミルククッキーのブラウスと、チョコクッキーのミニスカートだ。

 もこもこ生地のブラウスのせなかには、かわいいアルパカがかかれている。

 むねには固焼きビスケットのワッペンがついている。

 スカートと同じ色のスニーカーにもアルパカのワンポイントがついている。


「エヘヘ。アリサもにあってるよ」

 あたしはそう言ってアリサを見やる。


 アリサはなめらかプリンのワンピースを着ていた。

 長いそでとすその先は、こい茶色のカラメルだ。

 すそと同じカラメル色のブーツをはいているので、なんだか大人っぽい。


「それじゃ、おつかいたのむわね。ククルの店の場所、覚えてる?」

「だいじょうぶだよ」

 あたしはアリサにニッコリ笑う。


 これから、知り合いのパーツ屋さんに、てっぽうのたまを買いに行くんだ。

 アリサはカピバラ号でおるすばんだ。

 せっかく星におりたから、カピバラ号のメンテナンスをするんだって。


「あんまりおそくならないうちに帰ってくるのよ」

「はーい」

 おかしの街を歩くのが楽しみで、あたしは元気よく返事をする。

 でもアリサは、しんぱいそうにあたしを見やり、


「最近は治安が悪いらしいから、より道なんてぜったいにダメよ。やくそくよ!」

「もー、わかってるってば!」

 アリサったら、すぐに大人ぶるんだから。

 あたしはプリプリしながら、街に向かって歩きだした。


 そして、ビスケットのレンガをしきつめた大通りをてくてく歩く。


 道路ぞいにはアイスの家がならんでいる。

 大きなコーンに乗ったソフトクリームの屋根は、バニラにイチゴ、メロンにミカンとカラフルな色で、見ていて楽しい。

 高い高いショートケーキのビルも見える。

 イチゴとクリームたっぷりのケーキをいくつもかさねた、おいしそうなビルだ。


「ごきげんよう、かわいい旅行者さん」

 すれちがった女の人があいさつしてくれた。

 白いドレスのふくらんだスカートをつまんだ、とっても上品なあいさつだ。

 ドレスと同じバニラクリームでできたパラソルが、楽しそうにゆれる。

 あたしも「こんにちは、お姉さん」とあいさつを返した。


 ここはクリーム族の街だ。

 シバルバーは動物や植物がたくましく育つゆたかな星で、おかしの材料になる小麦やミルクもたくさんたくさんとれる。

 でも、たくましく育ちすぎて、ほとんどの食材は固すぎて食べられない。

 そこでテオトル人たちは、固くてじょうぶな食材で家や服を作ることにしたの。

 だからシバルバーは、家も服もおかしでできているんだよ。


 歩くうちに、街なみは茶色くなっていく。

 このあたりには板チョコでできたアパートや、チョコパフェの家が立ちならぶ。

 道も茶色い焼きチョコだ。


「あはは!」

「まてまてー」

 あたしの足元を、チョコレートの服を着たちっちゃい子たちが走っていった。

「こらー!! まちなさーい! ……あ、ごめんなさい」

 つづけて走ってきた女の子が、あたしにぶつかりそうになった。

 さっきの子たちと同じチョコレートの服を着ている。

「気にしないで。それより、あの子たち行っちゃうよ!」

 女の子のそばかすがとてもかわいかったから、おこったりせずに笑いかけた。


 こちらはカカオ族の街だ。

 陽気で元気いっぱいなカカオ族は、真面目で頭のいいクリーム族と仲が悪い。

 だから、どこの国でも別々の街を作って住んでいる。

 みんないい人たちばかりなのに、なかよくできないのはちょっとさみしい。


「たしか、ここの角だったよね。……あ、あれだ」

 何度か来たことのあるウェハースのビルを見つけて、走りよる。


『パーツなんでもあります ククルカンの店』

 ビルの入口にはビスケットでできたかんばんがかかっていた。


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