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あま~い星のキケンなおさとう  作者: 立川ありす
第3章 パーフェクト・パフェは、最高にあまくておいしい!

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13/16

たたかう1

「ヒドイ!!」

 街は大変なことになっていた。

 ソフトクリームの家は、やねがふっとんでコーンだけになっていた。

 ケーキのビルは、まん中からへし折れていた。

 アイスキャンディーの木は台風の後のようになぎたおされていて、ビスケットの道はあなだらけだった。


 街の人たちはにげられたみたい。

 けど、おいしそうなおかしの街はムチャクチャになっていた。


 あたしは、悲しくなった。

 はらがたった。


 交番があった場所では、白い大きな巨人があばれている。

 こしから下は地面にうまっているのに、とても大きい。

 おかしの家より大きい。

 飛行機を100機集めたくらい大きい。

 ビルくらい、宇宙船くらい大きい。

 大きな巨人はマッチョでムキムキだ。

 まっ赤な目をカッと見開いて、口はほっぺがさけそうなくらい大きくて、まるで公園にあったモンテスマ人形みたいだ。


 おさとうの巨人は天に向かってほえる。

 そして、近くにあった家のやねをむしりとって、口にほおりこむ。


 ボリ! ボリ!


 地面を見ると、カカオ族の子どもが泣いていた。家を食べられたからだ。


 子どもに気づいた巨人は、子どもに向かって食べかけのやねをなげつけた。

 あぶない!


 タタタタタッ!


 子どもにぶつかりそうになったやねを、てっぽうでうちおとす。

 バラバラになったやねのかけらを、体当たりでふっとばす。

 なんとか子どもに当たらずにすんだ。


 家のかけらのかげから、そばかすの女の子が飛びだしてきた。

 あたしにペコリとおじぎをする。

 そして子どもをかかえて、安全なところまでにげていく。


 こんなの、ヒドイ!

 ぜったいに巨人を止めなきゃ!


『【なんでも屋】のマギーさんですね! お話は聞いています!』

 おまわりさんからテレビ電話がかかってきた。

 真面目そうなプリン族のお姉さんだ。ちょっとだけアリサににているかも。


『もうすぐ、ヘルメスけいぶとテスけいぶがヒミツ兵器を持ってきます。わたしたちの仕事は、ヘルメスけいぶたちが来るまで、巨人が街をこわすのを食い止めることです。でも気をつけてください! 相手はとても強いです!』

 見やると、巨人のまわりを、白と黒でスカンクみたいなディルバーンたちが飛びまわっている。


 キュイーン! キュイーン!


 ディルバーンたちは、目からビームをうって巨人をこうげきする。


 タタタッ! タタタタタッ!


 小さなアームでささえられた、てっぽうでうつ。


 でも、ビルより大きな巨人はビクともしない。

 それどころか、大きなうでをひとふりした。

 あまりに大きなうでなので、ビュウッと空気がふるえる音がした。


 ディルバーンたちはあわててよける。

 でも、1機がたたかれて、ふっとばされた。

 さっき電話をくれたおまわりさんだ!


「おまわりさん!」

 あたしは、思わずさけぶ。

 飛行機がふっとんでいった方向を見て、巨人はわらう。

 ヒドイ! なんで、こんなヒドイことばかりするの!?


 そんな巨人の足に、光るものがいくつも当たった。

 火の玉やビームやレーザーだ。


 がれきのかげから、クリーム族の魔法使いたちが魔法をぶつけている。

 カフェにいた人たちだ。

 みんな、家をこわされて、ものすごくおこっている。


 でも、巨人が地面をドンッとたたくと、魔法使いたちはふっとばされた。


「風さん、空気に宿る魔力さん、みんなを守って!」

 あたしは魔法で空気のクッションを作って、魔法使いたちを受けとめる。


「あぶないから、みんなはにげて! ここは、あたしたちがなんとかするわ!」

「たのみましたわ!」

 魔法使いたちは飛んでいった。


 あたしは運転席のボタンをおしてフタを開く。

 中に入っていたボタンをおす。

 スクワールⅡがアームでささえたクルミが開いて、のびて、2つにわれて、大きな2本のてっぽうになる。クラウ・ソラスだ。


「伝説の魔法使いイルダーナさま、あたしに力をかしてください!」

 あたしは呪文をとなえて、引き金を引く。

 バチバチかがやくプラズマが、巨人の体めがけてつきすすむ。

 大きな巨人はよけられない。


 にえたぎるプラズマは、頭をかばった巨人のうでに当たる。

 さとうがジュッととけて、家くらい大きなうでが、ふっとぶ!


 でも、ふっとばされたうでのつけねが、白くにごったさとう水におおわれた。

 さとう水はヌルヌルうごめいて、うでの形になる。

 そして、巨人のうでが元にもどってしまった。


「そんなー!! うっても元にもどるんじゃ、なにをしたってムダじゃない!」

 どうしたらいいのかわからない。

 おまわりさんたちも、巨人のまわりをぐるぐる飛び回るしかできない。

 巨人のこしから下は地面にうまっているから、追いかけてきたりはしない。

 でも、このままでは街がどんどんこわされていく。

 あたしはなにもできなくて、あせる。そのとき、


『またせたな!』

『間に合ったようじゃな!』

『みなさん、マギーちゃん、ごぶじですか~?』

 4機のディルバーンと、ククルのヘッジホッグが飛んできた。


「どうしよう! ビームも魔法もきかないの! たいほうでうっても、すぐに元にもどっちゃうの!」

 あたしはさけんだ。でもククルは、

『だいじょうぶ~』

 そう言って、ニッコリ笑った。


『わたしたちは、巨人をやっつけるためのヒミツ兵器を用意してたのよ~』

「ヒミツ兵器って、そのちゅうしゃ器が?」

 ディルバーンたちの小さなアームは、大きなちゅうしゃ器をかかえている。

 とても大きい、飛行機と同じくらい大きなちゅうしゃ器だ。


『そうよ~』

 ククルが答えた。

 おかしみたいなヘッジホッグは、ディルバーンたちの間を飛びまわりながら、ちゅうしゃ器の最終チェックをしている。


『あの巨人さんの体は、おさとうの魔法で作られてるの~。だから、こわれてもすぐに元にもどっちゃうの~。でも、このちゅうしゃ器があればだいじょうぶ~。これには【魔法のインスリン】っていうお薬がつまってるの~。それを巨人さんにおちゅうしゃすると、さとうがとけて消えちゃうの~』

「でも、あの巨人は魔法でもてっぽうでもビクともしなかったんだよ?」

『それもだいじょうぶ~。このちゅうしゃ器は、グルグル回って、1秒間に100発のハリをさすの~。しかも、ハリの根元をばくはつさせて、ものすごい力でつきさすのよ~。てっぽうのたまを飛ばすのと同じ仕組みね~。ううん、こんなに大きいから、たいほうをうちこむのと同じくらいかしら~』

 ククルは自信たっぷりの笑顔で言った。ちゅうしゃ器のハリがギラリと光る。

 大きなちゅうしゃ器の先には、するどくとがったハリがついている。

 ちゅうしゃ器の本体にまけないくらい、太くて大きい。

 こんなのを1秒間に100発もさしたら、さすがの巨人もひとたまりもない。


『あたしとチャック、マヤウェル、ウィツィロポチトリの4機で、ヤツに魔法のインスリンをちゅうしゃする! 配置はさっき説明したとおりだ!』

 テスはほかのおまわりさんたちに向かって、元気に言った。

『ほかのみんなはヤツをこうげきして、気をそらしてくれ!』

 すると、おまわりさんも『ラジャー!!』と元気よく答える。

 ひょっとして、テスとおじいちゃんって、いつもはちょっとこまったおまわりさんだけど、いざという時にはみんなにたよりにされてるのかな?


「ひとつ聞いていい?」

 あたしは、モニターの中のテスにたずねる。


「テスとおじいちゃんは、カカオ族とクリーム族なのに、なんで仲がいいの?」

『仲いいか?』

 テスは後の席のおじいちゃんに向かって首をかしげる。

 そして、あたしに言った。


『そりゃま、協力しないとやってられないからな。悪いヤツは、こっちがケンカしてるからって待ってなんかくれないんだ。だからあたしは悪いヤツ以外とはだれとでも協力する。頭でっかちのクリーム族でもな』

 そう言って、ニヤリと笑った。

『はりきりすぎのカカオ族でもな!』

 テスの後で、おじいちゃんも笑った。

 そのタイミングがまんざいみたいにピッタリあっていたから、あたしはクスッと笑ってしまった。そんなあたしに、


『おまえとアリサだって同じだろ?』

 テスはあたしを見て、ニッコリ笑う。


「仲……いいのかな?」

 あたしは首をかしげる。

 アリサはいっつもブツブツ小言を言うし、あたしもアリサのこと……わからなくなっちゃうことだって何度もあるのに。

 でも、おじいちゃんもニコニコ笑いながら言った。


『最高のコンビに見えるがね。2人ともいい子じゃし、なにより、おたがいが、おたがいのことを大事にしておる』

 おじいちゃんがそう言ってくれたので、そうなのかなと思った。

 アリサは、あたしのことを大事に思ってくれてるのかな。

 そうだといいな。

 あたしはエヘヘと笑った。


『ちゅうしゃ器のチェックが終わったわ~。4本とも、バッチリうてるわよ~』

 ククルの声がした。いよいよ作戦開始だ。


『アリサくんが間に合わなかったのは残念じゃが、しかたない。ククルは下がっててくれ! それと昨日、ワシらはヤツに見えない魔法でこうげきされた。みんなも気をつけるんじゃ! マギーくんもじゃ!』

「うん! だいじょうぶ!」

 あたしは大きな声で答える。


 そして、昨日、スーリーを追いかけていたディルバーンがエンジンを切りさかれたことを思いだしていた。

 たぶん【おさとう】の魔法なんだと思う。

 けど、どういう魔法なのかはわからない。


 こんなとき、アリサがいてくれたらなって思う。


 でも、だいじょうぶ。

 たくさんのおまわりさんがいっしょなんだもん!

 アリサがどうしていないのかは、わからない。

 けど、おくれて来るまでに巨人をやっつけて、ビックリさせちゃおうっと!


 ディルバーンたちが巨人のまわりを飛び回る。

 もちろん、なぐられないように遠くから。


 キュイーン! キュイーン!


 ディルバーンたちがビームをうつ。

 ビームは巨人にきかないけど、巨人はいたくてさけび声をあげる。

 あたしもスロットルを引きしぼる。

 スクワールⅡはエンジンをフルスロットルにして巨人につっこむ。


 タタタタタッ!


 引き金を引いて、てっぽうをうつ。

 おこった巨人が、スクワールⅡをつかまえようとする。


 あたしはスティックをかたむける。スクワールⅡはすばやくかわす。


 そのスキに、ちゅうしゃ器をかかえたディルバーンたちが巨人につっこむ。

 1機は頭、1機はおなか、そして左右のうでに1機づつ。

 そのとき、巨人が天に向かってほえた。


 グオオオォォォォォォォ!!


『なに!?』

 テスがひめいをあげた。

 ちゅうしゃ器をかかえたディルバーンたちが、地面に向かって落ちていく。

 4機ともエンジンを切りさかれていた。昨日と同じだ。


『うわ!?』

『きゃあ!!』

 おまわりさんたちのディルバーンも、けむりをふきながら次々に落ちていく。

 みんなエンジンやコンピューターを切りさかれていた。

 巨人は、あの、わけのわからない魔法を使ったのだ。


「あの魔法はなんなの……!? コワイよアリサ!」

 あたしはガラスの風よけごしに巨人を見やる。


 巨人と目があった。

 オニみたいにつり上がったまっ赤な目であたしをにらんで、ほえる。

 スクワールⅡにも魔法を使うつもりだ。


 やられちゃう!

 あたしはギュッと目をつむる。そのとき、


『マギー!! 上に飛んで!』

 声がした。


 とっさにスティックを引きしぼる。

 スクワールは足のエンジンを下向きにふかして、上に向かって飛ぶ。


 ガンッ!


 音がして、スクワールⅡがゆれる。


 やられた!?


 でも切りさかれたのはクラウ・ソラスだけだった。本体はなんともない。

 アームを動かして、こわれたてっぽうを切りはなす。


『間にあって良かったわ』

 見やると、後から、丸いぐんじょう色の飛行機が飛んできた。

 ヘッジホッグだ。


「アリサ!?」

 あたしはほっとした。

 わけのわからない魔法でみんなやられてしまった。

 だけど、アリサが来てくれたから、だいじょうぶだって思った。でも、


「あぶない!! アリサ!」

 巨人が息をすいこむ。

 アリサのヘッジホッグに魔法を使うつもりだ!


 でも、モニターにうつったアリサはニヤリと笑う。


 グオオオォォォォォォォ!!


 ヘッジホッグはちょっとだけ横に動く。

 反重力でふわふわうかぶヘッジホッグは、速くは飛べないけど器用に動ける。


 後にあったケーキのビルがまっぷたつになった。

 ヘッジホッグは……なんともない!


「よけた……? アリサには、あれが見えるの!?」

 ヘッジホッグはせなかからバスケットを取りだす。


 シュボボボボボボボボッ!


 バスケットから100こくらいのエクレアが、白いクリームのけむりをふいて飛んでいく。たくさんミサイルの【ゲイボルグ】だ。

 ミサイルたちは巨人の顔にぶつかって、バババババーンとはじける。


『巨人がビックリしているうちに、いったんはなれて!』

 アリサが言った。

 あたしはスクワールⅡをクルンと一回転させて、巨人からはなれた。


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