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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第5章 日いづる国
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軍師の戦略

この話のイラスト付き本サイトはこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E8%BB%8D%E5%B8%AB%E3%81%AE%E6%88%A6%E7%95%A5

「上手く侵入出来たようですな!」


『お末の部屋』に案内されようやく本物のあべ君と再会を果たした船長に、モニター越しに首相が話しかける。


「ここまではね。」


ニヤリとする船長は次の段取りのことを考え始めていた。


「はじめまして。私が今回騒動を起こしている人工知能を開発した暗倉と申します。こんな事態になろうとは・・・ご迷惑お掛けして大変申し訳ありません。」


あべ君(弟)の記憶に出てきた初老の男は沈痛な面持ちで船長に謝罪する。


「どこの家庭も『子育て』には苦労するもんさ。それよりこれからどうするかの方が大事だよ。」


洒落てみせることで気を楽にしてやろうとする船長。


「他のメンバーはどこなんですか?」


あべ君は救出に来たのが船長一人なのか少し不安になっていた。


「みんなは別行動だ。とりあえず次の『ゴーマイウェイ作戦』までは俺達はここで待機だ。博士は『坊や』の部屋に入れるかい?」


博士は船長の問いかけに表情を曇らせる。


「たぶん・・・としか言えません。もしかすると私の認証は取り消されているかもしれません。」


『NO,1』の暴走が始まってからは一度も入っていないので正確なことは分からないのだった。


「それならアタシが付いてってやるよ。そうすりゃあどんな扉でも開けられるからね。それに『坊や』にも挨拶しときたいからね。」


お末が操るあべ君に本物のあべ君が少し驚いているようだった。


「次の作戦に移るタイミングはどうやって知るのかね?」


モニターの首相が話しに割って入る。


「『雷と地震』が教えてくれるさ。・・・上手くいけばだが・・・」


先のレーザー攻撃で大気は不安定になっていた。

つまり雷をある程度狙った所に落としやすい環境は整っている。

諸葛孔明のような軍師は現在の気象予報士以上の知識を持っていたと何かの本で読んでいた船長は、この状況を逆手に利用することを思いついたのだった。


だがそれには幾つかのリスクもあった。

さらに、海賊とエーコ達に本当に目的が達成できるのかという不安もある。

だが今は仲間を信じるほか無い。


『いよいよとなれば覚悟はあるさ。』


あまり想像しないようにしているが、最悪の場合を覚悟する船長であった。


----------------------------------

一台の黄色のジムニーがオペラ音楽とともにびしょ濡れの校庭に猛スピードで侵入して来た。

タク・なべコンビが一番に集合場所である公立高校のグラウンドに到着したのだった。


「早くしないとすぐに彼らが来ちゃいますよぉ。」


急いでるはずなんだが話し方のおかげでどこかのんびりして聞こえるタク君。


「紐を外して人形はここに置いてっと。あとは校舎の裏の高台になっている駐車場へ車を移せば完了!」


なべさんは料理で鍛えた段取り力のおかげか、一切無駄の無い身のこなしで着々と作戦を実行に移してゆく。

日頃の鍛錬がいかに重要かを示すお手本のようである。


ブイーーーーンッ・・キキキーーーーーーーーーーーーーッ!!


彼らが車を移動しようとした時、今度は真っ赤なジムニーが滑り込んできた。

小平師匠率いる『ハリウッド・ここち』チームであった。


「早いですね~!僕らもすぐに追いつきますよぉ~!」


原田さんがなべさんに声をかける。

車が止まるや、飛び降り、イケメン君と見事なチームプレーであっという間に段取りを済ませる。

さらにそこにブルーのジムニー『毒舌・法律家』チームも合流。

最後は僕達と伊東古澤の『車屋』チームが競い合うようにゴールした。


みんなは5体の表面がむき出しになったロボットを校庭の中央付近に置くと車を校舎裏へ回し、校内へ避難した。

-------------------------

「あれ~~~?ここはどこですかね?」


広い芝生の敷き詰められた自然公園『七瀬(セブンシャロウズ)公園』のど真ん中にラート状の機関車が雨に濡れながら停車していた。

今となっては背後で借景となった霊山には、バリカンで刈り取られたようなハゲた一本の道が残されていた。


「あんた地図をしっかり見たんやねぇんかえ?」


母ちゃんが地図を覗き込むエーコを嗜めるように聞く。


「母ちゃん、ここからは俺がハンドルを握ろう。まあ任せときな!」


地図を軽く見て目的地を再確認した海賊の親分は、エーコをヒョイっと摘み上げ、運転を交代するのであった。


「よっしゃ!時間も無ぇ!行くぞ!!」


ボッボッボッボ・・・シュッシュッシュッ・・・ボッボッボッボ・・・シュッシュッシュッ・・・シュッシュッボッボッ


徐々に機関車の車輪が回転を始めると、ラート状のレールがそれに合わせる様に回転しながら機関車は進み始めた。


ボッボ~~~~~!!


警笛を鳴らすと再び目的地を目指す『母ちゃんチーム』であった。

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