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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第5章 日いづる国
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海賊母ちゃん復活!?

この話のイラスト付き本サイトはこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E6%B5%B7%E8%B3%8A%E6%AF%8D%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E5%BE%A9%E6%B4%BB%EF%BC%81%EF%BC%9F

「本当に作っちゃったんだ。意外とヤリヨリますね、地球人も。」


洗濯船が停留している波止場に『荷物』を届けに来た大型貨物車両を見てエーコは珍しく賞賛の声を上げていた。


「こりゃあ何か?」


不思議そうに見守る母ちゃん。


「あの~、『母ちゃん』さん、そろそろ積み込まないとヤバイんですけど~・・・」


レール上を移動する大型クレーンがいつの間にか洗濯船を吊り上げる準備を終わらせていた。

海賊の手下は気を遣いながら母ちゃんに一度船から下りて貰うよう話しかける。


「お前誰やったかのぅ?」


ここのところ人の顔と名前を一発で覚えられなくなった母ちゃんは3回目の同じ質問をする。


「またですかぁ~?船長さんに助けてもらった海賊です。あっしはまだ下っ端の方ですけど。」


『時間が無いのにぃ』と言いたげな下っ端だったが、母ちゃんを怒らせたら自分たちの命が危ないので嫌でも丁寧な扱いをする。


「ほんであの眼帯が親分か?なかなか良い面構えや。久しぶりに本物の男を見た気がするぞ!」


親分はニヤリと微笑むと母ちゃんに向かって軽く会釈をした。


「早く船をコイツに積み込め!!もう時間が無ぇぞ!!」


親分が号令を掛けると4人の下っ端たちは『お~~~っ!!』と勇ましく答えるのであった。


「しかしケンタロックスん奴の人脈は果てし無ぇのぅ・・・。本当に不思議な奴じゃ。」


『不思議』と言えば『今世紀最大に不思議な』エーコの方をチラリと見た母ちゃんは、またもや勝手に沸き起こる笑いを噛み締めるのであった。

もはや『エーコを見る』→『笑いが止まらない』という条件反射網が出来上がっていたのだった。


「準備完了です、親分!!」


ラートという競技で使われる、レール上の金属管を輪にしたものの中になぜか機関車の先頭車両が入っているところを想像して欲しい。

中心軸が機関車の胴体部分を貫通し、そこから外輪のレールに自転車のスポークのように補強金具が伸びている。

つまり、ラートに例えるなら、『競技人』の変わりに『機関車』がループされたレールの中央に固定されたような状態である。

さらに機関車の石炭燃料を積む箱車両の部分には、大型クレーンで積み込まれた洗濯船がガッチリと固定されている。


「こんなんで本当に動くんか?」


不安そうに見守る母ちゃん。


「大丈夫ですよ、女将さん!動力源は私の宇宙船から引いてますし、中心軸も遊び(エキスパンジョン)が入ってるのでハンドルを切ると内輪差が発生して左右に進路変更出来るんですよ!」


自慢げに説明するエーコだが、大方の女性がそうであるように母ちゃんもまた極端な機械音痴であった。


「なんかよう分からんけど、あんたが先日取り付けたハンドルで操縦できるんやな?」


構造は理解できないが、エーコが言わんとすることは理解できていた母ちゃん。


「凄い!私の言葉を一発で理解した人って初めてじゃないですか!?」


違うところに感動するエーコにまたしても母ちゃんは『笑撃』を食らうのであった。


「それじゃあ、そろそろ出発しますんで、『母ちゃん』さんは『石川青果+号』で休んどって下さい。」


下っ端が母ちゃんにそう声を掛けたが、母ちゃんはキッと口を結んで険しい表情になる。


「うちの店が今あるのはアイツのおかげや。何度潰れかけたか。今度は俺が助けんと石川の名が廃るっちゅーもんや!俺も乗せて行け!!」


親分は驚いていたが、母ちゃんの固い決意を見て優しく声をかける。


「あんたぁ、本物の『母ちゃん』だよ。俺たちが絶対に怪我はさせないぜ。一緒に戦おうか!」


母ちゃんの小さな体を親分は汽車へ引き上げ、初陣の雄たけびよろしく汽笛を鳴らすのであった!


ブォッブォ~~~~~~~ッ!!・・・ブォッブォ~~~~~~~ッ!!


「母ちゃんと共にっ!!」

親分が叫ぶ。


「オォ~~~ッ!!」

勇ましく子分達も続くのであった。


今、母ちゃん達の戦いも幕を開けようとしていた。 


------------------------------

5台のジムニーがAIヤッホーバンク本社前を縦横無尽に駆け巡り、ロボット軍団は右往左往しながらも後を追う。

やがて5台は、物凄い数の追っ手を連れて、それぞれ別々の方向へ走り去る。


軍団が立ち去った本社ビルはガランとしていた。

先日のレーザー砲攻撃の嫌疑が掛かった企業に出社する者など居る訳も無かった。

しかし『一台のあべ君』がビルに戻ってきた。

そのまま本社ビルへ入ってゆくあべ君ロボ。


『あべ君』はエレベーターを使わず非常階段を駆け上がる。

地上30階建ての超高層ビルの最上階を目指しているようだ。

だがロボットらしからぬ動作をするようになる『あべ君』。


「はぁ~はぁ~はぁ~・・・この化けの皮は息苦しくて堪らん!!」


そう言うと首の付け根に指を突っ込み、グイっと皮を持ち上げた。

下から髭だらけの口元が現れ、美味しそうに大気を吸う。


「はぁ・・・はぁ・・・今27階か。もう少しだな。待ってろよ金庫番!!」


船長は気を取り直してマスクを引き戻すと、残りの階段を一気に駆け上がるのであった。


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