お末の陰謀②
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ジャ~ンジャカジャ~ンジャ~ン♪♪
派手なオープニングテーマに乗って司会の獺野八郎太『通称 ウソパッちゃん』が小走りにセットの右奥から登場してくる。
「いやぁ~、今日はね、特別番組にしたんだよ!」
まだテーマソングも終っていないが興奮気味に語り始める司会者。
「前回の放送見て『うちのAIロボットは大丈夫なのか?』という問い合わせが殺到したらしいんだけどね、はっきり申し上げて『それはメーカに聞いてください!』ってことですよ。うちはニュースを流す番組なんだから!心配なら電源切って倉庫にでも押し込んでりゃ良いんだよ!」
冒頭から飛ばすウソパっちゃんである。
歯に衣着せぬ物言いが番組の売りだけあって本日も強気なり。
「それにね、『特定秘密漏洩防止法』ってのを笠に着て報道の自由を侵害するのは憲法違反ですよ、全く!!そんでね、今日は法律のそこら辺に詳しそうな『町の法律家』の先生にもゲストとして来てもらったんですよ!」
今度はセットの左側から爽やかに颯爽と中年男性が登場した。
長身細身で長い顔に青系のスーツが良く似合う。
「こんにちは!先生は普段は『洗濯船』の顧問としてご活躍だそうですが、なぜご自分が呼ばれたか分かりますか?」
少し意地悪な質問の仕方をする司会者の獺野八郎太。
「う~ん、よく分かりませんが、僕の推理では・・・」
腕を組みやや右斜め上を見るようにしながら答えかけていたが、司会者が割って入る。
「あなたに推理を求めてないよ!答えは前回の放送に出た男性、あの人が『洗濯船』って何やってるか良く分からない船の船長で、小野先生はそこの顧問、ただそれだけですよ!」
いきなり出鼻を挫かれ、口をパクパクさせる小野先生。
「ところで先生、そもそも『特定秘密漏洩防止法』てのは憲法違反じゃないんですか?」
いきなり核心を突いてくる司会者に、まだ先ほどのショックから立ち戻れて居ない小野先生は、一旦起立し、椅子に座り直してから答える。
「憲法違反かどうか判断すると『まだ違反じゃない』としか言えません。問題は・・・」
得意の法律ジャンルである。
サービス精神を掻き立てられたが、またしても司会者に横取りされる。
「『問題』はどうでも良いんだよ!憲法違反じゃないんですね?!はい!コマーシャル!!」
派手なテーマが流れてCMに切り替わる。
「あの~、このままだともの凄く誤解を生みかねないんですけど・・・」
小野先生が心配になって司会のウソパっちゃんに助言する。
「何言ってるんですか!誤解を招かないで何が面白い番組になりますか!?誤解こそ視聴率!マア、後半もガンガン飛ばしますから先生も頑張ってください!」
良くも悪くも裏も表も無い、『オールブラック』な司会者であった。
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田螺丸秀治は待合室のテレビのチャンネルを変えた。
他の局では、一般人が『AIロボットの集団』を撮影投稿した動画などを紹介し、『AIロボットによる人類攻撃の始まり』と喧伝していたり、また他の局では洗濯船はマフィアか何かじゃないかといった放送がされていた。
普通の人には、『よく分からんもの』は『大体、悪』という短絡的な図式がしっくり来るようである。
「やあ、お待たせしましたね!」
作業員風の服からテレビでも馴染みのあるいつものスーツ姿に着替えた首相が、秀治たちの居る待合室に現れた。
「ではこちらの部屋へどうぞ!」
そう言うと後ろで仁王立ちしていた護衛の若者が扉を開けてくれた。
促されるがままに『首相の執務室』へ入ってゆく田螺丸一家。
豪華な応接セットと壁には薄型の大型テレビが備え付けられている。
テレビには見知らぬ女性が映っているようだった。
「ん?」
秀治は何かに気が付いた。
『見知らぬ女性・・・か?』
テレビに映っている老婆にどこかで見覚えがあったのだ。
秀治はテレビの正面に立ち、老婆の映像を睨む。
「そんなに見つめられたのは旦那以来だよ。がははは。」
秀治は思わずテレビの前で仰け反る。
自分を向こうも見ていたのだ。
「テレビ電話ですか!?」
秀治の父親も驚く。
終始無言の母親は亭主の後ろに静かに隠れる。
「お前さんかい?私の中に『妙な物』を入れたのは?」
奇妙な質問に思わず両親は秀治を振り返る。
「お、お前・・・まさか、こんなお婆さんと・・・」
父親がそう口にすると、突然母親がワァ~~ッと泣き出す。
「はっ?え?お母さん、何で泣いてるの?!え??」
まるで意味が分からない秀治。
学問以外は疎いようである。
「ははは、お母さん、ご心配なく!秀治君は潔白ですよ!」
愉快で堪らないといった風に首相が割って入る。
「こりゃあ妙な勘違いをするんじゃないよ。大体あたしゃ、もうそっちの世界の人間じゃないんだから。」
ハッとする秀治。
「『あの動画の塊』の人だ!!」
大声を上げる秀治に皆は驚いた。
「覚えててくれたのかい?嬉しいねぇ。がははは!」
豪快なお末はいかにも嬉しそうに笑うのであった。




