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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第4章 本物のお宝
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ニュースな一日

この話のイラスト付き本サイトはこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%AA%E4%B8%80%E6%97%A5

朝からマスコミ各社では昨夜のダイブンシティーへのレーザー砲攻撃のニュースの情報が飛び交っていた。


ある新聞では「領海侵犯を繰り返す隣国による先制攻撃か?」と報道されているかと思えば、テレビでは『衛星レーザーの専門家』と言われる学者がしたり顔で専門用語を並べて解説にならない解説をダラダラと話していたり、情報が錯綜し一向に事実に触れることはない。


彼らからすれば『事実に到達するまでに時間がかかるほど視聴率が稼げて美味しい』のだから当たり前なのかもしれなかった。


その中でも一番の視聴率を稼いだのは、政府寄りの報道で知られるテレビ局のニュース番組『ウソパッちゃん生テレビ』だった。

司会の獺野八郎太うそのはちろうたが政府要人をスタジオにゲストとして招き、舌鋒鋭く嘘を暴くのが人気の秘密だった。

この日『緊急招集』されたのは『矢部絵首相』その人だった。


「昨夜のダイブンシティー沖合での爆発は、事故だったんですか? それとも戦争かテロによるものだったのでしょうか?」


通称『ウソパッちゃん』は臆することなく『首相』に質問する。


「それは現在確認作業中です。ただ、言えるのはこれは『戦争』ではないということです。」


冷静にして毅然とした態度の首相は目力めじから全開でカメラを見つめる。


「では事故かテロという事になりますが・・・あ、ちょっとお待ちください。何か新しい情報が入った模様です。」


司会者はディレクターから紙を渡され、耳元で何かを囁かれている。


「たった今入った情報です!!ネットの方へ『宣戦布告』なる動画がアップされた模様です!!問題の動画画面に切り替えますのでチャンネルはそのまま!!」


「こほん。え~、この度のダイブンシティー沖合へのレーザー砲攻撃の犯人に告ぐ!」


モニター画面は少しずつ船長のアップになってゆく。



「お前らの狙いはこれだろ?証拠隠滅にしちゃあ滅茶苦茶しやがって!『証拠物件』を返して欲しけりゃあ取りに来い!関アジ関サバ釣って待ってるぞ!!」


「彼はいったい誰なんでしょう?それに今『犯人』と言ってましたが、これは単独犯による犯行なのでしょうか?」


司会者はモニター画面に食い入るように見入っている。

首相もカメラに映っていることを忘れて、司会者同様に画面に食い入っている。


「あ、ここ止めて!ほら!後ろになにか写ってますよ?ん~、AIロボットですか?ですね!?」


ディレクターに確認するウソパッちゃん。


「これは私念による抗争の可能性が出てきたという事でしょうか?」


司会者は口から泡を飛ばしマイクを握る。

今度は首相の取り巻きが何やら首相に囁いている。


「こほん。え~、新しい情報が入りましたので国民の皆様にお知らせいたします。」


テレビでは同時通訳が各国の言語に翻訳している。


「今回の攻撃に使用されたレーザー砲は某国のものであり、その衛星は数ヶ月前に寿命で廃棄処分となっていたものだとのことです。」


司会者は驚きを隠さない。


「じゃあ、いったい誰が宇宙まで出かけて行ってそんな物騒なものを修理した上、我が国を攻撃したんですか?!」


司会者には皆が知りたい所なのは十分分かっていた。

当然、ここから数十秒間は最高視聴率をマークしたのだった。


「今入ってきた情報では、どうやらある企業の人工知能が勝手に暴走を初めているようです。この画面の男性は何らかの事情を知ってるが『被害者』のようですな。」


首相の耳元には複数のお供が順をなして情報を更新している。

滑稽な絵ヅラである。


「『人工知能で、ある企業』と言えばダイブンシティーに研究所があるあの企業と何か関連があるのでしょうか?」

司会者は慎重に言葉を選んだ。

『風説の流布』で罰金を食らっては元も子もないからだ。

その時首相は険しい表情でいきなりカメラに向かって叫んだ!


「ここからは『特定秘密漏洩防止法』に抵触する!!各社はこの報道をただちに止めなさい!!また現場は非常に危険なので絶対に近づいてはいけません!!」

突然のことで『ウソパッちゃん』もこれには驚いた。


「報道の自由が認められないんですか?」

それでも食いつく司会者。


「たった今から今回の『事件』は漏洩防止法の対象となりますので、これ以上はコメントできません。」

険しい表情を崩さず、そう言い放つと首相はさっさとスタジオを後にしたのだった。


「なんだよぉ~。どこからどこまでが保護の範囲なんだよぉ~!これじゃあ憲法違反だろうがよぉ~~」

ブツブツ呟く司会者の声が虚しくスタジオに流れていた。

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