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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第3章 洗濯の時は今!!
59/101

市井のヒーロー?

この話のイラスト付き本サイトはこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E5%B8%82%E4%BA%95%E3%81%AE%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%BC%EF%BC%9F

エーコの突然のカミングアウトによって作戦会議は振出しに戻った。


「・・・とにかく次の手を考えるよ。今日は解散。」


メンバーの疲労が頂点に達しつつあるのを察した船長は、一旦会議を打ち切ることにした。


「しかし・・・このバカタレ宇宙人は・・・はぁ~~~~」


深いため息を一つ付くと目を閉じ眉の付け根を親指で揉む。

連日の緊張で船長の疲労も最高潮のようだった。


「疲れてるんですか、船長?」


まるで疲れを知らないエーコは船長を不思議そうに見る。


『半分はお前のせいだけどな!!』


これ以上宇宙人と意味不明な議論を避けるために心の中だけで文句を言う船長であった。


「あ、そう言えばあべ君がこんなハガキを持ってきてました!」


カーキ色のコートのポケットから一枚のハガキを取り出し船長に差し出すエーコ。


「あん?『車検のお知らせ・・プロモーター スパーク』って?・・・はっ!!車検て今月だったか!?」


珍しく慌てる船長は携帯端末で誰かに電話をかけ始める。


「あ、もしもし?夜中にすまん!俺だけど、俺の車の車検て今月だったっけ?・・・うん・・・うん、それで頼む!今月はヤバイんだよ!とにかく、金の掛からない方向で!・・・うん、助かる!オー、マイヒーロー!!じゃ!」

額の汗を拭いながら携帯端末をテーブルに置く。


『まずいぞぉ~。『竹子』のツケもたんまりある上に車検代かぁ・・・今月ピンチ!』


クターッとテーブルにうつ伏せ、何か考え事をしていたようだが、いつの間にか寝息を立てている船長だった。

そんな船長を気遣ったのか、エーコはテーブルの端に置いてあった布巾をそっと船長の顔にかけた。


「風邪ひきますよ。こんな所で寝たら。」


もちろん後で目を覚ました船長が「縁起でもねぇ~~~っ!!」と怒り狂ったのは言うまでも無かった。


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「だあれ?こんな夜中に・・・」


奥さんは隣のベッドで眠そうにこちらを見ている。


「古い友人だよ。ほら、前にも話したことがあるだろ、『洗濯船』て船の船長だよ。」


古澤も眠そうに目を擦りながらまた布団に深く潜り込み、それだけ話すとすぐに寝息を立て始めるのだった。


「マイヒーローか・・・少し妬けるわね。」


妻もそんな人の良い古澤が頼もしくもあり、自慢でもあった。


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「いやぁ~、これは凄い疲労の塊ですねぇ~!!うん、こりゃあもう『修理』しかないですよ!」

小平師匠はそう言うとうつ伏せにベッドに横たわる船長の背中にまたがった。


ボキボキボキッ!!


両腕に力を込めて背骨を鳴らす。


「ぐっ!!ぐふぅ~~~~~・・・」


緊張と弛緩が交互に訪れ、次第に全身のコリが解れてゆくのを実感する船長である。


「しかし参っちゃいましたよね!?何であのはいつもあーなんですかね?」


首を傾げながら『修理』をする小平師匠。


「アイツは初めからあんな感じだし、今更言っても治らないでしょうがね・・はふっ!!」


上半身を海老反りに引っ張られ息が止まる。


「それで例のアレですけど、どうなりました?」


小平さんはテントウムシが気がかりのご様子。


「大丈夫ですよ。全て送ってますから。後はトマトが今月中旬から出荷だそうですから月末までに『石川青果+号』で売りさばけば・・・うふふふ。」


思わず厭らしい笑い声を溢す船長。


「うふふふ」


同様に笑う小平さん。

やはりどこから見ても『悪代官と悪徳商人』の絵であった。

ヒーローとは対照的な二人であった。

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