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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第3章 洗濯の時は今!!
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追跡者(チェイサー)

実は私こそがA.I(アホないい大人)なのです。

http://ideanomi.jp/index.php?%E8%BF%BD%E8%B7%A1%E8%80%85%EF%BC%88%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%BC%EF%BC%89

追跡用ウィルスを仕込んで数ヶ月。

面白いことを発見した田螺丸。

それは、『そのパソコンの保持者』はわざわざ社外のカフェで、月に2~3回の頻度でネットにアクセスしていたのだ。

どこかにメールを送っているのか、何かの記録を残そうとしてるのか、時間にして10~15分ほどだった。

そしてそれは決まって水曜日の15時前後だということも分かっていた。

ある模擬試験の期間中の水曜日、田螺丸は早々とテストを提出すると学校を出てそのカフェに向かった。

壁際の店内をほぼ一望出来る席で、携帯型端末を片手にパソコンがネットにアクセスする瞬間を待つ田螺丸。


「どいつだ?」


固唾を呑んで待つがなかなか現れない。

15時を15分も過ぎ、諦めた田螺丸は席を立った。

店の入口で初老の白髪の男性がA4ほどの書類入れを脇に抱えて店内に入ってくるのとすれ違った。


『まさかな・・・』


駐輪場の自転車の鍵を解除しようとした時、携帯端末のアラームが振動した。

慌てて店内に戻り、見回す。

パソコンや携帯端末を弄る人間は多かったが、さっきまでいた人間を除外すると、たった一人、今まで居なかったパソコン保持者が店内に増えていた。

さっき入口ですれ違った白髪の丸眼鏡の男!


田螺丸は男に気づかれないように慎重に近くの席に座る。

彼は壁際の隅っこの席に座り不自然な姿勢でパソコンのキーボードを叩く。

『不自然な姿勢』とは、テーブルに対して極端に斜めにパソコンを置いているのだ。

本人も打ちにくそうにタイピングしている。


「監視カメラ対策?」


そうとしか考えられなかった。

恐らくログイン時にパスワードが必要な設定にしているのだろうと直感した。

しかし店内の監視カメラにそこまで注意する意味が良く分からなかった。

結局その日も、ものの10分ほどで入力し終わると、どことなくホッとした表情で店を出ていった。


「一体何をしてるんだ?」


考えられる可能性をあれこれ考えてみたが、どれも今ひとつ彼の行動と完全に符号するものはなかった。


「下手な考え休むに似たりだな。顔は分かったんだ。次があるさ。」


徐々に『ターゲット』に詰め寄ってゆく蛇のように執念深い田螺丸であった。


食堂のテーブルに並べられた折れた鍵が5本。

「いや、ほんとビックリですよねぇ!」

笹川さんはまだ興奮しているようだ。


「こんなに早く的中するなんて僕、正直思ってませんでしたから!」

なべさんも鼻息荒く続く。


「何で船長はこんなに正確に追跡者の襲撃を予見できたんですか?」

僕は堪らず聞いてしまった。


「ヤツらは『頭がいい』から読めたんだよ。」

勿体を付ける船長。


「あ、師匠ぉ、全部回収しときましたけど、コレどこに置いときますか?」

エーコが大きなゴミ袋を片手に入ってきた。


「そうだなあ。大事な戦利品だから金庫番に仕舞っとくよう明日になったら伝えてくれ!」

船長がそう言うと、エーコはその袋を大事そうに抱えた。


「何なんですか、それ?」

ケセラン羽田さんがもっともな質問をした。


「化けの皮だよ。」

ニヤリと微笑を見せると皆の方へ向き直ってしまった。

袋は一見『ゴミ袋』だが、実際は『宇宙強度』の特殊な袋で地球上のいかなる物質でも破ることは愚か、小さな傷跡を残すことすら不可能な素材で出来ていた。

もちろん、口を結んでいる紐もエーコが望まない時は決して開くことは無いのだった。


「一般的な話だが、誘拐事件の場合72時間が被害者生存確率0%の分岐点なんだ。奴らはそれを知っていた。だからこそ回収を慌てるだろうと読んだんだよ。」

少し得意げな顔で説明する船長。

むしろ『どやっ!』顔と言っても過言ではないくらいだった。


「でも彼の場合『死ぬこと』は無いじゃないですかぁ?それでも慌てる理由って何ですかねぇ?」

タク君は不思議そうに尋ねる。


「生命は不滅でも『社会的に殺す』ことは出来るんだぜ。」

意味ありげでかつ、少し意地悪そうな顔をする船長だった。

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