あべ君争奪戦! ①
イラスト付きは後になります。
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あべ君(弟)には通常の業務に加え、溜まりに溜まった洗濯物と他のメンバーの雑用を押し付けて乗船員はコミュニケーションルームで会議中。
「しかしAIポリスまで遠隔操作されちゃってちゃあ手の出しようがないよね。」
小平師匠が口火を切る。
「でもこれって生身の警察官に言えば分かってもらえるんじゃないですか?」
僕はまだ『正義』が通用すると信じたかった。
「多分だけど、圧倒的な数と能力差で人間の警官も封じ込められるのがオチじゃないかなぁ。」
穏やかな口調で冷静に分析するオペラタク君。
「しかもあのビル見ました?まるで要塞ですよ。あんなのどこから入ればいいんだよって感じですよ。」
笹川さんも現場をよく見ていたようだ。
「船長、一体どうやってあべ君を救出するつもりですか?」
なべさんが心配そうに尋ねる。
目を閉じて腕組みをしている船長。
みんなの視線が集まる。
ぐぅ~~~すや~~~~・・・ぐぅ~~~~すや~~~~・・・
寝息を静かに立てて熟睡中だった。
「船長!!」
みんなの声に驚いて目を覚ます。
「いや、これは違うんだよ!後で皆と分けるために取って・・・あん?」
寝惚けていたようだが、小平さんは船長の寝言の意味が分かり、一瞬ドキッとした。
「・・・あ、夢?はは・・・で、何?」
まだぼんやりしている船長の前に、なべさんが熱いコーヒーカップをドンっと置いた。
「あ、あ~、ははは、救出・・・ね?・・・うん、考えてるよ。もちろん、考えてますとも!」
思い出した急用の話でもしてるような緊張感の無さにメンバーは少し苛立ち始めていた。
「本気で考えてるんですか!?」
僕は気が付けば大声を上げていた。
あべ君とはそれほど仲が良い訳ではなかったが、『仲間の危機』を前に船長の態度は許せなかった。
「もちろん!」
今度はいつもの落ち着きのある態度で返事する船長。
「具体的に教えてもらえますか?」
小野先生が慎重な話し方で尋ねる。
「とりあえず出方を待つ。以上。」
船長は何でもないように言ってのける。
「待ってる間にもあべ君に危険が・・・」
船長は僕の発言を手を挙げて遮る。
「その心配はないさ。あっちにとって金庫番は貴重な『人質』なんだから。こっちの『人質』との交換材料としてのな。」
意味ありげな笑みを浮かべる船長。
「こっちの『人質』って・・・まさか偽あべ君?」
驚く僕らに船長はこれからの計画を詳しく説明してくれた。
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「うひゃひゃ!このドラマは面白ぇ~わい!」
『母ちゃん』は仕事が終わると『石川青果+号』の奥座敷で毎日のように海外のテレビドラマにハマっていた。
「かぁ~~~!丁度面白ぇえ所やに、この巻までしか借りてきてねぇ~!そや、ケンタロックスに電話して新しいDVD持ってきて貰おう!」
ニナール理論で拡張された母ちゃんの部屋は、初期設定を『日本間』にしている。
そのため、ドアの取っ手を握るようなアクションでは新規の部屋は作製されず、襖の引き戸を引くようなジェスチャーでのみ和室の大広間が誕生するのだった。
「おう、ケンタロックス!丁度面白ぇえ所でビデオが終わったんじゃ!新しいの借りてこい!金?お前が出しちょけ!!」
若かりし頃は警察官も避けて通ると言われる程の猛者だったが、さすがに最近ではそれほどの迫力は無くなっていた。
それでも若者を顎で使う技は全く衰えることはないようである。
「はいはい、了解!」
いつもの赤電話(直通電話)にいささかうんざりしつつも言うとおりに動く船長であった。




