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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第3章 洗濯の時は今!!
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双子のプロトタイプ

このお話はこちらが先行しております。

イラスト付きは準備次第こちらでご覧いただけます。

http://ideanomi.jp/index.php?%E5%8F%8C%E5%AD%90%E3%81%AE%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%88%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%97

「どうしてバレたんだ!!」

暗倉あんぐら博士は部下の研究員を怒鳴り飛ばす。


「さぁ、それが全く解らんのです。」

ボサボサの髪の毛をかきながら不思議そうに答える中年の研究員。


「解からんとは、何がどう解らんのだね!解らんばかりじゃ何にも解らんじゃないかっ!!」

博士は珍しく激昂している。


「じゃあ、まず時系列でご説明いたしましょう。え~、奴は、早朝に博士が起動し、自らの『記憶』で洗濯船なる船に出社。この洗濯船という船も一体全体何をしているのかも解らんのですが・・。

とりあえず出社後今度はなぜか乗船員と思われる仲間と船を降り、この近所で何かを探していたようです。これがまた何を探していたのかも良く解らんのですが・・・

その際、同行してた超人的身体能力の女性と佐賀関方面に向かって走って往き、またまた走って帰ってきております。

どうやら彼女はプロトタイプ(試作品)に恋心を抱いている様子です。そんで・・」

博士は右手を上げて話を遮った。


「恋心ぉ?彼とはそんな仲の女性がいたのか?妻帯者じゃなかったのかね?!」

博士は研究員を睨みつける。


「いえ、妻帯者で、夫婦仲も良く、非常に安定した交友関係だとの調査結果を踏まえ彼をインターフェースに指名したんですが・・・なんでだろ?」

髪を掻くたびにフケがパラパラと舞う。


「そこは後で検討する。とにかくその先を。」

苛立ってはいるものの、少し冷静になりつつある博士。


「はぁ、では。その何かの採集が終わった後、帰船し、酒盛りが始まります。問題はここからなんですが、どうやら誰かの反感を買ったようで、いわゆる『潰された』ようですね。」

そこまで話終わると何気なく博士を見て背筋が凍った研究員。


「『反感を買ったぁ』?最適のインターフェースが反感を買っただとぉ~~~っ!!」

博士は目を見開き、怒髪天を衝かんばかりに怒りのオーラを放出していた。


「そ、その後、突然通信が途絶え、現在に至っております。はい!」

もうその場からは一刻も早く逃げ出したいばかりの研究員。


「まるでダメダメじゃないか~~~っ!!M.A.Iは本当にコイツを選定したんだろうなぁ!!」

言うが早いか部屋から飛び出してゆく博士。

その場に座り込みホッとする研究員。


「俺、何か間違ったかなぁ~・・・」

がっくりと肩を落としぼやくのだった。


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「いや~本当、危なかったぁ~!」


「もう大変な目に会っちゃったよぉ!」

口々に不平やら文句を喚きたてながら、ドカドカと船に戻ってきた洗濯船メンバーたち。


「あれ、みなさんお正月休みじゃなかったんですか?」

みんなを迎えたのは偽あべ君。


「あ~~~っ!!戻ってたのぉ~!?」

みんなが驚くのも無理がなかった。

最後の記憶は耳から煙を立ち上らせていたあべ君だったのだから。


「あ~、みんな、ご苦労様。ちょっとこっちに。あ、あべ君はみんなに何か暖かい飲み物を持ってきてくれるかな?」

船長はあべ君を所払いするとみんなを食堂へ誘導した。


「あいつは例のAIロボットだよ。エーコが記憶を書き換えて今は俺たちの言うとおりにするから危険はない。ただ、奴は自分のことを本物の金庫番だと思い込んでるんだ。」

声を潜め、慎重に言葉を選ぶ船長。


「え~、でも、本物のあべ君が見つかって戻ってきたらどうするんですか?」

みんなもそこが疑問のはずだと僕は思った。


「奴には双子の兄貴が居て、この船で一緒に働いてるってことにしてるんだよ。だから皆も適当に奴の話に合わせてやってくれ。『元』が繊細で傷つきやすいんですぐにショートしちまうんだよ。」

困り顔で説明する船長に、みんな納得した。

特に『繊細で傷つきやすい』ところに。


「みなさん、コーヒーと紅茶、半分ずつ入れてますんでお好きな方を選んでください。」

丁度そこへ『あべ君の双子の弟』が温かい飲み物を手に戻ってきたのだった。


---------------------------

「へっくしょん!」

可愛い声でくしゃみをする『兄貴の方のあべ君』。


「うん?誰か噂した?」

目を覚ましたあべ君はリクライニングの椅子に縛り付けられているようだった。

が、もう驚かなかった。

A.Iの『母ちゃん』が見せてくれた映像で、誰が何の目的で自分をここに監禁しているのか教えて貰っていたからだった。


ただ、周囲を見てギョッとした。

低い天井だが体育館ほどもあろうかと思われるその部屋にはあべ君を取り囲むように、まだ顔の無いロボットで埋め尽くされていたからだった。

ロボットの電源はまだ入っていない。


「だ、大丈夫なんですかぁ~、これって。船長ぉ~~!!早く助けに来てぇ~~!」

半べそのあべ君の声は弱々しく部屋の暗がりに吸い込まれていった。






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