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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第3章 洗濯の時は今!!
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静かなる支配

この話はまだイラストが本サイトに用意されておりません。


「念の為に画像検索してみましょうか!」


僕はこの顔をどこかで見た気がしていた。

きっと新聞か何かのメディアに顔を晒しているはずだと思ったのだ。


「それ良い!!」


小野先生が携帯端末を覗き込みながら間のあいのてを入れる。


「とりあえずAIヤッホーバンクが疑わしいから、『AIヤッホーバンク 社員』で検索っと・・・」


どこかのアルコール飲料会社がヒットする・・・


「えっと~、じゃあ『怪しい年寄 AIヤッホー』っと・・・」


入力していると隣で小平師匠が突っ込んでくる。


「いやいやいや、さすがにソレはないでしょう?」


言い終わる間も無く検索結果が現れた。


「あっ!8チャンネルに社員の書き込みがある!!」


掲示板サイトに社員と思われる人物の書き込みに『AIヤッホーの怪老人』の文字があった!


「何何?『随分前から居るみたいなんだけど何課の人か分からない変なじいさんが時々社内を彷徨いてんだよね。ボケが始まったんじゃないかって思うんだけど、社員証には所属も名前も何も書いてないし、『スーパーバイザー』とだけ印刷されてるし、ほんと大丈夫なの、この人?って感じなんですが、誰か彼のこと知りません?』だって!?」


その文章の下には携帯端末で撮影したと思われる画像が添付されている。

送られてきた初老の男の画像と間違いなく同一人物だった!


「これは間違いないですね!!早速警察に連絡しましょう!!」


小野先生は既に携帯電話で通報していた。


「あ、すみません、私、街の法律家の小野と申します。夜分遅く、いや朝早くからご迷惑でしょうが、友人が拉致監禁されているので救出をお願いします。場所は・・・」


テキパキとした話しぶりはさすがに『法律家』だった。

こんな緊急事態に臨んで、小野先生が頼もしく見えた。


「今は時間外なのでAIポリスが2体ほどこちらに向かうそうです。」


キリッと引き締まった表情で、みんなに内容を伝えてくれる。

そんな小野先生を見ながら僕は

『ここに竹子さんが居なくて良かった~。』

と思うのであった。

----------------------------

あべ君は泣いていた。

『本物』の方の話である。


想像を絶する極貧生活の中、孤児を引き取り、我が子同様にたっぷりの愛情で育てたこの『物語』の主人公『おおまつ』さんに。


『なんて人間臭くて良い人なんだ!!

この人の苦労に比べれば僕の悩みなんか鼻糞程も無いよ!

僕は自分や家族のことばっかり考えていつも不安でしょうが無かったけど、この人は違うんだ!

こんなに『他人のために』必死になれる人を僕は知らない!


・・・いや・・・もう一人いた!


僕が尊敬するあの人が・・・


そうだよ、この感覚、船長の話し方と似てるんだ!!


何でだ?』


-----------------------

「ぶはっくしょいっ!!」


船長のツバキが『復元された』あべ君の顔に飛び散る。


「うわ~~~っ!!な、何するんですか~!!」

すっかり『元通り』になったあべ君は顔をタオルで急いで拭う。


「あ、悪ぃ~悪ぃ~。誰かが俺の噂をしてるんだろうよ!」


ニカッと笑う船長。


「ところで皆さんはどこに行ったんですか?」


辺りをキョロキョロ見回す『あべ君』


「あ~、『正月休み』だよ。みんな外出したいだの故郷に帰るだの煩くて敵わんからな。」


船長はいかにも面倒臭そうに言ってのける。


「え?じゃあ僕は?」


あべ君は既に直近の記憶回路を消去されている。

そればかりか遠隔操作装置も取り外されている。


「あ、電源入れたんですね!」

エーコが船長用のコーヒーカップとお菓子の袋を持って部屋に入ってきた。


「あ、エーコさん。エーコさんはお休みじゃないんですね?」


キョトンとしているとエーコはあべ君の顔に抱きつき胸の谷間に押し付けた。


「これからはずーーーーーっと一緒だよ。私のあべ君!」


こんな甘ったるい声が出せたのかと不思議そうにエーコを見る船長。


「や、やめてください!僕には妻子が・・・!!居たっけ??」


家族の記憶も消去されていた。

概ね『エーコ仕様』に作り直されていたのだった。

これはもうほとんど『支配』と言っても過言ではなかった。

----------------------

「あ!やっと来た!!」

AIポリスの車が到着する頃には白々と夜も明けていた。


「ご苦労様です!」

AIポリスの一人が音声を発した。


「これがその犯人です。まだ名前はわかりませんが、間違いなくここの社員だそうです。彼が僕らの友人を拉致監禁している張本人なんですよ!」

小野先生はAIポリスに熱く語る。


「分かりました。緊急に会社の幹部に連絡を取り開けさせましょう。」

無表情の警官はそう言うと体内に埋め込まれた電話回線で誰かに電話しているようだった。


「はい・・・はい・・・わかりました。ご迷惑おかけしました。」

電話が終わったようである。


「そんな人間はこの会社には居ないそうです。いたずらは軽犯罪法に抵触します。解散しないと逮捕します。」

無表情のままロボット警官は警告音を鳴らす。


「な、なんだぁ~!!」


「ちゃんと調べたんですか?!電話一本で何言ってんですか!!これは犯罪であり、我々がイタズラしてると言う証拠でもあるんですか!!」

法律を持ち出されては小野先生も黙ってはいない。


「逮捕します!」

突然警官ロボットは小野先生に掴みかかって来た!


「わっ!危ない!」

ヒラリと身をかわし横へ飛び退く小野先生。

意外にも反射神経は良いのだった。


もう一体がいつの間にか背後から小野先生に近づき羽交い締めにしようとしていた。


どかーんっ!!


誰かが体当りしてそれを阻止した!


「羽田さん!」

僕は思わず叫んでいた。


「逃げましょう!こいつらおかしいですから!!」

ハッと我に返った僕たちは一斉に蜘蛛の子を蹴散らしたように八方に駆け出した。


「どう、どうなってんるんだぁ~~!!」

叫びながら逃げる僕らであった。


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