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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第3章 洗濯の時は今!!
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丸眼鏡の男

この話のイラスト付き本サイトはこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E4%B8%B8%E7%9C%BC%E9%8F%A1%E3%81%AE%E7%94%B7

「う・・ん・・・こ・・・こ・・・は?」

偽あべ君が目を覚ます。

まるで手術室のようだ。


「医務室だよ。」

エーコが屈託のない明るい声で答える。


「い・・む・・し・・つ?」

声が上手く出せないでいるあべ君。


「あ、そうだ!ちょっと待っててね。」

エーコはあべ君の頭部の後ろに手を差し込んでカチャカチャと何やら弄る。


「ほい、どうぞ!これで普通に話せるよ。」

エーコには珍しく愛嬌のある口調。


「あ、すみません。あ、本当だ!話せる!」

少し驚くあべ君。


「・・・僕は、どうなったんですか?」

記憶が途切れている。


「お前、自分が誰だか分かってるのか?」

船長が視界に現れる。


「あ、船長!何のことですか?」

あべ君は少し戸惑った様子を見せる。


「いいから自分が誰か言ってみろ。」

船長は険しい表情を崩さない。


「ぼ、僕はあべですよ。船長は『金庫番』って呼びますけど。」

一体何のためにこんな質問をされるのか分からないと言った感じで答える。


「これでも同じ事が言えるか?」

そう言うと船長は手鏡をかざし、あべ君に自分の顔を見せた。


そこには機械仕掛けのロボットの顔が映し出されていた。

一瞬あべ君は何が起こったのか理解できなかった。


「こ、これは・・・僕・・ですか・・?」


プシュ~~~ン


変な音がして『あべ君の頭部』は意識を失った。


「どうやらこいつの自我は金庫番本人のままだな。エーコ、こいつから情報を引き出せるか?」


「はい、できます!ちょっと待っててください。ほほいのほいほい!よし!」

手術代の横に置いてある操作盤を手早く操作し画面に何かを映し出した。


画面には初めてスイッチが入れられた時からの記憶が動画となって映し出されている。


「おはようあべさん。」

白髪の初老の医師のような人物が話しかけてくる。


「あ、あなたは?」

戸惑う偽あべ君。


「私は通りすがりの者ですよ。あなたがあそこで急に倒れたのでここに運んで少し様子を見ていたのです。」

男はそう言うと公園の横に沿っている歩道を指差す。


「え?そうだったんですか!あ、ありがとうございます!」

あべ君は起き上がりながら男に礼を言う。


「いえいえ、大したこと無くて良かったですね。」

丸く分厚いメガネをかけた男は笑顔を見せる。


「でもなぜ僕の名前を知ってたんですか?」

不思議そうに尋ねる偽あべ君。


「おっと、忘れるところだった。あなたの免許証を拝見させて頂きましたよ。緊急事態でしたからね。はい、これ。」

男が手渡してくれた免許証には自分の顔写真が載っていた。

何となく違和感を覚えながらもあべ君は礼を言うとそのまま出社することにした。


「ダメだ。覚醒以前に記憶をインストールしてやがる!」

船長は苦々しく吐き捨てる。


「でもこのお爺さんが黒なのは間違いないですよ。だって彼を起動させられたんですから。」

当たり前に話すエーコ。


「そうか!コイツを探せば本物の金庫番がどこに居るか分かるぞ!!」

色めきだつ船長は、動画の男の画像を他のメンバーに送信するようエーコに命じた。


ピピピ、ピピピ、ピピピ・・・


「あ、何か来た!」

僕はポケットの携帯端末を取り出した。

一斉にほかのメンバーが駆け寄ってきた。


「こいつが犯人か!!」

みんなは画面を食い入るように見ていた。

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