マザー・オブ・A.Iの夜明け
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「ここは・・・」
見たことのないレトロな感じの佇まいの町にあべ君は立っていた。
「どうなってるんだ?さっきまでアイツ等に連行されてたはずなんだけど・・・」
そもそも妙なセミナーに自分のコピーA.Iロボット欲しさで参加した辺りから全ての歯車が狂い始めていた。
ウ~~~~~~~~ッ、ウ~~~~~~~~~ッ、カンカンカンカンッ!!
突然、けたたましい警告音が街中に流れる。
「空襲警報発令!!空襲警報発令!!」
町内会のスピーカーが緊迫した様子で警報を発する。
「空襲警報ぅ~???」
家々から人が飛び出してきたかと思うと狭い路地はあっという間にごった返し始めた。
みんな手には思い思いの物を握り、慌てて通りを駆けてゆく。
小さな子は抱えられ、年寄りは背負われて行った。
気づけばあべ君は一人でその場に立ったままだった。
やがてどこからともなく飛行機の大群から発せられるエンジンの轟音が聞こえてた。
空はびっしりと飛び交う戦闘機で埋め尽くされている。
「よくあれでぶつからないなぁ・・・」
感心していると何やらバラバラ~~っと無数の黒い粒のようなものが飛行機から降ってきた。
「ん~~?」
呑気に目を凝らして見ていると、やがて地上のあちこちで轟音を上げて炸裂し始めた!
「わ~っ!!爆弾だ!!」
ようやく事の重大さに気がついたあべ君。
慌ててみんなが避難した方へ走り出した。
が、一体どこへ向かって走ってるのか、自分でも分からなかった。
田んぼのあぜ道を走っていたが、急カーブに気づくのが遅れ、そのまま崖下に転落した。
その直後、背後で爆弾が破裂する物凄い音と風圧を感じたのだった。
間一髪のところで九死に一生を得たあべ君。
しかしまだ空襲が止んだ訳ではない。
今は動き回るより、丁度死角になっている崖下の窪みにこのまま身を潜めている方が良さそうだと判断した。
「一体全体、何がどうなっちゃたんですか~?」
耳を塞ぎ爆音に備えながらも泣きそうなあべ君。
すると突然辺りが暗くなった。
崖下の窪みに居たはずのあべ君は、いつの間にか焼け野原と化した『元』住宅街に居た。
「え? え? 今度は何ですか??」
あべ君は状況が掴めずオロオロするばかり。
「ばあちゃん!!ばあちゃん!!」
小学生高学年くらいの少年が爆風で倒壊した家の下敷きになっている老婆に叫んでいる。
老婆は既に息をしていないようだった。
「あわわわ~~~!!きゅ、救急車を呼ばなきゃ!!」
ポケットから携帯電話を取り出そうとしたが白衣の男達に取り上げられていた。
「くっそ~!!アイツ等絶対許さん!!」
あべ君は少年に駆け寄り、老婆に覆い被さっている瓦礫を退けようとした。
その瞬間、パッと風景は消えた。
次の瞬間、先ほどの少年を誰かが呼び止めていた。
声の主の姿は見えない。
弁当箱を持った手が少年へ伸びる。
どうやら声の主の目を通して少年を見ているようだと気づいた。
しかし、その少年にはさっきの映像で会う前から見覚えがあった。
声の主はガラガラ声で少年を呼ぶ。
「弁当食ってしっかり勉強するんだよ、健太!!」
『ケンタ?どこかで聞いたような・・・?』
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「ちょっとぉ、聞いてますぅ、先輩?」
不平顔で電柱やビルの壁に貼り付けたチラシを剥がしている二人組の営業マン風。
「昨日は大晦日なのにセミナーの準備で、今日はお正月なのにチラシ剥がしって、どんだけうちの会社は人使いが粗いんすかねぇ!!」
チラシも所々剥がし残しがあるが気にもしない様子。
「おい!せめて会社の名前と住所の所くらいはちゃんと剥げよ!後で苦情が来ても知らんぞ!」
後輩の愚痴にいい加減嫌気の刺した先輩はぶっきらぼうに答える。
「ん?ナンすか、あいつら。何かの宗教団体?」
後輩はこれ以上先輩を怒らせて説教喰らうのは得策ではないと判断したようで話を逸らす。
「ふん!知るか!」
どうでもよさそうな先輩は見向きもしない。
先輩も正月早々こんな仕事をやらされて楽しいはずもなかった。
「変な奴ら。何を探してるんですかねぇ。良い大人が石はぐったり、板塀の付け根を掘ったりして。」
もう先輩は聞いてなかった。
「船長!船長ってば!」
サングラスの男がもう一人の髭面の男に呼びかけていた。
「船長~??ますます変な奴ら!関わらないようにしよ~っと。」
後輩はそそくさとその場を離れていった。




