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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第3章 洗濯の時は今!!
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国を動かす者!?

この話のイラスト付き本サイトはこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E5%9B%BD%E3%82%92%E5%8B%95%E3%81%8B%E3%81%99%E8%80%85%EF%BC%81%EF%BC%9F

学校から帰るとすぐに部屋に閉じこもりパソコンの前で深夜まで何やら作業に没頭する田螺丸秀治。

彼はいわゆる『ギフテッド(天才児)』だった。

あらゆる学問に精通しており、小学校4年の時には海外の大学に留学することも可能だった。

しかし彼の両親はそれを許さなかった。

国粋主義とまでは言わないものの、思想的に『海外』にアレルギーがあったのだ。

その息子である秀治もやはりどこか『超保守的』な思想を持っていた。


そんな子供だったために周囲からは恐れられるようになっていった。

友達らしい友達は居らず、両親が買い与えたパソコンが専ら彼のフィールドとなっていた。




「山頂は狭く風当たりが強いのが当たり前だ。お前は国を動かす人間となってこの国の山頂に立つんだから、今から孤独に慣れておけ!!」


父親はこう言って、友達が居ないことをむしろ喜んでいた。

秀治の方も、話の合わない人間を無理に友とすることを好まなかったので、家は居心地の良いシェルターさながらだった。



「さてと、今日の国務を報告してくれ。」


パソコンに接続したマイクに向かって話しかけると、すぐに画面に『首相』が現れた。




「本日は輸出関連の国際協定に関する検討会をはじめ、いくつかの重要事項案件を処理しました。」


まるで感情の無い声で答える『首相』



「詳細は任せるので、重要と思われる事項をリスト化してくれ。」


秀治が指示するとすぐにプリンターが起動する。

重要事項に関するリストが印刷されて来たのだった。

まるで『本物の首相』さながら、国の重要案件に目を通し的確に指示を与える。

2時間ほどそんなやり取りをした後、『首相』はパソコン画面から『退室』したのだった。



「ふふふ、僕こそがこの国を動かしてるんだよ、クズの諸君。」


不気味な微笑みを浮かべ、満足しきった様子で椅子に腰かけたまま眠りに落ちる秀治であった。


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「さむ~~い!」


大晦日の午後ともなると流石に通りにはほとんど人も車も往来していない。



「黙ってろ。もうすぐ『鴨』がネギ背負ってやって来るんだからよぉ。」


先輩は後輩の男に注意する。



「で、でも先輩、な、何も大晦日にセミナーなんかしなくたって良いんじゃないんですかね~?」


後輩は薄い上着のポケットに両手を突っ込み震えている。



「馬鹿だなぁ、お前。大晦日だからこそ『本気』の奴が来るんだろうが。」


ため息交じりで返す先輩社員。




「お、あいつ、そうじゃないか?」


通りの向こうから背筋をシャンと延ばして颯爽と歩いて来る好青年が一人。




「あ、それっぽいですね!ほんとだ、鴨がカモ~ン!!」


後輩は悪乗りをする。



「しっ、聞こえるだろうが!」


声を潜めつつも叱りつける先輩。



「あの~、『AI時代を生き抜くサバイバルセミナー』の会場って、こちらで間違いないでしょうか?」


キリッとした目つきには並々ならぬ意欲が漲っている好青年。



「あ、はいはい、こちらで間違いございません。ささ、中央玄関よりビルへお入りください。他の方ももうすぐ来られますので。」


取ってつけたような笑顔で受け答えをする先輩の変わりように些か驚きを隠せない後輩。



「あ、わかりました。では、失礼します。」


軽く会釈をして会場扉へ進んでいく『金庫番』のあべ君。

この日は有給休暇を貰っての参加だけあって、その意気込みは凄い物であった。

手に握りしめたチラシは汗でシワシワになっていた。

破れないように開き、何十回も見た文面に目を通す。




「講師の暗倉健太博士ってほとんど情報が無かったんだよなあ。人工知能の第一人者てことくらいしか。」


他の参加者を待つ間、エントランスの長椅子に腰かけ、チラシを裏表と何度もひっくり返しては読みふけっていた。

すでに文面はすっかり暗記してしまっているにもかかわらず。


そうこうしているうちに大晦日にもかかわらずエントランスには200名を超える『本気丸出し』の受講者が集まってきた。


定刻を分ほど過ぎた時、玄関正面の大会場の扉の上に設置された100インチ大画面の薄型ビジョンに人が映し出された。




「本日は寒い中、大晦日にも関わらず大勢のご参加誠にありがとうございます。」


画面には白髪の学者風の丸メガネを掛けた初老の男が映っている。



「今日は通常のセミナーとは違い、クイズ形式で正解と思う方の部屋へ進んでもらう様式となってます。不正解者はそのまま退場していただきます。もちろん友達を待つようなことはお控えください。」


会場の雰囲気が一気に引き締まるのを感じた。

この瞬間から、参加者同士は『敵』なのだ。




「なお、最優秀参加者には自分のコピーAIロボットをプレゼントします。」


おお~~~っ!!と会場がどよめく。




「ではスタートの前に・・・。うほん!」


勿体をつけるような咳払いを一つし、続けてこう叫んだ。



「AIロボットが欲しいかぁ~~っ!!」

参加者を煽るように叫ぶ教授。



「おお~~~~~っ!!」


会場は割れんばかりの雄叫びで一気にヒートアップしていったのだった。

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