表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第2章 輝ける洗濯者たち!
40/101

スイーツマジック

この話のイラスト付き本サイトはこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%83%E3%82%AF

「こ、これはぁ~~~っ!!!」


あまりの衝撃にスプーンを落とす『自称 宇宙人』。




「こんな美味しいものがこの星にあったなんて!!」


どこまで本当の話なのかは不明だが、ものすごく進化したテクノロジーを持っていることに間違いはない。

緑色の目薬のような液体をわずか数滴、なべさんの頭に垂らしただけなのに、見る見る間に包丁が体内から押し戻されて傷口も塞がってしまったのだ。

お礼になべさんが作ってくれた『レアチーズケーキ』を絶賛中の宇宙人である。




「しかし見れば見るほどぴったりと船首に埋まり込んだもんだな。」


船長は『元』船首から下を覗き込み感心する。

餃子の淵側が船に刺さり、湾曲側があたかも船首のような役目を果たしている。




「しかし良くこれで沈没しなかったですねぇ。」


なべさんも恐る恐る覗き込む。




「ふっ、私の『船』は超撥水仕様だから絶対に沈んだりしないんだよ。」


口一杯にチーズケーキを頬張りながら自慢げに話す宇宙人。




「一体どこから来たんだ、お前?」


船長は不思議で堪らないといった風に『宇宙人』を見る。




「それよりもどこに行ったか、誰も気にしてくれないんですか~~~~?」


ずぶ濡れのオペラ青年が船のハンドレールから這い上がってきた。




「おー!よく無事やったなぁ!!良かった良かった!」


屈託なく喜ぶ母ちゃん。




「何がどうなったんですか?あれ、この変な娘は誰ですかぁ?」


生来がのんびりしてるのか、あれほどの目に遭っていながら間延びしたゆっくりな物言いのオペラ風船青年。




「あ、風船!」


物怖じすることなく初対面のタク君にも失礼な発言をする宇宙人。




「わ、凄いですね!一瞬で僕の正体を見破るなんて!!」


すぐに悪乗りできるのも元来の性格かもしれなかった。




「こいつの船が衝突したんだよ。ほら、そこの船首にぐっさり突き刺さった餃子のオバケがそれだ。」


船長はやれやれと言った風に指差す。




「へ~、これ、どんな構造なんですかね~?ちょっと中を見せてもらってもいいですか?」


そう言うとぽっかり空いてる『餃子の穴』にスルリと滑り降りた。




「あ、勝手に入ったら困るんだけどぉ!」


と言いながらもケーキを食べるのを止めないうえに動こうともしない宇宙人。




『どんだけ食い意地が張ってるんだ、こいつ?!』


流石の船長も呆れてしまった。


その間にも、オペラ青年は宇宙船内の配線やらボタンやら弄り回す。




「ふんふん、なるほど!たぶんこれがアレで、こっちはソレかぁ。へぇ~凄いなあ。こんなの良く作れましたよね~。」


ブツブツ言いながら感心しきりの様子。




「おい、大丈夫だろうなぁ。自爆したりしないだろうな!?」


船長が恐る恐る中を覗きに来た。




「あ、多分そのボタンはこれですよ。触らなければ大丈夫・・・はずですよ?」


あまり自信は無さそうだが、大体の構造をあっという間に理解したようだ。




『そう言えば彼は以前も冷蔵庫やパソコンといった家電を買うときにも詳しく説明してくれたっけ?』

「そうか!お前さん、『家電芸人』だったなぁ!!」


船長はひらめいた事をすぐに口に出してしまう癖がある。




「・・・家電芸人って。」


さすがに閉口するオペラ青年であった。




「しかしどうやって弁償してもらおうかな?」


腕組みをしながら今後の弁償なり補償について、この『宇宙人』相手にどう話を進めたら良いものかと思案する船長。




「ベンショウ?要は元に戻せばいいんだよね?」


ゲフッとゲップを吐くと事も無げに切り出す宇宙人。




「出来るのか?」


これだけの技術を見せ付けられたら何でも出来そうな気がしてきた船長だが、ハタッとある考えが浮かんだ。

タク君を手招きして何やらコショコショと話す。




「多分ですけど、アレじゃないかなぁ。取ってきますね。」


そう言うとオペラ青年は宇宙船に再度スルリと潜り込み、すぐに戻ってきた。

宇宙人には見えないように後ろ手に何かを渡す。




「うほんっ!」


急に改まって咳払いをする船長。




「え~、突然ではありますが今日からこの船に同乗する事になった宇宙人、そうだなとりあえず『エーコ』とでもしとくか、エーコさんです!!はい、皆さん拍手!!」


これだけのテクノロジーがある宇宙人をこのまま野放しにするのは地球にとって危険極まりないし、何よりも『元に戻す』以上に働かせた方がよほどお得だと計算したのだった。




「え~~~~っ!!ソレは困る!!」


これには宇宙人も驚いた様子。




「しかし起動用のキーが無くては飛び立てんだろう?ほら、これ。」


そう言うと先ほどオペラ青年が取ってきた物を見せる。




「あ~~~っ!!いつの間に!」


船長の手からキーを取り戻そうとした瞬間、船長はキーを飲み込んでしまった。




「あ~~~~~!!スペアが無いのに~~!!」


半べそ状態の宇宙人。




「まあ気を落とすな。これからは毎日なべさんの手作りスイーツが食えるんだし。」


ちょっとだけ気の毒に感じた船長は慰めの言葉を投げかける。




「はっ!!そうだ!確かにこれは物凄いチャンスかも!!ラッキー!キラーン!!」


あまりの発想の転換の早さに皆はズルッとコケるのだった。


こうして宇宙船『ケチラス号』と『石川青果号』は合体したまま航海を続けることとなった。

それから少し後のことだが、商売の拡大に伴って手狭になった『石川青果号』はエーコが「何とか理論」で建造した巨大タンカー船『石川青果+号』へ引越し、この船は『洗濯船』となったのだった。

第2章完結!

怒涛の第3章へ続く!!

請うご期待!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://ideanomi.jp
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ