ダイブンシティー上陸記
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「ジャイケーン、ポイッ!!」
晴れ渡った高い冬空に響く僕らの声。
「どわ~~~っ!!負けた~っ!!」
僕は頭を抱える。
「ま、日頃からの行いの結果でしょう!ではエーコさんのパンツは友澤さんが買ってきてくださいね!あ、何でしたっけ?『宇宙的に渦巻きグルグルみたいな柄の』って言ってましたっけ?」
意地悪そうに笑う『電卓あべ』!
「くっそ~~、なんでこうなるんだよぉ!!」
僕は今日、下船した。
が、それは一時的なものと勘違いされていたようだった。
「お~、街に行くんだったら皆のお使い頼まれてくれよ!」
込み上げる涙をグッと飲み込んで皆に別れの挨拶をしたつもりだったが船長はいきなりこう切り出したのだ。
「あ~、じゃあ私のパンツお願いします!」
アホの宇宙人が一匹、戯言をほざく。
「あ、じゃあ俺はブランドの長財布!」小野先生?
「私はオーガニックのシャンプー!」竹子ママも?
「僕はねぇ、旨いワインとチーズがいいなあ。」小平師匠?
・・・・・
結局、『お買いもの部隊』として『金庫番あべ君』同伴で下船することになったのだった。
要するに『今度の仕事』は『便利屋』な訳で・・・
ジャンケンに負けた僕は、スーパーの子供服売り場で適当なものを店員さんに探してもらうことにした。
あべ君とは手分けして買い物をするということで別行動となった。
久しぶりの陸上は、何だか不思議な感じがした。
『豪華客船の洗濯船』と比べると地方都市のここ、『ダイブンシティー』の街中には賑わいは感じられない。
それでもクリスマスを前に俄かにだが、いつもよりは活気がある気がした。
街路樹のコブシは徒長枝を切り詰められ、丸裸で寒風に晒されていた。
時折吹きつける気まぐれな風に、枯葉が一枚舞い上げられて飛んでった。
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「先輩、あと何枚これ貼ったら終わりなんすか?」
枯葉舞う閑散とした街中を、家庭用人工知能ロボット販売会社の『AIヤッホーバンク』のチラシがどっさり入った箱を重そうに抱えながら若い男は、先輩らしき男の後をついて行く。
「とりあえず半分は貼るか撒くかしないとマズいだろ、やっぱ。」
そう言いながらドンドン電信柱やビルの側壁に勝手に糊付けしてはチラシを貼って行く。
「幾らなんでもこれってどうなんですかね?AIロボット売っておきながら『AI時代を生き抜くためのサバイバル・ビジネスセミナー開催!!』って。しかも講師なんか聞いたことも無いような先生だし。」
チラシをまじまじと読みながら歩く後輩。
「馬鹿だなぁ。うちがやるから妙にリアルなんじゃないかよ。セミナーは客入れたらそれでOKなんだよ。内容なんかどうでもいいんだよ。」
先輩は今度は数少ない公衆電話ボックスに張り付け乍ら答える。
「でもそれじゃあそのセミナーって人気無くしませんか?」
怪訝そうに尋ねる。
「お前、ホント鈍いな?大体な、セミナーに来る奴は『教科書が無いと不安な頭が良い奴』って相場が決まってんだよ。このセミナーが終わったら今度は『次の課題はこれだ!』とか言ってまた違う内容のセミナーにすればいいんだよ!そうすりゃあ永遠に騙され続けてくれるんだから。」
チラシを貼る手を止め後輩を振り返り言って聞かせる。
「それじゃあまるで詐欺じゃないですか!」
はぁ~とため息をつく先輩。
「それでも客が満足して帰ればれっきとした商売成立なんだよ!!商法をもう一回勉強しろよな!」
疲れるぜ!とでも言いたげに首をコキッと鳴らし前を向き、次のターゲット探しを再開する先輩。
「でも、そんなお人よしがこの不景気な時代にまだ居るのかなあ・・・」
先輩をこれ以上怒らせても得は無いと分かっているので聞こえないように小声で反論する後輩だった。
そんな彼らのはるか後方で、電信柱に貼られたチラシを見つめながら目を潤ませているあべ君は呟いた。
「・・・これです・・・これですよ、僕が求めていたのはっ!!」
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一応、100話完結予定です。




