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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第2章 輝ける洗濯者たち!
28/101

さよなら友澤?②

イラスト付きのこの話はこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89%E5%8F%8B%E6%BE%A4%EF%BC%9F%E2%91%A1

「僕だって皆のために寒風吹きすさぶ中、毎日毎日洗濯物を干してるんですよ~!!ヒック」



久しぶりに強い酒を何杯も一気に煽る。




「あらあら、今日はご機嫌斜めなのねぇ。」



竹子ママはいつ見ても綺麗だなあ・・・

思わず見とれてしまう。




「ん?そういえばその絵はどうしたんですか?」


今まで気にもしなかったが、良く見ると綺麗な女性のデッサンが壁に飾ってある。

どうやらモデルは竹子ママのようだった。

どこか物悲しくも透明な空気感を漂わせている。

とても雰囲気のある絵だった。悔しいけど僕には描けそうになかった。




「あ、これ?これは船長が随分前に描いてくれたのよ。」



何でもないような口ぶりだが、わずかな高揚感を感じた。

焼きもちのせいか?




「へぇ、こんくらいなら僕だって描けますよぉ~っだ!」



定まらない視点で指さす僕。

すでにかなり酔いが回ってきたようだ。



『やっぱり船長は人物画が上手いんだ!クソ~、僕だって!』



「まあまあ、他人は他人。友澤さんには友澤さんの良い所があるんじゃないの?」


なだめる様に話をしてくれるママが好きだ!




「僕の良い所ってなんすかね~・・・」


この船に乗って半年、気が付けばデザイナーらしい仕事はほとんどしたことが無い。

来る日も来る日も洗濯物干しばっか!



「僕はみんなのためにやってるんですよ!それなのにアイツときたら頭ごなしに怒鳴りやがって!!」



「嫌なら辞めたらどうだ?」


不意に背後から船長の声がした!?

いや~な汗が頭皮からじわ~~と湧いて来る。

振り向きたくてもあまりの恰好悪さに身動きできない。


僕の左隣に腰を掛ける船長。

こんな時なんて言えばいいんだ??



「で、でも誰かがやらないと困るじゃないですか!」



強がるように吐き出したものの、内心『やばい!何言ってるんだよ俺!』と同時に感じても居た。




「誰がその仕事をお前に頼んだ?」


『うっ!!確かに勝手に「これくらいなら手伝ってもいいかなぁ?」という軽い気持ちで始めたんだった!』



「そ、それなら僕は何の仕事をすれば良いんですかっ!?」


自分の意思と裏腹に子供じみたことを言っている自分を制御できない。



「お前、いくつだっけ?」


『うっ!「良い年なんだからそれくらい自分で考えろ!」とでも言いたいのか?!』


「明日から誰か他の奴がやるからお前もういいよ。」


事実上の解雇宣言か?!

今までの『仲間』との日々が走馬灯のように頭を駆け巡り始める。


『「お前は用無しだから船を降りろ」ってことかよ!?』



「分かりましたよ!!明日船を降ります!!」


熱いものが込み上げて来てそれ以上の台詞を言えなかった。

目頭まで熱くなって来た。

もうこの場には居られない。

竹子ママに泣き顔なんか見せられない!!

僕は店を飛び出した。

が、強いアルコールのせいで足が縺れて入口で思いっきり転んでしまった。

その衝撃で勝手に涙が溢れだしてきた。


「痛てててて!!こ、これは弁慶の泣き所を打ったから勝手に出た涙ですからね!!いたたたた!」


右足の痛くも無い『弁慶の泣き所』を摩り、不自然に取り繕いながら退散する僕。



『ちくしょう~!!最後まで恰好悪いじゃんかよ~~!!』



今度は悔し涙も増量されて来たようだった。



「あいつ、どうしたんだ?」


呆気にとられている船長と竹子ママ。



「それに、右足摩りながら左足をビッコ引いて器用な奴だな。」



その言葉は僕には聞こえなかった事がせめてもの救いだったかもしれない・・・

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