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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第2章 輝ける洗濯者たち!
27/101

さよなら友澤?①

イラスト付きのこの話はこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E3%81%95%E3%82%88%E3%81%AA%E3%82%89%E5%8F%8B%E6%BE%A4%EF%BC%9F

「はあ・・・そうですか・・・すみません。私の方から注意しておきますので・・・はい、大変ご迷惑おかけしました!」





黒電話の受話器を置くササピィ支配人。




「ふんっ!!」





憤りの鼻息をつく。

執務室のような部屋を出ると中央広場へ向かう。




「アハハハ。そうですよね~!」







竹子ママと楽しく話している僕。

『ケセラン羽田』さんは船長の計らいで、この店の料理人として夜だけ働き始めたことを知り、僕の不安は一つ消えた。




「やぁねぇ。彼とお付き合いしてる訳ないじゃない!紹介されてまだ一週間も経ってないのに。」


口元をしなやかな右手で隠しながら可笑しそうに笑う。




「え~、だって恋に時間は関係ないんじゃないですか?」







僕は念の為にさりげなく確認しておこうとした。




「他の女性がどうかは分からないけど、私はその人の『人間性』が好きになってからじゃないと恋愛の対象にはならないわね。」





涼しげな眼差しで遠くを見るように話す竹子ママ。

昔の恋を思い出しているようで、少し妬けた。




「人間性かぁ。僕は大丈夫かなぁ。あ、あははは、気にしないでください。」







独り言のつもりが声に出してしまっていた。

思わず照れ隠し。




「ちょっと!!友澤君!!」


そこへいきなり笹川さんが広場の向こうから大声で呼びながらツカツカッと早歩きでこちらへやって来る。

どう見ても怒っている様子だった。


「はい?どうかしました?」


僕は事態が飲み込めずにいた。


「どうかじゃないですよ!クリーニングスタッフから物凄い剣幕で電話がありましたよ!!」


『!』心当たりがあった。



「ひょ、ひょっとして下着類のことでしょうか?」


嫌な汗がじわ~っと脇の下に滲むのを感じる。


「ひょっとしなくてもそうです!自覚があったんですね!?」



「どうしたの?」



竹子ママが尋常ならざる笹川さんを見て思わず聞いてきた。

ここは聞かれたくないトコロ。



「あ、僕、クリーニングルームに行って来ます!」



このまま事の顛末を竹子ママに話されたら『人間性』が疑われかねない。

ここはひとまずこの場を離れる工作しなければ!!




「そりゃそうですよ!僕もついて行きます!!」



『助かった~!』




思惑通り笹川さんを竹子ママから引き離すことに成功した。



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「バカ野郎!!手前ぇ何様のつもりだ!!パンツも靴下も濡れたまんま団子にして落としてきやがって!!しかも1度や2度じゃねーだろうがっ!!」



闘牛のように大きな体を震わせながら、顔を真っ赤にして怒るクリーニング長。


「あ、でもですね、甲板はここと違って雪が舞うほど寒いんですよ。だから・・・」


僕の『説明』の途中で隣の笹川さんが突然僕の後頭部をグッと押して来た。



「大変申し訳ございません!!全て私の監督不行届です!!」



無理やり僕に頭を下げさせながら、自分も一緒に深々とお辞儀をする笹川さん。


「何を考えてんだかな、今時の奴は!今回は笹川さんに免じて堪えてやるが今度やったらタダじゃおかねえぞっ!!」


強制お辞儀で相手の顔は見えないが、まだ相当に怒っているのは分かる。

結局、クリーニング長が居なくなるまで強制お辞儀は続けられた。


「・・・全く・・・」


笹川さんは疲れきったように見えた。


「でも、本当に外は極寒で、靴下一枚一枚干してたら凍死しちゃいますよ!アイツこそやってみたらいいんですよ!!」


僕は僕で一方的に非難されたことに腹の虫が収まらない。


「だったらそれなりの準備をしてすれば良いだけのことです!今回の件は船長に報告させてもらいます!」


いつになく厳しい態度を崩さない笹川さんに僕は自分の怒りの根拠に自信が持てなくなりつつあった。


『でも僕がしないといけない仕事かなあ、これって・・・』


内心『仕事』にも少し嫌気が差してきていたのも事実だった。

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