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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第1章 大いなるアホローチ(序章)
2/101

祖国脱出?

本サイトではイラスト付きでこの話が読めます。

http://ideanomi.jp/index.php?%E7%A5%96%E5%9B%BD%E8%84%B1%E5%87%BA


第2作目(連載中)「洗濯船航海日誌 アナザーワールド 消えた石仏の謎」はこちら↓

http://ncode.syosetu.com/n4335cn/

穏やかな波に、透き通った高い空。


もう、すぐそこまで秋が来ているのが分かる。


そんな爽快な気分をぶち壊すような大声。


「そこの掃除が終わったら、こっちの看板も拭いとけよ!」


いつものごとく人使いの荒い『酔っぱらい船長』だ。


そんな彼に、やや諦めモードの僕。


『やっぱあの時に選択を間違ったのかもな・・・』


今更後悔しても始まらないことは分かっている。

ただ、『三十路も半ばになった僕が、なぜ、ここで、こんなことをしているんだ?』と言う自問に答えを見つけ出せずに居た。


「ほらァ、ボサッとするな!急がんか!!」


昼下がりには酒を飲み始め、夕食時にはいつも泥酔しているくせに午前中はやたらと煩い。


ボゥ~ブォ~~ッ!!


甲板をブラシで擦る手を止め、警笛の鳴る方へ目をやった。

水平線が空と混ざる彼方から白い煙を上げながら大きな船がやってくるのが見えた。


「あれは・・・?」


右手で午前の明るい日差しを避け、目を凝らしている僕。


「お~、やっと来たか!今夜は旨い酒と肴にありつけるぞ!!」


船長は、いつのまにか僕のすぐ後ろに立っていた。

それよりも衝撃だったのは船長が素面で笑ったことだった。

彼が笑ったのを見たのは、乗船以来、この4ヶ月で初めてのことだった。


『へぇ、案外子供っぽい笑顔なんだぁ・・・』


髪はボサボサ、満面髭面で切れ長の奥二眼で刺すような眼光を光らせている。

濃い眉毛は、見るからに『大酒飲み』の様相だ。

身長は僕とさほど変わらないから173cm前後か?

毎晩正体不明になるほど酔い狂っている割にはそれほど腹は出ていない。

そんなことより、実はこの船長、年齢不詳だ。

ひょっとすると僕より若い可能性だってある!

しかし態度だけは誰に対してもデカイ。


だから現状では『一応は年上』として敬語で対しているけど、実際のところ、モヤモヤしている。


西洋では年齢による話し方の差は小さいと聞くが、この国では状況がまるで違う。

同じ意味を指す言葉でも年下と年上に使う単語は明確に分けられている。

これを間違えると先輩連中から


「若造のくせに、生意気だ!」

という事になり、何事も上手く行かなくなる。


僕は、そんな息苦しい祖国を捨てたかった。

だから、命の危険も省みず、単身、小舟で航海に出たんだ!


なのに、身の程知らずさを思い知った頃、彼のこの船、『洗濯船』に拾われたんだった。

以来、上下関係は確定した。


僕は『若輩者』として、このろくでもない酔っぱらい船長に接してきたのだった。

第2作目(連載中)「洗濯船航海日誌 アナザーワールド 消えた石仏の謎」はこちら↓

http://ncode.syosetu.com/n4335cn/

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