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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第1章 大いなるアホローチ(序章)
18/101

祝杯の味?

イラスト付きのこの話はこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E7%A5%9D%E6%9D%AF%E3%81%AE%E5%91%B3%EF%BC%9F

「かんぱ~い!!」


中央広場のカウンターバー『竹子』で僕は笹川さんと祝杯を挙げていた。


「いやぁ~、今回はお手柄でしたね~!」


満面に笑みを浮かべ僕の背中をバンバン叩きながら嬉しそうな笹川さん。


「な、何を言うんですか!僕は笹川さんに付いて行っただけですよ~。」


口の周りのビールの泡を腕で拭いながら照れる。

なんせ『竹子ママ』の前で褒めてもらってるのだ。

これは笹川さんの配慮だということは重々承知である。


「そんな凄いことになってるって知らなかったけど、平気な顔をして紅茶を飲んでたんですね!カッコいいわあ!!」


キラキラ光る目で僕を見てる!


「い、いやぁ~、ぼ、僕も男ですから、やる時はやりますよぉ~。」


どうにもニヤケてしまう。


「おや?あれはアベ君ではないですか?」


笹川さんが広場をドンヨリした表情で横切って行くアベ君を発見した。


「お~い、アベ君!君もこっちでやらないかい?今日は船長の驕りなんだぜ!」


調子に乗った僕は大きく手を振って彼に声をかけた。


アベ君はハッと我に返った様子で、ピンと背筋を伸ばしてこちらを向く。

少し戸惑っているようだったが意を決したようにこちらへ歩いて来た。


「あ、お疲れ様です。今日はご苦労様でした!」


無理に元気なふりをしてるのが痛いほど伝わってきた。


「冴えない顔してたけど、何かあった?」


ママが優しげな表情で彼の顔を覗き込む。

ちょっと妬けた。


「ま、まあさ、ここ座りなよ。」


僕はママから少しでも遠くに彼を座らせたかったので端っこの席を勧める。

僕の隣には僕の荷物があるにもかかわらず、だ。


「・・・まあ・・・いつものことですから・・・」


やはり空元気だったようだ。

ママの優しい声掛けに思わず本音が出てしまったアベ君。


「あ、いつものエーコさんのアレですね?」


事情を知ってる風の笹川さん。


「はぁ・・・。」


ますますゲンナリするアベ君。


「さあさあ、コイデン飲ンデ、ソガラシ元気イナランネ」


『!!・・・今、ママはなんて言った??』


「ありがとうございます。」


そう言うとしっかり冷えたビアグラスを掴むなり、一気にグビグビやり始めた。


「ンダモシタン!!イツモナガシ、ヨカノンップイヤッド!!ホルッド~」


何弁か分からない方言で嬉しそうにはしゃぐママ。


ショックだった。

いや、方言がきついことではなく、その方言を理解できないことと何だかママがウットリとアベ君を見つめていることの方がショックだった。


「ぷはぁ~っ!!ヤッパイ竹子ママがチッビールハ、ワッゼウマカ~!!」


『は?何?アベ君も何とか弁話せるの?』


またまたショックだった。


「ジャッド、ジャッド。マコチ竹子ママのチッ酒はスッペウンメ!サシン、シオケンアンドスッ。マコチ!」


『え?え?笹川さんまで?』


その後は僕以外のみんなは『何とか弁』で盛り上がり、僕は完全に蚊帳の外に置かれてしまった・・・


・・・えっと・・何の祝杯だったっけ?


結局、僕はカウンターの端に天井から吊り下げられてるテレビをいつまでも見る羽目になった。


テレビでは『集団的防衛権によるAIロボットの軍事転用の国会審議入りがどうとか』『プロトコルやアルゴリズムの改変をしたAIロボットの犯罪をどの法律で対処するのか?』といった時事問題のニュースが流れていたようだった。

『ニナール理論制御装置』は付けているのに何だか悪酔いし始めたような気がした。


次に気が付いたのは、殆どの照明が消えたこの巨大な中央広場の片隅で掃除のおじさんが僕をモップの柄で突いて起こしてくれた時だった。

カウンターにはもう誰もいなかった・・・

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