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洗濯船ハイパー日誌  作者: 田子作
第1章 大いなるアホローチ(序章)
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合言葉は『ケセランパサラン』!

イラスト付きのこの話はこちら↓

http://ideanomi.jp/index.php?%E5%90%88%E8%A8%80%E8%91%89%E3%81%AF%E3%80%8E%E3%82%B1%E3%82%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%80%8F%EF%BC%81

食堂に集まった人達の中に数人の見慣れた連中を確認できたが、大半は知らなかった。


いつもならこんなに広くはないはずの部屋にこれまた大げさにデカくて長い木製の重厚なテーブルが据え付けられていた。


「あの・・・これってアレですよね?」


激しい頭痛に頭を抱えながら誰にという訳でもなく質問する。


「そうですよ。ニナール理論制御装置の賜物だよ。」


メガネ女が素っ気無く答える。


「という事は、またあの苦い液を飲まないと頭痛は止まないんですよね?」


ズキズキと疼くコメカミを指で揉みながら聞き返す。


「いや、あれはあんまり体に良くないから皆はこれを付けてるんですよ。ほら。」


メガネ女はそう言うとイヤホンほどの大きさの、何かの器具のような物をテーブルに転がす。


「ちょっと!体に良くないって、じゃあ何で僕には飲ませたんだよ!」


イラっとした。


「だって素直じゃないから初めは飲ませた方が早いし。」


「素直じゃないって、何に対してだよ!」


ますます頭痛が激しくなる。


「まあまあまあ。こうして君も正式に我々のメンバーとして認められたわけですから、これからは皆さん仲良くやりましょうや!」


サングラスの小洒落たシニアが割って入る。


「そうそう。本当に友澤さんはラッキーだったんですから、良しとしましょう!」


爽やかを絵に描いて額に入れたような背広の好青年が援護する。


「と、とにかくその機械の使い方を教えてください。」


もう限界だった。

脂汗が額を伝うのがわかった。


先ほどのホテルマンのような男性が親切にそれを僕の左耳たぶの後ろ側に取り付けてくれた。

すると微かな起動音がした途端、嘘のように頭痛が治まった。


「じゃ、朝飯にするか?」


長テーブルの頂点に座している船長が、部屋の奥の扉のそばに立ってスタンバイしている一回り大きな体の白い割烹着姿の男性に合図する。


「今日は酔い醒ましに、味噌汁の代わりにしじみ汁を用意しました。」


彼の言葉を待っていたように、扉の奥から上半身だけの人形のような者達が配膳を持ってゾロゾロと宙を舞って現れた!?


あっという間にみんなの前には朝食のお膳が据えられた。


『なんだよこれ・・・僕は4ヶ月もこの船に乗ってたのにこんなの初めて見るぞ!?』


目を白黒させている僕にはお構いなく、皆は『パンッ』と手を打っって一瞬でお祈りを済ませると(´~`)モグモグやり始めた。


「あ、そう言えばこちらの男性はどなたですか?」


僕の左隣に座っていた『オペラ青年』が僕の右斜め前に座っている『添い寝男』を見やる。


「あ、彼は昨夜、嵐の中を中華鍋に乗って漂流してたんで保護したんですよ。」


なぜか食事中だというのにテレビカメラを肩の乗せたままの男が答える。


「そう言えばまだ名前も聞いてなかったですね?」


ホテルマン風の紳士が給仕しながら質問した。


「・・・・・」


『添い寝男』は無表情で無言のまま焦点の合わない目つきで真っ直ぐ正面を向いている。


「あれ?右手になんか持ってませんか?」


目ざとくホテルマンが右手から少しだけはみ出している白い毛のような物を見つけた。


『添い寝男』は無言のまま視線を自分の右手に落とす。


「それなんですか?」


さらにホテルマンが尋ねる。


「・・・ケ・・・」


ボソッと呟く『添い寝男』


「そりゃ何かの毛だってことはわかりますよ。それが何の毛なのかって興味があるんですけど。」


「・・・ケ・・・セランパサラン?」


そう言うと不意に満面の笑顔になった。

異様な光景だった。


「なんですかそれ?」


「ケセランパサラン!!」


今度ははっきりした声で嬉しそうに答える。


「・・・埒があきそうにないですね。じゃあ質問を変えましょう。あなたの名前は?」


「あ、それなら着てた調理服に『羽田』って刺繍がありましたよ!」


とメガネ女。


「羽田なにさんかはわからないかぁ。よし、じゃあこうしましょう!彼はとりあえず『ケセラン羽田』さんってことで。」


ホテルマンが仕切る。


『別に『ケセラン』要らないんじゃないの?』


心の中でツッコミを入れる僕。


「・・・ケセラン・・ハ・・ダ・・・」


添い寝男は呟くように繰り返すとまた満面の笑顔になった。


『気に入ったのかよ!!』


こけそうな僕。


「よし気に入ったみたいだし決定!」


自分の命名を気に入ってくれたのが嬉しかったのかホテルマンは少し高揚していたようだった。


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