雷臓を持つおっさん二人。
心臓の代わりに雷臓と呼ばれる器官で生存する異形の存在、になる夢を見た。
人間の研究所で生まれ、生体実験のために育てられた24人の子供達の一人だったけれど、長男役の男の子が大暴れしてしまい脱走のチャンス。
偶然、指先をコイルにして電磁力を操るワンオフ機能に気付いた僕は電磁錠とか物理的な金錠をかたっぱしから解除して研究所から皆を脱出させた。
それから22年。
離れ離れになった仲間達は集まり、復讐を誓う……。はずだったのだけれど。
めちゃくちゃ強かった長男が一人で全部やっつけてしまって、復讐相手もいなくなってしまった僕はただ毎日遊ぶだけの日々を過ごす。
逃げる時に不正乗車して乗った急行列車が心に残っていて、電車で旅をするのが趣味になっていた。
ちゃんと急行券も買って乗車する。
日本の海と思えぬ青い水面の上をジェットコースターみたいにくねくねした線路が浮かび、急上昇急降下する電車にきゃあきゃあ言いながら、目的の観光地に着く。
研究所から逃げ出して、電車に乗って逃げ着いた、温泉地。その輝きに人生捨てたもんじゃないなと思って、ずっと行きたかった場所。
20年後に眼にしたそこは、思いっきりさびれていた。
こんなに建物少なかったっけ?
スマホの地図で調べると、思いっきり過疎化していた。
駅から歩いて左にお土産やさんがあるだけ。
仕方ないから行ってみた。
店番が店の奥にいて、ゲーセンの筺体の電気が消えていた。
僕の他には旅人らしいおっさんが一人いるだけ。
……お前、研究所の仲間だった兄ちゃんやんけ。
おっさん二人、意気投合。
店番を呼んで太鼓の達人の電源入れてもらって遊んだ。
雷臓人間は発電とかできるから、コンセント握れば遊べるけれど、人の営みに生きる限り、力は使わないのです。
太鼓の達人って、面を叩く、フチを叩く、連打くらいしかコマンドないと思っていたのに、ワニとかリスとか、わけわからんアイコンがでまくって困る。
まさか0点なんてスコアが出るとは思わなかった。こんなゲーム、本当にあるのか?
聞いたら、隣でハイスコアを出しているおっさんは電化製品を自分色にしてしまう能力の持ち主らしい。
お前のせいか。
できれば日没までには帰りたいけれど、間に合うかな。
眼が覚める。




