ぼくのかんがえたさいきょーのひしょち
山間に抜かれた太い国道。それにくっつくように群がって作られた小さな町。
その町一つを美術館として設計し直して町おこしにしようと企んでいるところに遊びに行く夢を見た。
つまり、美術品を公共施設とか、古い民家に一つずつ飾って、レンタカーや人力車で町の中を巡りながら、見てまわるという趣旨だ。
ドラクロワ屋敷とか、フェフナーのある集会所とか、色んなネーミングしてた。
食事や宿泊もできるし、ワイファイも使えた。
「面白そうだから行こうぜ」と、そういうのに興味がある友達に誘われる。
休日を利用し、僕の車で意気揚々と登山したのだけれど。……いかんせん、山奥過ぎる。
山の麓から一時間半は走らせないと着かない。
しかも、その日は雨が降って見通しが悪い。
さらに、二人とも下調べをしないので、総合受付のある町役場がどこにあるかもわからんし、お目当ての本館がどこかわからん。
結局、二人して半日以上迷子になって潰す。
途中の店で食べた飯はうまかったけどね。
で、日没が近づき、悩む。
日帰りのつもりだったので、そろそろ返らねばならない。
でも、もっといたい。でも、明日は仕事だ。
帰ろう、帰ればまた来られるから。の精神で納得し下山しようとすると、門番に止められる。
「危険なので、夜間の下山は禁止されております」
閉じ込められたやんけ。
「宿屋はあちらです」
ああ、そうかい!
結局、泊まって、明日の朝一で降りて仕事に。
くそう、辺鄙過ぎる。二度と来るかボケ。
……でもサービスいいんだよなあ、この宿場もレストランも。
惜しいよなあ、立地が何もかも惜しいよなあ。
そして、男二人泊まるのに、なんでシングルの部屋やねん。
「ロフトあるぜ」
一人はロフトで寝ろってか。
「俺、ロフトな」
ノリノリな友人で助かった。
なんだかんだで楽しかったところで、眼が覚める。
ああ、ああいう町が本当にあったら、有給使って二、三日行きたいなあ。




