敬虔なる旅路
世界中の地面が大隆起した。
しわ寄せみたいに、ユーラシアの左隅で中東が沈没。
行く当てがない流浪の民は、地殻変動で国土の95%が山地になってしまった日本に傾れ込んできた。理由? 預言の書の導きだってよ。おかしいだろ回教的に考えて。
そんな流れで、国という国が崩壊して、何もしなくても鎖国状態の日本は、仏教と神道とイスラム教の融合した変な宗教が国体を支える、政教同一の山岳国家になった。
それから数十年?
今時珍しい、混じり気なしの日本人であった僕は、何の因果か、新しい国の伝統行事になるであろうキャノンボールレースに参加することになった。
数百人が参加。
5日間かけて雲がかかるような山を5つ越える。
手段は徒歩。それ以外のルールなし。
優勝者は、偉い人になれる。
24才になった友達2人と共に、参加する。
まあ、僕はやる気ないんですけどね。
まあ、登山ですから。
きつい。
でもまあ、レースに参加してるつもりもなく、3人適当に楽しみました。
途中で、30回目の挑戦になるという、すごいアラブ顔のおじさんにいちじくもらったりしながら、山刀を持った見るからに山人って人とお話したり、この国もなんとかなるのかな。って思っていたら
初日 44位
二日目 11位
ものすごく、期待の超新人になりました。
で、なんか山の中で『預言の書』とかに出てくる仙人からいちじくの実をもらったことになったり、僕と友人2人が、伝説の三聖人になぞらえられたりとか。
おいおいまてまて。
これで優勝したら、やばいことになるんじゃねーのか?
だって、僕はその伝説とは、部族的にも人種的にも違うのに。
英雄の誕生という奴らしいが、正直迷惑なことこの上なかった。
今までの歴史上の偉人達もこんな感じだったのだろうか。
とりあえず、早く後3日終わらせて、家に帰って仕事に戻りたいと切に願う僕なのでした。
命、狙われる宣言されたけどな。
という、すごくいろんな意味でギリギリな夢を見た。
とりあえず、見様見真似でやったヤールギレシュは、最高に面白かった。それだけ。