シャルル大帝国楽兵団
軍事国家で兵卒 (二等兵)やってる夢を見た。
この国、おかしなことに軍人は全員楽器が何かしらできなければならない。
というか、軍で偉くなるためには楽器ができなければならない。
大砲だのマスケット銃だのの訓練に倍して音楽の訓練でもしごかれる。
女たらしのミレー騎兵隊長はトロンボーンの名手だし、軍紀第一主義のガブル元帥はその厳つい風貌とおそろしい怒声からは想像できないような音色でオーボエソロを吹く。衛生兵の救急箱にはハーモニカが入っていた。
そしてこの国の音楽産業はすべて国有であり。
つまりこの国で音楽をするためには軍に入らなければならないということだ。
人事部に配属された、兵隊としての僕 (二等兵)の役目は、新規編成される現代音楽演奏兵団に、有力な演奏兵を引きぬいてくるというもの。
しかし、音楽の力が物を言う組織で、気難しい表現者どもは一筋縄ではいかない。
ミレー隊長は、自由に音楽をやるために軍に入ったので、「そんな強制された音楽をやる気はねーぜ」とか言って草原に大の字のまま断ってきた。軍隊みたいな体制側でそんな言い分通るのかな、と思うがそんないい加減でも軍功をあげまくってるから見逃されている。
ガブル元帥は、ガチガチの古典音楽教育を受けている人で、現代音楽に一切の理解を示さない。曰く「兵隊のやる音楽ではない」。さいですか。
参ったな。指揮者 (二等兵)しかいない音楽団とか、転倒が本末している。
というところで目が覚めた。
組織作りって難しい。




