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復讐戦チーターズ


 石造りの建築物が発展した帝国主義の日本国。

 僕の通う学校の一クラスが丸ごと拉致され、見知らぬ山村に連れてこられた。

 どうやら、極限状況に陥れることで人間が特殊な力に目覚めるという理論に基づいて、僕達40人は殺されるらしい。

 大して好きでも嫌いでもない同級生が、次々に射殺されていく。

 僕は逃げた。

 たまたま隣の席だった女の子を連れて、逃げた。

 追いかけてくる銃を掲げた兵士。

 スポーツが得意なイケメンと、無駄に勉強のできる不良が助けてくれた。

 二人が銃を奪い取って暴れて、僕と女の子を逃がしてくれた。その後どうなったのかはわからない。

 走り続けて、処刑場と化した山村で、村人役を演じていたエキストラ達を乗せた軽トラの荷台に紛れこむ。

 彼ら劇団員は僕らを見かねて匿ってくれた。

 背中と足を撃たれていた。

 気絶。

 

 目が覚めた時、妙に広い運動公園にいた。

 匿ったことがばれた劇団村の皆さんが、処刑される。

 みんなが僕に逃げろと言った。

 撃たれながら、逃げる。

 あの、女の子はどこにいった。

 その時、声をかけられた。

 軍服を着た、西洋人の少女。

「お前は死ななくなったのか」

 とか言われた。

 そう言えば、気付く。さっきから、死ぬほど銃弾を撃ち込まれているのに、僕はまったく死なない。

 極限状況に陥れられて、特殊な力に目覚めたとでも?

 すると、同級生の、一緒に逃げた女の子はどうなった?

 少女は言う。

「私は、なんでも滅ぼせるようになった」

 僕は逃げた。

 逃げる僕の後ろで、巨大な火柱があがり、劇団村の人々が皆燃えて死んだ。

 下水道に飛び込む。一般の人間では入り込めないくらい不衛生で流れの深い下水道を泳ぐように逃げる。


 どれくらいの時間流されたのか。

 下水から這い出た時には、なんだか中華色強い繁華街に辿りついていた。

 路地裏に入り込んだはずなのに、何故かその裏道が高級飯店の一室に続いていた。

 飯を食ってるおっさんは、僕を見て「よく来たな」とか言って座るように促した。

 台詞の句読点の代わりに屁をこく汚いおっさんだった。


 やっとこさ、一息ついた時。

 僕はどうにも復讐をしたい気持ちに駆られた。

 何に対して、どうすればいいのかはわからないけれど。

 この不条理に反攻したかった。


 相手の顔は、すぐに浮かんだ。

 あの、軍服を着た少女を殺す。

 


 目が覚めて、ちょっと驚いた。

 復讐をしたいって気持ちってこんな感じなのか。

 そりゃ世の中平和にならんわ。


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